インフルエンザ予防接種は受けるべき? ワクチンの効果や注意点について詳しく解説

公開日: 2023/12/29 更新日: 2024/03/01
インフルエンザのシーズンが近づいてくると、「今年もワクチンを打たなきゃ」と考える人もいれば「ワクチンを打ったってどうせインフルエンザにかかるから意味がない」と考える人もいるでしょう。 感染対策のために予防接種を受けたほうが良いと言われていますが、「ワクチンによる副反応が起こった」「ワクチンを打ってもインフルエンザにかかった」という人がいるのも事実です。 そのため、接種を受けるかどうか迷われている方も多いのではないでしょうか。 こちらの記事では「インフルエンザワクチンの効果」や「予防接種の注意点」について詳しく解説します。 インフルエンザワクチンを接種するかどうか悩んでいる方は、ぜひ以下の情報を参考に改めて検討してみてください。
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インフルエンザの予防接種は受けましょう

インフルエンザの予防接種は受けた方が良いでしょう。今からでも遅くはありません。

「予防接種を受けたところで本当に効果があるのだろうか」と不安に感じる方も多いでしょう。

ワクチンを接種することにより、インフルエンザを発症する確率を下げることができます。誤解されがちですが、インフルエンザを完全に予防することはできません。

インフルエンザワクチンの大きな効果は、ウイルス感染による「発症を抑える」かつ「重症化を防ぐ」ことです。

インフルエンザワクチンを接種することで、具体的にどんな効果が期待できるのか詳しく解説します。[1]

関連記事:「2023-2024年インフルエンザワクチンの接種時期や供給状況について解説」

発症を抑えることができる

インフルエンザワクチンが発症をどの程度抑えるかについて、国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止する効果があったという事実があります。

また、6歳未満の小児を対象とした2015‐2016シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。

これはつまり「ワクチンを接種せず発病した方のうち60%は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた」ということです。

このようにインフルエンザワクチンは完全に発症を抑えることはできないとはいえ、一定の効果があることが実証されています。[1]

重症化を防げる 

インフルエンザワクチンの最大の効果は「合併症の発症を防いだり、重症化を抑えたりすることで死亡リスクを下げる」ことです。

厚生労働省より、ワクチン接種を受けた高齢者は死亡の危険が1/5に、入院の危険が1/2から1/3まで減少することが期待できると報告されています。

とくに5歳未満の子どもや65歳以上の高齢者、妊娠中の女性は合併症を引き起こすリスクが高いといわれています。

また、以下の基礎疾患を持つ人は重症化しやすいといわれているため注意が必要です。

  • 呼吸器系(喘息・慢性肺疾患)

  • 循環器系(心不全)

  • 血液疾患

  • 肝臓・腎臓病

  • 代謝障害

  • 糖尿病

  • 神経学的疾患、神経発達障害


合併症を引き起こす可能性がある方、重症化リスクがある方は、積極的にインフルエンザ予防接種を受けることを検討しましょう。

[2][3]

周囲への感染を防げる

インフルエンザは、人のくしゃみや咳ででるしぶきを吸い込んだり、感染者のつばや鼻水などが付着した手で目や口に触れることで感染するといわれています。

インフルエンザワクチンはくしゃみや咳、鼻水などインフルエンザの症状が現れるのを抑制する効果があるので、周囲の人にうつすリスクを下げることができます。

とくに家族の中に子どもや高齢者、基礎疾患を持つ方など、重症化するリスクが高い人がいる場合は、周囲への感染を防ぐためにも予防接種を積極的に受けるようにしましょう。 [4]

インフルエンザ予防接種の注意点

ここまで、インフルエンザの予防接種のメリットを紹介してきました。

しかし、予防接種を受けるかどうか悩まれている方が最も気になるのは「インフルエンザの予防接種を受けることでのデメリット」なのではないでしょうか。

インフルエンザ予防接種は「費用がかかる」「副反応が現れる可能性がある」などデメリットや注意すべき点もあります。

メリットだけでなく、デメリットを事前に知っておくことは大切です。

ここからは、予防接種を受ける上での注意点について詳しく解説していきます。正しい情報を知ったうえで、予防接種を受けるかどうかご自身で検討してみてください。

費用が割高

インフルエンザワクチンの接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。

費用の相場としては、3,500円程度のところが多いようです。

ただしお住まいの市区町村や職場によっては独自の助成事業を行っている場合があります。

対象と思われる方はお住まいの地域の保健所や職場、医療機関などに問い合わせるようにしましょう。[5]

インフルエンザワクチンの料金や、各自治体の補助金制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

関連記事:「インフルエンザワクチンの料金の違いや自治体ごとの補助制度について解説」

副反応の可能性がある

薬に副作用があることを知っている方は多いでしょう。インフルエンザワクチンでも同じように、免疫がつく以外の反応がみられる場合があり、これを「副反応」といいます。

インフルエンザワクチン接種後の副反応でよくみられるものは、接種した部位の腫れや痛み、全身の倦怠感や発熱などがあげられます。

多くは24時間以内に症状があらわれ、2~3日で軽快することがほとんどです。

ごくまれにアナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、掻痒感、呼吸困難等)やショックが見られることもあります。

これらの症状はワクチンを受けた後、比較的すぐに起こることが多いことから、接種後30分間は注意して経過観察するようにしましょう。

接種後に異常が認められた場合は、速やかに接種した医療機関に連絡してください。

ワクチン接種前には必ず医師による予診がありますので、副作用など気になる点は接種前に医師に確認しましょう。 [5]

予防接種をすれば必ず感染しないわけではない

インフルエンザワクチンの効果に関する研究(1998‐1999シーズンの解析)結果[6]より、

高齢者はワクチンの接種により 

  • 発病リスクを34~55%減ずる

  • 死亡リスクを82%減ずる

ことが明らかとなっています。

この結果からも分かるように、予防接種を受けたからといってインフルエンザを発病しないというわけではありません。

しかし、インフルエンザを発病した場合「重症化リスクを抑える」効果は高いため、予防接種を受けるメリットはあるでしょう。

とくに高齢者や乳幼児、基礎疾患を持っている方に対する死亡を阻止する効果が高いとされています。重症化リスクがある方は積極的に接種することをおすすめします。

インフルエンザの予防接種に注意が必要な人

インフルエンザの予防接種を受けるにあたって以下に該当する場合は、インフルエンザの予防接種に注意が必要です。

  • 卵アレルギーがある人

  • 重篤な病気を抱えている人

もちろん、卵アレルギーだけでなくアレルギー体質の方は基本的に気をつけた方が良いでしょう。

問診表を記入する際にアレルギー体質である旨を書いておくと、接種時にスムーズに伝えることができます。

その話をしたうえで、インフルエンザの予防接種を受けられるか、事前に医師に相談するようにしましょう。

重篤な病気を抱えている人はどんな病気であるのか、どんな薬を服用中であるのかを医師に伝えるようにしてください。では、それぞれについて詳しく説明します。

卵アレルギーがある

卵アレルギーによってアナフィラキシーを起こしたことがある方は、予防接種を受けることができません。

インフルエンザワクチンには極微量ですが、卵の成分が混入しているからです。 [7]

ただし、軽度の卵アレルギーであれば接種できるケースが多くなっており、国内またはアメリカの学術誌によると以下のような研究報告もあります。

  • 国内で現在製造されているインフルエンザワクチンは精度が高く、混入している卵の成分の量は極めて微量でWHO(世界保健機関)基準よりはるかに少ない。

  • 接種後の鶏卵アレルギーによる重篤な副反応の報告はなく、鶏卵アレルギー患者であっても接種可能である。[8]

アレルギーの程度によって対応が異なるため、予防接種前の問診の際には必ず卵アレルギーであることを申告し、接種できるかどうか医師と相談するようにしましょう。

重篤な病気を抱えている

接種時に発熱もふくめた急性疾患にかかっていたり、重篤な病気を抱えている人は、予防接種を受けることで具合が悪くなることがあります。

37.5℃以上の発熱のある人や、急性の病気で薬を服用している人などは、その後の病気の変化が分からなくなる可能性もあるため、その日は接種を見合わせるのが原則です。

また以下に当てはまる人は予防接種を受けるに際し、担当医師とよく相談する必要があります。問診の際には必ず申告するようにして下さい。

  1. 心臓病、じん臓病、肝臓病や血液、その他慢性の病気で治療を受けている人

  2. 前にインフルエンザの予防接種を受けたとき、2日以内に発熱、発疹(ほっしん)、じんましんなどアレルギーを思わす異常がみられた人

  3. 今までにけいれんを起こしたことがある人

  4. 今までに中耳炎や肺炎などによくかかり、免疫状態を検査して異常を指摘されたことのある人

  5. 今までにぜん息と診断されたことがある人

  6. インフルエンザ予防接種の成分又は鶏卵、鶏肉、その他の鶏由来のものに対して、アレルギーがあるといわれたことがある人[9]

新型コロナワクチンとの同時接種も可能

実は、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種が可能です。

「仕事が忙しく休みをなかなかとれない」「何度も病院に行くのは大変」そんな方でも、新型コロナウイルスとの同時接種ができるとなれば、一度に二度の接種が可能になるので時間の短縮にもなるのではないでしょうか?

また、それぞれのワクチンを別の日に接種する場合の接種間隔についても制限はありません。

ただしインフルエンザワクチン以外のワクチンは、新型コロナワクチンと同時に接種できないため注意してください。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。[10]

まとめ

この記事では、インフルエンザの予防接種のメリットとデメリットを解説しました。

予防接種を受けることのメリットは以下の2点です。

  • インフルエンザの発症を抑えたり重症化を防ぐ効果が期待できる。

  • 周囲への感染拡大を防ぐことができる。

予防接種を受けることのデメリットは以下の2点となります。

  • 副反応として接種部位の赤み、腫れ、痛みなどが現れることがある。

  • 3,500円程度の費用がかかる。

「どんな物事にも必ずメリットとデメリットがある」といわれているように、インフルエンザの予防接種も「メリットばかり」というわけではありません。

しかし、予防接種を受けることで感染を完全に防ぐことはできないにしても、重症化を防いだり、周囲への感染拡大を防いだりする効果があることは事実です。

また小さい子どもや高齢者、基礎疾患を持つ方は重症化しやすく、ときには死を招いてしまうこともあります。重症化リスクがある方が周囲にいる場合は、前向きに接種を検討してみてください。

コロナ渦では落ち着いていましたが、インフルエンザは例年12~3月の間に流行します。

インフルエンザの発症する確率をできるだけ下げるためにも、予防接種は受けておくことをおすすめします。

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参考文献

[1]インフルエンザQ&A|厚生労働省

[2]高齢者のインフルエンザは重症化することがあります

[3]CDC H1N1 Flu | People at High Risk of Developing Flu-Related Complications

[4]「新型インフルエンザ」入門|厚生労働省

[5]令和5年度インフルエンザQ&A|厚生労働省

[6]1.インフルエンザワクチンに関する 効果等の評価

[7]インフルエンザワクチンと卵アレルギーの方 |疾病管理予防センター (cdc.gov)

[8]Administration of influenza vaccines to egg allergic recipients: A practice parameter update 2017

[9]インフルエンザ予防接種を受ける前に必ずお読みください(インフルエンザ予備知識)

[10]新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種することはできますか。

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