【2024年最新】インフルエンザとは?今年の発生状況や予防接種、コロナや風邪との違いを解説

公開日: 2024/01/07 更新日: 2024/09/29
「今年のインフルエンザってどうなの?」 「コロナと違いってある?」 新型コロナが5類になってからマスクをする人が減り、今シーズン(2024-2025年)もインフルエンザが大流行することが予想されます。 この記事では、インフルエンザの発生状況や予防接種の目的について解説します。 風邪やコロナとの違いについても説明することにより、ピークを迎える前に理解しておきましょう。
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目次

今年(2024-2025)のインフルエンザの発生状況はどうなる?

2024年5月で2023-2024年のインフルエンザ新規感染者の報告は終了しました。

まだ流行期に突入していないことから、2024年8月時点では新規感染者の報告はありません。[1][2]

インフルエンザは毎年11月下旬〜12月上旬頃に流行が始まります。コロナの新規感染者もあとをたたないため、インフルエンザと同時流行も考えられるでしょう。

インフルエンザ予防接種について

インフルエンザの予防接種は9月末から10月頭に医療機関で接種が可能となりはじめます。

ワクチンの推奨時期は11月上旬を目標にしましょう。

推奨時期11月上旬まで
対象者と回数13歳未満は2回
13歳以上は1回
効果や目的インフルエンザの
発症と重症化を抑える
費用相場¥3,500前後
(場所によって異なる)
接種場所全国の医療機関
接種推奨者・インフルエンザの発症や
 症状を抑えたい方
・65歳以上の方・重症化しやすい持病をお持ちの方
インフルエンザワクチン早見表

予防接種は受けるべき?ワクチンの目的や効果について

インフルエンザワクチンには2つの目的と効果があります。

  • 発症をおさえる
  • 重症化をおさえる

ワクチンを接種することによって予防効果につながります。予防接種をしたからといって絶対にインフルエンザ感染しないというわけではありません。

小さな子どもや高齢者はワクチン接種していても感染する可能性が高いです。しかしワクチン接種により、重症化を防ぐことが期待できます。

インフルエンザの発症を抑える

インフルエンザの予防接種を受けたからといって、絶対にインフルエンザにかからないというわけではありません。

しかしワクチンの有効率は50%前後と言われています。統計方法や調査データのばらつき、流行株の変化により正確な数値は出ていません。

インフルエンザに感染し、体の中にウイルスが増え、症状があらわれる『発病』の可能性を少しでも低くすることが可能であれば接種した方がよいでしょう。

インフルエンザの重症化を抑える

インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、重症化を予防することです。

予防接種をしてもかかる可能性があるなら「予防接種をする意味がないのでは?」と感じる方もいるでしょう。

しかしワクチンを打ったからといって「絶対にかからない」ということはありません。ワクチンを接種することによって重症化の確率を下げることができます。

インフルエンザは重症化すると、肺炎や脳症などの重い合併症があらわれます。なかには入院が必要になり、死亡するケースがあるのです。

重症化する可能性が高いのは、基礎疾患のある方や高齢の方です。

65歳以上の特別養護老人ホーム等へ入所している高齢者がワクチン接種したところ、以下の効果があったと発表しています。[3]

  • 34~55%の発病を阻止
  • 82%の死亡を阻止

昨年接種した人でも受けた方がよい

「昨年ワクチン接種したから今年は大丈夫だろう」と考えてはいけません。

インフルエンザにはいくつもの型があり、シーズンごとに流行株が異なります。

ワクチンも『流行すると予測されるウイルス株』を用いたものが製造され、昨年接種したワクチンとは別物になるのです。

昨年接種していても、今年流行が予想される型には免疫がない可能性が高いです。ワクチンは毎シーズン接種することを推奨します。

関連記事:インフルエンザワクチンの2つの効果、接種回数や間隔について解説

インフルエンザワクチンの副反応の可能性について

インフルエンザワクチンは接種した際に副反応が起こる人もいます。

ワクチン接種によって体調が悪くなったりアレルギー症状があらわれたりすることを『副反応』といいます。副反応は軽い発熱や頭痛、発疹などです。

まれに重い副反応をおきており、死亡例も確認されています。

  • 副反応の主な症状と発生確率
  • まれな副反応の症状
  • 接種後の死亡件数

上記の2点について詳しく解説します。

副反応の主な症状と発生確率

インフルエンザワクチンの副反応には2つのケースがあります。ひとつは接種(注射)をした場所の周辺に出る反応、もうひとつは体の全身に出る反応です。

反応する場所接種した場所全身性の反応
症状赤み(発赤)
はれ(腫脹)
痛み(疼痛)
発熱
頭痛
寒気(悪寒)
だるさ(倦怠感)
確率10~20%5~10%
期間通常2~3日通常2~3日
参考:インフルエンザQ&A|厚生労働省 

いずれも数日以内に治りますが、多くの方は接種場所にあらわれます。しかし全身に症状があらわれる方も少数いるため、注意が必要です。

まれな副反応の症状

まれな確率ではありますが、インフルエンザの予防接種によって重い副反応が出ることが報告されています。
症状が発生するまでは、短期間でおこるものと時間が空いてからおこるケースがあることを覚えておきましょう。

病名症状発生までの期間
アナフィラキシー4時間
喘息発作24時間
けいれん7日
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
脳炎・脳症
脊髄炎
ギラン・バレ症候群
視神経炎
血小板減少性紫斑病
血管炎
肝機能障害
ネフローゼ症候群
間質性肺炎
皮膚粘膜眼症候群
急性汎発性発疹性膿疱症
28日
参考:インフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告として医師に報告が義務付けられている症状と接種から症状発生までの期間|インフルエンザQ&A Q.33 厚生労働省

※報告された副反応の原因がワクチン接種によるものかどうかは、必ずしも明らかではありません。

紹介した症状のなかで、アナフィラキシーショックはワクチン接種後すぐに起こることが多いです。接種後30分間は医療機関内で安静にしてください。

帰宅後に異常を感じる場合もあるため、違和感を感じたら速やかに医師に連絡しましょう。

接種後の死亡件数

インフルエンザワクチン接種後に死亡するケースは、毎年0〜4件報告されています。しかし年間数2000万件近い接種者がいるなか、死亡例が数件というのは極めて低い確率です。

報告例はほとんどが基礎疾患等がある高齢者でした。ワクチン接種が直接の死亡の原因であるとは認められていません。

関連記事:インフルエンザ予防接種は受けるべき? ワクチンの効果や注意点について詳しく解説

ワクチン接種についての詳細

インフルエンザワクチンに関して知っておくことは以下の3点です。

  • インフルエンザワクチン接種の対象年齢や接種回数について
  • 予防接種の費用の相場について
  • コロナワクチンとの同時接種について
  • 流行前の接種タイミングとワクチンの供給量について

インフルエンザワクチンは接種する対象年齢によって接種回数も異なってきます。その際にかかる費用感もしっかり理解しておくことが大切です。

インフルエンザワクチンは年齢によって接種回数が定められています。

年齢接種回数1回の注射量
生後6ヶ月以内ワクチン接種不可
6ヶ月以上3歳未満2回接種
※1回目から2回目の接種は
 2~4週間の間隔をあける
0.25mL
3歳以上13歳未満2回接種
※1回目から2回目の接種は
 2~4週間の間隔をあける
0.5mL
13歳以上原則は1回接種0.5mL
参考:インフルエンザQ&A【インフルエンザワクチンの接種について】|厚生労働省

6ヶ月以上13歳未満の子どもは、ワクチンを2回接種する必要があります。なぜなら13歳未満の子どもは、1回接種後だけでは高い抗体価の上昇が得られないためです。

乳幼児についても発病防止、重症化予防に関する有効性が報告がされています。[1]

生後6ヶ月を越えれば予防接種が受けられるようになります。外出の機会が増える1歳頃になったら予防接種を受けましょう。

予防接種の費用の相場について

ワクチン接種費用ですが、3,500円前後が一般的な相場です。

病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則的に全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。

予防接種法に基づく定期接種の対象者※や対象年齢によっては、接種費用が公費負担されている地域もあります。(※結核や日本脳炎などの重篤な症状のある伝染病をお持ちの方)

詳細についてはお住まいの市区町村の保健所や保健センター、医療機関に問い合わせください。

関連記事:インフルエンザワクチンの料金の違いや自治体ごとの補助制度について解説

コロナワクチンと同時接種はできる

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種は可能です。

インフルエンザワクチンにはウイルスとしての働きはないため、コロナワクチンと同時に接種することができます。

コロナワクチンはインフルエンザワクチン以外と同時に接種できないため注意してください。

流行前の接種タイミングとワクチンの供給量について

インフルエンザワクチンは遅くとも11月下旬までの接種が望ましいでしょう。

例年12月頃からインフルエンザが流行し、1月~3月上旬に流行のピークを迎えるためです。

2023年シーズンにインフルエンザが数年ぶりに大流行したことから、供給量については2024年も多く確保されることが期待できます。

生産ラインが増強がされることが予測されているとはいえ、供給量が不足する可能性も高いです。流行が始まるまでに接種したい方は早めに申し込みを行ってください。

インフルエンザとは?特徴や種類を簡単に解説

インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする感染症です。口や鼻から入ったインフルエンザウィルスが、喉の粘膜などで増えて起こります。

毎年11月~翌年3月に爆発的に流行します。ウイルスには複数の種類がありますが、警戒すべきはA型とB型です。

  • インフルエンザの歴史と名前の由来
  • インフルエンザウイルスの種類

上記2点について簡単に解説します。

インフルエンザの歴史と名前の由来

インフルエンザは16世紀のイタリアの占星家たちによって名付けられたと言われています。
占星家たちは、病の流行が周期的に起こることから『星や寒気の影響によるもの』と考えていました。

周期的に流行する病の名前を「影響」の意味をもつイタリア語のinfluenzaから名付けました。

世界で最初に大流行したインフルエンザは「スペイン風邪」と言われています。

スペイン風邪の感染者数は約5億人とも言われ、当時の世界の人口(18~20億人)の3割ほどが感染したと推定される数です。

インフルエンザウイルスの種類

インフルエンザには、大きく分けてA型、B型、C型、D型の4つの種類があります。

ヒトに感染するのはA型、B型、C型3種類のみです。さらにA型のウイルスには表面の構造の違いにより、さらに細かい種類に分かれます。

型名性質症状流行の仕方
A型ヒトに感染する
非常に変異しやすい
インフルエンザの典型的な症状大きな流行を起こす
B型ヒトに感染する
変異しにくい
インフルエンザの典型的な症状あまり流行しない
C型ヒトに感染する
変異しにくい
軽い風邪の症状のみあまり流行しない
D型家畜にしか感染しない

インフルエンザの典型的な症状は発熱や全身の頭痛、寒気、だるさです。

流行的な広がりを見せるのはA型とB型のインフルエンザで、C型に感染するのはまれです。D型は家畜にしか感染しないため3種類といわれることもあります。

1シーズンで何度もインフルエンザにかかる理由

インフルエンザは「1シーズンに1度でも感染すれば、そのシーズンはもう感染しない」というものではありません。

ヒトが感染するインフルエンザウイルスには大きく分け3種類あり、A型ウイルスは変異を繰り返すため多くの種類があります。

シーズン中は『まったく同じウイルスにしか感染しない』保証はありません。

インフルエンザとはいえ種類が違えば別のウイルスであるため、免疫ができていても再度感染することも否定的です。

新型インフルエンザは季節性インフルエンザになる

インフルエンザには『新型インフルエンザ』と『季節性インフルエンザ』があります。

インフルエンザであると診断されても2つの種類があるため、どちらに感染しているのか自分ではわかりません。

どのような違いがあって定義されているのかを簡単に解説します。

新型インフルエンザ

A型インフルエンザが変化が変化していったものを新型インフルエンザと呼びます。

新型インフルエンザは世界的な大流行(パンデミック)を引き起こし、多くの感染者・死者を出します。

過去には、以下のような例があります。

年代呼称ウィルスの型
1918~1919年スペイン風邪A(H1N1)亜型
1957~1958年アジアインフルエンザA(H2N2)亜型
1968~1969年香港インフルエンザA(H3N2)亜型
2009~2010年pdm2009A(H1N1)
2013〜鳥インフルエンザA(H7N9)

季節性インフルエンザ

季節性インフルエンザは、季節的な流行を繰り返します。

新型インフルエンザが世界中に流行したあとに多くの人々は免疫を獲得できます。すると新型インフルエンザは季節性のインフルエンザへと落ち着いていきます。

新型インフルエンザ「pdm2009」A(H1N1)についても、平成23(2011)年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われることになりました。

インフルエンザ・風邪・コロナの症状や原因の違い

 インフルエンザ風邪コロナ
症状発熱(通常38℃以上の高熱)
喉の痛み
頭痛、倦怠感、筋肉痛など
発熱(通常37℃〜38℃程度)
喉の痛み、鼻汁、咳等
全身症状はあまり見られない
発熱(通常37℃以上)
せき、頭痛、倦怠感、
味覚障害、食欲不振
発症突然現われるゆるやかゆるやかだが、
急変化する場合もある
治療方法対症療法
抗インフルエンザ薬
対症療法が中心対症療法
コロナワクチン
原因インフルエンザウィルス様々なウイルスコロナウィルス
潜伏期間1~3日間1~3日間7〜12日間

インフルエンザには抗ウィルス薬がありますが、症状が出てから処方までの時間が重要です。
後述しますが、疑わしい症状が出たらすぐに病院に行って薬を処方してもらうと、症状が軽くなり完治までが早くなります。

インフルエンザの見分け方

インフルエンザが風邪やコロナウィルスと大きく違う点は、「症状が急激に現れる」ことです。

  • 38℃以上の急激な発熱
  • 全身の筋肉痛、関節痛

これらの症状が急激に現れた場合は、インフルエンザの可能性があります。

逆に言えば、咳、鼻水、喉の痛みなどは、風邪でもインフルエンザでも現れる症状です。
潜伏期間も違う点ですが、症状が出るまで気がつきにくいため、見分けがつきません。
特にかぜとコロナは見分けがつきにくく、正確な判断をするためにはPCR検査などを行う必要があります。


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重症化・死亡するケース(ハイリスク群)

ハイリスク群とは、インフルエンザにかかると重症化しやすい、リスク(危険性)の高い人のことです。
ご本人様、もしくはご家庭内の方で

  • 重症化しやすい持病を持っている
  • 65歳以上のご高齢
  • 5歳未満の(特に2歳未満)幼児や乳幼児

このような方がいらっしゃれば、予防に努めてください。

重症化しやすい持病をお持ちの方

以下のような持病をお持ちの方は、インフルエンザにかかると重症化しやすくなります。

  • 呼吸器系(喘息・慢性肺疾患)
  • 循環器系(心不全)
  • 血液疾患
  • 肝臓・腎臓病
  • 代謝障害
  • 糖尿病
  • 神経学的疾患、神経発達障害
  • ステロイド内服などによる免疫機能不全

定期的に予防接種を受けるなどして、感染を予防しましょう。

65歳以上の高齢者

御高齢の方や免疫力の低下している方は、インフルエンザ後に肺炎を伴う等、重症になることがあります。
流行の大きい年には、インフルエンザ死亡者数および肺炎死亡者数が明らかに増加します。
これは、インフルエンザの感染によって循環器系や呼吸器系の持病の悪化を招くからです。

5歳未満の(特に2歳未満)幼児や乳幼児

5歳未満の(特に2歳未満)幼児や乳幼児のお子様は、インフルエンザによってまれに急性脳症を伴う等、重症になることがあります。
中耳炎、熱性痙攣や気管支喘息を誘発することもあるので、小さいお子さんがいる家庭は特に予防接種を推奨します。

インフルエンザにかかったときは

もしインフルエンザにかかったときは、すぐに病院に行って治療薬をもらうと症状が和らぎます。
病院に行かないと治りが遅くなるだけでなく、症状も重いままです。

インフルエンザの治療方法

インフルエンザの治療方法には、一般療法と薬物療法があります。

自宅で免疫力を高める「一般療法」

一般療法は、自然治癒力によってインフルエンザを治す方法です。
まずは休養(特に睡眠)や、水分や栄養を十分にとります。
加えて、室内の保温・保湿、暖かくして過ごすなど、免疫力を高めましょう。

特に水分補給については疎かになりがちなので、十分な水分を補給してください。
どんなものを飲めばいいかはあまり気にせず、とにかくたくさん飲んでおくことが重要です。

具合が悪ければ早めに医療機関を受診し、治療を受けましょう。

関連記事:インフルエンザを早く治すために食べた方が良いものは?

病院で処方してもらう「薬物療法」

薬物療法は、インフルエンザ治療薬を使ってインフルエンザを治療する方法です。
症状を和らげるための薬剤を使う「対症療法」と、原因となるウイルスの増殖を抑えて感染の拡大を防ぐ「原因療法」があります。
対症療法では、熱を下げるお薬である解熱鎮痛薬や、黄色痰(たん)などの細菌を殺す抗菌薬を使います。
原因療法では、次で解説するインフルエンザの治療薬を使います。

最速で治すならインフルエンザ治療薬

インフルエンザは対症療法でも治りますが、最速で治すならインフルエンザワクチン治療薬を飲みましょう。
ただし、発症から48時間以内に飲むことで、効果が現れやすくなります。

関連記事:スピード回復!インフルエンザを最速で治すには

ウイルスの増殖を抑える効果は48時間以内に

インフルエンザ治療薬は、ウイルスの増殖を抑えて感染の拡大を防ぐ役割があります。
熱が出る期間は約1~2日間ほど短くなり、鼻やのどからのウイルス排出量も減少するでしょう。

重要なのは、発症後できるだけ早く服用を開始することです。
インフルエンザウイルスは増殖のスピードが速いため、症状が出現して48時間以内にウイルスの増殖のピークがきます。
発症してから48時間以内であれば、抗インフルエンザ薬のウイルスの増殖を抑える効果が期待できます。
しかし、48時間以上経過してしまうと、すでにウィルス増殖はピークを過ぎているため、お薬の効果が現れにくくなります。

一般的な4種類の抗インフルエンザ薬

一般的には、抗インフルエンザ薬は以下の4種類がよく使われています。

成分名商品名
オセルタミビルリン酸塩タミフル等
ザナミビル水和物リレンザ
ペラミビル水和物ラピアクタ
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物イナビル

他にも、アマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル等)やバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)などがありますが、有効性の観点からあまり使用されていません。

副作用や異常行動に注意が必要

抗インフルエンザウイルス薬は、服用後の異常行動が報告されています。
異常行動とは、突然走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロするなどの行動です。
極めてまれですが、転落等による死亡事例も報告されています。

なぜ、このような異常行動が起きるのか不明ですが、これまでの調査結果では

  • インフルエンザにかかった時には、抗インフルエンザウイルス薬を服用していない場合でも、同様の異常行動が現れる
  • 異常行動は、服用した抗インフルエンザウイルス薬の種類に関係なく現れる

ことが報告されているため、抗インフルエンザウイルス薬が直接の原因とは言えません。
インフルエンザにかかった際は、薬を飲んでいてもいなくても、異常行動に対して注意が必要です。
特に、12歳未満の小児に薬を投与する際は、もし異常行動が起きた時に対応できる人が近くにいるかどうか、慎重に検討してください。

薬剤耐性インフルエンザウイルスとは

薬剤耐性インフルエンザウイルスとは、本来有効である抗インフルエンザウイルス薬が効かない、あるいは効きにくくなったウイルスのことです。
このウイルスは、ウイルスが増殖する過程で、特定の遺伝子に変異が起こることによって生じると考えられています。

ただし、これらのウイルスが検出される割合は、1~10%程度とわずかなものです。
一部で薬剤耐性インフルエンザウイルスが生まれたとしても、全てのウイルスに薬剤耐性がつくわけではありません。
引き続きインフルエンザ治療薬は有効ですので、症状が現れたら可能であれば病院に行って薬を処方してもらいましょう。

インフルエンザの検査方法

インフルエンザの検査方法には、病院で行う粘膜から抗原を採取する方法と、抗原検出キットを使う方法があります。

最も確実な診断方法では時間がかかる

最も確実なインフルエンザの診断方法は、病院を受診することです。
喉をぬぐった液、もしくはうがい液からウイルス採取して検査します。
しかし、これらの検査は結果がでるまでに時間(数日)がかかるため、後述する診断キットを使用している医師も多くなっています。

インフルエンザ抗原検出キット

インフルエンザ抗原検出キットは、20~30分で簡易的な病原診断をすることできます。
コロナウィルスの発生を受けて一般向けにコロナ検査キットが流通していますが、まだインフルエンザの検査キットは市販されていません。
医療機関に対しては既にインフルとコロナの「同時抗原検査キット」が流通しており、もしこれが市販されれば、医療機関の業務負担は軽減されると思われます。
ただ、コロナ検査キットの販売も政府としては「あくまで特例措置」と認識しているようなので、実現される見込みは高くないでしょう。


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登校や出勤を再開するまで

インフルエンザにかかると、発症後3~7日間はウイルスを排出していると言われています。
(※個人差はあります)
一般的な風邪と違い、インフルエンザは咳等で空気中に飛び散ったウイルスからも感染します。
感染力が強いので、感染したまま学校に行ったり出社したりすると、感染を拡大させるになります。

学校への登校は発症後5日&解熱後2日は禁止

学校への登校禁止については、学校保健安全法(昭和33年法律第56号)で明確に記載があります。

イ インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで。

学校保健安全法 第十九条 (出席停止の期間の基準)

インフルエンザを発症したら、

  • 5日を経過していること
  • 解熱から2日経過していること

このどちらも満たした場合のみ、通学を復帰しましょう。

関連記事:インフルエンザの出席停止期間の早見表|幼児と大人の違いについて

会社への通勤も発症後5日&解熱後2日は禁止とすべき

学校の場合は学校保健安全法にルールが書かれていますが、企業には法的な基準がありません。
しかし、多くの企業では学校保健安全法の出席停止の期間の基準に則って、

  • 発症から5日を経過していること
  • 解熱から2日経過していること

のような就業規則を定めています。

職場に復帰する際の治癒証明書や陰性証明書については、一般的には提出する必要はありません。
インフルエンザの陰性を証明することがそもそも困難ですし、医療機関に過剰な負担をかける可能性もあります。
職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくないでしょう。

インフルエンザの予防方法

インフルエンザの予防するために、最も効果的なのは予防接種をすることです。
その上で、免疫力を高めて感染経路を経つことで、感染を防ぐことができます。

予防接種を受ける

インフルエンザが流行する12月より前に、ワクチン接種を済ませましょう。
感染を完全に防ぐことはできませんが、重症化を防ぐことができます。

免疫力を高める

十分な休養と、バランスのとれた栄養摂取によって、体の抵抗力を高めましょう。
また、空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。
乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

飛沫感染を防ぐ

咳やくしゃみをすると、前方2mまでウィルスが飛散します。
このような飛沫感染は、咳エチケットを守ることや、マスクの着用によって防ぐことができます。

また、通勤時間をずらすなどして人混みを避けたり、そもそも外出を控えることで感染リスクを減らすことができます。
止むを得ず外出する場合は、マスクを必ず着用しましょう。

なお、風邪予防の方法として一般的な「うがい」ですが、実は”インフルエンザの予防効果に関する科学的根拠は未だ確立されていない。”
として厚生労働省首相官邸のホームページでは強く推奨していません。

接触感染を防ぐ

電車のつり革、ドアノブなど他の人が触れた所を触ることによる接触感染にも注意です。
その手で目や鼻を触ってしまうと、粘膜から感染してしまいます。

接触感染を防ぐためには、せっけんで入念に手を洗うことが効果的です、
帰宅後や料理の前など、石鹸による手洗いで手についたインフルエンザウイルスを除去しましょう。
インフルエンザウイルスには、アルコールによる手指消毒も効果がありますので、コロナ対策と併せて行ってください。

参考文献

[1]The effectiveness of trivalent inactivated influenza vaccine in children over six consecutive influenza seasons

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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