【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119(救急車)
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 呼吸状態がおかしい
- 呼びかけても目線が合わない/目を開けない
- 呼びかけに返事がない/反応がはっきりしない
- けいれんしている
- 出血が多い/止まらない
- 話している内容がおかしい
- 普段は歩けているのに歩けない
至急受診を(救急外来)
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに救急外来を受診しましょう。
- 90cm以上の高さから落下した(2歳未満)※あくまで目安
- 150cm以上の高さから落下した(2歳以上)※あくまで目安
- おでこ以外のたんこぶ(2歳未満)
- 3回以上繰り返し嘔吐した
- けいれんした(すぐにおさまった場合も含む)
- 5秒以上意識を失った(その後意識が戻った場合も含む)
- 眠りがちでいつもと比べて様子がおかしい
- なんとなく意識がおかしく元気がない、遊ばない
- 同じ会話を繰り返す
- 会話の反応が鈍い
- 意識がいつもと違う
- パンダのように目が紫色になっている
- 鼻や耳から血が出ている
早めに受診(脳神経外科)
以下の症状に一つでも当てはまる場合は早めに脳神経外科を受診しましょう。
- 意識ははっきりしていて他に症状はないが、傷から血が止まらない
- 上記の症状に当てはまらないが不安なとき
様子をみてもよい
以下の場合は様子をみてもよいでしょう。気になる症状があれば速やかに受診してください。
- 頭をぶつけた後、意識の確認や頭のぶつけかたと状態の確認ができ、24時間観察して問題がない場合
- (子どもの場合)食欲や元気が戻っている場合
頭を打ったときの対処方法は?気にかける順番とポイントを解説
1. 意識がはっきりしているか確認し、様子がおかしければ119番を
頭部を揺らしたりしないように、肩をたたき名前を呼びましょう。
目線を合わせて呼びかけにはっきり応えられたら、意識がはっきりしていると捉えます。
目線が合わない・目を開けない・呼びかけに返事がない・反応がはっきりしない場合は119番へ
赤ちゃんの場合:まったく泣かない・ぼーっとしている場合は119番へ
2. 頭のぶつけ方と状態の確認をする
- どのようにぶつけたのか
- 転落の場合どの高さから落ちたのか
- 頭のどこをぶつけたのか
- 傷があるか
- 出血があるか
- たんこぶができていないか
- 嘔吐していないか
- 打った部分がへこんでいないか
最初の状態は必ず覚えておくようにしましょう。24時間観察をおこなうときの基準になります。スマートフォンでの撮影も役に立ちます。
頭部は傷が小さくても出血が多くなりやすいです。慌てずに対処しましょう。
傷口に砂や泥がついている場合、清潔な水で洗ってください。出血している場合、清潔な布やタオルで圧迫止血をおこない、5〜10分ほど圧迫止血をおこなっても止まらない、出血が多い場合には医療機関を受診しましょう。
3. ぶつけた直後は平気でも24時間は注意が必要!観察と過ごし方
頭をぶつけてから24時間は急に具合が悪くなるなど、状態が変化する可能性が高いです。
ぶつけた直後に症状がなくても、脳内でじわじわと出血が起きていることがあるため、症状があらわれるまでに時間がかかることがあるのです。
とくに最初の6時間は急に具合が悪くなる可能性が高いです。注意深く様子を観察しましょう。
安静にして過ごす
子どもの場合、無理に寝かせたりする必要はありません。自然に過ごす様子も元気があるかどうかを判断できるため大切です。
入浴、運動、飲酒は避ける
出血を悪化させる可能性があるため24時間は避けましょう。シャワーは可能です。
以下の様子がないか観察する
- 頭痛が徐々に強くなる
- 吐き気や嘔吐がある
- 意識状態が悪くなってきた
- ものが二重に見える、はっきり見えずぼやける
- 手足が動かしにくい
- 機嫌が悪い
- 食欲がない
- ミルクの飲みが悪い
24時間以内に危険な症状があらわれた場合や、頭痛の悪化、嘔吐をするようになった、意識がぼんやりとしてきたなどの症状があらわれた場合、状態が悪化している可能性があります。
速やかに救急外来を受診しましょう。
4. 赤ちゃん・子どもが頭をぶつけたときの観察ポイント
子どもの受診に迷ったら
とくに5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
赤ちゃんの観察方法
赤ちゃんの場合、頭をぶつけてしまったショックや、その後に泣いた疲れから眠ってしまうことがよくあります。
頭をぶつけたことで意識状態が悪くなっているのではないかと心配になると思います。
頭をぶつけた直後に意識状態が確認できていれば、顔色や呼吸の仕方を観察しながら様子をみましょう。
様子を観察している間に、顔色が悪くなってきた、変な呼吸をしている、嘔吐したといった症状があらわれればすぐに医療機関を受診しましょう。
様子に変化がなければ2時間を目安に起こして、もう一度意識状態に変化がないか確認をしましょう。
夜に頭をぶつけて睡眠時間と重なってしまった場合も同じような対処が必要です。
不安がある場合は医療機関へ相談しましょう。
5. けいれんが起きたら119番を
頭部をぶつけた直後にけいれんした場合、救急車を呼び、必ず病院を受診する必要があります。
けいれんが起きたらまずは以下のように対処し、患者の安全を確保しましょう。
患者を左横向きにする
- 呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉につまったり、肺や気管に入ることを防ぎます
- 呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
衣服を緩める
- 呼吸がしやすいように衣服をゆるめましょう
けいれんしているときには抑えない・むやみに触らない
- けいれんは抑えても治りません。
- 無理に力を加えることで怪我の原因や刺激になるためやめましょう。
119番(救急車を呼ぶ)
- 頭を打った、高いところから落ちたなど状況の説明
- けいれんを起こしていることを伝える
6. 血液をサラサラにする薬は要注意
抗血小板薬や抗凝固薬など、血液をサラサラにする薬を内服している場合、薬の効果で血液がサラサラになっているため出血リスクが高まります。
とくに高齢者は、そういった薬を飲んでいる方が多い傾向にあり、軽い打撲でも状態が悪化しやすくなってしまいます。
また、頭をぶつけてから数週間〜数か月後に症状があらわれる場合もあります。
頭をぶつけてから時間が経過していると、起こっている症状との関連性がないと思われ、見落とされてしまうこともあります。
薬を内服している場合はとくに、じわじわと出血が続きゆっくりと症状が出る場合があることを知っておきましょう。
受診するときのポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとスムーズです。
余裕があればメモを作成しておくとさらに安心です。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に症状があるか(朝・夜など)
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病薬の内服歴(特に抗血小板薬など)
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
知っておこう!頭をぶつけたときに気にかけたい4つのポイント
頭をぶつけたらすぐに受診が必要な症状を確認する
頭をぶつけた後、すぐに症状が出る場合とそうでない場合があります。
頭をぶつけてすぐに以下のような症状がある場合は、脳内で出血を起こしているなどの可能性があります。
速やかに119番もしくは救急外来を受診しましょう。
- 意識がはっきりしない(なんとなくおかしい)
- 何度も嘔吐する
- 頭をぶつけたあとけいれんした
- 頭をぶつけたあとから激しい頭痛が続いている
医師が必要と判断した場合に、脳の状態を確認するためにCTやMRIなどの画像検査がおこなわれます。
また、検査結果次第では手術が必要な場合もあります。
そのため危険な症状があらわれている場合には、昼夜を問わず救急外来を受診しましょう。
自力ですぐに受診できない場合は119番へ連絡してください。
ぶつけた直後は平気でも24時間は注意が必要
頭をぶつけてから24時間は急に具合が悪くなるなど、状態が変化する可能性が高いです。
ぶつけた直後に症状がなくても、脳内でじわじわと出血が起きていることがあるため、症状があらわれるまでに時間がかかることがあります。
とくに最初の6時間は急に具合が悪くなる可能性が高いです。注意深く様子を観察しましょう。
その後も急に具合が悪くなるリスクはあり、24時間以内の変化は頭をぶつけたことと関連している可能性が高いです。
「時間が経っているから大丈夫」と考えず経過を観察しましょう。
とくに子どもや高齢者では、症状があらわれにくく気付きにくい場合があります。症状に注意して観察をおこないましょう。
24時間以内に危険な症状があらわれた場合や、頭痛の悪化、嘔吐をするようになった、意識がぼんやりとしてきたなどの症状があらわれた場合、状態が悪化している可能性があります。速やかに救急外来を受診しましょう。
脳出血や脳細胞の損傷が起きることも
人間が生きるために必要な指示は全て脳から体へ送られています。
何事もない場合もありますが、頭をぶつけたとき、打ちどころによっては脳そのものが傷つく場合や、脳血管からの出血により脳が圧迫されることで機能が維持できなくなることがあります。
脳の細胞は一度損傷すると傷のようには治らないため、後遺症が残ることもあります。
頭をぶつけたときには危険性を理解した上で、適切に対処することが大切です。
子どもは転びやすく症状に気付きにくい
赤ちゃんや子どもは頭が重たく重心が上にあるため、バランスを崩しやすい上、転ぶと頭を打ちやすい傾向にあります。
子どもの頭は頭蓋骨がやわらかく、骨が分かれているため、脳内で出血していても症状が出にくく時間がかかるという特徴もあります。
頭部の外傷(頭をぶつけた)が関連する病気
頭部の外傷後に発症する可能性がある病気
- 急性硬膜下血腫
- 急性硬膜外血腫
- 慢性硬膜外血腫
- 外傷性くも膜下血腫
- 脳浮腫
- 脳挫傷
- 脳しんとう
緊急で受診したいときに備えておくと便利なこと
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。
「対処法を調べる」監修医師

こうだたかゆき
神田貴行医師
日本小児科学会専門医/博士(医学)
島根大学医学部臨床教授
コンサータ登録医
鳥取大学医学部卒業後、小児科医として16年間病院勤務、11年間発達障害児対応クリニック院長を務めた。現在は小児科を中心にオンライン診療等を行うフリーランス医師としても活動中。
この記事は医師監修のもと、ファストドクター株式会社が制作しています。