マイコプラズマ肺炎の治療薬について解説 子どもにも使える市販薬はあるの?

公開日: 2024/02/06 更新日: 2024/03/15
マイコプラズマ肺炎になってしまったとき、市販薬で何とかならないだろうかと考えた方もいるのではないでしょうか。 インフルエンザや新型コロナウイルスほどの強い感染力は持たないものの、3〜4週間にわたって頑固な咳が続く「マイコプラズマ肺炎」。 家族や同僚など身近な方がマイコプラズマ肺炎にかかり「自分にもうつるのではないか」と不安に感じている方もいるでしょう。 また、ご自身にも風邪のような症状が出始めた際に「病院へかかったほうがいいの?」「市販薬でも治るの?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。 今回は、マイコプラズマ肺炎が市販薬でも治せるのかを含め、治療薬や自宅でできる対処法などについて詳しく解説します。
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マイコプラズマ肺炎を治せる市販薬はあるの?

マイコプラズマ肺炎の治療薬が、ドラッグストアなどで気軽に手に入らないかな?と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、残念ながらマイコプラズマ肺炎の治療に使える薬は、市販されていないのです。

治療薬としては抗生剤を用いますが、服用する必要があるかどうかは症状や検査結果などから医師が総合的に判断します。[1]

そもそもマイコプラズマ肺炎は自然に治ることが比較的多い肺炎なので、抗生剤が必ず必要というわけではありません。服用すると症状を軽くすることが期待できるため、早く治したいときや悪化が心配な時は医師に相談しましょう。

また、対症療法として咳止めや解熱鎮痛剤を用いることもあり、こちらは市販薬もあります。もしも使用したい場合は、医師や薬剤師に相談してください。

関連記事:マイコプラズマについて知ろう

関連記事:マイコプラズマとは?風邪や一般的な肺炎との違いを解説

マイコプラズマ肺炎の治療薬について

マイコプラズマ肺炎の治療の際に、原因菌を体から減らすため、原因菌に対して効果をあらわす薬は抗生剤です。

また、咳や熱がつらい場合には症状を和らげるための解熱鎮痛剤や咳止めや去痰薬が処方されることもあります。

では、マイコプラズマ肺炎と診断されたときに処方される治療薬についてそれぞれ詳しく解説します。

抗生剤

マイコプラズマ肺炎の治療では、主にマクロライド系の抗生剤を用います。

ただし、マクロライド系の抗生剤で効果がみられない場合には、テトラサイクリン系、または、ニューキノロン系の抗生剤が使われることがあります。

以下に、マイコプラズマ肺炎に適応のある抗生剤の種類や成分名、副作用、服用期間をまとめましたので、参考にしてください。

抗生剤の種類

成分名(商品名)

副作用

服用期間※()は小児

マクロライド系

  • エリスロマイシンエチルコハク酸エステル

  • エリスロマイシンステアリン酸塩

(エリスロシン)

  • 胃痛、腹痛

  • 吐き気

  • 下痢

  • 発疹



7~10日(14日)




クラリスロマイシン(クラリシッド)

7~10日(10日)

アジスロマイシン

(ジスロマック)

3日

ニューキノロン系

(※8歳未満には原則禁忌)

レボフロキサシン

(クラビット)


トスフロキサシン

(オゼックス)

  • 胃痛。腹痛

  • 吐き気

  • 下痢

  • めまい

  • 発疹

7~10日

テトラサイクリン系

ミノサイクリン

(ミノマイシン)

  • 胃痛、腹痛

  • 吐き気

  • 下痢

  • めまい

  • 頭痛

  • 発疹

7~10日(7~14日)

処方された抗生剤を飲み始めてから表記されているような症状があらわれる、もしくはそれ以外で体調に気になることがあれば医師や薬剤師に相談してください。

また、近年ではマイコプラズマが薬物耐性を持ち、抗生剤が効かないケースが報告されており、特に子どもの90%近くはマクロライド系抗生剤で十分な効果が得られないことが多いといわれています。

そのため、子どもではマクロライド系の抗生剤よりもテトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生剤が用いられるケースもあります。

ただし、8歳未満にはテトラサイクリン系の薬は原則禁忌です。

テトラサイクリン系の薬は、8歳未満の子どもに2週間以上続けて使用すると歯が黄色くなったり、骨の発達に影響が出たりする可能性があるといわれています。

また、ニューキノロン系の抗生剤も種類によっては、子どもの関節に影響を与える可能性があるため慎重に処方が検討されます。

これらの薬は適切な期間を守って服用すれば副作用は少なく済みますので、服用期間を必ず守ることが大切です。

もしも薬を服用しても症状が収まらず、別の医療機関を受診するような場合には、これまでの内服歴が分かるように薬手帳を持っていくとよいでしょう。

薬の種類にかかわらず抗生剤を途中で止めてしまったり飲み忘れてしまったりすると、せっかく抑え込んだ細菌が力を増してしまうため注意が必要です。

抗生剤の効果をしっかりと発揮させるためにも、薬の血中濃度を一体に保つ必要があります。

例えば、1日2回朝晩で処方されている抗生剤を飲み忘れて1日1回だけ飲んだり丸1日飲み忘れたりしてしまうと薬の効果が十分に発揮されません。

このような服用の仕方を繰り返しているうちに、薬物耐性ができて薬が効かなくなってしまう可能性もあります。

処方された薬は、必ず用法・用量を守るようにしましょう。

1日2回の薬であれば12時間ごとに1回服用すればよいので、朝の7時と夜の7時に1回ずつ服用します。

1日3回の薬なら8時間に1回と考えれば良いですが、7時・14時・21時など睡眠時間に支障をきたさないように服用できれば問題ありません。

きっちりと時間を守る必要はないため、あくまでも目安と考えてください。

子どもの生活リズムに合わせて時間を多少ずらしても問題ありませんので、間隔が空きすぎないように心がけましょう。

しかし、保育園や幼稚園などへ通っていてどうしても昼の薬が飲めないような場合も考えられます。

そのような場合には、1日2回の薬を処方してもらえることもあるため、医師に相談してください。[1][2][3][4]

対症療法

抗生剤以外にも、医師の判断によって薬が処方されることもあります。

例えば、熱が高いもしくは頭痛がつらいときには解熱鎮痛剤、咳の症状がひどいときには咳止めの薬が処方されます。

症状に応じて薬を処方してくれる場合もあるため、診察のときにしっかり医師にご自身もしくはご家族の症状を伝えるようにしましょう。

なお、症状の緩和として処方された薬以外に市販の咳止めや去痰薬を使いたい場合は、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

咳や熱、頭痛などの症状を和らげたいときは

マイコプラズマ肺炎による症状でお困りのときは、ファストドクターにご相談ください。

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ファストドクターのオンライン診療では、医師が診察を行い、それぞれの持病や年齢、症状などから判断して必要であれば薬を処方します。

薬以外でできる対処法

マイコプラズマ肺炎によるつらい咳はできるだけ早く和らげたいですよね。

薬以外でできる対処法としては、以下の3つがあります。

  • 加湿

  • 温かい物を飲む

  • ゆっくり休む

ここからは、それぞれの対処法について詳しくご紹介します。

加湿

お部屋を加湿することで気道が保湿され咳の症状を和らげる効果が期待できます。

加湿器を使用したり濡れタオルを室内に干したりして、お部屋の乾燥を防ぐように心がけましょう。

その他、浴室の扉を開けた状態で壁にシャワーのお湯を当てて、蒸気でお部屋を加湿する方法もあります。

湿度の目安は60〜70%です。

空気が乾燥していると咳がひどくなってしまうことがあるため加湿は大切です。

温かいものを飲む

気道が保湿されると痰が出やすくなり呼吸が楽になるため、温かい飲み物を飲むこともおすすめです。水分補給はこまめにするように心がけましょう。

冷たい飲み物や熱すぎる飲み物は刺激となってしまうため、適度に温かい飲み物がおすすめです。

また、温かい飲み物を飲んで血行がよくなることによって呼吸が楽になり、咳が収まる効果も期待できます。

ドリンクだけではなく、味噌汁やスープなどでもよいでしょう。

ゆっくり休む

マイコプラズマ肺炎の治療で大切なことは、体を休めることです。

咳がひどい状態では思った以上に体力を消耗してしまいます。できるだけ体力の消耗を防ぐためにゆっくりと休息をとるように心がけてください。

熱や咳でよく眠れない場合には、つらい症状を我慢せずに解熱剤や咳止めを使用することも検討しましょう。

咳が出てつらい時には、クッションやまくらを使って上体を起こして休むと呼吸が少し楽になります。

マイコプラズマ肺炎は薬を飲まなくても治る?

マイコプラズマ肺炎は、軽症であれば薬を飲まなくても自然に治ることが多い病気です。

しかし、場合によっては咳が長く続き、重症の肺炎や様々な合併症を起こすこともあります。

また、マイコプラズマ肺炎は家族や友人など、濃厚な接触がある方にうつりやすい感染症です。

医師の適切な指示の下、抗生剤を服用すれば症状の回復は早まります。

症状が続くようであれば周りに感染を広げないためにも医療機関へ受診することを検討してみてください。

関連記事:マイコプラズマを早く治す方法とは?対応と予防法を解説

マイコプラズマ肺炎の症状

1〜3週間の潜伏期間の後、初めは発熱、全身のだるさ、頭痛などの症状がみられます。

咳は症状が出はじめてから3〜5日から始まることが多く、乾いた咳が出るのが特徴です。

軽症であれば、普通の風邪のような症状で終わることもあります。

しかし、咳が徐々に強くなり、解熱後も3〜4週間と長く続くことも珍しくありません。

4日以上発熱とひどい咳が続くようであれば、一度医療機関を受診したほうがよいでしょう。[2][3][5]

関連記事:「マイコプラズマ肺炎の症状は?かぜとの違いを解説 」

マイコプラズマ肺炎には大人と子どもで症状に違いはある?

マイコプラズマ肺炎は「咳がひどくなる病気」という認識をお持ちの方も多いでしょう。基本的にマイコプラズマ肺炎は、子どもにかかることが多い感染症のひとつです。

そして症状は子どもの場合は軽く済むことが多い傾向にありますが、大人がかかってしまうと重症化しやすいといわれています。

子どもと大人ではかかった場合にどのような特徴の違いがあるのかを解説します。

子どものマイコプラズマ肺炎の特徴

マイコプラズマ肺炎は、発症のピークが8〜9歳といわれ、大人よりも子どもに多くみられる感染症です。

5歳未満の幼児では、マイコプラズマに感染しても、軽くすむか症状が出ないことがよくあります。

街ですれ違った方からうつるようなことはあまりなく、家族間や友人間などの濃厚接触によって感染するケースがほとんどです。

マイコプラズマ肺炎は乾いた咳が出るのが特徴ですが、子どもの場合は痰の絡む咳がでることもあります。

また、マイコプラズマ肺炎では一般的に鼻水が出ることは少ないですが、幼児では鼻水が出ることもあります。

先にも述べましたが、子どもの場合は抗生剤が効きにくいケースが多いです。

抗生剤を飲み始めて2〜3日経過しても熱が下がらないような場合には、薬の十分な効果が得られていない可能性が高いため医師に相談しましょう。[1]

大人のマイコプラズマ肺炎の特徴

大人がマイコプラズマ肺炎にかかった場合、子どもに比べて重症化しやすいといわれています。

特に高齢者や基礎疾患を持っている方は重症化しやすく、呼吸不全に陥ることもあるため注意が必要です。

ただし、体力のある健康な方でも免疫反応が過剰に反応して重症化するケースがまれにあります。

長引く咳や息切れ、胸が苦しいなどの症状があれば、速やかに受診するようにしましょう。[1][6]

関連記事:大人のマイコプラズマ肺炎の特徴とは?症状チェックシートでセルフチェック

マイコプラズマ肺炎の感染経路を知って、予防しよう

マイコプラズマ肺炎は、感染者の咳やくしゃみによるしぶきを吸い込む「飛沫感染」や感染者との接触による「接触感染」によって感染します。

例えば、感染者と至近距離で会話をしたり感染者が鼻をかんだティッシュに触ったりすることで感染する可能性があります。

その他には、同じタオルを使用したり同じ食器を使ったりすることによって感染するリスクが高くなるため注意しましょう。

潜伏期間は1〜3週間とやや長いため「どこで感染したんだろう…」と感じる方が多いですが、家族間や友人間など身近な方からの感染がほとんどです。

また、症状が軽く済むことも多いため気付かないうちに感染を広げてしまっているケースもあります。

予防方法として最も重要なのは、手洗い・手指消毒です。病原菌をできるだけ体内へ入れないように丁寧な手洗いを心がけましょう。

マイコプラズマ肺炎は、免疫力があれば重症化しないことが多い感染症です。そのため、日頃からしっかりと休息をとって体調管理をすることも予防に役立ちます。

なお、すでに咳が出ている場合には、周りに広げないように咳エチケットを心がけることも大切です。

マスクを着用したり咳やくしゃみをするときにはハンカチやティッシュで押さえたりするようにしましょう。[2][3]

関連記事:「マイコプラズマ肺炎は咳だけではない?症状や特徴についてチェック 」

関連記事:「マイコプラズマ肺炎は人にうつるの?症状や治療法についても解説 」

関連記事:マイコプラズマ肺炎の原因は?感染経路や予防策についても解説

まとめ:処方された薬はきちんと飲みましょう

マイコプラズマ肺炎は自然治癒することも多く、抗生剤が必ず必要というわけではありませんが、服用すると症状を軽くすることができます。

発熱や咳などの症状が長引いているようであれば医療機関を受診し、処方された薬をきちんと最後まで飲みきるようにしましょう。

また、マイコプラズマ肺炎は処方された抗生剤が効きにくい場合もあります。薬を飲んで2〜3日経過しても熱が下がらないようであれば再度受診してください。

なお、つらい症状を和らげるために自宅でできる対処法もあります。こまめに温かい飲み物を飲んだり室内を加湿したりしながら、ゆっくりと休息をとるようにしましょう。

日頃から体調管理や手洗いなどの感染対策を心がけ、毎日を健康に過ごせるように心がけたいですね。

マイコプラズマ肺炎の症状が続いてお困りではないですか?

・薬を飲んでいるのになかなかよくならない

・病院の予約がとれない

そんなときはファストドクターにご相談ください。

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ファストドクターのオンライン診療では、医師が診察を行い、それぞれの持病や年齢、症状などから判断して必要であれば薬を処方します。

参考文献

[1]肺炎マイコプラズマ肺炎 に対する治療指針

[2]子どものマイコプラズマ肺炎 ―薬が効きにくい

[3]小児肺炎マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方

[4]薬の飲ませ方・抗生剤の飲み合わせ

[5]マイコプラズマ肺炎とは

[6]マイコプラズマ肺炎に関するQ&A 平成23年12月作成、平成24年10月改訂|厚生労働省

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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