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コロナ第9波の症状の特徴とは?最新状況や今後の予想

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行は、私たちの生活にまだ深い影響を及ぼし続けており、現在は「第9波」が進行中という事態に直面しています。この新たな波は私たちの日常生活、そして社会へどのような影響を与えているのでしょうか?そして私たちはどのようにしてコロナウイルスから身を守るべきなのでしょうか?

この第9波がもたらす課題に直面する中で、私たち一人ひとりが健康と安全を確保するための適切な知識と理解が重要です。本記事ではなぜ今、新型コロナウイルス感染症の感染が広がってしまったのか、また、第9波を乗り切るため一人ひとりにできることは何か、ご紹介したいと思います。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

第9波の状況

まずは、第9波といわれる今の現状をみていきましょう。

過去にも全国的に最も早く感染拡大の波が訪れている沖縄県では、すでに第8波(2022年11月頃〜2023年1月頃)の感染者数を越える勢いが第9波にはあります。全国平均の7〜8倍の新規感染者が出ているようです。

第9波の特徴として、子どもでの重症化が目立ちます。そのため医療機関が混雑し、必要な方でも入院できないという事態になっています。5類移行後、自治体による受診・入院医療機関の調整やホテル療養などがなくなったことで、一人ひとりが受診する医療機関を探さなくてはならず、国民の負担が大きくなっているといえるでしょう。

沖縄ほどのペースではありませんが、それ以外の地域も全国的に感染者数は増加傾向です。その一方で、あまり報道がされなくなったので、ご自身のお住まいの地域での感染状況が分かりにくく、「コロナが流行っているなんて知らなかった」という方も少なくありません。

もし感染の状況を確認されたいときには、国立感染症研究所が更新するこちらの情報や、お住まいの地域の保健所等の報告をご覧ください。

第9波の原因は?

新型コロナウイルス感染症は、2023年5月から「5類感染症」になりました。今回の第9波には、その影響が出ているといえます。

感染者の数が分かりにくくなった

5類になる前は、感染した人全員を数える「全数把握」という方法をとっていました。毎日のように「何百人・何千人の新規感染者が出た」と報道されていたのを覚えている方もいるでしょう。すべての医療機関が、陽性と確認された方の数を毎日報告していました。

5類になった今では、検査で陽性とわかった方すべての人数は調査していません。「特定の医療機関で、1週間に何人の新規感染者が確認されたか」の平均値を算出して、感染者数の増減の傾向をみています。これは「定点把握」という方法です。

1医療機関あたりの平均値なので、「6.22人」のような小数点のついた数字になります。今までのように「何千人」というような大きな数字にならないことで、インパクトが弱くなったのも、感染拡大が起きていないようにみえる原因かもしれませんね。

週ごとの値の変化で、今住んでいる地域の感染が拡大傾向なのか、終息傾向なのかを判断しましょう。

外出自粛のお願いがなくなった

5類になる前は、「解熱後◯日までは自宅待機してください」のように、陽性の場合は自宅から出ずに療養するように指示が出ていました。外出しなくてすむよう、食料品の援助などがあったことを覚えている方もいるでしょう。

しかしながら、5類移行後は外出の制限もなく、陽性の方でも買い物に出かけたり、場合によっては体調不良をおして仕事や旅行などにも出ています。そのため、どなたでも知らない間に感染者と接触するリスクが高くなりました。

全員に検査をしなくなった

5類に移行するまで、検査は「無料」でしたね。そのため、体調不良を感じられた方はほとんど全員が検査をして、コロナに感染しているかどうかを確かめていたと思います。しかし5類になってからは、検査も治療も費用がかかるようになったこと、コロナだとわかっても仕事を休めなくなった(特別休暇・病気休暇などが使えなくなった)などの理由から、検査を受ける方が減っています。そのため、見かけ上の感染者数が増えないということも、感染の波がわかりにくくなった要因といえるかもしれません。

ウイルスの性質は変わっていない

5類になって変わったのは政府の支援体制だけで、ウイルス自体の性質は何も変わっていません。したがって、ウイルスを持っている人とマスクなしに大きな声で会話をすれば感染もしますし、重症化しなくなったわけでもなく、新型コロナウイルス感染症は相変わらず注意が必要な感染症のままです。

30歳代の方と比較すると、40歳代では4倍、50歳代では10倍、60歳代では25倍も重症化のリスクが高いことがわかっています。「重症」というのは、酸素の吸入が必要になったり、人工呼吸器での治療が必要になったりする状態です。中高年以降の方や、高齢者とよく接する方は、適度に感染対策を続けていただくことをおすすめします。

そして、「若いから関係ない」「コロナになっても大丈夫」というわけでもありません。

新型コロナウイルスは、1度かかっても免疫ができず、何度でも感染します。また、後遺症がなかなかの曲者です。

広島県で約1000人を対象におこなわれた後遺症の調査によると、1か月以上なんらかの症状が続いた人の割合は34%でした。そのうち、40%以上の方で半年以上も何らかの症状が続いていたそうです。

また、症状の程度が生活に「まぁまぁ支障がある」「支障がある」と答えたのは43%と、こちらも高い割合でした。

とくに多い症状としては、以下が挙げられています。

  • だるさ
  • 息切れや息苦しさ
  • 嗅覚や味覚の異常
  • 抜け毛
  • 集中力の低下

10代・20代では味覚異常が、40代以降では息苦しさが長く残る傾向でした。

第9波を乗り越えるために

第9波を乗り越えるため、改めて、新型コロナウイルス感染症に対して一人ひとりができることを見直しておきましょう。

手洗い・うがいをする

手洗い・うがいをすることで、手についたウイルスが目や口などを通して体内に入るのを防ぐことができます。実際、「手洗い・うがいをきちんと頑張ったコロナ禍では、風邪をほとんどひかなかった」という方も多いのではないでしょうか。コロナ禍の3年間で身についたよい習慣は、これからも続けていきませんか?

アルコールの手指消毒剤が撤去されてしまったお店も多いですが、アルコール消毒も非常に有効です。ご自身で持ち歩くのもよいでしょう。とくに、帰宅時・食事前の手洗い・うがいは大切ですので、忘れないようにしてください。

必要なときにはマスクを着用する

今は暑さもあり、マスクをずっと着用するのは難しいですよね。必要なタイミングを選んで、うまくマスクを着脱できるとよいでしょう。たとえば、混み合っているお店や電車に乗るときは、マスクの着用が望ましいです。室内であれば冷房がきいていることが多いので、できる範囲で取り組んでみてください。

当クリニックを含め、病院や介護施設など、体の弱い方の集まる場所では、「自分がいま、コロナウイルスに感染しているかもしれない」と考え、周りへの配慮としてマスクの着用をお願いします。

体調が悪いときは出かけない

体調が悪いときには、無理に出勤しない、お出かけしないことも大切です。新型コロナウイルスの性質は何も変わっていません。発熱やだるさなどの症状が出る1〜2日前から、発症後も7日間程度は、他人へ感染させる力を持っています。熱が2日程度で下がったとしても、発症から1週間くらいは出勤やお出かけを避けられるとよいです。どうしても外出する場合は、マスクを着用する・三密を回避するなど、周りの方への配慮をおこないましょう。

ワクチンの接種も考える

新型コロナウイルスに感染しても、免疫を獲得できません。また、ウイルスは時間が経てばどんどん変異し、新たな性質を獲得し続けます。そのため、何度でも感染しますし、感染するたびに後遺症が残るリスクも上がります。

少しでも感染を予防し、後遺症リスクを下げるためには、ワクチンを接種する以外に方法があまりないというのが現状です。特に「海外旅行の前」「大事な試験の前」「感染拡大の波がきそうなとき」など、感染のリスクが高まるタイミングではワクチンの接種を考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

新型コロナウイルスの「第9波」について、本記事では最新の現状と対策方法について詳しく解説しました。感染者数の数え方が変わったので、波がわかりにくくなったかもしれません。お住まいの地域で、感染者数の増減の傾向を調べてみましょう。5類に移行したとはいえ、ウイルスの性質は変わっていません。

この困難な時期において、正しい情報と知識は私たち一人ひとりの行動に大きな影響を与えます。第9波を乗り切るために、手洗いうがいをしたり、必要なタイミングでマスクの着用をしたりといった適切な対策を続けてください。あなた自身や大切な人々を守るために、日々の行動や決断に、本記事の情報が役立つことを願っています。

参考サイト