肺炎の知っておくべき症状や予防方法は?

公開日: 2023/12/06 更新日: 2024/01/11
肺炎は日本人の死亡原因第5位で、そのうち65%が高齢者です。しかし、高齢者だけでなく乳幼児でもかかり重症化するリスクがあります。 肺炎は早い段階で適切な治療を行えば、回復できる疾患です。また、ワクチンで予防できる疾患でもあるのです。 この記事では肺炎が疑われる症状や受診のタイミング、治療法、予防方法、さらに入院が必要なのはどんな時なのかを解説します。 風邪とよく似た初期症状を見逃してしまわないよう、この記事を読んで、治療や予防の参考にしてください。
肺炎の悪化を防ぎたい

・風邪が長引いている

・回復兆候が見られない

ファストドクターでは、医師や看護師に無料で症状の相談をすることができます。

気をつけるべき肺炎 その症状を知っておこう

肺炎とは、肺に細菌やウイルスなどの病原微生物が感染して炎症を起こす急性の疾患です。

症状は風邪と似ていますが、風邪と肺炎では感染の起こる部位が異なります。風邪は鼻や喉などの上気道に原因微生物が感染を起こすのに対して、肺炎は肺の中の肺胞に感染が起こるのが特徴です。

肺炎の症状は、持続する咳や高熱、黄色や緑色の痰(たん)、息苦しさ、呼吸が速い、息を吸う時の胸の痛みなどです。

これらは風邪の症状の後に見られることが多くあります。また、高齢者ではこれらの症状があまり出ず、発見が遅れてしまうことがあります。

身体がだるい、元気がない、寝てばかりいる、などの症状が3日程度続けば肺炎を疑い、主治医に相談したり医療機関を受診することが重要です。

肺炎は風邪とは異なる疾患ですが、風邪やインフルエンザにかかると免疫力が低下し、細菌に感染しやすくなり、肺炎のきっかけとなってしまいます。

また、糖尿病や心疾患などの持病も同じように免疫力の低下から肺炎を引き起こす原因になります。

肺炎は早期に適切な治療を受ければ、治る可能性の高い疾患です。しかし、治療の開始が遅れると重症化しやすく、特に高齢者では急激に悪化することから注意が必要な疾患の一つとされています。

肺炎に初期症状はある?

肺炎の初期症状は持続する咳、発熱、黄色や緑色の痰、息苦しさ、胸の痛みなどです。

風邪の症状と似ていますが、風邪よりも症状が重いことが特徴です。これらの症状は風邪が長引いていると勘違いされ、肺炎の初期症状として見逃されてしまうことがあります。

高齢者や病原体の種類によっては咳や熱があまり出ないこともあり、注意が必要です。

食欲がない、疲れやすい、身体がだるい、元気がないなどの症状が3日以上続く場合は肺炎を疑い、医療機関を受診するようにしましょう。

肺炎の初期症状

  • 持続する咳

  • 発熱

  • 息苦しい

  • 胸の痛み

  • 食欲低下

  • 疲れやすい

  • 身体がだるい

  • 元気がない

高齢者・乳幼児は特に注意!

肺炎は、厚生労働省の人口動態統計(2022年)で死亡原因の5位と報告されています。

肺炎で亡くなる日本人のうち65%は高齢者です。高齢者では肺炎の典型的な症状が見られず、気付かないうちに症状が進行し重症化することがあります。

寝てばかりいる、食欲がない、意識がはっきりしないなど、いつもと違う様子が見られる場合は早めに医師に相談しましょう。

乳幼児では生後6ヶ月頃から母親由来の免疫が低下し、肺炎に感染するリスクが高くなります。特に夏に流行するRSウイルスに感染すると、合併症として肺炎を発症しやすいことが分かっています。

RSウイルスは1歳までに約半数が、2歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染する呼吸器の感染症です。

乳幼児の肺炎は発熱や鼻水の症状から始まり、痰のからむ咳や呼吸が速くなるほか、症状が重くなるとぐったりして食欲がなくなります。

激しい咳で嘔吐を繰り返し、脱水になることもあります。症状が急変するケースも少なくありません。

夜中に咳込んで何度も目を覚ます、水分が摂れず尿の量が減っているなどの症状がある場合は、小児科を受診する必要があります。

高齢者は誤嚥性肺炎に気をつけて

誤嚥性肺炎とは、食道に入るはずの食べ物や唾液が誤って気管に入ることで起こる肺炎で、高齢者の肺炎のうち約8割を占めています。

誤嚥性肺炎が高齢者に多い理由は、物を飲み込む力が弱くなっていることに加え、加齢による免疫力の低下や胃の中のものが逆流しやすくなることにあります。

また、就寝中に少量の唾液や胃液が気付かないうちに気管に入ってしまう「不顕性誤嚥」を繰り返して発症することもあり、いずれの場合も原因は食べ物や唾液、胃液に含まれる細菌です。

誤嚥性肺炎のリスクを減らす方法は以下です。

  • 口腔内を清潔に保つ

  • 食事にとろみをつけるなど工夫する

  • 食事(嚥下)に集中する

  • 胃液の逆流を防ぐ

  • 呼吸機能や飲み込むのに必要な筋肉の機能を高めるトレーニングをする

  • 免疫力を高める

口腔内を清潔に保つことは最も効果的な予防法とされています。歯磨きなどで口の中の細菌を減らしておけば、誤嚥をしても感染のリスクが減らせるからです。

また、ながら食べをやめることは食べ物を飲み込むことに集中でき、誤嚥のリスクを減らすのに効果的です。

高齢者の誤嚥性肺炎は今後、高齢化社会と共にさらに増加すると予想されています。[1]

乳幼児は重症化することも

日常の中で起こる肺炎でもっとも多い原因菌は肺炎球菌(はいえんきゅうきん)です。

肺炎球菌は乳幼児でも感染することがあり、肺炎球菌に対する免疫がほとんどない2歳以下では重症化しやすいのが特徴です。

また、生後6ヶ月ごろまでは母親由来の免疫を持っていますが、その免疫力は未熟で肺炎にかかってしまうことがあり、油断はできません。

小児の肺炎球菌感染症で最も問題になるのが、細菌性髄膜炎です。

細菌性髄膜炎とは、脳や脊髄を覆う膜である髄膜に肺炎球菌などの細菌が感染し炎症を起こす疾患です。

初期症状は発熱と機嫌が悪くなることですが、風邪と間違われやすく、早期に発見することがとても難しいとされています。

その後はぐったりし、痙攣や意識障害を引き起こします。

後遺症は発達や知能に影響を及ぼすほか、運動障害や重度の難聴などです。肺炎球菌は耐性菌が多く抗菌薬が効きづらいため、治療はとても難しくなります。

小児の肺炎球菌感染症は、ワクチンで予防できる疾患です。

小児用肺炎球菌ワクチンは定期接種に指定されていて、原則公費負担で接種できます。

接種期間は生後2ヶ月から5歳までですが、乳幼児の感染者のうち半数が1歳前であることから、生後2ヶ月になったらすぐに接種することが望ましいとされています。

細菌性髄膜炎の起こりやすい生後6ヶ月までに初回の3回を済ませておくのが良いでしょう。[2][3][4]

肺炎の診断方法

肺炎の診断方法は様々ですが、主に行われる検査は以下の4つです。

  • 画像検査

  • 血液検査

  • 迅速検査

  • 喀痰検査

発熱や咳、痰、息切れ、胸の痛みなどの身体症状、もしくは血液検査などで肺炎を疑う所見があることに加え、画像検査で明らかな異常が見られたときに診断が確定します。

それぞれの検査方法について解説します。

画像検査

肺炎の診断で行われる画像検査は胸部レントゲンです。レントゲンは炎症部分を白っぽく映し出しますが、肺炎では「浸潤影」や「すりガラス様陰影」と呼ばれる画像が見られます。

白っぽい部分が大きいほど悪化していると判断でき、肺炎の広がりを確認します。胸部レントゲンは肺炎の確定診断には欠かせない検査の一つです。

また、他の疾患と区別するために胸部CT検査を行うこともあります。

血液検査

血液検査で確認するのは白血球数やCRPの上昇です。CRPは炎症が起こると血液中に増加するタンパク質のことで、白血球も炎症により増加します。

これらの数値だけで肺炎と確定することはできません。しかし、症状の進行度や重症度を知るための重要な検査で、胸部レントゲンの所見とあわせて診断に用います。

迅速検査

迅速検査は簡単なキットを使って鼻や喉の粘膜を採り、短時間で病原体を特定する検査です。これにより早期に治療が開始でき、早期改善にもつながります。

しかし、迅速検査で特定できる菌の種類は肺炎球菌やマイコプラズマ、レジオネラなど限られているため、さらに痰を採取して菌を調べる検査が必要になることがあります。[5]

喀痰検査

痰を採取して、含まれる菌やウイルスの種類を顕微鏡で調べます。喀痰検査の目的は、原因菌を見つけ治療薬を決定することです。

ただし菌の特定には数日かかるため、通常は結果がでる前に原因菌を予測して、治療を開始します。

肺炎の治療方法

肺炎の治療では、まず重症度を調べて通院治療もしくは入院治療を決定します。

通院治療の基本は安静と十分な水分摂取です。肺炎は高熱や咳込みによる嘔吐で脱水を起こしやすく、高齢者は喉の渇きに気付きにくいため特に注意が必要です。

次に検査で原因菌やウイルスを特定し、効果のある抗菌薬を使って薬物治療を開始します。検査の結果がでるまでに時間がかかる場合は先に原因菌を予測し、抗菌薬を選択して治療を進めます。

治療期間の目安は、通院治療では初期に治療を開始できれば1週間程度。、入院治療ではおおよそ7~14日以上です。[6]

肺炎で入院することはあるの?

肺炎は重症度などにより入院治療を行うことがあり、以下が入院の適用です。

  • 重症度分類が中等症以上

  • 1歳未満

  • 薬を飲むことができない

  • 基礎疾患がある

  • 脱水がある

  • 自宅で十分な看護が受けられず

  • 外来治療で症状が改善しない

軽症でも自宅で十分な看護が受けられない場合は、医師が判断すれば入院治療となります。入院期間の目安はおよそ7~14日以上です。

重症度分類は(A)年齢(D)脱水(R)呼吸(O)意識(P)血圧の5つの危険因子に基づいたA-DROPスコアにより判断されます。[7][8]

肺炎の予防方法

肺炎の予防方法は、ワクチン接種や日常的に行っている手洗い、うがい、咳エチケットなどで、難しいものではありません。主な予防方法は以下の3つです。

  • 肺炎球菌ワクチンを打つ

  • 風邪の予防

  • 禁煙

詳しく解説していきます。[9]

肺炎球菌ワクチンを打つ

肺炎の原因でもっとも多い原因菌は肺炎球菌です。肺炎球菌感染症は成人用肺炎球菌ワクチンの接種で発症と重症化を予防します。

特に高齢者では、症状が急激に進行し気付いたときには重症化していることがあり、ワクチンの接種は非常に効果的な予防方法と言えるでしょう。

肺炎球菌は抗菌薬の効かない耐性菌が登場しているため、ワクチンで予防しておくことはとても大切です。

成人用肺炎球菌ワクチンの効果は5年間続き、5年ごとに繰り返し打つ必要があります。

予防接種法の定期接種に指定されているため、65歳から(該当する基礎疾患がある場合は60歳から)5年ごとに、市町村指定の医療機関で接種することが可能です。

また、肺炎はインフルエンザウイルスやコロナウイルスの感染が引き金となり発症することから、インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンの接種も大切です。

現在、新型コロナワクチンと他のワクチンは2週間以上の間隔をあける必要があります。予防接種の計画や分からない点に関しては医療機関や市町村に相談してみてください。

風邪の予防

風邪などのウイルス感染症にかかると、気道がウイルスによって傷つけられ細菌が付着しやすくなり、肺炎のきっかけとなります。

日常生活では、手洗いやうがいをして細菌やウイルスの付着を防ぎましょう。手洗いができないときはアルコール消毒が有効です。

免疫力を落とさないために、規則正しい生活やバランスの取れた食事も心掛けましょう。

特に高齢者では低栄養に注意が必要です。低栄養とは摂取エネルギーとタンパク質が不足している状態で、免疫力が下がり肺炎などの感染症にかかりやすくなることが分かっています。

これは75歳以上の男性や、高齢者の単身世帯に多い傾向にあります。低栄養を防ぐためにはタンパク質が豊富で栄養バランスの取れた食事を摂るようにし、入れ歯の調整など歯の手入れも欠かさないようにしましょう。

また、自分が風邪などかかったときは周りにうつさない配慮も大切です。咳エチケットを心掛け、必要に応じてマスクを着用し感染を広げないようにしましょう。

禁煙

喫煙は肺や気管支の細胞を傷つけ、免疫力を低下させるほか、感染症のリスクを高めることが知られています。

肺炎にかかりやすくなるだけでなく、重症化のリスクにもなります。喫煙者は禁煙を行い、肺炎予防に取り組みましょう。

自分で禁煙することが難しい場合は、禁煙外来を受診することもおすすめです。禁煙治療は条件が合えば保険で治療ができるので、ぜひ医療機関に相談してみてください。[10]

まとめ:肺炎の原因は一つではない。日々の予防が大切

肺炎の原因はさまざまで、日常生活で感染する菌やウイルスが原因になることがほとんどです。また、早く治療を開始できれば改善しやすい疾患でもあります。

そのため、肺炎の初期症状や予防方法を知っておき、発症や重症化を防ぐようにしましょう。

肺炎の初期症状は発熱や咳、黄色や緑色の痰、息苦しさ、胸の痛みなどです。風邪の症状と区別が難しいですが、一般的には風邪よりも症状が重いことが特徴です。

高齢者や病原体の種類によってはこれらの症状が乏しいケースもあり、食欲がない、体がだるい、元気がない、寝てばかりいる症状が3日続いたら肺炎を疑い、医療機関を受診するようにしてください。

予防方法は肺炎球菌ワクチンの接種に加え、インフルエンザワクチン、新型コロナワクチンで感染症を予防することが大切です。

また、手洗いやうがい、咳エチケットは日常生活で行える効果的な予防方法です。

もし風邪などの感染症にかかったときは、感染を広げないようマスクの着用などで周囲への配慮を忘れないようにしましょう。

病院に行きたくても辛くて動けないのなら

そんな時はファストドクターの無料相談窓口を頼ってください。

医師が往診の必要があると判断した場合、ご自宅にお伺いして詳しい症状を診察いたします。

参考文献

1.新人広報と学ぶ 誤嚥性肺炎

2.小児の肺炎球菌感染症 - Know VPD!

3.肺炎球菌感染症(小児)

4.日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」 ~ - 定期接種と任意接種のワクチン

5.呼吸器内科の病気:市中肺炎 | 病気の治療 | 徳洲会グループ

6.抗菌薬の適正使用『成人肺炎診療GL 2023年版』での変更点は? | HOKUTO

7.肺 炎

8.A-DROPスコア | 計算 | 市中肺炎の重症度分類 | HOKUTO

9.肺炎

10.禁煙について | 患者さんへ | 東邦大学医療センター大森病院 間質性肺炎センター

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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