知っておこう!突発性発疹4つのポイント
生後6ヶ月以降〜2歳までにかかる病気
生後6ヶ月までの赤ちゃんは、お腹にいる時に母親からもらった免疫があるため、感染症に全くかからないわけではありませんが、かかりにくいです。
ところが生後6ヶ月以降は、母親からの免疫が徐々に低下するため、感染症にかかりやすくなります。
そのため初めて風邪をひくのは生後6カ月以降であることが一般的です。
突発性発疹は、ほとんどの子どもが生後6カ月~2歳までにかかる病気です。
高熱のあとに発疹がでる
突発性発疹で特徴的な症状は、突然38℃以上の高熱が出ることと発疹です。
最初は発熱が3〜4日続きます。その後下熱し始めた、もしくは、下熱し終わったタイミングで発疹があらわれます。
このように典型的な症状から診断をするため、一般的にはウイルスを特定するような検査は行いません。そのため、発熱が気になって早期に受診した時には発疹の症状がない場合もあり、突発性発疹かどうか分からないことも多いです。
発熱した子どものうち、半数以上で下熱後に発疹が見られますが、発疹が出ない場合もあります。
治療は高熱の対症療法が中心
突発性発疹に特効薬はありません。治療は、高熱への対症療法が中心です。
高熱で熱性けいれんを起こしやすくなります。また、高熱によって発汗が増えるため、乳幼児は特に脱水症状をおこすこともあります。
そしてごくまれに脳炎や脳症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病など重篤な合併症を引き起こすこともあります。
2回発症することもある
突発性発疹の原因となるウイルスは2種類あります。そのため、2回発症する可能性があります。
一度感染すればそのウイルスに対しての免疫ができるので、同じウイルスに2回かかることはありません。
このことから、成人のほぼ100%が突発性発疹の原因ウイルスに対して免疫を持っており、大人が突発性発疹を発症することはまれです。
突発性発疹はどんな病気?
原因や感染経路
- 原因:ヒトヘルペスウイルス6B・ヒトヘルペスウイルス7
- 感染経路:おそらく唾液などを介した接触感染や飛沫感染
- 潜伏期間:一般的に5〜15日程度
- 流行期:なし・通年かかる
症状
- 38℃以上の高熱
- 熱が下がった後に発疹ができる
突発性発疹が関連する病気
突発性発疹に似ている発疹を伴う病気
- 麻しん(はしか)
- 風疹
- 手足口病
- ヘルパンギーナ
- 川崎病
合併症
- 熱性けいれん
まれな合併症
- 脳炎
- 脳症
- 劇症肝炎
- 血小板減少性紫斑病
突発性発疹の対処方法
発熱の時と同じように対処する
突発性発疹は特別な対処はなく、発熱の時と同じように対処しましょう。
医師からの処方がある場合は、用法・用量を守って使用しましょう。
発疹が現れるまでは、医師も突発性発疹かどうかわかりません。
そのため、他の病気である可能性もあります。以下のような様子が見られた場合、再度医療機関を受診した方が良いでしょう。
- 熱が5日以上続いている
- 水疱が現れた
- 不機嫌が続いている
熱性けいれんに注意
突発性発疹は子どもの初めての発熱となることも多いです。
一気に高熱が出ることで熱性けいれんを起こす可能性があります。
突発性発疹に伴う熱性けいれんの多くは、後遺症を残すことなく自然に治まります。落ち着いて対処しましょう。
5分がカギ!けいれん時間は必ず計る
けいれんが起きたらまず正しい手順を踏んだ上で、時間を計ってください。
けいれんが続いた時間によって、緊急度や病院での対処が変わります。
目安として5分以上けいれんが続くようなら、速やかに薬での治療が必要です。
時間を計ることが救急車を呼ぶべきか、病院で詳しい検査が必要かなどの判断材料になります。
初めてけいれんしたら必ず医師の診察を
初めて熱性けいれんが起きたら、症状が続いた時間に関わらず必ず医師の診察を受けましょう。
状態が落ち着いていれば救急車を呼ぶ必要はありません。
自家用車やタクシーを利用して病院へ行きましょう。夜間であれば救急外来を受診してください。
タクシー会社の電話番号や受診先などはもしもに備え事前に書き出しておくと慌てずにすみます。
こんな時は熱性けいれん以外の可能性も
以下の場合は熱性けいれん以外の病気である可能性があります。詳しい検査が必要なので、必ず医療機関を受診しましょう。
- 3歳以降に初めてけいれんを起こした
- 7歳を過ぎても熱性けいれんを起こす
乳幼児がけいれんしたら
1.患者の顔と体を左側を下にして横向きにする
・呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉につまったり、肺や気管に入ることを防ぎます
・呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
2.けいれん開始時刻を正確に記録する
・スマホで時刻をスクショして記録するとよいです
・余裕があればタイマー起動して間隔を把握しましょう
3.余裕があれば動画を撮影する
・医師に動画を見せることで、診察がスムーズに進むでしょう
※近年固定電話のない家庭が多い中、スマートフォンでの動画撮影を優先してしまうことで対処が遅れてしまう場合もあります。まず患者の安全確保をおこないましょう。
知っておきたい豆知識
高熱と脳への影響
一般的に40℃以上の熱があっても、熱自体が原因で脳や臓器へ障害をきたすことはありません。熱の原因がはっきりしている場合は慌てず、落ち着いて対処しましょう。
しかし、感染症などが原因となって高熱が出ている場合、髄膜炎、急性脳炎、脳症といった脳に後遺症を残す病気を引き起こしている可能性があります。
高熱という症状だけでは脳に後遺症が残る病気かどうか判断することはできません。
高熱があっても元気があって水分が摂れていれば問題はありませんが、以下の症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
- ぐったりしている
- 呼びかけに反応しない
- 顔色が悪い
- 嘔吐を繰り返す
発熱の経過に応じてケアしよう
熱の上がりはじめ
熱が急に上がっていたり、悪寒があるときは、体が体温を上げて細菌やウイルスと戦っている状態です。以下のように対応しましょう。
- 悪寒がある場合は布団や服で温める
- 手足が冷たくなるのは体温が上がる前のサイン
子どもは自覚症状をうまく伝えられないこともあるので、判断の目安になります。
- 1〜2時間おきに体温を測る
- こまめに水分補給
水・麦茶・経口補水液など。赤ちゃんはミルクや母乳でも水分補給ができます。
- 食欲があれば消化の良いものを食べる
解熱剤の正しい使い方
解熱剤は、一般的に体温が上がりきって、子どもがつらそうな場合に使用を検討します。
体温が上がりきる前の使用は、一時的に熱を下げることで、かえって体温の変化を分かりにくくしたり、症状を長びかせる可能性があります。
しかし、子どもの状態がつらい場合は、無理に我慢させる必要はありません。使用の際は、用法・用量を守りましょう。
具体的には以下の場合は使用を検討してもよいでしょう。
- 頭痛や喉の痛みなど熱以外の症状がつらい場合
- 38.5℃を超える場合
- 子どもが熱でつらそう・不機嫌な場合
熱が高くても元気だったり、食事や水分が摂れているようなら、無理に解熱剤を使用しなくてもよいです。
子どもの注意点
子どもは体温調節機能が未熟で、体温が変化しやすいです。衣服や部屋の環境などで体温が左右されることも。ケアする際は、以下の点に注意しましょう。
- 子どもに電気毛布は使用しない
体温が上がりすぎてしまい、気づかないうちに危険な状態になることがあります。
- 子どもは布団のかけすぎにも注意
子どもは体温調整機能が未熟なので、布団で体温が上昇しこもることで一時的に高体温になってしまうことがあります。
- 保温中は定期的に体温を測る
布団などで保温したら、少なくとも1時間おきに体温を測るなどして様子を見るようにしましょう。
その際、非接触式体温計を使用すると子どもを起こさずに熱が測れて便利です。非接触式体温計は、脇に挟むタイプの接触型体温計と比べると周囲の環境や測定条件の影響を受けやすく、数値にばらつきが出る場合があります。測定値に誤差が出ることがあるため、あくまで目安として使用してください。
- 冷却シートの使用
からだに貼る冷却シートは熱を下げる効果はありません。本人が気持ち良ければ使用してもよいでしょう。乳幼児は寝返りの際などに誤飲する可能性があるため使用は避けましょう。
子どもの熱が1日で上下するのはなぜ?
子どもは体温調節機能が未熟なため、健康な時でも1日の中で体温が変化します。
通常、1日のうち明け方が1番低く夕方から夜にかけて高くなります。
そのため朝に熱が下がっていても、夕方にまた熱が上がるという事も少なくありません。
風邪のなおりかけですので焦らず、無理をさせないように過ごしましょう。
熱が上がりきったら
熱が上がりきると悪寒も落ち着いてきます。
熱がこもらないよう、衣服や布団を調整しましょう。
症状がつらければ解熱剤を使用してもよいでしょう。
- 解熱剤を使ってもOK
子どもは元気そうであれば、解熱剤を使用しなくても大丈夫です。熱でつらそうだったり、不機嫌な場合は使用してもよいでしょう。
- わきの下や足の付け根を冷やす
不快でなければ脇の下や足の付け根などを冷やしましょう。子どもにも有効ですが寝返りなどの妨げになったり、すぐに外れてしまう場合は無理に冷やさなくてもよいでしょう。
- 衣服や布団を調整する
手足が暖かくなってくる頃です。悪寒がおさまっていれば掛け布団や寝具を調整して、熱がこもらないように心地の良い環境を整えましょう。
- 水分を意識して多くとる
体温が1番高い状態です。多めに水分補給を行いましょう。
- 食欲があれば消化の良いものを食べる
熱が下がり始めたら
熱が下がり始めたら平熱までもう少し。汗をかき始めることもあります。熱が下がりきるまで無理をせず、体力回復を意識して安静に過ごしましょう。
- 汗をかいたら着替えを
汗をかいたら、着替えて快適に過ごせるようにしましょう。
- 引き続き、こまめに水分補給を
- 食欲があれば消化に良いものを食べる
いつから登園できる?
突発性発疹は、法律で登園や登校の目安が義務付けられていません。
そのため登園のために必要となるものはありません。
登園の目安としては、下熱後に発疹が確認され、元気があれば登園してもよいでしょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119(救急車)へ連絡しましょう。
- 意識がはっきりしない
- ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 激しい痛みをともなう
- 明らかに様子がおかしく自力での受診が難しい
- 泣き止まない(赤ちゃん・子ども)
- 5分以上続くけいれん
- けいれんが止まっても意識が戻らない
- 辻褄の合わない会話
- 興奮状態
至急受診を
以下の場合は昼夜を問わず救急外来へ行きましょう。
- はじめて痙攣した(痙攣はおさまっている)
- 歯がガチガチ鳴るほどの激しい震えや寒気
- 8時間以上尿が出ていない
- 尿が極端に少ない
- 尿の色が濃い
受診が必要
以下の症状があるときは医療機関が開いている時間帯に早めに受診をしましょう。
- 熱が7日以上続いいている
- 水疱が現れた
- 不機嫌が続いている
判断に迷う場合はオンラインで医師の診察を受けることが可能です。
こどもの受診に迷ったら
小さいお子さんは、自分の症状をうまく伝えられないことが多いです。特に5歳以下の子どもは、何がつらいのか言葉で説明するのが難しく、大人の様子や質問の仕方によって答えが変わることもあります。
何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
不機嫌なときは、痛みや不快感を感じているサインかもしれません。喉や頭の痛み、鼻が詰まるなどの症状を上手く表現できないのです。
朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら、夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
症状全てに当てはまらなくても、「何かいつもと違うな?」と感じる場合は医師へ相談してみるのも良いでしょう。
医師に伝えること
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に(常に・朝が特に高い・夜特に高い)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他の病気があるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲の感染状況
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
感染前に備えられること
インフルエンザ検査キットを用意
薬局や通販で購入することができます。受診前のセルフチェックとして説明書の案内に沿って使用しましょう。
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。