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ヒトメタニューモウイルスの症状のピークは何日目?
ヒトメタニューモウイルスの感染後4〜7日が症状のピークです。
発熱、咳、鼻水など風邪と似た症状が多いですが、38℃以上の高熱や、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)をともなう咳や息苦しさを引き起こすこともあります。
なかでも子どもや高齢者は重症化して合併症を引き起こすリスクが高いです。
一般的な症状のピークと照らし合わせて、症状が長引いている場合は医療機関を再度受診することも検討してください。
感染後4〜7日が症状のピーク
ヒトメタニューモウイルスの症状はウイルスが体内で増殖するにつれ重くなり、感染後4~7日にピークを迎えます。
ウイルスの増殖は感染後2〜4日から始まり、4〜7日が最も増える時期です。そのためウイルス増殖のピークとなる感染後4~7日は症状が最もつらい時期と考えられます。[1]
おもな症状は風邪と同じ発熱、咳、鼻水です。感染後2~3日は風邪のような症状が続きますが、ヒトメタニューモウイルスの発熱は38℃以上の高熱が出るケースも多くみられます。
インフルエンザに似た症状となるため、医療機関を受診しなければ間違える場合もあります。[2]
また乾いた咳だけでなくゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)をともなう咳が出るのも特徴です。
気道が狭くなり、呼吸がしづらくなるため、重症化すると気管支炎や肺炎を引き起こす場合もあります。
咳や喘鳴、鼻水は感染後5~7日にピークとなるケースが多いです。[3]
感染の可能性は症状ピークが終わっても続く
感染後7〜14日間はウイルスの排出が続くとされているため、症状が治まっても感染する可能性があります。[1]
ヒトメタニューモウイルスはインフルエンザと異なり一般的な風邪の分類になるため、学校や会社への出席・出勤停止期間は定められていません。
症状が治まれば、ウイルスが排出されている状態でも社会生活に復帰できるため、感染者は咳エチケットやマスクをつけてウイルスを広げないよう心がけましょう。
3~6月はとくにヒトメタニューモウイルスが流行する時期です。[1]
流行時期では集団生活をおこなう保育園、幼稚園や高齢者の施設において感染が拡大しやすくなります。
マスクの着用、手洗いとうがい、こまめな換気をおこない、ウイルスに感染しないように予防も大切です。
子どもと高齢者は重症化しやすい
子どもや高齢者はヒトメタニューモウイルスに対抗する力が弱いため、重症化しやすいです。
子どもは喘息・気管支炎などになりやすく、1~3歳の幼児は中耳炎を引き起こすリスクがあります。[4][5]
ヒトメタニューモウイルスによる高熱が原因で起こる熱性けいれんは、生後半年~5歳の乳幼児がかかりやすく、インフルエンザにかかったときよりも頻繁に起こります。[6][7]
風邪のような軽い症状であっても急速な症状悪化の可能性があるため、早めの受診を心がけてください。
高齢者も免疫力の低下により重症化しやすいため注意が必要です。
心臓病や糖尿病、呼吸器系の持病がある場合は、肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こすリスクがよりいっそう高まります。[8]
風邪のような症状だからと軽く考えず、早めに医療機関を受診しましょう。
ヒトメタニューモウイルスで高熱や咳が続くときの受診目安
呼吸器症状が悪化し息苦しさやぐったりしている様子がみられる場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
ヒトメタニューモウイルスは一般的に風邪のような症状が出ますが、子どもや高齢者は重症化する可能性もあります。
早めに医療機関を受診して重症化を防ぎ、早期回復に努めることが大切です。
重症化が疑われるサインや医療機関を受診すべき症状について理解を深め、早めに対応できるようにしましょう。
救急外来へ受診するべき目安
ヒトメタニューモウイルスにより呼吸器症状の悪化を疑う場合は救急外来を受診します。
以下のような症状がみられる場合は、救急車を呼び急いで医療機関を受診してください。[9]
子ども |
大人 |
|
|
もし救急車を呼ぶべきなのか迷った場合は、専門家に受診の相談ができる電話相談窓口#7119にかけてみましょう。[10]
電話口で症状を伝えると「救急車を呼んだほうがいいか」「急いで医療機関を受診したほうがいいか」を案内してもらえます。
関連記事:#7119って何?救急車を呼ぶべきか教えてくれる安心電話相談窓口
診察時間内に受診するべき目安
熱が下がらない、ひどい咳が出ている、脱水症状を疑う場合は早めに小児科または内科を受診しましょう。
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37.5℃以上の発熱が3日以上続く(大人)[11]
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40℃以上の発熱で解熱剤が効かない(大人)[11]
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38℃以上の発熱がある(子ども)[11]
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激しい咳が続く
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ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
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食事や水分が自分でとれない
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口の渇きやおしっこの量が減少する
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機嫌が悪く、ぐったりとしている
つらい症状が続くと体力が消耗していきます。食事がとれない場合は栄養バランスが崩れ回復に時間がかかるため、医療機関で処置してもらうのもよいでしょう。
子どもや高齢者は重症化のリスクが高く、急に症状が進行するケースがあり一段と注意が必要です。
子ども・高齢者・持病のある方で風邪の症状がある場合には、自己判断で軽く考えずできる限り医療機関を受診してください。
関連記事:ヒトメタニューモウイルスの熱が上がったり下がったりする症状は何日続く?入院の目安やホームケアも紹介
家で安静にしておく目安
持病がなく健康な大人の場合、風邪のような軽い症状であれば基本的に自宅でのセルフケアで問題ありません。
十分な休養とバランスのとれた食事、水分補給を心がければ、免疫力により次第に回復していきます。
子どもや高齢者についても、初期の受診後に医師から再受診の指示がなく、症状が軽く、食事や水分摂取がしっかりとれている場合は自宅での療養でかまいません。
ただし症状ピークの4〜7日を過ぎたあとでも、咳が続く、高熱が長引く、呼吸が苦しくなるなどの症状がみられる場合は、再度受診を考えましょう。
症状が長引くと重症化し、合併症のリスクも高まります。症状が改善しない場合や心配な場合は早めに医療機関を受診してください。
ヒトメタニューモウイルスの症状がピークのときの過ごし方
最も症状がつらい時期には咳を引き起こす原因を避け、体を安静にし、水分補給をしっかりおこないます。
ヒトメタニューモウイルスに感染しているときには気道が過敏になり、ささいな刺激でも咳が出やすい状態になっています。以下の点に気をつけてホームケアをおこない早期回復に努めましょう。
気をつけること |
対処法 |
刺激物をとらない |
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のどをあたためる |
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のどの乾燥を防ぐ |
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咳がひどくなると、食欲が落ちたり水分摂取が難しくなったりする場合があります。しかし水分がとれないと脱水症状を引き起こし、体調をさらに悪化させる原因になります。
なかなか水分摂取ができない場合には、効率的に水分と糖分・塩分を補給できる経口補水液の使用を検討しましょう。
症状のピークが過ぎたら登園・登校させてもいい?
ヒトメタニューモウイルスは出席停止期間が決められているわけではないため、症状がよくなれば子どもを登園、登校させても問題はありません。
ただし症状のピークが過ぎてもウイルスは排出されているため、周りに感染を拡大させないようにすることが大切です。
保育園や幼稚園、学校などほかの人と接するような場所ではマスクをつけて過ごすことが望ましいでしょう。
咳やくしゃみをするときにティッシュや袖で口元を覆う咳エチケットも感染拡大防止につながります。
子どもはマスクを嫌がったり適切な咳エチケットができなかったりするため、咳が出ている間はお休みするのも一つの手です。
ヒトメタニューモウイルス感染症について
ヒトメタニューモウイルスとはおもに呼吸器症状を引き起こすウイルスです。
以下のような特徴をもちます。
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症状は咳、鼻水、発熱など風邪に似た症状があらわれるが、重症化する可能性がある。
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子どもや高齢者は免疫力が低いため重症化のリスクが高い。
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ウイルスに直接効く治療薬はないため対症療法で症状をやわらげる。
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感染経路は飛沫感染と接触感染である。
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感染対策には手洗い、うがい、マスクの着用が効果的である。
3~6月はヒトメタニューモウイルスが流行しやすい時期のため、よりいっそう感染しないような対策が重要です。
症状は風邪と同じだが重症化することもある
ヒトメタニューモウイルスの症状は咳、鼻水、発熱など風邪に似た症状があらわれますが、重症化する可能性があります。そのため一般的な風邪以上に注意が必要です。
咳はゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)をともなうことが多く、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。
重症化すると呼吸困難をまねき、入院が必要になるケースもあります。症状の進行に注意し、咳や喘鳴がひどくなる前に医療機関を受診することが望ましいです。
ヒトメタニューモウイルスによる発熱は、風邪のときのように軽いこともあれば、38℃を超える高熱が4〜5日続くケースもみられます。
一見インフルエンザかなと思っていても実はヒトメタニューモウイルスの可能性もあるため、自己判断せずに医師の適切な診断を受けましょう。6歳未満であれば検査を保険適用で受けられます。
ヒトメタニューモウイルスは子どもから大人にかけて何度も感染し、免疫がつくことで徐々に症状が軽くなっていきます。[12]
乳幼児は免疫力が低いため、ヒトメタニューモウイルスが重症化し気管支炎や中耳炎といった合併症を引き起こすリスクが高いです。
そのため乳幼児に風邪のような症状がみられた場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。
治療方法は風邪と同じ
治療方法は風邪と同様、去痰薬や咳止め、解熱剤などの対症療法が基本です。
ヒトメタニューモウイルスそのものに効果的な治療薬はなく、症状をやわらげる薬が中心に処方されます。
対症療法薬の種類 |
効果 |
咳止め |
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去痰薬 |
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点鼻薬 |
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解熱鎮痛薬 |
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ヒトメタニューモウイルスにはワクチンもないため、感染予防が重要です。
外出先から帰った後や食事前には手洗い、うがいを徹底し、人が多い場所でのマスクの着用を心がけましょう。外出先で手を洗えない場合はアルコール消毒でこまめに消毒することも有効です。
関連記事:早く熱を下げる方法とは?効果的な対処法や解熱剤を使うべきかについても解説
感染対策は手洗い・マスクが基本
ヒトメタニューモウイルスは接触感染と飛沫感染により広がるため、手洗いやうがい、マスクの着用で予防します。
とくに咳やくしゃみなどの飛沫にはウイルスが多く含まれているため、他人に感染させないように咳エチケットを心がけましょう。咳エチケットには3つの方法があります。[13]
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マスクを鼻からあごまでを覆い、隙間がないように正しく着用する。
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ティッシュ、ハンカチで口や鼻を覆う。
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上着の内側や袖で口や鼻を覆う。
持病のない健康な大人がヒトメタニューモウイルスに感染した場合、症状があらわれないケースもあります。
症状がみられないと知らず知らずのうちにウイルスを周りに広げてしまう可能性もあるため、普段から咳エチケットを心がけて感染拡大の防止に努めましょう。
一般的な感染対策は以下の4つの方法が推奨されています。
感染対策 |
具体的な方法 |
手洗い、手指消毒 |
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うがい |
1〜3の順にうがいする。
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マスクの着用 |
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こまめな換気 |
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ヒトメタニューモウイルスは集団感染を引き起こしやすいウイルスで、保育園や幼稚園、高齢者の施設などでは感染が広がりやすいです。
とくに流行しやすい3~6月は上記の感染対策が必要です。感染拡大を防ぐために普段の感染対策と併用して、面会の中止や体温測定などの対策がされるケースもあります。[18]
まとめ|ヒトメタニューモウイルスの症状ピークは感染後4〜7日!重症化に注意しよう
ヒトメタニューモウイルスに感染した場合、症状は感染後4〜7日にピークを迎えることが多いです。
この時期には、38℃以上の高熱や、ゼーゼー、ヒューヒューとした喘鳴(ぜんめい)をともなう咳があらわれるケースもあります。
またヒトメタニューモウイルスは重症化する可能性があるため注意が必要です。
子どもや高齢者は気管支炎や肺炎などの呼吸器系の合併症を引き起こしやすく、乳幼児は中耳炎になる場合もあります。
もし症状がひどくなったり、改善しなかったりするときには、早めに医療機関を受診することが重要です。さらに普段と異なるなど心配な点があれば、早めに医師に相談しましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[2]市中感染性呼吸器疾患の原因としての ヒトメタニューモウイルス
[3]わたしたちの健康2023年3月号 ヒトメタニューモウイルス 和光市
[5]Human metapneumovirus, respiratory syncytialvirus 感染症による小児入院例の臨床像と急性中耳炎についての検討
[6]Human metapneumovirus感染に伴ったけいれん重積型急性脳症の1例
[9]東京消防庁 救急相談センター ためらわずに救急車を呼んでほしい症状
[12]新型コロナウイルス感染症との鑑別が問題となったヒトメタニューモウイルスの成人間感染と考えられた事例
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。