知っておこう!溶連菌感染症4つのポイント
発熱やイチゴ舌などが特徴の感染症
溶連菌感染症は、発熱や喉の痛み、発疹、イチゴ舌などの症状がおきる感染症です。
舌が赤く腫れ発疹ができる状態をイチゴ舌と呼びます。
新型コロナウイルスやインフルエンザに症状が似ていますが、発疹やイチゴ舌は溶連菌感染症の特徴的な症状といえるでしょう。
治療は抗生物質を最後まで飲み切る
溶連菌感染症は細菌感染が原因なので抗生物質による治療が必要です。
抗生物質を服用せずにいると重症化や合併症のリスクが高まるため、流行期(秋~春)に症状がみられたら早い段階で受診するとよいでしょう。
抗生物質を飲むと、24時間で感染力がなくなり、1〜2日程度で症状が軽減します。
途中で症状がよくなってきても、処方された抗生物質は必ず飲み切りましょう。
飲み忘れてしまった場合には医師や薬剤師の指示に従いましょう。
知っておきたい豆知識
抗生物質を途中でやめるとどうなる?
処方された抗生物質を途中で飲むのをやめてしまうと、細菌を完全にやっつけることができず体内に残り、以下のような事態に繋がるリスクがあります。
・残った細菌が再び増えて症状をぶり返す
・抗生物質が効きにくくなる細菌(耐性菌)が生き残り、今後の治療で抗生物質を服用しても効きにくくなってしまう
・リウマチ熱、糸球体腎炎、結節性紅斑のような合併症を引き起こす
合併症に注意
溶連菌感染症は適切に治療すればほとんどの場合完治しますが、注意が必要な合併症があることも知っておきましょう。
合併症の例としてリウマチ熱、糸球体腎炎、結節性紅斑、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)などの病気があります。
中には感染から数週間経って発症する合併症もあります。
治療を受けた後も1~2週間は体調を気にかけ、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
高熱が出ることで熱性けいれんを起こす可能性もあります。
適切な対処を確認しておきましょう。
大人も感染する
溶連菌感染症はこどもがかかる病気だと思われがちですが、大人も感染します。
大人の場合も子どもと同様の症状が現れますが、症状が軽い場合が多く溶連菌感染症だと気づかない事も多いです。
合併症を起こすリスクがあるため、気になる症状がある場合には早めに受診し、適切な治療を受けることが必要です。
オンライン診療でも溶連菌感染症に対応。抗生物質も処方できる
オンライン診療でも溶連菌感染症の診察ができ、抗生物質の処方が可能です。
※処方は医師の判断によります。
※感染可能性が高いと医師が判断した場合に対応が可能です。
溶連菌感染症はどんな病気?
原因や感染経路
- 原因:A群β溶血性レンサ球菌という細菌による感染症
- 感染経路:咳やくしゃみによる飛沫感染・物を介しての接触感染
- 潜伏期間:2〜5日
- 流行期:3〜15歳の子どもがかかりやすく、主に秋~春(11月〜4月)にかけて流行
溶連菌感染症の症状
- 38℃以上の発熱
- 喉の痛み
- イチゴ舌(舌が赤く腫れてブツブツができる)
- 体や手足の発疹
- 腹痛
咳、くしゃみ、鼻水などの症状はほとんどみられません。
症状には個人差があり、全てに当てはまらなくても感染している場合があります。気になる症状があれば早めに受診しましょう。
溶連菌感染症が関連する病気
溶連菌感染症の合併症
- リウマチ熱
- 糸球体腎炎
- 結節性紅斑
- 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
似た症状の病気
- 手足口病
- ヘルパンギーナ
- アデノウイルス
症状が関連する病気
- 熱性けいれん
- 髄膜炎
溶連菌感染症の対処方法
抗生物質で治療を
溶連菌感染症は細菌感染が原因なので、抗生物質での治療が必要です。
処方された抗生物質は必ず飲み切りましょう。
抗生物質による治療の効果は?
抗生物質を飲むと24時間で感染力がなくなり、他者にうつすリスクを減らすことができます。
飲み始めてから1〜2日程度で症状が軽くなると言われています。
抗生物質を飲み忘れたらどうすればいい?
飲み忘れてしまったら、すぐに医師や薬剤師に相談し指示に従いましょう。
治療中・治療後におかしいなと思ったら再受診を
処方された薬を飲んでいても症状が良くならなかったり、悪化する場合には再受診しましょう。受診目安を確認しておくと安心です。
乳幼児がけいれんしたら
1.患者の顔と体を左側を下にして横向きにする
・呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉に詰まったり、肺や気管に入ることを防ぎます
・呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
2.けいれん開始時刻を正確に記録する
・スマホで時刻をスクショして記録するとよいです
・余裕があればタイマー起動して間隔を把握しましょう
3.余裕があれば動画を撮影する
・医師に動画を見せることで、診察がスムーズに進むでしょう
※近年固定電話の無い家庭が多い中、スマートフォンでの動画撮影を優先してしまうことで対処が遅れてしまう場合もあります。まず患者の安全確保をおこないましょう。
周囲で流行していたら
溶連菌感染症は感染力が高いため、予防をおこなうことが大切です。
マスクの着用やこまめな手洗い・うがい、アルコール消毒が効果的です。
家族が感染した場合には家庭内での感染予防対策もおこないましょう。
タオルを共有しない、使用する食器を分ける、できれば寝室を分けるなど、感染者との接点を減らすとよいでしょう。
登園・登校はいつからできる?
溶連菌感染症は学校保健安全法で「第三種学校伝染病」に指定されています。
登校・登園の目安は下記です。
- 診断を受けた当日と翌日は出席停止
- 抗生物質を飲んでから24時間経てば感染力がなくなるため、それ以降は体調が良ければ登校が可能
登園許可証や登校許可証が必要かどうかは、保育所や幼稚園、学校や地域によって対応が異なります。確認してみましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 意識がはっきりしない
- 呼吸が苦しそう
- 激しい痛みをともなう
- 明らかに様子がおかしく自力での受診が難しい
至急受診を
以下の場合は救急外来を受診しましょう。
- 水分がとれない(ミルクや母乳が飲めない)
- 尿の量や回数が極端に少ない
- 尿に血が混じっている、濁っている、コーラ色である
受診が必要
医療機関が開いている時間帯に早めに受診をしましょう。
- 38.5℃以上の熱が出た
- 溶連菌感染症に似た症状がある
- 抗生物質を飲み始めてから2日以上経過しても症状が改善しない
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に(常に・朝が特に高い・夜特に高い)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。