知っておこう!発熱2つのポイント
発熱=風邪とは限らない
発熱の原因はさまざまです。風邪の場合は、適切な対処を行うことで発熱や風邪の症状は改善されるでしょう。
しかし風邪から他の病気を併発する場合や、風邪以外の疾患が原因で発熱することもあります。
1週間続く発熱は受診を
一般的な風邪が原因の場合、1週間ほどで熱は下がります。1週間で症状がよくならない場合には他の原因が考えられるため、受診しましょう。
微熱の場合でも軽く考えず医師に相談しましょう。
発熱が長引く原因は?
1週間で症状がよくならない場合に考えられる原因は大きく2つあります。
風邪から他の病気を併発
風邪のウイルスがさまざまな器官に感染する事で、副鼻腔炎(蓄膿症)や気管支炎、喘息、中耳炎、肺炎などの病気を併発することがあります。
特に子どもは体の器官が未発達で、さらに細菌やウイルスへの抵抗力が低いことから、大人に比べてこれらにかかりやすいと言えます。
1週間持続する発熱が受診の目安ですが、ほかの症状がひどい場合は待たずに早めに医師へ相談しましょう。
風邪以外の病気が原因
風邪以外の病気が原因で発熱が続くこともあります。
病気の例として、ホルモンや自律神経の乱れ、自己免疫性疾患や悪性腫瘍(がん)などです。
発熱が関連する病気
ウイルスや細菌による感染症の例
- インフルエンザ
- 百日咳
- 麻しん(はしか)
- 風しん
- 水痘(みずぼうそう)
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 新型コロナウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- マイコプラズマ肺炎
- RSウイルス感染症
- 副鼻腔炎(蓄膿症)
- 中耳炎
- 気管支炎
- 肺炎
感染症以外の例
- 川崎病
- 若年性特発性関節炎
- 白血病
発熱の対処方法は?
知っておきたい豆知識
発熱の定義は?
発熱は、ウイルスや細菌などから体を守るために、免疫が働いて体が反応している状態です。
一般的に37.5℃以上を発熱、38℃以上を高熱と定義されています。発熱で乳幼児がけいれんしたら
1.患者の顔と体を左側を下にして横向きにする
・呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉につまったり、肺や気管に入ることを防ぎます
・呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
2.けいれん開始時刻を正確に記録する
・スマホで時刻をスクショして記録するとよいです
・余裕があればタイマー起動して間隔を把握しましょう
3.余裕があれば動画を撮影する
・医師に動画を見せることで、診察がスムーズに進むでしょう
※近年固定電話のない家庭が多い中、スマートフォンでの動画撮影を優先してしまうことで対処が遅れてしまう場合もあります。まず患者の安全確保をおこないましょう。
発熱の経過に応じてケアしよう
熱の上がりはじめ
熱とともに寒気があるときは、体が体温を上げて細菌やウイルスと戦っている状態です。冷やさずに温めましょう。
熱が上がり始めたときの対処
- 寒気がある場合は布団や服で温める
- 手足が冷たくなるのは体温が上がる前のサイン
子どもは自覚症状をうまく伝えられないこともあるので、判断の目安になります。
- 1〜2時間おきに体温を測る
- こまめに水分補給
水・麦茶・経口補水液などが望ましいですが、本人が飲みやすいものを選びましょう。赤ちゃんはミルクや母乳でも水分補給ができます。
- 食欲があれば消化のよいものを食べる
子どもの注意点
子どもは体温調節機能が未熟で、体温が変化しやすいです。
衣服や部屋の環境などで体温が左右されることも。
ケアする際は、以下の点に注意しましょう。
- 子どもに電気毛布は使用しない
体温が上がりすぎてしまい、気づかないうちに危険な状態になることがあります。
- 子どもは布団のかけすぎにも注意
子どもは体温調整機能が未熟なので、布団で体温が上昇しこもることで一時的に高体温になってしまうことがあります。布団などで保温したら、少なくとも1時間おきに体温を測るなどして様子を見るようにしましょう。その際、非接触式体温計を使用すると子どもを起こさずに熱が測れて便利です。
- 冷却シートの使用
からだに貼る冷却シートは熱を下げる効果はありません。本人が気持ちよければ使用してもよいでしょう。乳幼児は寝返りの際などに誤飲する可能性があるため使用は避けましょう。
知っておきたい豆知識
子どもの熱が1日で上下するのはなぜ?
子どもは体温調節機能が未熟なため、健康な時でも1日の中で体温が変化します。
通常、1日のうち明け方が1番低く夕方から夜にかけて高くなります。そのため朝に熱が下がっていても、夕方にまた熱が上がるという事も少なくありません。
熱が上がりきったら
熱が上がりきると寒気も落ち着いてきます。熱がこもらないよう、衣服や布団を調整しましょう。
症状が辛ければ解熱剤を服用してもよいでしょう。
熱が上がりきったときの対処
- 解熱剤を飲んでもOK
上記に述べた通り、子どもは元気そうであれば解熱剤を使用しなくても大丈夫です。熱で辛そうだったり、不機嫌な場合は使用してもよいでしょう。
- わきの下や足の付け根を冷やす
不快でなければ脇の下や足の付け根などを冷やしましょう。子どもにも有効ですが寝返りなどの妨げになったり、すぐに外れてしまう場合は無理に冷やさなくてもよいでしょう。
- 衣服や布団を調整する
手足が暖かくなってくる頃です。寒気が治まっていれば掛け布団や寝具を調整して、熱がこもらないように心地のよい環境を整えましょう。
- 水分を意識的に少量頻回に多くとる
体温が1番高い状態です。多めに水分補給を行いましょう。
- 食欲があれば消化のよいものを食べる
熱が下がり始めたら
熱が下がり始めたら平熱までもう少し。
汗をかき始めることもあります。
熱が下がりきるまで無理をせず、体力回復を意識して安静に過ごしましょう。
熱が下がり始めたときの対処
- 汗をかいたら着替える
- 引き続き、こまめに水分補給を
- 食欲があれば消化によいものを食べる
解熱鎮痛剤の正しい使い方
体温が上がりきった後で使用を検討しましょう。
体温が上がり切る前や寒気があるときに解熱鎮痛剤を服用すると、体の免疫が細菌やウイルスと戦うことを邪魔してしまい、症状が遷延する可能性があります。
体を冷やす行為も同じなので避けましょう。
症状がつらい場合は無理に耐える必要はありません。以下の場合は使用をおすすめします。
- 頭痛や喉の痛みなど熱以外の症状が辛い場合
- 38.5℃を超える場合
- 子どもが熱でつらそう
- 不機嫌な場合
解熱鎮痛剤は熱や痛みを和らげることで食事や睡眠をとれるようにし、体力を回復をする目的で使用します。
熱が高くても元気だったり、食事や水分が摂れているようなら、無理に解熱鎮痛剤を使用しなくてもよいです。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
子ども
119番(救急車)
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 5分以上持続するけいれん
- 初めてけいれんした(けいれんが治まっても救急車を呼びましょう)
- 激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
- 泣き止まない
- 辻褄の合わない会話
- 興奮状態
至急受診を
以下の場合はすぐに対面で診察を受けましょう。
- 生後3か月未満の発熱
受診が必要
すぐに医療機関(オンライン診療も含む)を受診しましょう。
- 歯がガチガチ鳴るほどの激しい震えや寒気
- 尿量が少ない、尿が出ない
- その他の気になる症状
大人
119番(救急車)
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- 呼吸が苦しい
- 持続するけいれん
- 激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
至急受診を
すぐに医療機関(オンライン診療も含む)を受診しましょう。
- 歯がガチガチ鳴るほどの激しい震えや寒気
- 尿量が少ない、尿が出ない
- その他の気になる症状
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に(常に・朝が特に高い・夜特に高い)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。