熱や咳、嘔吐など、目に見える症状があらわれていないから肺炎は悪化していないと思い込んでいませんか?
肺炎は静かに進行するため、体調に違和感を感じた早い段階で受診した方が悪化せずに済みます。
・いつもより風邪が長引いている
・体がだるく、食欲もなくなってきている気がする
そんな時はファストドクターの無料医療窓口へ一度相談してください。
医師や看護師から、対処方法を提案いたします。
肺炎ってどんな症状?
肺炎とは、肺に細菌やウイルスなどの病原微生物が感染して炎症を起こす急性の疾患です。
症状は風邪と似ていますが、風邪と肺炎では感染の起こる部位が異なります。風邪は鼻や喉などの上気道に原因微生物が感染を起こすのに対して、肺炎は肺の中の肺胞に感染が起こるのが特徴です。
肺炎の症状
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発熱と悪寒
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咳
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呼吸が速い、または呼吸困難
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胸痛
そして、「肺炎」には様々な原因があることも知っておかなければなりません。
肺炎の原因となり得るのは大きく分けて3つです。
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インフルエンザウイルス
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呼吸器合胞体ウイルス(RSV)
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SARS-CoV-2(COVID-19の原因となるウイルス)
風邪やインフルエンザにかかると免疫力が低下し、細菌に感染しやすくなり、肺炎のきっかけとなってしまいます。
また、糖尿病や心疾患などの持病も同じように免疫力の低下から肺炎を引き起こす原因になります。
また、マイコプラズマに感染し、肺炎を起こしてしまう方も2023年の12月から少しずつですが増加中です。
肺炎は早期に適切な治療を受ければ、治る可能性の高い疾患です。しかし、治療の開始が遅れると重症化しやすく、特に高齢者では急激に悪化することから注意が必要な疾患の一つとされています。
そして肺炎は様々な疾患から起こりやすい病気です。
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新型コロナウイルス感染症
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マイコプラズマ肺炎感染症
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ヒトメタニューモウイルス(HMPV)感染症
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肺炎球菌性疾患
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ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)感染症
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呼吸器合胞性ウイルス(RSV)感染症
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インフルエンザウイルス
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ライノウイルス感染症
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レジオネラ症
上記に紹介した疾患は肺炎を引き起こすものです。発症してしまった方はより注意してください。
関連記事:「細菌性肺炎になるとどうなるの?症状と治療法について」
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肺炎に初期症状はある?
まずは肺炎の初期に見られる症状をチェックしてみましょう。
肺炎の初期症状
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持続する咳
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黄色や緑色の痰
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発熱
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息苦しい
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胸の痛み
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食欲低下
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疲れやすい
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身体がだるい
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元気がない
初期症状は風邪の症状と似ていますが、風邪よりも症状が重いことが特徴です。これらの症状は風邪が長引いていると勘違いされ、肺炎の初期症状として見逃されてしまうことがあります。
高齢者や病原体の種類によっては咳や熱があまり出ないこともあり、注意が必要です。
関連記事:「「これって風邪?喘息?肺炎?」喘息の診断や症状、検査について解説」
高齢者・乳幼児の重症化は特に注意!
肺炎は、厚生労働省の人口動態統計(2022年)で死亡原因の5位と報告されています。
肺炎で亡くなる日本人のうち65%は高齢者です。高齢者では肺炎の典型的な症状が見られず、気付かないうちに症状が進行し重症化することがあります。
寝てばかりいる、食欲がない、意識がはっきりしないなど、いつもと違う様子が見られる場合は早めに医師に相談しましょう。
乳幼児では生後6ヶ月頃から母親由来の免疫が低下し、肺炎に感染するリスクが高くなります。特に夏に流行するRSウイルスに感染すると、合併症として肺炎を発症しやすいことが分かっています。
RSウイルスは1歳までに約半数が、2歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染する呼吸器の感染症です。
乳幼児の肺炎は発熱や鼻水の症状から始まり、痰のからむ咳や呼吸が速くなるほか、症状が重くなるとぐったりして食欲がなくなります。
激しい咳で嘔吐を繰り返し、脱水になることもあります。症状が急変するケースも少なくありません。
夜中に咳込んで何度も目を覚ます、水分が摂れず尿の量が減っているなどの症状がある場合は、小児科を受診する必要があります。
関連記事:「RSウイルス感染症の症状を知ろう。感染経路や治療法についても解説」
高齢者は誤嚥性肺炎に気をつけて
誤嚥性肺炎とは、食道に入るはずの食べ物や唾液が誤って気管に入ることで起こる肺炎で、高齢者の肺炎のうち約8割を占めています。
誤嚥性肺炎が高齢者に多い理由は、物を飲み込む力が弱くなっていることに加え、加齢による免疫力の低下や胃の中のものが逆流しやすくなることにあります。
また、就寝中に少量の唾液や胃液が気付かないうちに気管に入ってしまう「不顕性誤嚥」を繰り返して発症することもあり、いずれの場合も原因は食べ物や唾液、胃液に含まれる細菌です。
誤嚥性肺炎のリスクを減らす方法は以下です。
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口腔内を清潔に保つ
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食事にとろみをつけるなど工夫する
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食事(嚥下)に集中する
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胃液の逆流を防ぐ
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呼吸機能や飲み込むのに必要な筋肉の機能を高めるトレーニングをする
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免疫力を高める
口腔内を清潔に保つことは最も効果的な予防法とされています。歯磨きなどで口の中の細菌を減らしておけば、誤嚥をしても感染のリスクが減らせるからです。
また、ながら食べをやめることは食べ物を飲み込むことに集中でき、誤嚥のリスクを減らすのに効果的です。
高齢者の誤嚥性肺炎は今後、高齢化社会と共にさらに増加すると予想されています。[1]
乳幼児は重症化することも
日常の中で起こる肺炎でもっとも多い原因菌は肺炎球菌(はいえんきゅうきん)です。
肺炎球菌は乳幼児でも感染することがあり、肺炎球菌に対する免疫がほとんどない2歳以下では重症化しやすいのが特徴です。
また、生後6ヶ月ごろまでは母親由来の免疫を持っていますが、その免疫力は未熟で肺炎にかかってしまうことがあり、油断はできません。
小児の肺炎球菌感染症で最も問題になるのが、細菌性髄膜炎です。
細菌性髄膜炎とは、脳や脊髄を覆う膜である髄膜に肺炎球菌などの細菌が感染し炎症を起こす疾患です。
初期症状は発熱と機嫌が悪くなることですが、風邪と間違われやすく、早期に発見することがとても難しいとされています。
その後はぐったりし、痙攣や意識障害を引き起こします。
後遺症は発達や知能に影響を及ぼすほか、運動障害や重度の難聴などです。肺炎球菌は耐性菌が多く抗菌薬が効きづらいため、治療はとても難しくなります。
小児の肺炎球菌感染症は、ワクチンで予防できる疾患です。
小児用肺炎球菌ワクチンは定期接種に指定されていて、原則公費負担で接種できます。
接種期間は生後2ヶ月から5歳までですが、乳幼児の感染者のうち半数が1歳前であることから、生後2ヶ月になったらすぐに接種することが望ましいとされています。
細菌性髄膜炎の起こりやすい生後6ヶ月までに初回の3回を済ませておくのが良いでしょう。[2][3][4]
肺炎の診断方法
肺炎の診断方法は様々ですが、主に行われる検査は以下の4つです。
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画像検査
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血液検査
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迅速検査
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喀痰検査
発熱や咳、痰、息切れ、胸の痛みなどの身体症状、もしくは血液検査などで肺炎を疑う所見があることに加え、画像検査で明らかな異常が見られたときに診断が確定します。
どの検査方法も確定診断に時間を要するため、検査そのものも早い段階で行うのが望ましいです。
肺炎の治療方法
肺炎の治療では、検査で原因菌やウイルスを特定し、効果のある抗菌薬を使って治療を行います。
通院治療の場合は安静と十分な水分摂取です。肺炎は高熱や咳込みによる嘔吐で脱水を起こしやすく、高齢者は喉の渇きに気付きにくいため特に注意が必要です。
原因菌やウイルスの特定に時間がかかる場合は先に原因菌を予測し、抗菌薬を選択して治療を進めます。[6]
治療期間の目安は、通院治療では初期に治療を開始できれば1週間程度。入院治療ではおおよそ7~14日以上です。
肺炎で入院することはあるの?
肺炎は重症度などにより入院治療を行うことがあり、以下が入院の適用です。
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重症度分類が中等症以上
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1歳未満
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薬を飲むことができない
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基礎疾患がある
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脱水がある
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自宅で十分な看護が受けられず
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外来治療で症状が改善しない
軽症でも自宅で十分な看護が受けられない場合は、医師が判断すれば入院治療となります。入院期間の目安はおよそ7~14日以上です。
重症度分類は(A)年齢(D)脱水(R)呼吸(O)意識(P)血圧の5つの危険因子に基づいたA-DROPスコアにより判断されます。[7][8]
まだ入院の段階ではないと言われたが、薬を飲むのも大変、なかなか症状が良くならないということであればご家族は心配になってしまいますよね。
入院まではいかなくても、症状が悪化したときにすぐに対応できるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?
ファストドクターでは夜間や休日に体調の異変があった際にご自宅に駆け付けて診察を行うことが可能です。
救急外来で判明することも
「夜中に急に体調が悪化し、救急外来を受診したら肺炎だった」というケースは少なくありません。
咳の症状は夜間もしくは就寝時に悪化することが多いため、体調が悪く救急外来を受診したらそのまま入院するということもありえます。
「咳だけだから」「少し苦しいだけだから」と油断してはいけません。
いつもより自身の体調がすぐれない、家族の様子がおかしいと感じたら夜間などに利用できる救急外来を利用しましょう。
肺炎で救急車を呼んでも良いの?
肺炎で入院するケースがあることをご紹介しましたが、症状があきらかにおかしいと感じた場合、救急車を呼んでも良いか悩むこともあるでしょう。
肺炎の症状が悪化しているときは高熱症状が続いていたり、体内の酸素濃度が低下していたりする可能性があります。
新型コロナ感染が拡大していた2020~2022年の間でも肺炎による救急要請はかなり多かったというのも事実としてあります。
パルスオキシメーターをお持ちの方は、酸素濃度が93%以下になったタイミングで一度かかりつけの医療機関を受診してください。
病院があいていない夜間などは救急車を呼ぶなどの対応をとると良いでしょう。
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関連記事:「民間の救急車とは?119番との違いや利用方法を解説」
・顔色が悪くなってきた
・高熱症状がずっと続いている
・救急車を呼ぶべきか悩んでいる
肺炎は夜間に悪化することもあり、どう対応したらよいのか戸惑ってしまいますよね。
そんなときはファストドクターの無料医療窓口を頼ってください。
看護師が症状をお聞きして、適切な対処方法をご提案いたします。
肺炎の予防方法
肺炎の予防方法は、ワクチン接種や日常的に行っている手洗い、うがい、咳エチケットなどで、難しいものではありません。主な予防方法は以下の3つです。
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肺炎球菌ワクチンを打つ
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風邪の予防
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禁煙
詳しく解説していきます。[9]
肺炎球菌ワクチンを打つ
肺炎の原因でもっとも多い原因菌は肺炎球菌です。肺炎球菌感染症は成人用肺炎球菌ワクチンの接種で発症と重症化を予防します。
特に高齢者では、症状が急激に進行し気付いたときには重症化していることがあり、ワクチンの接種は非常に効果的な予防方法と言えるでしょう。
肺炎球菌は抗菌薬の効かない耐性菌が登場しているため、ワクチンで予防しておくことはとても大切です。
成人用肺炎球菌ワクチンの効果は5年間続き、5年ごとに繰り返し打つ必要があります。
予防接種法の定期接種に指定されているため、65歳から(該当する基礎疾患がある場合は60歳から)5年ごとに、市町村指定の医療機関で接種することが可能です。
また、肺炎はインフルエンザウイルスやコロナウイルスの感染が引き金となり発症することから、インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンの接種も大切です。
現在、新型コロナワクチンと他のワクチンは2週間以上の間隔をあける必要があります。予防接種の計画や分からない点に関しては医療機関や市町村に相談してみてください。
風邪の予防
風邪などのウイルス感染症にかかると、気道がウイルスによって傷つけられ細菌が付着しやすくなり、肺炎のきっかけとなります。
日常生活では、手洗いやうがいをして細菌やウイルスの付着を防ぎましょう。手洗いができないときはアルコール消毒が有効です。
免疫力を落とさないために、規則正しい生活やバランスの取れた食事も心掛けましょう。
特に高齢者では低栄養に注意が必要です。低栄養とは摂取エネルギーとタンパク質が不足している状態で、免疫力が下がり肺炎などの感染症にかかりやすくなることが分かっています。
これは75歳以上の男性や、高齢者の単身世帯に多い傾向にあります。低栄養を防ぐためにはタンパク質が豊富で栄養バランスの取れた食事を摂るようにし、入れ歯の調整など歯の手入れも欠かさないようにしましょう。
また、自分が風邪などかかったときは周りにうつさない配慮も大切です。咳エチケットを心掛け、必要に応じてマスクを着用し感染を広げないようにしましょう。
関連記事:「上気道炎の特徴・症状と治療法について【医師監修】」
禁煙
喫煙は肺や気管支の細胞を傷つけ、免疫力を低下させるほか、感染症のリスクを高めることが知られています。
肺炎にかかりやすくなるだけでなく、重症化のリスクにもなります。喫煙者は禁煙を行い、肺炎予防に取り組みましょう。
自分で禁煙することが難しい場合は、禁煙外来を受診することもおすすめです。禁煙治療は条件が合えば保険で治療ができるので、ぜひ医療機関に相談してみてください。[10]
まとめ:肺炎の原因は一つではない。日々の予防が大切
肺炎の原因はさまざまで、日常生活で感染する菌やウイルスが原因になることがほとんどです。また、早く治療を開始できれば改善しやすい疾患でもあります。
そのため、肺炎の初期症状や予防方法を知っておき、発症や重症化を防ぐようにしましょう。
肺炎の初期症状は発熱や咳、黄色や緑色の痰、息苦しさ、胸の痛みなどです。風邪の症状と区別が難しいですが、一般的には風邪よりも症状が重いことが特徴です。
高齢者や病原体の種類によってはこれらの症状が乏しいケースもあり、食欲がない、体がだるい、元気がない、寝てばかりいる症状が3日続いたら肺炎を疑い、医療機関を受診するようにしてください。
予防方法は肺炎球菌ワクチンの接種に加え、インフルエンザワクチン、新型コロナワクチンで感染症を予防することが大切です。
また、手洗いやうがい、咳エチケットは日常生活で行える効果的な予防方法です。
もし風邪などの感染症にかかったときは、感染を広げないようマスクの着用などで周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
肺炎は口腔ケアをしっかり行うだけで予防に繋がります。
口の中は菌の温床です。
風邪っぽい症状が続き、体を動かすのがつらいからと言って体や口の中を放置すると痰の色が変化したり症状が悪化してしまいます。
そのような状態になる前に、一度ファストドクターの無料医療窓口を頼ってください。
医師が往診の必要があると判断した場合、ご自宅にお伺いしてお薬を処方することも可能です。
参考文献
[1]肺炎予防.jp | 肺炎予防.jp (haien-yobou.jp)
[4]日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」 ~ - 定期接種と任意接種のワクチン
[5]肺炎の症状と診断 |アメリカ肺協会 (lung.org)
[6]肺炎の治療法 | 肺炎予防.jp (haien-yobou.jp)
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。