知っておこう!インフルエンザ4つのポイント
自己判断ですぐに解熱剤は飲まないで
インフルエンザの疑いがあるときは、熱が出たからといって自己判断ですぐに解熱剤を服用することは避け、医師に相談しましょう。特に乳幼児はリスクが高いので注意が必要です。
非ステロイド系抗炎症薬であるロキソプロフェン(ロキソニン)にはインフルエンザ脳症の発症リスクがあることが分かっています。
アセトアミノフェンであるカロナールは比較的安全に高熱を下げられますが、自己判断で服用することは避け、医師に相談しましょう。
検査は発症後12時間~48時間以内に
インフルエンザ検査では体内のウイルス量を測ります。
発症直後に検査をするとウイルス量が不足していて正しい結果が出ないことがあります(偽陰性)。
知っておきたい豆知識
なぜ発症後12時間~48時間以内に検査をするとよいの?
インフルエンザに感染すると、体内のウイルス量は徐々に増え、症状が出始めてから約12時間後にピーク量に達します。
抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服薬を開始することが推奨されています。
適切な検査結果と治療のために、インフルエンザの検査は症状が出てから12時間~48時間に受けるとよいでしょう。
風邪よりも重症化しやすい
インフルエンザウイルスは強いウイルスです。普通の風邪に比べると重症化しやすく、特に基礎疾患を持っている方や、乳幼児、高齢者は注意が必要です。
高熱が続くことを放置していると、合併症の原因となることも。インフルエンザかも?と思ったら早めに医師に相談しましょう。
何度も感染する
インフルエンザウイルスは種類が多く、同じシーズン中に型が違うウイルスに感染することも。
毎年流行する型は変化するので、抗体がつきにくく何度もインフルエンザにかかってしまうケースも見られます。
オンライン診療でもインフルエンザ治療薬を処方できる
オンライン診療でも抗インフルエンザ薬の処方が可能です。
診察の前に、薬局等で販売している「新型コロナウイルス・インフルエンザ同時抗原検査キット*」をご利用いただくとスムーズです。
※処方は医師の判断によります。ご家庭内に感染者がいない場合は、事前の検査実施をおすすめします。
※症状によって対面診療をご案内する場合もあります。その場合、オンライン診療費用はかかりません。
インフルエンザはどんな病気?
原因
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが鼻や喉の粘膜に付着することで引き起こされる感染症です。
感染力が強く、感染者のくしゃみや咳により排出されたウイルスが付着したものに触れ、それが体の中へ入ることで感染します。
インフルエンザの症状
感染から1〜3日後に症状が現れます。
主な症状は38℃以上の発熱の持続・咽頭痛・関節痛・筋肉痛・全身のだるさなどで、一般的な風邪よりも急速に現れます。
発症1〜3日で現れる症状
- 38℃以上の高熱(稀に38℃以下の場合もあります)
- 頭痛
- 関節痛
- 筋肉痛
- 倦怠感
- 咽頭痛
- 鼻水
- 咳
インフルエンザが関連する病気
- 熱せん妄
- 熱性けいれん
- インフルエンザ肺炎
- インフルエンザ脳症
- インフルエンザ心筋炎
インフルエンザ合併症って?
インフルエンザは、以下のような病気や病態を引き起こすことがあります。
熱せん妄
主に乳幼児にみられ、高熱が原因で起こります。
意識障害や異常行動などを引き起こし、会話のつじつまが合わない、飛び出してしまうなどの事例が報告されています。
合併症であるインフルエンザ脳症との鑑別が難しい場合もあります。発熱してから2日程度は子どもを一人にせず、目を離さないようにしましょう。
インフルエンザ肺炎
肺にインフルエンザウイルスが感染することで起こる肺炎です。
強い咳や痰・呼吸苦を引き起こし、呼吸器の持病(喘息・COPD・間性肺炎など)を持っている方や高齢者に多くみられます。
インフルエンザ脳症
症状は意識障害、けいれん、異常行動などです。
特徴として、インフルエンザへ過剰に反応し、脳の血管や神経細胞に影響が起きます。
命の危険や後遺症のリスクもあります。5歳以下の子どもに発症しやすく、特に1〜2歳に多くみられます。
インフルエンザ心筋炎
心臓の筋肉にインフルエンザウイルスが感染することで起こる炎症で、心臓の働きを悪くすることで心不全などを引き起こします。
幅広い年齢層で発症します。
インフルエンザの対処方法は?
48時間以内の抗インフルエンザ薬が有効
発症後48時間以内に医師処方の抗インフルエンザ薬を使用することで、症状が出ている期間を短くできるでしょう。重症化を防ぐことにもつながります。
知っておきたい豆知識
タミフルは異常行動を引き起こす?
過去に大きな議論になりましたが、抗インフルエンザ薬であるタミフルの服用と異常行動との明確な因果関係は証明されていません。
以前より高熱自体が異常行動の原因となることが指摘されています。これを熱せん妄と言い、インフルエンザによる高熱で引き起こされることもあります。ワクチンは重症化予防に有効
予防のためにワクチンを受けても、インフルエンザにかかることがあります。
ワクチンはその年の流行を予想して作られるため、流行型(感染したもの)と一致しない場合があるためです。
ワクチンは感染を完全に防ぐためではなく、感染した場合の重症化を防ぐために有効です。「ワクチンを打ったからインフルエンザではないだろう」と自己判断することは避けましょう。
感染してしまったら学校や職場へ報告を
インフルエンザは学校保健安全法により「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで(2024年3月時点)」は出席停止期間と定められています。
インフルエンザと分かったら、必ず学校へ報告しましょう。
社会人の場合、勤務先によっては独自にルールが定められていることもあります。感染したと分かったら速やかに報告し、対応について相談しましょう。
家庭内で感染対策を
家族間の感染対策を行いましょう。発症してから1日〜7日目までは感染力が高いため、症状が改善しても発症後1週間は対策を続けるとよいです。
- 感染者と寝室を分ける
- 感染者と食事を共にしない
- タオルなどは分けて使用する
- 家の中でもマスクを着用する
- こまめに手洗い、うがい、手指消毒をする
- 室内の加湿(50〜60%)と定期的な換気をする
※内服しているからと安心せず療養中は体調に注意して、異変がないかを確認しましょう
※家庭内で隔離をする場合は隔離されている人と定期的に連絡をとり、急な体調不良など緊急時に対応できるようにしましょう。
乳幼児がけいれんしたら
1.患者の顔と体を左側を下にして横向きにする
・呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉につまったり、肺や気管に入ることを防ぎます
・呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
2.けいれん開始時刻を正確に記録する
・スマホで時刻をスクショして記録するとよいです
・余裕があればタイマー起動して間隔を把握しましょう
3.余裕があれば動画を撮影する
・医師に動画を見せることで、診察がスムーズに進むでしょう
※近年固定電話のない家庭が多い中、スマートフォンでの動画撮影を優先してしまうことで対処が遅れてしまう場合もあります。まず患者の安全確保をおこないましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
受診した方がよい症状
まだ病院を受診していない場合
インフルエンザが流行っていて、38℃の高熱が出た・疑わしい症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。インフルエンザは早い段階での対応が症状の緩和や感染拡大の防止につながります。
インフルエンザと診断されている場合
処方された薬を飲んでいても安心せず様子を見ることが大切です。以下のような症状がある場合は重症化のサインかもしれません。速やかに医療機関(オンライン診療を含む)を受診しましょう。
大人
- 息切れがあり苦しそう
- 胸の痛みが続く
- 嘔吐や下痢が続く
- 症状が良くならず悪化してきた
子ども
- 呼吸が早く苦しい
- 呼びかけに対し反応が薄い、ぼーっとしている
- 嘔吐や下痢が続く
- 症状が良くならず悪化してきた
119番(救急車)を呼ぶべき症状
子ども
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119番へ連絡しましょう。
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 5分以上持続するけいれん
- 初めてけいれんした(けいれんが治まっても救急車を呼びましょう)
- 激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
- 泣き止まない
- 辻褄の合わない会話
- 興奮状態
大人
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- 呼吸が苦しい
- 5分以上持続するけいれん
- 5分以内のけいれんがあり意識が戻らない
- 激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に(常に・朝が特に高い・夜特に高い)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
感染前に備えられること
インフルエンザ検査キットを用意
薬局や通販で購入することができます。受診前のセルフチェックとして説明書の案内に沿って使用しましょう。
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。