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インフルエンザ予防接種は受けるべき
すでに流行期に突入していたとしても遅くはないため、インフルエンザの予防接種を受けましょう。「予防接種を受けたところで本当に効果があるのだろうか」と不安に感じる方もいるはずです。
ワクチンを接種することにより、以下の効果が期待できます。
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インフルエンザの発症を抑えらえる
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インフルエンザの重症化を防げる
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周囲への感染を防げる
誤解されがちですが、インフルエンザを完全に予防することはできません。インフルエンザワクチンを接種して、流行シーズンを乗り切りましょう。[1]
関連記事:「2023-2024年インフルエンザワクチンの接種時期や供給状況について解説」
インフルエンザの発症を抑えられる
国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止する効果があったという事実があります。
また6歳未満の小児を対象とした2015‐2016シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。
これはつまり「ワクチンを接種せず発病した方のうち60%は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた」ということです。
このようにインフルエンザワクチンは完全に発症を抑えることはできないとはいえ、一定の効果があることが実証されています。[1]
インフルエンザの重症化を防げる
インフルエンザワクチンを接種することで、ワクチン接種を受けた高齢者は死亡の危険が1/5に、入院の危険が1/2から1/3まで減少することが期待できると厚生労働省から報告されています。
とくに5歳未満の子どもや65歳以上の高齢者、妊娠中の女性は合併症を引き起こすリスクが高いといわれています。
また以下の基礎疾患を持つ人は、重症化しやすいといわれているため注意が必要です。
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呼吸器系(喘息・慢性肺疾患)
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循環器系(心不全)
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血液疾患
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肝臓・腎臓病
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代謝障害
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糖尿病
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神経学的疾患、神経発達障害
合併症を引き起こす可能性がある方や重症化リスクがある方は、積極的にインフルエンザ予防接種を受けることを検討しましょう。[2]
周囲への感染を防げる
インフルエンザは人のくしゃみや咳ででるしぶきを吸い込んだり、感染者のつばや鼻水などが付着した手で目や口に触れることで感染するといわれています。
ワクチン接種をすることでくしゃみや咳、鼻水などインフルエンザの症状があらわれるのを抑制する効果があります。そのため周囲の人にうつすリスクを下げることが期待できるでしょう。
とくに家族のなかに子どもや高齢者、基礎疾患を持つ方など、重症化するリスクが高い人がいる場合は、周囲への感染を防ぐためにも予防接種を積極的に受けるようにしましょう。 [4]
インフルエンザ予防接種を受けるべき時期
インフルエンザ予防接種は流行シーズンに突入する前、もしくは流行直後におこなうとよいでしょう。そのためにはまず、2点について理解しておく必要があります。
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インフルエンザの流行時期
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インフルエンザワクチンの予防効果期間
流行してしばらく経ってからワクチン接種をおこなっても効果は期待できますが、接種前に発症してしまったらあまり意味はありません。
インフルエンザ予防接種は、医療機関では毎年10月から予防接種ができるようになります。最初は接種希望者が殺到する可能性があるため、予約制にしている医療機関が多いです。
ワクチン接種を検討しているのであれば、かかりつけの医療機関が予約制なのかどうかを確認しておきましょう。
インフルエンザの流行時期
インフルエンザの流行時期は毎年12~3月です。[5]11月下旬から流行時期に突入することもありますが、2024年は11月に突入してすぐに流行時期に突入したと厚生労働省から発表がありました。
毎年の傾向としては以下のような流れになります。
時期 | |
10月~12月 |
徐々にインフルエンザ感染者が増加する。 |
1~2月 |
インフルエンザ流行のピークとなる。 とくにインフルエンザA型の感染者が多い。インフルエンザB型の感染者はほんのわずか。 |
3~5月 |
少しずつインフルエンザA型感染者が減っていき、インフルエンザB型が増えてくる。 その後、徐々に感染者数が減り、シーズンの終息を迎える |
インフルエンザワクチンの予防効果期間
インフルエンザワクチンが効果を発揮する期間は約5か月間だといわれています。[6]大人の場合は1回接種で効果を発揮しますが、13歳未満の子どもは2回接種したあとから本来の効果があらわれます。
しかし5か月間ずっと一定の効果が持続されるというわけではありません。
ワクチンを接種してから最初の1~2週間は、体のなかで免疫を作る期間となります。その後効果を発揮し、徐々に弱まっていくのです。
予防接種を受けるのは11月中旬では遅い?
予防接種を受けるおすすめの時期は11月~12月です。インフルエンザのワクチンの効果が5か月で、シーズン終わりが4~5月だと考えると11~12月の間に打っておくのがよいでしょう。
医療機関ではインフルエンザワクチン接種の解禁は10月からになりますが、10月に接種すると流行シーズン中に効果がなくなってしまう可能性があります。
「流行のピーク時に効果を発揮できていれば問題ない」と考えていれば10月にはいってすぐに接種しても構いません。
接種のタイミングは流行ピークに免疫ができていれば問題ないため、12月上旬の間には接種できているとよいでしょう。11月中旬の接種は遅くないため、安心してください。
インフルエンザ予防接種を受ける人が知っておくべきこと
インフルエンザの予防接種を受ける上での注意点としては3点あります。
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費用が割高であること
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副反応の可能性があること
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予防接種をしても感染しないわけではないこと
予防接種を受けるかどうか悩まれている方が最も気になるのは「予防接種を受けることでのデメリット」ではないでしょうか。
インフルエンザ予防接種は費用が自己負担であり、副反応の可能性がゼロとは言い切れません。接種前にメリットだけでなく、デメリットを知っておくことは大切なことです。
「予防接種を受けたから予防対策の必要はない」と考える人もいるかもしれませんが、その考えは間違っていることを理解しておきましょう。
ワクチン接種費用が割高であること
インフルエンザワクチンの接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。
費用の相場としては、3,500円程度のところが多い傾向です。ただしお住まいの市区町村や職場によっては、独自の助成事業をおこなっている場合があります。
対象の方はお住まいの地域の保健所や職場、医療機関などに問い合わせるようにしましょう。
副反応の可能性があること
薬に副作用があるように、ワクチンでも免疫がつく以外の反応がみられます。ワクチン接種後の「副反応」と呼ばれ、接種した部位の腫れや痛み、全身の倦怠感や発熱などが見られます。
多くは24時間以内に症状があらわれ、2~3日で軽快することがほとんどです。
ごくまれにアナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、掻痒感、呼吸困難等)やショックが見られることもあります。
ワクチンを受けてすぐに起こることが多いことから、接種後30分間は注意して経過観察するようにしましょう。接種後に異常が認められた場合は、速やかに接種した医療機関に連絡してください。
ワクチン接種前には必ず医師による予診があります。副作用など気になる点は接種前に医師に確認しましょう。
予防接種をしても感染しないわけではないこと
インフルエンザワクチンの効果に関する研究(1998‐1999シーズンの解析)結果より、高齢者はワクチンの接種により、以下のことが明らかとなっています。[7]
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発病リスクを34~55%減ずる
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死亡リスクを82%減ずる
予防接種を受けたからといってインフルエンザを発病しないというわけではありません。
しかしインフルエンザを発病したときに軽症で済むことが期待できるため、予防接種を受けるメリットはあるでしょう。
高齢者や乳幼児、基礎疾患を持っている方に対する死亡を阻止する効果が高いとされています。重症化リスクがある方は積極的に接種することをおすすめします。
インフルエンザ予防接種の副反応についての疑問
インフルエンザ予防接種を受けるべきか悩んでいる方のなかには、副反応について不安を持っている方が多い傾向にあります。
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ワクチン接種後は何日くらい痛みが続く?
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ワクチン接種後に解熱剤や市販薬を服用しても平気?
上記2点は、インフルエンザ予防接種を受けたことがない人がよく抱く疑問です。副反応は「赤く腫れるくらい」と耳にしても、実際にそうなのか分からないですよね。
微熱などが出てしまった際の対処法も知っておけば、接種前に対策が取れるでしょう。
ワクチン接種後は何日くらい痛みが続く?
ワクチン接種後は3~7日間ほど痛みが続くといわれていますが、人によって期間は異なります。
医療機関で接種をする際に「今年は少し痛いよ」「今年はそこまで痛くないし、腫れないから大丈夫よ」などと声をかけられることがあるかもしれません。
ところがワクチン株と痛みの関係はないのです。インフルエンザワクチンは皮下注射で、ワクチン液がしばらく皮下に留まります。
体のなかに異物が入り込んだら炎症反応を起こすのが自然な免疫反応であるため、ワクチン液が体に吸収されれば痛みはなくなるでしょう。
長くても7日間はかかる痛みですが、もし1か月痛みが続くようであれば一度かかりつけの医師に相談してみてください。
ワクチン接種後に解熱剤や市販薬を服用しても平気?
ワクチン接種後に解熱鎮痛薬を服用しても問題ありません。市販薬でも問題ありませんが、購入の際は薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
ワクチン接種後は免疫を作るために体に炎症が起こります。そのときに接種部の痛みや炎症が起こることがありますが、全身症状として微熱や発熱症状があらわれることも少なくありません。
ワクチンを接種してから副反応としてあらわれる痛みやかゆみ、微熱などに対してすぐに薬を服用しても問題ないです。
「毎年絶対熱が出るんだよな」と不安に思っている方はその旨も医師に相談しておきましょう。
インフルエンザ予防接種を受けるべき人の注意点
インフルエンザの予防接種を受けるにあたって以下に該当する場合は、インフルエンザの予防接種に注意が必要です。
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卵アレルギーがある人
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重篤な病気を抱えている人
卵アレルギーだけでなくアレルギー体質の方は基本的に気をつけた方がよいでしょう。問診表を記入する際にアレルギー体質である旨を書いておくと、接種時にスムーズに伝えることができます。
自身の情報を正確に伝えたうえで、インフルエンザの予防接種を受けられるか医師に相談しましょう。
重篤な病気を抱えている人はどんな病気であるのか、どんな薬を服用中であるのかを医師に伝えるようにしてください。
卵アレルギーがある人は接種不可
卵アレルギーによってアナフィラキシーを起こしたことがある方は、予防接種を受けることができません。インフルエンザワクチンには、極微量ですが卵の成分が混入しているためです。
ただし軽度の卵アレルギーであれば接種できるようになっています。[8]
国内で現在製造されているインフルエンザワクチンは精度が高いです。混入している卵の成分の量は極めて微量で、WHO(世界保健機関)基準よりはるかに少ないとアメリカの学術誌では報告されています。
また接種後の鶏卵アレルギーによる重篤な副反応の報告はなく、鶏卵アレルギー患者であっても接種は可能と報告されました。[9]
アレルギーの程度によって対応が異なるため、予防接種前の問診の際には必ず卵アレルギーであることを申告し、接種できるかどうか医師と相談するようにしましょう。
重篤な病気を抱えている人は副反応が起こりやすい
接種時に発熱もふくめた急性疾患にかかっていたり、重篤な病気を抱えている人は、予防接種を受けることで具合が悪くなることがあります。
37.5℃以上の発熱のある人や、急性の病気で薬を服用している人などは、その後の病気の変化が分からなくなる可能性もあるため、その日は接種を見合わせるのが原則です。
また以下に当てはまる人は予防接種を受けるに際し、担当医師とよく相談する必要があります。[10]
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心臓病、じん臓病、肝臓病や血液、その他慢性の病気で治療を受けている人
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前にインフルエンザの予防接種を受けたとき、2日以内に発熱、発疹(ほっしん)、じんましんなどアレルギーを思わす異常がみられた人
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今までにけいれんを起こしたことがある人
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中耳炎や肺炎などによくかかり、免疫状態を検査して異常を指摘されたことのある人
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ぜん息と診断されたことがある人
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インフルエンザ予防接種の成分又は鶏卵、鶏肉、その他の鶏由来のものに対して、アレルギーがあるといわれたことがある人
問診の際には必ず申告するようにして下さい。
まとめ|インフルエンザ予防接種を受けるべきか流行前にしっかり考えよう
「どんなことにも必ずメリットとデメリットがある」といわれているように、インフルエンザの予防接種も「メリットばかり」というわけではありません。
しかし予防接種を受けることで感染を完全に防ぐことはできないにしても、重症化を防いだり、周囲への感染拡大を防いだりする効果があることは事実です。
ワクチンを接種の費用はおよそ3,500円前後であるため、安く済ませることができる、とは言えません。
副反応についても赤みや腫れ、かゆみなどの症状だけでなく、人によっては微熱などがあらわれます。3~7日程度で治まりますが、つらい場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして対処が可能です。
インフルエンザ予防接種を今まで受けたことがなく、受けるべきかお悩みの方は、流行シーズンとワクチンの効果持続期間、副反応についてきちんと理解したうえで受けるかどうかを判断しましょう。
ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
アプリから往診の待ち時間を見れるだけではなく、チャットや電話での無料の医療相談が可能です。
もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
参考文献
[6]新型インフルエンザワクチン接種事業(平成22年度)に関するQ&A
[8]Flu Vaccines and People with Egg Allergies|CDC
[9]Administration of influenza vaccines to egg allergic recipients: A practice parameter update 2017
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。