知っておこう!胃腸炎4つのポイント
代表的なのは感染性胃腸炎
胃腸炎の中でも発症数が多いのが感染性胃腸炎です。
感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌の感染によって胃や腸に炎症が起こり、腹痛や嘔吐、下痢などを起こす病気です。
風邪のように接触感染でうつることもあれば、ウイルスや細菌に汚染された食品を食べることで食中毒として発症することもあります。
病院では分類の仕方から、急性胃腸炎と呼ばれることもあります。
嘔吐や下痢による脱水症状に注意
嘔吐や下痢が原因で脱水状態が続くと重症化することもあります。
特に、免疫力が低下していたり、体力のない子どもや高齢者は重篤な状態になることもあるため注意が必要です。
経口補水液でこまめな水分補給を心がけましょう。
特効薬はない
感染性胃腸炎の中で頻度が高いウイルス性胃腸炎に特効薬はありませんが、吐き気止めなど医師から処方を受けることでつらさを和らげることができます。
基本的に対症療法となりますが、我慢せず早めに受診しましょう。
自己判断で服薬しない
自己判断で市販の下痢止めを使用すると、病原体が腸内にとどまり、症状の悪化や治癒の遅れにつながることがあります。
病原体は時間と共に体外へ排出されるので、自己判断で市販薬を服用しないようにしましょう。
胃腸炎はどんな症状?
胃腸炎とは何らかの原因で胃や腸に炎症が起きる病気の総称です。
症状の持続期間によって、急性胃腸炎と慢性胃腸炎に分けられます。
急性胃腸炎は原因により感染性胃腸炎と非感染性胃腸炎に分けられます。
慢性胃腸炎は、急性胃腸炎で起きた炎症が慢性化して、胃や腸で常に炎症が起こっている状態をいいます。
感染性胃腸炎とは
原因
細菌、ウイルス
感染経路
接触感染、飛沫感染、経口感染
潜伏期間
約1〜3日。病原体により異なります。
症状
発熱、下痢、吐き気、嘔吐など
慢性胃腸炎とは
原因
細菌、ウイルス、薬剤、ストレス
症状
熱、下痢、吐き気、嘔吐
胃腸炎が関連する病気
ウイルス性胃腸炎
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
慢性胃腸炎
- 胃潰瘍
- 過敏性胃腸炎
- 逆流性食道炎
こどもがかかりやすい病気
ロタウイルス
症状が似ている病気
- 虫垂炎
- 憩室炎
- 膵炎
- 虚血性腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
胃腸炎の対処方法は?
脱水症状のサインを知ろう
飲み物が飲める場合は経口補水液がおすすめですが、味などが苦手な場合は麦茶などでも良いでしょう。
また、吐き気が強くて水が半日摂れていない、おしっこが極端に少ない、色が濃いなどは脱水症状です。その場合も早めに受診しましょう。
水分が取れない場合の受診目安を確認しましょう。
吐しゃ物(吐いたもの)からの感染に注意
感染性胃腸炎の場合、吐しゃ物(吐いたもの)からも感染します。
特に気をつけたいのが家庭内感染です。吐いたものは適切に対処できるようにしましょう。
吐しゃ物(吐いたもの)の正しい処理方法
床や寝具、衣服に吐いてしまったら、以下の手順で処理をしましょう。
基本的な処理の仕方
- マスク、手袋、エプロンを着用します。可能な限り使い捨てのものを使いましょう。
- 吐しゃ物(吐いたもの)をペーパータオルで拭き取り、2重にしたビニール袋に入れます。
- 吐しゃ物(吐いたもの)があった場所にペーパータオルを置きます。
- その上から50〜100倍に薄めた塩素系漂白剤をペーパータオルに浸すようにかけます。吐いた場所から広げないよう注意しながら拭き取ります。
- ペーパータオルや手袋、マスク、エプロンを2重のビニール袋へ入れて速やかに捨てます。
ウイルスは乾燥すると空中に漂ってしまうため、吐しゃ物(吐いたもの)はそのままにせずすぐに処理しましょう。
衣服に吐しゃ物(吐いたもの)が付着してしまったら?
- 固形物を取り除きビニール袋へ入れて処理します。
- 50〜100倍に薄めた塩素系漂白剤に10分ほど浸します。もしくは85℃以上の熱湯に2分浸します。
- 他の洗濯物と分け、洗濯機で通常通り洗います。
家庭内での感染予防
以下の点に注意しながら家族間の感染を防ぎましょう。
- 手洗い・うがい・手指消毒をこまめに行う
- 家庭内でもマスクを着用する
- ドアノブなど素手で触れる箇所は消毒を行う
- 食器やタオルは共有しない
- 可能であれば寝室や生活スペースを分ける
乳幼児がけいれんしたら
1.患者の顔と体を左側を下にして横向きにする
・呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉につまったり、肺や気管に入ることを防ぎます
・呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
2.けいれん開始時刻を正確に記録する
・スマホで時刻をスクショして記録するとよいです
・余裕があればタイマー起動して間隔を把握しましょう
3.余裕があれば動画を撮影する
・医師に動画を見せることで、診察がスムーズに進むでしょう
※近年固定電話のない家庭が多い中、スマートフォンでの動画撮影を優先してしまうことで対処が遅れてしまう場合もあります。まず患者の安全確保をおこないましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
大人も子どもも、以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 意識がはっきりしない
- 呼吸が苦しそう
- 激しい痛みをともなう
- 明らかに様子がおかしく自力での受診が難しい
至急受診を
以下の症状がある場合はすぐに病院を受診しましょう。夜間の場合は夜間救急を利用してください。
- 水分が摂れない(子ども:ミルクや母乳が飲めない)
- 尿の量や回数が極端に少ない
- ぼーっとしていて元気がない
- 泣いているのに涙が出ない
- 吐しゃ物(吐いたもの)に血が混じっている
- 強い腹痛がある(子ども:泣き止まない)
- ふらつきやめまいをともなう
- 吐しゃ物(吐いたもの)が緑色
以下の場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 発熱や下痢をともなう
- 1日に6〜8回以上吐いている
- 1日〜2日以上吐き気や嘔吐が続く
- 便の色が赤い・まっ黒
早めの対処
以下の症状がある場合は様子を見てもよいでしょう。不安がある場合は医療機関(オンライン診療も含む)を受診しましょう。
- 安静にしていると吐き気・嘔吐が治まり、ぶり返さない
- 食べ過ぎなど原因が明らかで一時的な吐き気
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(1回に吐く量、吐いた回数・頻度)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。