コロナと胃腸炎の類似性
胃腸炎との見分け方
胃腸炎は腹痛や下痢などの消化器症状が出ることに加えて発熱することが多く、コロナと症状が似ている点があります。
そのため自己判断だとコロナと勘違いしてしまうケースがあるのです。
特に、激しい嘔吐を一日に何度も繰り返す場合は胃腸炎の可能性があります。
胃腸炎とコロナの症状の違いをまとめましたので参考にしてみてください。
下記の表はあくまで症状の目安であり、何が原因で腹痛や発熱などの症状が出ているかを特定するには医師の診察や検査が必要です。
胃腸炎 |
新型コロナウイルス |
一番つらい症状が腹痛や下痢、嘔吐の場合が多い |
一番つらい症状が発熱や咳などの場合が多い |
症状は急に激しく出現することが多い |
徐々に症状が出現することが多い |
重症化しなければ、2~3日で回復する |
1週間程度で回復する |
コロナによる腹痛の特徴は?判別方法について
コロナの症状で腹痛があらわれる場合、腹痛以外に他の消化器症状も一緒にあらわれるのが特徴です。
腹痛の原因がコロナかどうか判断は難しいですが、特徴や判断基準を知っていれば、コロナを疑うことができます。
コロナに伴う腹痛の一般的な特徴
新型コロナ感染ウイルスによる腹痛は、感染の初期段階で発生する可能性があります。
この腹痛は、しばしば他の消化器系の症状とともにあらわれます。
例えば、下痢やおう吐、食欲不振などの症状です。
<下痢>
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感染初期は炎症が強いため、強い腹痛を伴う場合が多い
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水様便(水のような便)が出る
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炎症が治まってくると泥状便になりお腹の痛みも少なくなる
<おう気・おう吐>
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突然症状があらわれる
-
下痢症状よりも前にあらわれる
これらの症状は前述した通り、感染性胃腸炎でもよくみられます。
消化器症状が、コロナが原因なのか、その他の病気なのか症状で判別することはできません。
しかし、コロナで起こる消化器症状の特徴を押さえておけば、コロナを疑うことができます。新型コロナ感染ウイルスによる腹痛の特徴としては、以下のような点があげられます。
新型コロナウイルスが原因で起こる腹痛には特徴があることを理解しておきましょう。
発症タイミング
- 発症は突然
- 腹痛は急に始まることが多く、徐々に悪化する場合がある
痛み方
- 痛み方は、持続的だったり断続的に痛くなったりする
腹痛がコロナによるものかどう判断するの?
腹痛の症状だけで、新型コロナウイルスが原因かどうか、判断することはできません。
しかし、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合、腹痛を含む症状を正確に評価することが重要です。
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腹痛以外に、発熱や咳、呼吸困難など、他の新型コロナウイルス感染症の症状があるか
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新型コロナウイルスの感染者と接触があったか
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感染リスクの高い地域への訪問歴があるか
これらに当てはまる場合、新型コロナウイルスの感染が原因である可能性が高まります。
腹痛が数日以上続く場合や極端に痛みが強い場合は、医療機関での評価が必要ですので受診を検討しましょう。
コロナと腹痛の関係性
コロナに感染すると、呼吸器症状があらわれますが、それ以外にも腹痛や下痢、おう吐などの呼吸器症状もあらわれます。
ここでは、コロナであらわれる消化器症状について解説します。
コロナと一般的な症状
「新型コロナウイルス」とは、コロナウイルスの一種です。
コロナウイルスは、一般的な風邪の原因となるウイルスで、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」や「中東呼吸器症候群(MERS)」なども含まれるウイルスです。
2019年12月末に中国武漢で発生した新型肺炎で、日本では「新型コロナウイルス感染症」と呼ばれています。
正式には「SARS-CoV-2」という病原体が「COVID-19」という病気を引き起こします。
コロナに感染したときの症状は、咳やのどの痛みなど主に呼吸器系に影響を与え、重症化すると入院治療が必要です。
<最も一般的な症状>
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発熱
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咳
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疲労
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味覚の喪失
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嗅覚の喪失
その他にも、痰や息切れ、頭痛、腹痛など、感染者にはさまざまな症状があらわれます。
コロナ感染時の消化器系の症状について
新型コロナウイルス感染症は、主に呼吸器系に影響を及ぼしますが、消化器系にも影響を与えることが報告されています。
感染者の中には、腹痛や下痢、おう吐などの消化器系の症状を経験する人もおり、消化器症状は15〜50%と高い頻度で認められたと報告があります。
主な消化器症状
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下痢
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腹痛
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おう気
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おう吐
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食思不振
新型コロナウイルス感染症患者の40%に下痢症状が認められたという報告もあります。[1]
関連記事:新型コロナと下痢の関係性は?治療法や対処法について解説
腹痛以外のコロナ感染の兆候
新型コロナウイルス感染症は、腹痛以外の症状もあらわれます。
ここでは、感染した場合の一般的な症状と症状の重篤度について解説します。
腹痛以外のコロナの一般的な症状
新型コロナウイルス感染症は、さまざまな症状を引き起こすことが知られています。
腹痛以外にも、以下のような一般的な症状が挙げられます。
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発熱や寒気
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咳
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疲労感
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呼吸困難
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喉の痛み
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味覚や嗅覚の喪失
症状はひとつだけでなく、複数あらわれる可能性が高いです。
症状の重篤度を判断する方法
症状の状態を評価する場合、以下のポイントに注意が必要です。
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症状の持続期間と進行
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呼吸困難の有無
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高齢者や基礎疾患を持つ人の症状
新型コロナウイルス感染症に限らず、疾患の重症度は回復期間にも影響を及ぼします。
重症化すれば、回復にも時間がかかるということです。また、重症度によって症状の経過や治療方針が異なるため、適切な評価が必要です。
以下は厚生労働省が発表している、新型コロナウイルス感染症の重症度分類です。[2]
重症度 |
酸素飽和度(SpO2) |
臨床状態 |
診療のポイント |
軽症 |
SpO2≧96% |
呼吸器症状なし。 または、咳のみで呼吸困難なし。 いずれも、肺炎所見を認めない。 |
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中等症Ⅰ (呼吸不全なし) |
93%<SpO2<96% |
呼吸困難 肺炎所見 |
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中等症Ⅱ (呼吸不全あり) |
93%≦SpO2 |
酸素投与が必要 |
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重症 |
ICUに入室。または、人工呼吸器が必要。 |
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軽症や中等度ⅠのCOVID-19の場合は、約80%の患者が発症から7日程度で回復することが分かっています。
厚生労働省は、この重症度分類を、医療従事者が評価するための基準としています。
一般の方は参考程度に見ておきましょう。
重症化のリスク評価は、以下のような分類となっています。
リスクが低い |
リスクが高い | ||
重症化リスク因子 |
年齢 |
60歳未満 |
80歳以上 |
基礎疾患等 |
なし |
複数あり | |
基礎疾患等の管理 |
良好 |
不良 | |
重症化リスク因子に加えて考慮する点 |
新型コロナワクチン摂取状況 |
発症の6カ月以内に追加接種 |
未接種 |
症状 |
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高齢者や基礎疾患を持つ方は、重症化リスクが高いといえるでしょう。
自宅での対処法と予防策
新型コロナウイルスに感染し、腹痛の症状があった場合、「つらい症状をはやくどうにかしたい」と思いますよね。ここでは、新型コロナウイルス感染による腹痛症状に対する、自宅でできる対処法を紹介します。
まずは、新型コロナウイルスに感染しないよう、日常生活でできる感染予防を行うことが大切です。
その方法についても紹介します。
コロナ感染時の腹痛に対する家庭での対処法
新型コロナウイルスに感染して、腹痛の症状がある場合、以下の対処法を自宅で行ってみましょう。
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十分な休息を取る
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水分補給を心掛ける
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軽い食事を選ぶ
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症状を記録する
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医師の指示に従う
症状がある場合、よく眠れなかったり何度も目が覚めてしまったりします。免疫力を高め、体力を回復するためにも、十分な休息は必要です。症状が落ち着いて休めるときには、十分な休息を取るようにしましょう。
また、水分補給と軽い食事も大切です。腹痛とともに、下痢やおう吐の症状がある場合、脱水症状を起こす危険性があります。吸収のよい経口補水液で水分補給を行うと効果的です。
水分補給は意識的に行いましょう。
腹痛がある場合や、下痢やおう吐などの消化器症状がある場合、食事はなかなか気が進まないですよね。少し症状が落ち着いたら、消化によいものを無理のない範囲で食べるようにしましょう。おかゆや煮込んだうどんなど、お腹にやさしいものを食べてください。
また、症状や状況の記録をしておくことも大切です。
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いつどのような症状があったか
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何を食べて何を飲んだのか
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下痢やおう吐がある場合、回数や性状
症状や状況の記録をしておくことで、受診をする際に役に立ちます。
感染防止のための日常生活での予防策
まずは、新型コロナウイルスに感染しないようにすることが大切です。新型コロナウイルスの感染を予防するためには、以下のような感染予防策を行いましょう。
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手洗いを徹底する
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社会的距離を保つ
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マスクの着用
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人混みを避ける
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定期的な消毒
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自己隔離
マスクの着用や手洗い、手指衛生に加えて、三密と呼ばれる「密閉・密集・密接」は避けましょう。万が一、新型コロナウイルスに感染した場合や感染した可能性がある場合は、自己隔離を行うことで同居家族にうつす可能性を低くできます。
自分が感染者にならないために、また、他人にうつさないためにも、感染予防対策は日常的に取り組むことが大切です。
医療機関受診の基準と手順
新型コロナウイルスの感染が疑われる場合、医療機関の受診が必要です。
ここでは、医療機関の受診が必要な基準と受診のタイミング、受診手順について解説します。
腹痛を含むコロナの症状がある場合
腹痛を含む新型コロナウイルス感染症の症状があり、以下のような状況に当てはまる場合には、医療機関の受診が必要です。
重篤な症状がある場合
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持続的な胸痛
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呼吸困難
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混乱(意識障害)
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顔色の青白さ
症状が悪化する場合
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軽度の症状が持続しており改善しない
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症状や状態が悪化する
高リスク群に属する場合
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高齢者
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糖尿病
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慢性腎臓病
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心疾患(心不全や心筋症)
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肥満
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妊娠
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喫煙(過去の喫煙歴を含む)
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免疫抑制剤や抗がん剤を使用している人
高リスク群に属する人は、症状が軽度でも早めの受診を検討してください。
不安なら迷わずに相談を
症状が軽度でも、不安や疑問がある場合は、遠慮なく医療機関に相談しましょう。新型コロナウイルス感染の疑いがある場合は、早めの受診と適切な医療対応が感染の拡大を防ぎます。
また、症状が悪化するまえに治療を開始することが、個人の健康を守る上で不可欠です。
早期発見と予防対策を
新型コロナウイルス感染症では、感染の初期段階で腹痛の症状があらわれる場合があります。
腹痛は、突然発症し、持続的または断続的に起こります。その他の症状があり、腹痛があらわれた場合、新型コロナウイルス感染症に罹患している可能性を考えましょう。
症状が軽くても、高リスク群に属する人は、早めの受診をしてください。しかし、まずは、新型コロナウイルスに感染しないことが大切です。
日常生活の中でできる感染予防対策を意識的に行っていきましょう。
2024年9月現在、腹痛の症状で受診した方がコロナ陽性だったというケースが増えています。
ファストドクターのオンライン診療では、コロナの検査はもちろん胃腸炎やインフルエンザの症状も診察が可能です。
もしコロナが陽性だった場合、医師の判断で症状に合わせてコロナ治療薬や、整腸剤、解熱剤などを自宅にお届けするため、自宅から出ずに治療ができます。
参考文献
[1]健康情報誌「消化器のひろば」No.18-3|日本消化器病学会
[2]新型コロナウイルス感染症診療の手引き(第10.0版)|厚生労働省
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。