ヘルパンギーナは夏風邪の一種?手足口病との違いについても解説

公開日: 2024/05/21 更新日: 2024/06/25
ヘルパンギーナは夏に流行する夏風邪の一種です。子どもの間で流行しますが、年齢に関係なく誰でもかかる可能性があります。 「もし家族がヘルパンギーナにかかったらどうすればいいの?」 「保育園や学校はいつまで休まなければいけないの?」 「そもそもヘルパンギーナってどんな病気?」 このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 この記事ではヘルパンギーナの症状や治療法、感染予防、登校や登園に関する疑問にお答えします。 また、ヘルパンギーナとよく似た手足口病との見分け方についても解説します。 例年7~8月に流行のピークを迎えますので、この記事を読んで特徴や感染対策を確認し、慌てないようにしましょう。
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夏風邪ってどんな病気のこと?

夏風邪は、夏の時期に流行するウイルス性の感染症です。

症状は発熱やのどの痛み、鼻水、くしゃみ、下痢、目やになどさまざまで、子どもの間で流行します。しかし大人も感染しないわけではありません。

ほとんどは軽傷で治りますが、まれに重症化することもあるので注意が必要です。

夏風邪の原因は主にエンテロウイルスやアデノウイルスで、これらは冬に流行するものとは違い、高温多湿な環境を好みます。

夏風邪の代表的なものは以下の3つです。

  • ヘルパンギーナ

  • 咽頭結膜熱(プール熱)

  • 手足口病

なかでも手足口病はヘルパンギーナと同じエンテロウイルスで発症し、症状がよく似ています。[1][2]

関連記事:こどもの夏風邪は主に3種類!治療薬はあるの?それぞれの特徴や予防法についても解説

ヘルパンギーナってどんな病気?

ヘルパンギーナは夏に流行する急性のウイルス性咽頭炎で「のど風邪」と呼ばれることがあります。

流行は毎年6月頃からはじまり、7~8月にピークを迎えます。

主な症状は発熱と喉の周辺にできる水疱(水ぶくれ)です。水疱はつぶれると強い痛みを伴い、食欲が落ちてしまう原因となります。これにより脱水症状になることがあるので、こまめな水分補給が大切です。

感染者の90%以上は5歳以下の乳幼児です。中でも1歳代がもっとも多く、年齢が上がるにつれて減っていきます。

大人でもかかることがあるため、子どもの看病をするときは感染しないよう気を付けましょう。[2][3]

関連記事:「ヘルパンギーナについて知っておきましょう」

関連記事:大人のヘルパンギーナに注意しましょう

関連記事:「ヘルパンギーナは兄弟間ではうつりやすい?家庭での対応方法を紹介」

ヘルパンギーナの症状

では具体的にどのような症状があり、どんなことに気をつければよいのでしょうか。症状と注意点について解説します。

ヘルパンギーナの特徴的な症状は急な発熱と口の中、とくに喉の周辺にできる小さな水疱(水ぶくれ)です。

このほかに、全身倦怠感や嘔吐、両腕や両足の痛みがあらわれることもあります。

一般的に2~4日で解熱し、水疱は1週間程度で自然に消えていきます。

水疱はつぶれると強い痛みが出て、食欲が低下し脱水症状になることがあるため、こまめな水分補給が大切です。

また、ほとんどの場合は軽傷ですみますが、急激に発熱するため熱性けいれんを起こす場合や、まれに無菌性髄膜炎や心筋炎を合併することがあります。[4][5][6]

その場合は入院治療が必要になります。発症後2~3日しても高熱や頭痛が続く、嘔吐を繰り返すなどの症状がみられるときは医療機関を受診しましょう。

このほかに首のリンパが腫れたり、喉の違和感が長引いたりすることもあり、これらは大人に強くあらわれる傾向があります。[2][3][4]

関連記事:「夏風邪の症状って?コロナとの見分け方や予防法について解説」

ヘルパンギーナの原因菌

ヘルパンギーナの主な原因は「エンテロウイルス」と言われるウイルスになります。

聞いたことがない方も多いのではないかと思いますが、ウイルスが原因である点だけ押さえていただけますと幸いです。

このウイルスが手や口に付着したり、咳やくしゃみなどのしぶきが飛んできたりすることで体内に入り、腸の中で増えてヘルパンギーナが発症するのです。

発症すると、発熱や腹痛などの症状があらわれることがあります。

感染して初めのうちはウイルスがたくさん増えるため、症状が強くあらわれます。この時期には、ウイルスが多く体の外に出てくるので、他の人にうつりやすいのです。

その後も回復してから2~4週間くらいの間は、便のなかにウイルスが残っていることがあります。

また、エンテロウイルスにはさまざまな種類がありますが、そのなかでもヘルパンギーナは「コクサッキーA群ウイルス」というウイルスによって引き起こされます。

さらに、このコクサッキーA群ウイルスにもいくつかの種類が存在するため、一度治っても再度感染してしまう可能性があることを知っておきましょう。[2]

ヘルパンギーナの感染経路

主な感染経路は飛沫感染と経口・接触感染です。

ウイルスを含んだ咳やくしゃみによって飛んだ飛沫(つばしぶき)などを吸い込んだり、水疱や便に排出されたウイルスが、手などを介して目や口の粘膜に入ったりして感染します。

ウイルスがもっとも多く排出されるのは発熱や水疱などの症状が強いときですが、回復後も2~4週間にわたり便からウイルスが排出されるため、便やおむつの取り扱いには注意しましょう。

ヘルパンギーナと手足口病の違い

ヘルパンギーナと症状が似ている夏風邪に手足口病があります。

どちらもエンテロウイルスが原因で発症するウイルス性感染症で、潜伏期間は2~3日程度、主な症状は発熱や水疱性発疹です。

見分けが難しい場合もありますが、違いを表にまとめましたので参考にしてください。[8][9]

 

ヘルパンギーナ

手足口病

主な症状

40度近い高熱

口の中に水疱

発熱(37~38℃)もしくは平熱

口、手、足に水疱

水疱の位置

口の中の奥

(喉の周辺)

口の中の前方

機嫌や食欲

機嫌は悪い

食欲は落ちる

機嫌が良い

食欲はある

関連記事:「手足口病とは?原因・症状・治療方法について解説|【医師監修】」

関連記事:「手足口病になったら保育園はいつから登園できる?登園許可証についても解説」

ヘルパンギーナの治療法はある?

ヘルパンギーナに予防接種や特効薬はありません。

治療法は症状に応じた対症療法をおこないながら、休養を十分に取って自然に回復するのを待ちます。

対症療法と過ごし方について、くわしく見ていきましょう。

対症療法

発熱や頭痛の治療に使うのは、アセトアミノフェンの内服薬や坐薬です。過去に熱性けいれんを起こしたことがある場合は、発熱時に痙攣予防のジアゼパム坐薬を使います。

脱水症状が進んでしまったときは医療機関で点滴治療をおこなうことがあります。

また、無菌性髄膜炎や心筋炎を合併したときは入院治療が必要です。

とくに心筋炎は循環器専門医による治療をおすすめします。

関連記事:「夏風邪の治し方は?1日でも早く回復するための対処法について解説」

水分や栄養を摂り、十分な休息をとることが大事

ヘルパンギーナは特効薬はなく、自分の免疫力で治していく病気です。したがって、十分な水分や栄養、休息を取って免疫力を高めることがもっとも大切です。

とはいえ、高熱や口の中の痛みで食事が進まないこともあるでしょう。その場合は、酸味など刺激のあるものは控え、ゼリーやヨーグルト、プリン、冷たいスープなど、のど越しの良いものを選ぶのがおすすめです。

それでも十分に食事ができないときは、脱水症状にならないようイオン水などをこまめに摂るようにします。

水分が摂れないときは早めに医療機関を受診しましょう。

関連記事:「夏風邪を早めに治す方法は?いつまで長引くのかを解説」

出席停止や登園許可証の必要はある?

もしヘルパンギーナにかかってしまったら、保育園や学校にはいつから行けるのか気になりますよね。

ヘルパンギーナには、出席停止日数に関する明確な規定はありません。出席停止とは欠席扱いにならないお休みのことです。

そのため、ヘルパンギーナにかかったときは学校や園にすぐに連絡をして、お休みする期間や登園・登校許可証などが必要なのかを確認しておきましょう。

登園、登校できる一般的な目安は、解熱して喉の痛みや下痢が改善し、普段の食事が無理なくとれる安定した状態です。[4][8]

 

※学校安全保健法での規定について

ヘルパンギーナは学校安全保健法で第三種「その他の感染症」に分類されていて、対応は学校や幼稚園、保育園の判断に任されています。

したがって、流行の拡大を防ぐために学校や園の判断で学級閉鎖や学年閉鎖、施設閉鎖などの措置がとられることがあります。

ヘルパンギーナの予防方法

ヘルパンギーナの感染を予防するために、まず感染経路と原因ウイルスの特徴を知っておきましょう。

ヘルパンギーナの感染経路は以下の3つです。

  • 飛沫感染:咳やくしゃみなどのしぶきを吸い込み感染

  • 経口感染・接触感染:タオルやおもちゃなどの共用や、水疱や便から排出されたウイルスが手を介して、目や口の粘膜から入り感染

次にヘルパンギーナの原因であるエンテロウイルスの特徴について解説します。

エンテロウイルスはアルコール消毒をしてもあまり効果は期待できません。そのため石鹸と流水による手洗いを基本として、消毒は次亜塩素酸ナトリウム液を使います。次亜塩素酸ナトリウム液は市販の塩素系漂白剤を薄めて作ることができます。

またエンテロウイルスは、症状がおさまった後も咳やくしゃみ、鼻水からは1~2週間くらい、便には2~4週間にもわたって排出されるのです。そのため、発熱や水疱の症状が良くなった後もしばらくは注意しなければなりません。

予防方法をまとめましたので、参考にしてください。[9][10]

  • うがい、石鹸を使った手洗いをこまめにおこなう

  • マスクをする

  • タオルやおもちゃなどの共用はしない

  • 自分用の手拭きタオルや使い捨てのペーパータオルを使う

  • 感染しているときはプールに入らない

  • 感染していなくてもプールの後はシャワーを浴びて、目を洗う

  • オムツ交換時は使い捨ての手袋を使い、交換後は手を石鹸でしっかり洗う

  • 感染している人との密接な接触を避ける

関連記事:ヘルパンギーナは兄弟間ではうつりやすい?家庭での対応方法を紹介

まとめ

この記事では三大夏風邪の一つであるヘルパンギーナについて、症状と治療法、登校や登園に関する疑問、予防方法について解説しました。

ウイルス性咽頭炎であるヘルパンギーナに特効薬やワクチンはありません。

そのためヘルパンギーナにかかったら、十分な休息と栄養をとり免疫力を上げることが大切です。ただし、高熱や口腔内の痛みがあるときは十分な食事が取れないことから脱水症状になりやすいため、水分補給はこまめにおこなう必要があります。

もし高熱や嘔吐、頭痛が続く場合、水分が取れない場合は、合併症や脱水症状の可能性があるため、再度医療機関を受診するようにしましょう。

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参考文献

[1]PowerPoint プレゼンテーション (ncgm.go.jp)

[2]ヘルパンギーナとは (niid.go.jp)

[3]ヘルパンギーナ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

[4]ヘルパンギーナ(夏風邪) | 国立成育医療研究センター

[5]夏のかぜ(手足口病等)

[6]ヘルパンギーナ Herpangina | 東京都感染症情報センター

[7]手足口病に関するQ&A|厚生労働省

[8]3.学校感染症発生時の対応について

[9]ヘルパンギーナが流行しています❕

[10]厚生労働6月号 特集|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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