2024年時点でのコロナ陽性になった際の考え方について
2023年5月以降、新型コロナウイルスは法律による入院措置や外出自粛が求められなくなりました。
これは新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同様の5類感染症に移行されたためです。
外出も個人の判断に委ねられるようになっていますが、発症後5日間は他人に感染させてしまうリスクがあるため自宅療養が推奨されています。[1]
また治療薬についても何種類か販売されており、患者の年齢や基礎疾患の有無で医師の判断により処方されています。
新型コロナが陽性になった際、大きく分けて3つのことを考える必要があります。
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抗原検査で陽性だった場合
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推奨されている自宅での療養期間について
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コロナ陽性になったときの治療薬について
それぞれについて詳しく解説します。
抗原検査で陽性だった場合
抗原検査で陽性だった場合は速やかに医療機関を受診しましょう。2024年4月以降は発熱外来制度が廃止となり、幅広い医療機関での対応が可能になりました。
つまり新型コロナウイルスが風邪と同じ扱いになったということです。そのため医療機関への事前連絡や予約がなくても受診が可能になります。
ただし受診する医療機関によっては受付時間が限られている場合や、受付時間を指定されている場合があるため、あらかじめ電話で抗原検査で陽性だった旨を伝え医療機関の指示に従って受診することをおすすめします。
推奨されている自宅での療養期間について
新型コロナウイルスに感染した場合の自宅療養期間の目安は5日間です。
発症2日前から周囲の方に感染させる可能性があり、発症後3日間が周囲の方に感染させるリスクが高い時期です。
発症後5日間はウイルスの排出量が減りますが、発症後10日間はウイルスを排出している可能性があります。
発症後5日間は不織布マスクを着用し、5日目以降も症状がある場合は症状が軽快してから24時間経過するまでは外出を控えるのがよいでしょう。
新型コロナウイルスは5類感染症になっているため外出自粛義務があるわけではありませんが、重症化しやすい高齢者の方や基礎疾患をお持ちの方への接触を避け、不織布マスクを着用するなど周囲の方へうつさない配慮が求められます。
ご家族の感染が分かった場合、発症後7日間はご自身への感染の可能性があります。
とくに5日間はご自身の体調に留意し、部屋の換気・手洗いやうがいなどの感染対策を怠らないようにしてください。
ご家族の外出制限はありませんが、ご自身が感染している可能性もあるため、外出時はできるだけ不織布マスクを着用しましょう。[2]
コロナ陽性になったときの治療薬について
新型コロナウイルスに感染した場合、主に抗ウイルス薬に分類されるラゲブリオなどの治療薬が処方されます。
ただし新型ウイルスに感染した全ての方に処方薬が処方されるわけではありません。
高齢者や基礎疾患がある方など重症化リスクがあり、医師が薬の処方が必要だと判断した場合に限り処方されます。
抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑えることで症状の緩和や重症化を抑えることが目的です。
飲み薬によっては投与対象者が限定されるものもあるので、該当するかどうか以下の表を参照してください。[3]
特徴 |
服用方法 | |
ラゲブリオカプセル |
重症化リスクが高い人が処方対象。 妊婦には処方できない。 他の内服薬とも併用できる |
18歳以上で1日2回5日間内服する。 |
パキロピットパック |
重症化リスクが高い人が処方対象。 最も重症化予防効果が高い。 妊婦にも処方可能。 他の薬との飲み合わせが悪い。 |
12歳以上で1日2回5日間内服する。 |
ゾコーバ |
重症化リスクがなくても使用できる唯一の飲み薬。 症状出現期間が短くなる。 妊婦・授乳中の方には処方できない。 他の薬との飲み合わせが悪い。 |
12歳以上で1日1回5日間内服する。 |
同居家族が新型コロナウイルス感染症と診断された場合は?
同居家族が新型コロナウイルス感染症と診断された場合、約1週間は感染のリスクがあるため十分体調に注意しましょう。
同居家族の外出自粛や検査等は必須ではありませんが、家族全員が感染しないように感染対策をすることが大切です。
次に家庭内での感染対策について解説していますので、そちらを参照してください。
家庭内での感染対策8選
狭い空間での共同生活では同居家族への感染リスクが高まります。以下に家庭内での感染対策をまとめました。[2]
部屋を分ける |
他の同居家族との接触を極力避けるため、換気のできる個室で過ごすのが良いでしょう。 個室に隔離することが難しい場合はどちらも不織布マスクを着用し、感染者と少なくとも2mの距離を保つと良いとされています。 |
感染している人のお世話は特定の人でおこなう |
同居家族への感染を最小限にするため、特定の人がお世話をすると良いでしょう。 重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある方はなるべく避けてください。 |
感染者と接触する際はマスクをする |
ウイルスの拡散と吸入を防ぐため、感染者だけでなく同居家族もマスクをしましょう。使用したマスクは表面にふれずに破棄し、破棄した後も手洗いを忘れないようにしてください。 |
手洗いうがいを徹底する |
新型コロナウイルスは接触感染する感染症です。お世話の後やゴミ処理の後は必ず手洗い・うがいをしてください。 |
換気をおこなう |
定期的な換気をすることで感染リスクを下げることができます。窓が2つある場合は2つ開けると効果的です。寒い時期は空気清浄機を活用すると良いでしょう。 |
共有部分で手がふれる部分は消毒する |
トイレや洗面所など共有スペースの使用を最小限にし、タオルは専用のものを用意してください。共有スペースのこまめな掃除と消毒を行ない、掃除後の手洗いも忘れずに行ないましょう。 |
汚れたリネンや衣服の洗濯 |
食器や洗濯物は同居家族と一緒に洗っても構いません。ただし、下痢などで汚れたリネンは手袋・マスクを使用して洗濯し完全に乾かします。 |
密閉してゴミを捨てる |
ゴミ処理の場合は手袋・マスクを着用し、密閉して捨ててください。ゴミ処理後の手洗いも忘れずに行ないましょう。 |
受診できる医療機関を知りたい
医療機関を受診するべきか迷う場合や近隣で受診できる医療機関を知りたい場合は、#7119が便利です。
#7119は全国24の地域で利用でき、急なケガや病気で救急車を呼ぶか迷う場合や医療機関に受診すべきかどうかの相談ができます。
#7119に対応している地域や対応時間についてはお住まいの地域によって異なります。詳細は以下のリンクを参照してください。
関連記事:「#7119って何?救急車を呼ぶべきか教えてくれる安心電話相談窓口」
5類感染症になってからの医療体制について
2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症になったことで、一般の医療機関でも受診が可能になりました。
受診する医療機関によっては発熱外来専用の診察時間を設けている場合もあるため、あらかじめ確認してから受診するとよいでしょう。
5類感染症に変更される以前にコロナ感染が疑われる場合は、保健所への連絡を介した専門の医療機関の受診に限定され、その受診自体も難しい状況が続きましたが、2023年5月以降は保健所への連絡等も必要ありません。
公費支援について
2021年10月から始まった治療薬の全額負担は徐々に縮小され、2024年4月以降は公費負担が全面撤廃されました。
2024年4月以降は医療保険の自己負担割合に応じた金額の支払いが必要になります。
先述した抗ウイルス薬は医療保険の自己負担割合によって約5,200〜29,700円になり、それに加えて検査料や受診料が発生します。
1か月の医療費が高額になった場合は高額療養費制度が適用され、所得に応じた限度額以上の自己負担は発生しませんが手続きが必要です。
加入されている健康保険組合等にお問い合わせください。[4]
コロナ陽性の疑いがある際に必要な手続きや用意すべき書類はあるのか
新型コロナウイルスは5類感染症になったため、コロナ陽性の疑いがある際に必要な手続きや用意すべき書類は特別ありません。
2019年からのコロナ渦突入時は、陽性の疑いがあるもしくは陽性と判断された際には保健所への連絡が必須でした。
しかし5類感染症に移行後は、保健所への連絡や提出しなければいけない書類等もありません。
季節性のインフルエンザと同等の扱いとなったため、やらなければならない手続きもなくなっています。
コロナ療養証明書の発行について
5類感染症に移行した後にコロナ陽性だと診断された方は療養証明書は発行されません。
コロナ療養証明書については、医療機関で陽性と診断された日によって発行できるかできないかが変わってきます。
令和4年9月26日から令和5年5月7日に診断された方は該当する一部の方しか発行されません。
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令和4年9月26日以前・・・医療機関で陽性と診断された全ての方が発行できます。
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令和4年9月26日~令和5年5月7日・・・医療機関で陽性と診断された一部の方。
一部の方とは、65歳以上の方・入院が必要な方・妊娠されている方・重症化リスクがあり治療薬または酸素投与が必要な方です。
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令和5年5月8日以降・・・いずれの方も発行できません。[5]
Q&A
新型コロナウイルスに関する疑問3つについて解説します。
病院受診の際に公共交通機関を利用しても良いのでしょうか?
病院受診の際に公共交通機関を利用するかどうかは使用しても問題ありません。
新型コロナウイルスが5類感染症に移行され、感染対策が個人に委ねられるようになったためです。
公共交通機関の各所でさまざまな感染対策を行なっていますが、利用する個人も周囲の方にうつさない配慮が大切です。
病院受診の際に公共交通機関を利用する場合はできるだけ混雑する時間を避け、マスクの着用をしたうえで利用するのが良いでしょう。
会社の従業員が陽性になった場合に出勤させても良いのか?
会社の従業員が陽性になった場合、出勤させるかどうかは会社の規定で判断するようにしましょう。
ただし新型ウイルスに感染した場合一定期間の外出を控えることが推奨されています。従業員の健康を第一に考え自宅で療養してもらうのが良いでしょう。[6]
無症状であっても感染後一定期間は周囲の方への配慮し不織布マスクの着用が大切です。
陽性の場合に入院ってできるの?
新型コロナウイルスに感染しても入院できません。症状が軽症の場合は自宅療養となる場合がほとんどです。
しかし重症化リスクの高い方や酸素療法が必要な場合は医師の判断によって入院になる場合があります。
まとめ:感染力は変わらないため対策は引き続き必要
5類感染症に移行後の新型コロナウイルス感染時は待機期間の目安が5日間で、外出は個人の判断に委ねられています。
また感染時に必要な書類は特別なく、医療費も負担割合に応じた負担額が発生するようになりました。
一般の医療機関の受診も可能になっていますが、新型ウイルスの感染力が弱まったわけではありません。
新規感染者数は減少傾向にあるものの新型コロナウイルスは変異株の出現もあり、いつ再び感染拡大するか分かりません。
新型コロナウイルスの感染経路を理解しつつ、自分自身が感染せず周囲の方に配慮した感染対策が必要です。引き続き感染対策を怠らないようにしましょう。
関連記事:【2024年】新型コロナについて症状・変異株ごとの最新情報を知ろう
関連記事:「【2024年11月】コロナの最新症状や潜伏期間について確認しよう」
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医師に直接診察してもらえるため、小さなことでも気になったとことがあれば診察のときに相談しましょう。
参考文献
[1] 広報誌「厚生労働」2023年5月号 新型コロナウイルス最前線
[2]新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について|厚生労働省
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。