高熱が一日で下がる理由とは?原因と受診の目安について解説

公開日: 2024/03/12 更新日: 2024/11/13
高熱が出て一晩で熱が下がって安心していませんか? 一晩で熱が下がったとしても病気の前兆だったり、既に感染症にかかっている可能性もあるのです。 高い熱が何日も続くイメージがあるコロナやインフルエンザですが、中には一晩で熱が下がったというケースがあると報告されています。 コロナやインフルエンザは感染力が高く他人にうつしてしまう可能性があるため、原因を特定して早めに対処することが重要です。
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そもそも発熱・解熱のメカニズムって?

風邪で発熱するメカニズムは、体温を上げ免疫力を高めることでウイルスを撃退するための作用です。ウイルスが体内に侵入すると、脳で体温調節を担う視床下部へ外敵の侵入を伝えます。

外敵侵入を伝えられた視床下部は、体全体に体温を上げるよう指令を出すのです。

指令に基づいて以下の反応が起こります。[1]

  • 毛穴を閉じて皮膚から熱が放出されるのを防ぐ

  • 悪寒(ブルブル震える動作)によって熱を生産させる

  • 体の中を循環している血液量を減少させる

  • 寒気を感じ暖をとる

以上のような反応によって体温が上がり、体の免疫力を高めるのです。

強いウイルスに感染するほど高い体温まで上がるように指示がでます。ウイルスへの攻撃力を高めていると考えて良いでしょう。

また風邪ではなく心因性(ストレスや緊張など)で発熱することもあり、風邪の発熱メカニズムとは異なります。

心因性で発熱する場合、交感神経が過剰に活動し、脂肪を分解して熱を発生させる褐色脂肪細胞による働きによって発熱すると報告されています。[2]

発熱のメカニズムは一つではないと理解しておきましょう。

一方で、発熱の原因が抑えられると解熱し、正常な状態に戻ろうとします。発熱時は体温が高いため、血管を拡張させ体の外へ熱を逃がそうとします。次いで発汗が起こり解熱へと向かいます。[3]

<症状別>急に熱が出て一日で下がる原因

高熱が1日で下がった場合、どのような原因があるのか気になる人も多いのではないでしょうか。

急に高熱が出て一晩で下がった場合、以下5つの原因が考えられます。

  • 風邪

  • 新型コロナウイルス

  • インフルエンザ

  • 心因性

  • その他の病気

順に解説します。

①風邪の場合

風邪を引き起こすウイルスが強いものでなければ、免疫力が勝ち、一日で熱が下がることもあります。

風邪のひき始めに、しっかり休息し水分や栄養をとっていると一早い回復に繋がり、すぐに解熱したと考えて良いでしょう。また、普段から免疫力を高める生活習慣をおくり、自己治癒力が高い可能性もあります。

ただし、発熱が一晩で下がったからといって、風邪が完治したとはいえません。無理をすると熱がぶり返したり発熱以外の症状が現れたりする可能性もあるため、数日は安静に過ごすと良いでしょう。

もう少し様子を見れば大丈夫と思っている方は注意!

熱が一日で下がって安心してしまっていませんか?

コロナは夜に熱が出始めて翌日の朝は一度熱が下がることがあります。

もし会社を休むかどうか・外出するかどうかを悩んでいるのなら、一度オンライン診療で検査をしてみませんか?

ファストドクターでは検査キットを当日宅配できる地域もありますので、一度エリアを確認してみてください。

②新型コロナウイルスの場合

新型コロナウイルスに感染すると37.5℃以上の発熱が4日以上続くことがよくあるとされていますが、1日〜2日で熱が下がるケースもまれにあります。風邪と同様に、個人の免疫力や体力が高いと熱が続くことなくウイルスを追い出すことができます。

また、新型コロナウイルスに感染しても無症状である人が約20%もいるとのことから、必ずしも熱が出るわけではありません。[4]

ただし、2〜3日の間は熱が上がったり下がったりするケースもあります。解熱しても数日は安静に過ごしてください。

新型コロナウイルスは人によって現れる症状が異なるため、例え一日で高熱が下がったとしても、PCR検査をして診断を受けておくと良いでしょう。[5]

③インフルエンザの場合

インフルエンザの場合、通常は3日程度発熱が続くケースが多いです。

一方で、事前にインフルエンザの予防接種を受けている人は、発熱期間が短縮され1日で解熱した可能性も考えられます。

また、「二峰性発熱(にほうせいはつねつ)」によって、一度熱が下がっているケースがあります。二峰性発熱とは、一旦解熱したにも関わらず、再び1〜2日発熱する熱型です。主に小児に見られることが多いですが、まれに大人でも現れるケースがあります。[6]

インフルエンザが疑われる場合は、発症後3〜7日間ウイルスを排出するといわれています。
一日で解熱したとしても、ウイルスを排出する期間は外出を控え、安静に過ごしましょう。

関連記事:インフルエンザは1日で熱が下がる?症状や治るまでの期間を解説


④心因性発熱の場合

ストレスが原因で心因性発熱を起こしていた場合、そのストレスが解消されたことで一晩で熱が下がるケースもあります。

心因性発熱はストレスによって交感神経が活発になり、褐色脂肪細胞の熱産生によって発熱します。

体がストレスに対して闘えるように、過剰に反応して熱が出てしまうのです。心因性発熱の場合は解熱剤を服用しても効果が見られません。

解熱するには個々のストレスを解決することが重要です。たとえ一日で熱が下がったとしても、ストレスの原因を取り除かないと何度も繰り返し発熱する場合があります。

心因性発熱が疑われる場合は、自分で判断するのではなく心療内科を受診して適切な治療を受けましょう。[9]

⑤その他の病気の場合

上記で紹介した原因以外にも高熱が一日で下がる病気がいくつかあります。

膀胱など細菌感染を起こして発症する「腎盂腎炎」は、一日に一回〜数回発熱して解熱する熱型が特徴的です。
一日で下がったと思っても、また一日経つと発熱する可能性があります。この熱型は診断時に必要な情報なので、医師に伝えるようにしましょう。[7]

また、免疫の異常により関節が破壊され主に手足の関節が変形してしまう「関節リウマチ」の可能性もあります。
関節リウマチの発症初期には日中は平熱であるものの、夕方以降になると熱が上がる所見がみられます。[8]

既に関節リウマチと診断されている人も、疲れが溜まると夜間に発熱するケースもあるのです。

悪性腫瘍(がんや白血病など)によって体の免疫力が低下した時や炎症を引き起こした際に発熱することもあります。

発熱の周期性は悪性腫瘍のタイプや進行度によって異なり、中には特定の時間だけ熱が出るケースや周期的に発熱するケースもみられます。[11]

受診を迷っている方へ

一日で熱が下がったら、受診せずそのまま日常生活を送っても良いか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

一晩で熱が下がったとしても再び熱がぶり返すケースやインフルエンザや新型コロナウイルスにかかっているケースもあります。

既に熱が下がっている場合も、一日は安静にして様子をみましょう。

病院に行く目安

受診をするかどうか判断に迷っている人は、以下の受診する目安を確認しましょう。

一日で熱が下がった場合に病院に行く目安は以下の通りです。[12]

  • 身近にインフルエンザや新型コロナウイルスに感染した人がいる

  • 再度発熱した

  • 鼻水・咳・のどの痛みが続いている

  • 倦怠感がある

  • 水分や食事を受け付けない

  • 発熱以外に自覚症状がある

  • 基礎疾患のある人

  • 極度の体温上昇(41度以上)

  • 発熱によって精神状態に変化があった

熱が下がっても油断することなく、体調の変化を観察しておく必要があります。上記に当てはまる項目があれば、解熱していても受診しましょう。

学校や仕事は行ってもいいの?

一日安静にして熱が下がっている場合は、解熱しているし学校や仕事に行っても問題ないと思う人も多いと思いますが、念のため休みを取った方が良いでしょう。

仕事であれば感染症法や労働安全衛生規則、学校であれば学校保健安全法で定められている病気でなければ、出勤・出席停止扱いになることはありません。

ただし、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症にかかっていたり、職場や学校で急に高熱がぶり返したりする可能性もあります。

原因が感染症でなくても、発熱しているということは身体のSOSのサインであるとも考えられるのです。

無理をして出勤・出席してしまうと熱がぶり返したり、発熱を繰り返したりする可能性があります。一日で熱が下がった場合も、ゆっくり休養をとるように心がけましょう。

自宅で様子を見る場合に気を付けること

一日で高熱が下がり、自宅で安静にして様子を見る際に気をつけるポイントは以下の通りです。

対策

ポイント

いつから熱が出たか記録しておく

受診が必要になった際に備えて、発熱の記録をしておきましょう。

  • いつから熱が出ているか

  • 熱が上がったり下がったりしているか

  • 発熱時の最高体温

  • 発熱以外の症状があるか

医師に説明時に伝えもれがないよう、メモをしておくことが大切です。

こまめに体温を計測する

自宅で様子を見る時は体温の変化がないかこまめに計測しておきましょう。

1日2回(朝・晩)は確認をしてください。

換気をする

発熱の原因がウイルスによる感染症の場合、換気をしていない部屋ではウイルスが増え続けます。

少ない頻度で長い時間換気をするよりも、短い時間でこまめに換気をすると良いでしょう。2時間毎など時間を決めておくのもおすすめです。換気と同時に湿度を保つよう心がけてください。

マスクをする

家庭内感染を防ぐため、自宅でもマスクを着用しておくと良いでしょう。

その際、布製やウレタンのマスクでは細かな飛沫を防げない場合があるため、不織布マスクを着用しましょう。

飲料水や食料を買っておく

急な症状の悪化に備えて飲料水や食料を買っておくと安心です。

  • 経口補水液

  • 消化によい食べ物(うどん・ゼリーなど)

また、体を休めることを第一にレトルト食品など簡単に調理して食べられるものを用意しておくと良いでしょう。

受診できる近所の病院を探しておく

発熱時は、発熱外来でしか受診できない病院や予約制の病院が増えています。あらかじめ受診できる病院を探しておくと安心でしょう。

また、急な悪化に備えて夜間救急対応病院も探しておきましょう。

 

上記のポイントに気をつけながら休養し、規則正しい生活をして免疫力を高めることが重要です。

もしまた熱が上がってきたらどうする?

万が一、熱が再び上がってきた場合は、近くの内科や発熱外来のある病院を受診しましょう。

子どもの場合は、かかりつけの小児科を受診してください。

その際に、これまでの発熱の経過や他症状を説明できると受診に役立ちます。

また、感染症であった場合に備えて、病院を受診する前に会社や学校を休む際に診断書等が必要か確認しておくと良いでしょう。

後に、会社や学校から診断書が必要と言われるケースも少なからずあります。
受診時に一度診断書を書いてもらっていれば、再度受診する必要はなくしっかり療養に専念できるでしょう。

まとめ

急に高熱が出て一日で下がる原因は様々ですが、大人も子どもも少なからずみられるケースです。
過度に心配する必要はありませんが、安静に過ごし経過を観察しましょう。

ただし、一日で下がる熱の原因にはインフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症や心因性発熱も挙げられます。一旦解熱している場合も、再び発熱したり悪化したりする可能性があるため、油断は禁物です。
発熱時は原因が何であろうと、体からのSOSのサインと考え、安静に過ごしましょう。

既に熱が下がっていても受診の目安を参考に、少しでも気になる症状があればためらわず早めに受診をしてください。

参考文献

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[1]体温調節中枢機構に関する最近の進歩

[2]京都大学|心理ストレスを受けたときに体温を上昇させる脳神経回路を解明

[3]ヒトの体温調節

[4]Eurosurveillance | Estimating the asymptomatic proportion of coronavirus disease 2019 (COVID-19) cases on board the Diamond Princess cruise ship, Yokohama, Japan, 2020

[5]厚生労働省|インフルエンザQ&A
[6]小児呼吸器感染症の病態と治療法の検討:ヒトボカウイルス感染症とインフルエンザ

[7]炎症性偽腫瘍と間欠熱

[8]メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド

[9]褐色脂肪組織による熱産生と体温・体脂肪調節

 

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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