夏風邪の治し方は?1日でも早く回復するための対処法について解説

公開日: 2024/05/29 更新日: 2024/06/25
暑い季節に風邪症状があらわれると「夏風邪かな?」と思う方も多いでしょう。お子さんがつらい症状で苦しんでいる姿を見ると、1日でも早く治ってほしいと願うものです。 夏に風邪をひいた=夏風邪というわけではなく、一般的にはいくつかの病気をまとめて「夏風邪」といいます。ウイルスによって引き起こされるため、残念ながら特効薬はありません。 長引く夏風邪を1日でも早く回復するためには、効果的に療養する必要があります。 この記事では、夏風邪の症状や経過、1日でも早く夏風邪から回復するための対処法を紹介します。 夏風邪が周りで流行っている方やお子さんが夏風邪のつらい症状に苦しんでいる方は、最後までぜひお読みください。
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夏風邪とは?

夏風邪とは、夏に発熱や咳などの風邪症状があらわれることをいいます。

一般的に夏風邪と呼ばれる病気は以下のとおりです。

  • ヘルパンギーナ

  • 手足口病

  • 咽頭結膜炎

夏風邪は病名ではなく、これらの病気の総称と理解しておきましょう。

6月ごろから患者数が増え始め、7〜8月にピークを迎えます。暑くて湿度の高い時期を好むウイルスによって引き起こされ、特に5歳以下の子どもがかかりやすいです。[1]

夏風邪の原因・症状・経過について

夏風邪を引き起こす「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜炎」は、それぞれ症状と経過が異なります。

症状や原因となるウイルス、感染経路について表にまとめました。

[2][3][4][5]

 

ヘルパンギーナ

手足口病

咽頭結膜炎

原因ウイルス

主な原因はコクサッキーウイルスA群

  • コクサッキーウイルスA6/A16

  • エンテロウイルス71

アデノウイルス

感染経路

  • 接触感染

  • 糞口感染

(便と一緒に排泄されたウイルスが口に入り感染すること)

  • 飛沫感染

  • 飛沫感染

  • 接触感染

  • 糞口感染

  • 飛沫感染

  • 接触感染

プールを介して感染した場合は、汚染した水から結膜に直接感染している

症状

  • 突然発熱し、のどの痛みがあらわれる

  • 口の中に水疱ができる

  • のどが赤く腫れる

  • 口の中、手のひら、足底などに2~3mmの水疱性発疹があらわれる

  • 発熱するケースもある

  • 発熱から始まり、頭痛、食欲不振、全身倦怠感があらわれる

  • 目の充血、目の痛み、目やに等の症状が3〜5日程度続く

経過

  • 口の中の水疱が破れて痛みがあらわれる

  • 2〜4日程度で解熱する

  • 口の中が痛むため脱水症を引き起こすことがある

  • 回復後2〜4週間にわたり便と一緒にウイルスが排出されることがある

  • 数日間のうちに回復する

  • まれに髄膜炎や脳炎など合併症を引き起こすこともある

  • 症状が治った後、一時的に手足の爪がはがれることがある

  • 目の症状は片方から始まり、その後他方にもあらわれるケースが多い

  • 後頚部のリンパ節の腫れと圧痛があることがある

  • 新生児に感染した場合は重症化しやすい

関連記事:ヘルパンギーナは夏風邪の一種?手足口病との違いについても解説

関連記事:ヘルパンギーナについて知っておきましょう

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夏風邪を1日でも早く治すためにできること

夏風邪を早く治すためには、他のウイルス感染症と同様に対症療法が大切です。

夏風邪と呼ばれる「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜炎」はウイルス感染症であり、抗菌薬などの特効薬はありません。

高熱が続きつらい時は解熱剤、咳・鼻水がひどい場合は咳止め・鼻水止めを処方通りに服用すると良いでしょう。症状を和らげながら、しっかり免疫力を高めることが早く治す一歩となります。

薬を使う以外で、夏風邪を1日でも早く治すためにできることには、以下のようなものがあります。

  • 十分な休息をとる

  • しっかりと水分補給をする

  • 栄養をとる

特に、ヘルパンギーナや手足口病の場合、口の中やのどに痛みを感じます。のどごしの良いもの(ゼリーや冷たいスープなど)が摂取しやすいです。

また、脱水を防ぐため、こまめに水分摂取しましょう。少し糖分の入ったスポーツドリンクやジュースなら低血糖防止も期待できます。

自宅療養中は症状の変化に注意しながら、無理せず過ごしましょう。

関連記事:夏風邪を早めに治す方法は?いつまで長引くのかを解説

家族間で夏風邪を広めないための予防法は?

家族間で夏風邪を広めないためには基本的な感染対策が重要です。何気ない家庭での行動が、夏風邪を広めてしまう原因となってしまいます。

以下の点に注意して家庭内で感染対策をしましょう。[2]

手洗いうがいをこまめにする

夏風邪はウイルス感染症です。ウイルスがついた手で目・鼻・口をさわると体内にウイルスが侵入し感染する可能性があります。

帰宅時は手洗いうがいを心がけましょう。

また、感染した人の看病をした後など自宅内でもこまめに手洗いをすると効果的です。

家族間でタオルの共用をしない

感染した人が使用したタオルを共用すると接触感染のおそれがあります。

タオルだけでなく、歯ブラシや食器類も共用しないようにしましょう。

オムツ替えのあとは流水と石鹸でよく手洗いする

夏風邪のうち、ヘルパンギーナと手足口病は糞口(ふんこう)感染します。

特にヘルパンギーナは回復後も2〜4週間にわたって便と一緒に排出されます。オムツ替えのあとは必ず手洗いをしましょう。

使い捨ての手袋を使用すると良いでしょう。

子どもの食べ残しを食べない

夏風邪に感染している子どもの唾液から感染してしまう可能性もあります。子どもの食べ残しは口にしないようにしましょう。

夏風邪の保育園登園の目安は?

子どもが夏風邪にかかったら、どのくらいで保育園に登園してもよいのか気になりませんか?いつまで自宅で経過を観察したらよいか迷うでしょう。

保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)によると、感染症にかかった子どもが登園する際には以下の対応が必要です。

  • 子どもの健康(全身)状態が保育所での集団生活に適応できる状態まで回復していること

  • 保育所内での感染症の集団発生や流行につながらないこと

引用元:[6]厚生労働省|保育所における感染症対策ガイドライン

ただし、病気によって具体的な観察内容が異なります。夏風邪と呼ばれる病気の登園目安は以下のとおりです。[6]

 

登園の目安

登園許可

咽頭結膜炎

下記のような状態になった後2日経過していること。

  • 発熱症状やのどの痛みが軽快した

  • 目の充血がなくなった

  • 目やにが治り、通常に戻った

医師が記入した「意見書」の提出を求められるケースがある。

手足口病

  • 発熱症状がない

  • 口の中の水疱や潰瘍(かいよう)の影響がなく、普段の食事がとれる

  • 全身状態がよく元気

登園届の提出を求められるケースがある

ヘルパンギーナ

  • 発熱症状がない

  • 十分に食事がとれる

  • 口の中の水疱やのどの腫れがおさまり、痛みが気にならない

  • 全身状態がよく元気

登園届の提出を求められるケースがある

保育園登園を再開する時の取り扱いは、病気の種類に応じて異なります。

医師が記入する「意見書」または保護者が記入する「登園届」が必要となるケースがあります。

必ず提出が必要というわけではありません。保育所によって方針が異なるため、夏風邪にかかった際は、事前に確認しておきましょう。

関連記事:手足口病になったら保育園はいつから登園できる?登園許可証についても解説

Q&A

子どもが夏風邪にかかってしまった人は、病気が断定されるまで気になることも多いものです。

夏風邪に関するよくあるQ&Aについてお答えしていますので、参考にされてください。

夏風邪と冬風邪との違いは?

夏風邪と冬風邪は原因となるウイルスの種類に違いがあります。

夏風邪は気温が高く湿気のある環境を好むウイルスによって引き起こされます。

原因として挙げられるウイルスは、主にアデノウイルスやエンテロウイルスなどです。感染すると治るまでの経過が長い点も特徴の一つです。

一方、冬風邪は気温が低く乾燥した環境を好むウイルスによって発症します。インフルエンザウイルスやコロナウイルス、RSウイルスなどが含まれます。

関連記事:インフルエンザの症状は?感染期間中の症状の経過もチェック

関連記事:【2024年】新型コロナについて症状・変異株ごとの最新情報を知ろう

関連記事:RSウイルス感染症の症状を知ろう。感染経路や治療法についても解説

夏風邪とコロナウイルス感染症との違いは?

夏風邪とコロナウイルス感染症の初期症状は似ているため、症状だけで見分けるのは難しいでしょう。どちらも初期症状として発熱やのどの痛み、鼻水など共通するものが多いです。

特にコロナウイルスの特徴として挙げられる症状は以下のとおりです。[7]

  • 味覚、嗅覚に異常がでる

  • 呼吸困難感

  • 強い倦怠感が続く

検査なしで断定はできませんが、以上のような違いがあると理解しておきましょう。

夏風邪とコロナウイルスとの区別がつきにくい場合は、ご自身で検査キットを持っていれば、セルフチェックしましょう。

※検査キットは、医療用または一般用検査キット(OTC)として国が承認したものを使いましょう。 [8]

ただし、65歳以上の方や重症化リスクのある方、お子さんや妊娠している方などは、受診をおすすめします。

手元に解熱剤がなくつらい、脱水症状がある場合なども速やかに受診しましょう。

セルフチェックで陰性の場合は、こまめな手洗いなどの基本的な感染対策が大切です。

関連記事:【2024年】新型コロナについて症状・変異株ごとの最新情報を知ろう

大人でも夏風邪になる?症状は?

夏風邪は子どもがかかりやすい病気ですが、大人でも夏風邪に感染する可能性は十分にあります。

特に免疫力が落ちていると発症しやすいです。

症状は子どもと同様に発熱やのどの痛み、発疹などです。

一般的に子どもよりも大人の方が重症化しやすいと言われていますが、十分なエビデンスはありません。

暑さや湿度の影響で夏バテしないよう、日頃から生活習慣に注意しましょう。

まとめ

夏風邪は「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜炎」の3つのウイルス感染症の総称です。冬風邪とは原因となるウイルスが異なります。

特に夏風邪の症状はコロナウイルス感染症と似ています。区別がつきにくい場合は検査キットでの検査あるいは早めに医療機関を受診してください。

ウイルス感染症のため特効薬はなく、1日でも早く治すためには、しっかりと免疫力を高めながら療養することが重要です。

ただし、発熱や口の中の痛みなど症状がつらい場合は解熱鎮痛薬などを使用した対症療法も有効です。症状を和らげながら、免疫力を高めましょう。

また、夏風邪は免疫力の低い子どもがかかりやすく、保育所などの集団生活で感染するケースも多いです。家庭での療養や経過観察によって、症状の悪化を防ぎ、1日も早い回復へとつなげましょう。

子どもが夏風邪にかかった際の保育園登園目安は症状が消失し、全身状態が良くなってからとされています。

登園開始時に必要な書類や許可については各保育施設で異なります。登園前に確認しておきましょう。

夏風邪が長引く場合や症状が悪化する場合は、医師の診察を受け適切な治療を受けましょう。

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もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。

参考文献

[1]大阪市|夏かぜ(夏型感染症:手足口病、咽頭結膜熱

[2]厚生労働省|手足口病に関するQ&A

[3]厚生労働省|咽頭結膜熱について

[4]IDWR 2023年第28号| ヘルパンギーナ・RSウイルス感染症

[5]厚生労働省|ヘルパンギーナとは

[6]厚生労働省|保育所における感染症対策ガイドライン

[7]厚生労働省|コロナウイルスとは

[8]厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け

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