「胃腸炎になったら何日休むべきなのか」
「早く治すための薬はあるのか」
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胃腸炎になったら何日休むべき?
胃腸炎になったら少なくとも3日程度は仕事を休むべきです。ただし、法律では出勤停止日数は定められていないので明確な決まりではありません。
会社ごとに定められる就業規則によって、出勤停止日数が定められている場合もあるため、念のため勤務先に確認をしておきましょう。
下痢や嘔吐等の症状が持続している間は、胃腸が菌やウイルスに侵されている状態です。
発症から3日間経過していても腸炎の症状が続いているのであれば、出来る限り仕事を休んでください。
原因菌やウイルスによってどのくらいの期間休むべきかは異なってきます。
中でも、ノロウイルスによる胃腸炎の場合は発症から1週間程度ウイルスが体内に保有されるため、感染拡大しないよう注意が必要です。
飲食業など食品を扱う職種の人は、就業規則によって出勤停止となる会社もあります。
調理従事者等については、厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」よると、ノロウイルスによる胃腸炎と診断された場合は、ノロウイルスを保有していないことが確認されるまで、食品に直接触れる調理作業を控えることが望ましいとされています。
症状が治っても1〜2週間は、ノロウイルスが便に排出されるため、検便で陰性が確認されるまで、調理作業などの仕事は控えた方が良いでしょう。[1]
二次感染を防ぐためにも、胃腸炎の症状がある場合には調理施設等の責任者に報告しておきましょう。[2]
胃腸炎の回復期間について
胃腸炎は通常2〜3日程度で自然に回復してくるケースが多いです。ただし、1週間ほど回復に期間を要する人も少なくなく、個人差があると理解しておきましょう。[3]
多くの場合は自然治癒し症状が長引くケースは少ないですが、自己判断で市販の下痢止めを服用したり、無理に食事を摂ったりすると症状が長引く可能性があります。
胃腸炎の症状がある場合は自己判断で対処をせず、医療機関を受診し適切な治療を受けると早めの回復に繋がるでしょう。[4]
仕事を休むべきかの判断基準
胃腸炎は原因となる病原体によっても症状が異なりますが、以下のような症状があらわれている間は仕事は休むべきです。[5]
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嘔吐
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下痢
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吐き気
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腹痛
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発熱
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悪心
重症の場合、脱水症状を引き起こすケースもあります。
胃腸炎に感染すると、突発的に激しい嘔吐や下痢症状が現れることが特徴的です。
胃腸炎は感染した人の嘔吐物や便を介して感染します。
直接、感染者の嘔吐物や便を手で触ることは考えにくいですが、実は嘔吐物の飛沫や便に触れた手を介して感染してしまうのです。
「発熱がなく、激しい嘔吐がないため出勤しても良いかな」と考える人も多いようですが、下痢の回数が多ければ感染拡大させてしまう可能性があります。
胃腸炎による症状が完全に落ち着くまでは、仕事も休んだ方が良いでしょう。[6]
原因菌やウイルスによって異なるので注意
胃腸炎を引き起こす原因菌やウイルスは多岐にわたり、それぞれ感染源や潜伏期間が異なります。[4][7][8][9][10][11][12][13][14]
原因菌やウイルスについて表にまとめました。
病原体 |
主な感染源 |
潜伏期間 |
症状の特徴 |
ノロウイルス |
生牡蠣・二枚貝・便・嘔吐物 |
3〜48時間 |
嘔吐・下痢・吐き気・腹痛・発熱 |
ロタウイルス |
便・嘔吐物 |
2〜3日 |
嘔吐・下痢・吐き気・腹痛・発熱 |
アデノウイルス |
便・嘔吐物 |
5〜10日 |
下痢・嘔吐 |
カンピロバクター |
鶏肉・肉 |
2〜10日 |
腹痛・下痢・発熱・頭痛・倦怠感・筋肉痛 |
サルモネラ菌 |
鶏肉・鶏卵 |
8〜48時間 |
腹痛・嘔吐・下痢・発熱 |
出血性大腸炎 |
牛肉・野菜 |
4〜8日 |
腹痛・下痢・血便 |
黄色ブドウ球菌 |
おにぎり・弁当・感染者の手 |
30分〜6時間 |
吐き気・嘔吐・下痢 |
腸炎ビブリオ |
魚介類 |
6〜24時間 |
激しい腹痛・発熱・下痢・吐き気・嘔吐 |
ウイルス性の胃腸炎の場合強い吐き気が現れ、嘔吐を数日間繰り返す症状がみられます。細菌性胃腸炎の場合も腹痛や下痢症状が現れ、発熱を伴う方もいます。
いずれも、症状の現れ方に個人差があるため、一概に「何日休めば仕事に行っても良い」とは言い切れません。
症状が回復し全身の状態が良くなるまでは、仕事を休んで安静に過ごしましょう。
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仕事を休む際は職場への手続き等などは必要?
胃腸炎で仕事を休む際、職場への手続きは特に必要ありません。一般的な原因菌やウイルスによる胃腸炎は、感染症法に置いて就業の制限はありません。
ただし、胃腸炎の症状が現れた際は早めに職場に連絡をして、感染を広げないように休んだ方が良いでしょう。
職場ごとに判断が異なることもあります。特に、食品を直接取り扱う仕事の人は、症状が治るまで従事させないようにすべきとされています。
症状や原因に応じて、個別に職場に相談しましょう。
ただし、感染症法により第3類に分類される以下の感染性胃腸炎は医師により感染の恐れがないと認められるまで出社制限されます。[15]
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コレラ
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細菌性赤痢
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腸管出血性大腸菌感染症
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腸チフス
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バラチフス
早期回復のために
胃腸炎のつらい下痢や嘔吐から早く解放され、職場への影響を最小限に抑えるためにも早期回復し仕事復帰したい人も多いのではないでしょうか。
早期回復するためには3つのポイントが重要となります。
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効果的な食事と水分補給
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適切な休息とストレス管理
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早い段階で医療機関を受診
療養中に避けるべき食べ物、摂るべき栄養素などを知ることによりお腹の調子も早く整ってくるはずです。
また、当たり前のことではありますが十分な睡眠や医療機関への早めの受診を心がけると良いでしょう。
それでは、早期回復のために必要な対処法について順を追って詳しく説明します。
関連記事:「胃腸炎、うつらない人の特徴とは?予防と対処法について解説」
効果的な食事と水分補給
胃腸炎の症状が落ち着くまでは消化の良いものを摂取しましょう。
胃腸全体が弱っている状態のため以下の食品は極力摂取を避けてください。[16]
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揚げ物・油物
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生魚(刺身など)
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アルコール類
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乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)
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柑橘類(みかん・オレンジなど)
吐き気や下痢が治ったからといって通常通りの食事に一気に戻すと、急激に悪化する可能性があります。
体調に合わせて、おかゆや白身魚を炊いたものなど炭水化物や消化の良いタンパク質を摂取しましょう。
また、嘔吐や下痢で失った水分を補給し、脱水にならないように心がけましょう。実は水分だけでなく、身体から多くの電解質も失われていきます。
水やお茶でも良いですが、経口補水液や電解質飲料を少しずつ摂取すると良いでしょう。ただし、いずれも冷たい飲み物は避けてください。
適切な休息とストレス管理
胃腸炎を発症した際は、体をしっかり休めましょう。仕事を休むと気が休まらない人も多いでしょう。ですが、十分な睡眠をとり休息することが早期回復に繋がります。
また、ストレスによって胃腸の粘膜に炎症が起こる場合もあります。嘔吐や下痢の症状と向き合うつらい期間が数日続きますが、ストレスをためないよう安静に過ごしましょう。[17]
早い段階で医療機関を受診
胃腸炎は軽症であれば数日で自然治癒しますが、症状がひどくなる前に「おかしい」と感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
病院では胃腸炎に対して整腸剤を処方されることが多いです。しかし、早い段階で受診すれば整腸剤のみで下痢や嘔吐の症状を軽減させることも可能です。
水分が全く摂取できない場合は脱水症を引き起こすケースもあります。自宅で無理をせず早めに医療機関を受診することが重要です。
また、症状が悪化する場合や症状が長引く場合も受診しましょう。
症状回復後に気を付けるべきこと
胃腸炎の症状が回復すると体が楽になり日常生活を送れるようになりますが、実は回復後も気を付けるべきことがあります。
職場で感染を拡大させないために気を付けるべきこと
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トイレの後や食事の際にはせっけんを使って手を洗う
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感染者が触ったものをこまめに消毒する
胃腸炎を引き起こす原因菌やウイルスは、種類によって1〜2週間は体から排出されている可能性があるのです。
そのため、排出されている期間は他人にうつしてしまうリスクがあると理解しておきましょう。
仕事復帰した後も、職場で感染を広げないように心がける必要があります。
トイレのあとや食事の際にはせっけんを使って手を洗う
トイレの後や食事の際は、せっけんを使って手洗いをしましょう。
胃腸炎は感染している人の便や嘔吐物を触った手や手で触れたものを介して感染します。
下痢症状が治っていても、せっけんでの手洗いをこまめに行ってください。
また、手洗い後は共用タオルの使用は避け、ご自身のハンカチやペーパータオルを使うことで接触感染リスクを抑えられます。[18]
感染者が触ったものをこまめに消毒する
胃腸炎は接触感染するため、感染者が触れたものをこまめに消毒しましょう。
職場ではパソコンやスマホなどの機器を共有して使用するケースも多いため、複数人が触るものは入念に消毒しておく必要があります。
また、ドアノブやエレベーターのボタンなど思いがけない場所から感染する可能性が十分あります。
胃腸炎の原因となるウイルスはアルコール消毒ではなく、次亜塩素酸ナトリウムで消毒効果を期待できます。
消毒を行う際はマスクと手袋を着用し、拭き取ったペーパータオルは密封して廃棄しましょう。[18]
まとめ:体に負担をかけないように十分に休息を
胃腸炎を発症した場合、明確に規程はありませんが少なくとも3日程度は仕事を休んで安静にしましょう。
ただし、症状の回復には個人差があるため胃腸炎の症状が治るまでは、仕事を休むことが理想的です。職種によっては、就業規則によって出勤停止となることもあります。
「休んだら職場に迷惑がかかる」「休めるような環境ではない」と思わず、職場内に感染を広げないためにも、職場に相談をしてみましょう。
休むことは感染を拡大させないための一番の方法です。
胃腸炎のつらい症状から1日でも早く回復し仕事復帰できるよう、十分な休息をとり体を休めることが最優先です。
症状が悪化したり長引いたりする場合は、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。
参考文献
[4]感染性胃腸炎とは (niid.go.jp)[5]東京都感染症情報センター|感染性胃腸炎
[7]ノロウイルスの症状 |疾病管理予防センター (cdc.gov)
[8]ロタウイルスの症状 |疾病管理予防センター (cdc.gov)
[9]アデノウイルスの症状 |疾病管理予防センター (cdc.gov)
[10]症状 |カンピロバクター |疾病管理予防センター (cdc.gov)
[11]症状 |サルモネラ菌 |疾病管理予防センター (cdc.gov)
[12]出血性大腸炎(hemorrhagic colitis)|用語集|腸内細菌学会 (bifidus-fund.jp)
[14]腸炎ビブリオ(細菌) [Vibrio parahaemolyticus]:農林水産省 (maff.go.jp)
[15]感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 | e-Gov法令検索
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。