腹痛を感じたときに知っておきたい4つのポイント
痛み方で受診の判断をしましょう
腹痛が起こる原因は多岐にわたります。
原因として、消化器の病気、卵巣や子宮の病気、感染症、外傷、妊娠に関連する症状、ストレスなどが挙げられます。
よくある症状なので、受診せずに我慢する人も多いでしょう。しかし、中には緊急性の高い病気が隠れていることもあります。
- 強い痛みを感じる
- 安静にしていても6時間以上痛みが続く
上記の場合は一度受診しましょう 。
妊娠しているかもしれない人は
妊娠中/妊娠している可能性のある人は、以下の場合は妊娠に関わる症状の可能性が高いです。
かかりつけの産婦人科へ電話で相談し、受診について指示をしてもらいましょう。
- 腹痛とともに性器出血がある
- 強い腹痛がある
- お腹に強い張りがある(触るとお腹がカチカチ)
- 胎動を感じない/胎動が極端に少ない
「腹痛=消化器」とは限らない
お腹が痛いから、 消化器の病気だとは限りません 。
中には心臓と関連している病気もあります。特にみぞおちのあたりが痛む場合はその可能性が高いです。
心臓の病気の場合、一刻を争う場合もあります 。不安に感じるときは医療機関を受診しましょう。
痛みを我慢しないで
痛みの感じ方は人それぞれです。
自分が痛いと感じたら我慢しないでください。
我慢強い人が限界まで痛みを我慢してしまったり、痛みを過少評価してしまうと、医療従事者が適切な判断ができなくなるケースもあります。
痛みは体からの異変のサインです 。
痛みを感じたら遠慮せずにそのまま強さを伝えましょう。
早いうちにサインに対処することで隠れている病気に気づくこともできます。
ストレスが原因になることもある
腹痛は病気だけでなく、 ストレスでも現れる症状 です。
ストレスを感じるときにあわせて腹痛が起こり、ストレスから開放されると症状が改善する場合が多いです。
原因がストレスだろうと予測がついても、そのままにしないでください 。
慢性的なストレス性の胃痛が、胃潰瘍などの病気になってしまうこともあります。
子どもの腹痛
子どもが大人のように自分の気持ちやストレスを言葉で伝えるのは難しいです。
そのため身体症状としてあらわれることがあります。
身体症状として多いのが「お腹が痛い」という腹痛の訴えです。
腹痛以外に症状がなくても、腹痛が続くようであれば一度受診してみましょう。
受診先は小児科を選びましょう。子どもの心と体に詳しい医師や看護師がいるため、子どもも安心できます。
何科を受診すればいいの?
腹痛の原因はたくさんあり、受診前に原因を特定するのは難しいです。
子どもは小児科、大人は腹痛など消化器症状が主であれば消化器内科 を受診しましょう。
診察後、医師の判断で他の病院を紹介されることもあります。
オンライン診療でも腹痛の相談ができる
「夜中に腹痛を感じて救急病院を受診するか迷う」「慢性的な腹痛が続いているけど、忙しくて受診する時間がない」そんなときはオンライン診療もご利用いただけます。
受診に迷ったとき医師へ相談することも可能です。
診察前に確認。オンライン診療の注意点
※オンライン診療で対応が難しいと医師が判断した場合、対面診療をご案内する場合もあります(その場合、診察料は請求いたしません)。
※お薬の処方は医師の判断によります。
※全国エリアで対応していますが、医療機関がない離島在住の方はご利用になれません。
食中毒・慢性的な腹痛・生理痛…腹痛の受診で迷ったら?
緊急性が高い症状は119へ
以下のような症状がある場合は、すぐに119へ連絡してください
- 意識がない、はっきりしない
- 呼吸ができない
- 身動きが取れないほどの痛み
- 持続する激しい腹痛
- だんだん強くなる腹痛
- 腹痛に伴いお腹が硬くなった
- 腹痛に伴ってお腹が膨らんできた
食中毒が疑われるときは?
食中毒が疑われる場合、腹痛の他に発熱や吐き気、嘔吐、下痢などの症状を伴う場合が多いです。
基本的には吐き気止めや下痢止めは使用せず、安静に過ごしましょう。
特効薬はないので、軽症であれば自宅で様子を見ましょう。
症状が悪化すると、脱水症状を起こすこともあります。
水分が全く摂れない、尿量が少ない、ぐったりして動けないなどの症状があれば受診しましょう。
慢性的な腹痛が数日以上続くときは?
健康な方であれば、痛みはないのが普通です。
痛みがあるということは体に異変が起こっているサインでもあります。また、心からのサインでもある場合があります。
強い痛みでなくても病気が隠れていることもあるので、腹痛が1週間以上続く場合は受診をおすすめします。
生理でお腹が痛いときは?
生理痛がつらいときは 痛み止め(鎮痛剤)を使用して様子を見ましょう。
しかし、 生理の度に痛み止めを使用している、生理の時に強い痛みを感じる場合は一度婦人科を受診しましょう。
また、生理の前に不調を感じる場合(月経前症候群:PMS)も婦人科で相談することができます。
痛みは目で見ることができません。 自分にとってつらい痛みは相談する必要があります 。女性だから仕方ないと考えず婦人科を受診しましょう。
腹痛が関連する病気
分類 |
病気の例 |
---|---|
消化器に関連する病気 |
逆流性食道炎/十二指腸潰瘍/胃潰瘍/胃炎/腸閉塞・イレウス/消化管穿孔/胆石/胆嚢炎/胆管炎/膵炎/虫垂炎/クローン病/潰瘍性大腸炎/大腸憩室炎/アルコール性肝炎/がん |
婦人科に関係する病気 |
子宮外妊娠/卵巣嚢腫/卵巣茎捻転/子宮筋腫 |
心臓に関連する病気 |
心筋梗塞/狭心症/心筋炎/大動脈解離 |
その他 |
尿路結石/ストレス |
腹痛の対処方法は?
安静にする
-
安静にして過ごしましょう。
-
消化器への負担を避けるため、 食事は無理に摂らないで ください。
-
コーヒーや炭酸などは避ける ことが望ましいです。
-
横になるときは、 お腹を丸める体勢をとると楽になる 可能性があります。
痛み方を観察する
お腹の痛み方や他にどんな症状があるか観察しましょう。
受診の目安を確認したり、医師へ症状を伝えるときに役立ちます。
観察ポイント |
確認内容(例) |
---|---|
痛む場所 |
上腹部/下腹部/左右の腹部/背中・全体など |
どんな痛みか |
キリキリ/シクシク/差し込むような痛み/鈍い痛み |
いつ |
どんどん強くなる/波がある |
どんな時に痛むか |
食事のとき/トイレのとき |
便の色や性状 |
赤い/真っ黒/硬い/柔らかい |
他の症状はあるか |
吐き気/嘔吐/発熱/倦怠感/食欲不振など |
時間とともにどんどん強くなる 、安静にしていても 6時間以上続く腹痛は何らかの病気が隠れている可能性が高い です。
速やかに医療機関を受診しましょう。
「温める」「痛み止め」は避けたほうがいい
温める
腹痛には、温めると改善するものと、そうでないものがあります。
炎症が原因で腹痛が起きている場合、温めることで炎症が悪化し、痛みが増す可能性があります。 何が原因で起きているか見当がつかない腹痛の場合は、安易に温めることは避けましょう 。
また、知らずに温めてしまい、痛みが増した場合は炎症が原因である可能性があります。速やかに医療機関を受診しましょう。
痛み止め(鎮痛薬)の服用
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の既往がある人は、胃粘膜を刺激し痛みが増す可能性があるため、ロキソプロフェンを含む 解熱鎮痛薬の使用は避けましょう 。
痛み方や、痛む場所から原因を突き止めることは難しいため、 痛み止めを使用するほど痛いなら受診をしましょう。
我慢しない
安静にしていても痛みが続く場合は受診を検討しましょう。
特に、 どんどん強くなる痛みは症状が進行している場合も あります。
速やかに受診しましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119(救急車)
痛みの目安:痛みで身動きがとれない
また、痛みの目安にかかわらず以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 意識がない、はっきりしない
- 呼吸ができない
- 身動きが取れないほどの痛み
- 強い腹痛とともに血の混ざったものを吐いた
- 腹痛に伴いお腹が硬くなった
- 腹痛に伴ってお腹が膨らんできた
至急受診を
痛みの目安:なんとか動くことはできるが強い痛み
また、痛みの目安にかかわらず以下の症状に当てはまる場合は救急外来を受診しましょう。
- 強くなったり弱くなったりを繰り返しながら痛みが続いている
- 痛みがだんだん強くなっている(自力で動くことはできる)
- 食事や水分が全く取れない
- 尿量が極端に少ない
早めに受診
痛みの目安:痛みはあるが日常生活は送れる
また、痛みの目安にかかわらず以下の症状に当てはまる医療機関が開いている時間帯に早めに受診をしましょう。
- 6時間以上持続する痛み
- 38℃以上の発熱を伴う
- 体重の減少が著しい
- 同じような痛みを繰り返している
- 何かのきっかけ(行事/仕事/ストレス)で腹痛が起きる
判断に迷う場合はオンライン診療で相談することも可能です。
妊娠している/妊娠の可能性がある方
119番
以下の症状がある場合は速やかに119番へ連絡し、救急車を呼んでください。
- 痛みが我慢できないほど強い(身動きが取れない)
- 強い腹痛があり、性器出血が止まらない
- 腹痛・張り・出血のいずれかの症状があり、胎動を感じない/胎動が極端に少ない
至急受診を
以下の症状がある場合、受診が必要な危険な症状である可能性があります。すぐに対面の医療機関を受診しましょう。
- 腹痛とともに性器出血がある
- 強い腹痛がある
- お腹に強い張りがある(触るとお腹がカチカチ)
- 胎動を感じない/胎動が極端に少ない
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
・痛む場所
・どんな痛みか
・いつ
・どんなときに痛むか
・他の症状はあるか
・水分や食事は摂れているか
・持病はあるか
・持病などで飲んでいる薬があるか
・症状に対して薬を服用したか
→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
・周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。