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ヒトメタニューモウイルスの感染経路
ヒトメタニューモウイルスは、飛沫感染や接触感染により広がります。[1]
2つの経路の特徴は以下のとおりです。
感染経路 |
特徴 |
飛沫感染 |
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接触感染 |
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ヒトメタニューモウイルスは子どもが感染しやすいウイルスです。
保育園や幼稚園などで子どもが感染したことをきっかけに、家庭内感染が起こるケースも珍しくありません。
感染を防ぐには、飛沫感染や接触感染のリスクを減らすことが大切です。
マスクを着用したりこまめに手洗いをしたりするなど、身近な人から感染しないように対策をおこないましょう。
そもそもヒトメタニューモウイルスとはどんなウイルス?
ヒトメタニューモウイルスは、発熱や咳など風邪に似た症状を引き起こすウイルスです。[3]
最近新しく発生したウイルスではなく、1958年にはすでに感染者が存在したことが研究でわかっています。[1]
ウイルスを見つけるのが難しかったため長い間発見されず、2001年になってようやく特定されました。[1]
ヒトメタニューモウイルスの感染者には以下の特徴があります。
-
日本では3〜6月に感染者が増える傾向にある[1]
-
生後6か月頃から感染者がみられ、10歳までにほとんどの人が感染する[4]
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小児がウイルス性の呼吸器感染症にかかった場合、5〜10%はこのウイルスが原因だと考えられている[1]
子どもがヒトメタニューモウイルスに初めてかかると、症状が重くなりやすい傾向があります。[4]
急性細気管支炎や肺炎などを起こす可能性があるため、こまめに様子を観察しましょう。[3][5]
ゼェゼェとした喘鳴(ぜんめい)や痰(たん)がからんだ咳などがみられたときは、症状が悪化している可能性があります。[5]
ヒトメタニューモウイルスに感染しないためには
ヒトメタニューモウイルスの感染リスクを減らすには、飛沫感染と接触感染を防ぐことが大切です。
以下の対策を日常生活にとり入れ、感染を防ぎましょう。
予防法 |
具体的な内容 |
マスクを着用する |
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換気をする |
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手洗い・消毒をする |
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免疫力を高める |
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ヒトメタニューモウイルスは1度感染しただけでは終生免疫が得られず、繰り返し感染する人も珍しくありません。[1]
海外で感染者が増えると、外国人観光客を通じて日本でも流行が広がる可能性があります。
知らず知らずのうちに感染しないよう、基本的な予防策を日頃から徹底しましょう。
ヒトメタニューモウイルスの潜伏期間
ヒトメタニューモウイルスの潜伏期間は3〜5日です。[5]
潜伏期間とは、ウイルスなどの病原体が体内に侵入してから、症状があらわれるまでの期間のことを指します。
この期間の長さには個人差があり、感染した人の免疫力によって短くなったり長くなったりします。[12]
潜伏期間中はウイルスが体内で増殖しているものの、自覚症状がほとんどない状態です。
そのため感染したことに気づかず、ヒトメタニューモウイルスを周囲の人にうつしてしまう場合があります。
普段からこまめな手洗いを習慣にし、家族や周囲の人を感染させないようにしましょう。
ヒトメタニューモウイルスの症状について
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、風邪やインフルエンザに似た症状があらわれます。[3]
おもな症状は以下のとおりです。[3]
-
咳
-
発熱
-
のどの痛み
-
鼻水・鼻づまり
-
身体の痛みや頭痛
ヒトメタニューモウイルスによる症状は、1週間ほど持続するのが一般的です。[1]
咳がひどいと嘔吐してしまったり、解熱剤の効果が切れると熱がぶり返したりして回復まで時間がかかるケースがあります。
乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人や呼吸器疾患をもつ人は重症化することがあります。[1]
呼吸が速くなったりゼェゼェという音がしたりといった症状がみられた場合は、肺炎や気管支炎を起こしているかもしれません。
体調が悪化したときは無理をせず、呼吸器内科や小児科を受診しましょう。
ヒトメタニューモウイルスの初期症状
ヒトメタニューモウイルス感染症の初期症状は、おもに以下の3つです。[13]
-
発熱
-
咳
-
鼻水や鼻づまり
大人が感染したときは、軽い風邪の症状で済む傾向があります。[1]
一方で子どもが初めて感染したときは、これらの症状のほかゼェゼェとした喘鳴が起こる可能性があります。
とくに生後6か月未満の赤ちゃんの場合は、感染初期でも一時的に呼吸が止まることがあるため、こまめな経過観察が必要です。
呼吸が苦しそうな様子がないか確認し、急激な体調変化がみられたときは医療機関を受診しましょう。
ヒトメタニューモウイルスの症状のピークは?
ヒトメタニューモウイルスによる症状のピークは、発症後5〜7日目にあらわれることが多いです。
なかには熱が5日以上続く人もいますが、基本的には1週間で回復する傾向があります。[11]
ヒトメタニューモウイルスに直接効果がある薬はないため、治療は症状に応じた対症療法が中心です。[3]
咳や発熱が続くと「いつになったら治るの?」と不安になるかもしれませんが、症状を和らげる薬を使用しながら回復を待ちましょう。
また、体調が良くなってからも周囲に感染させる可能性があるため、感染対策を続けることが大切です。
ヒトメタニューモウイルスは、感染後1〜2週間にわたってウイルスを排泄し続けるためです。[1]
この期間はマスクを着用し、周囲の人にうつさないよう配慮しましょう。
マスクが着用できない小さな子どもの場合は、以下の対策をすると接触感染のリスクを減らせます。
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こまめに手洗いをする
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周囲の人がマスクを着用する
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症状が落ち着くまで保育園や幼稚園を休んで集団生活を避ける
子どもの看病で家族に感染が広がらないよう、感染対策を徹底しましょう。
ヒトメタニューモウイルスは大人にも感染する?
ヒトメタニューモウイルスは、大人にも感染することがあるウイルスです。[3]
ウイルス性の呼吸器感染症にかかった大人のうち、2〜4%はヒトメタニューモウイルスが原因であると推測されています。[1]
このウイルスは感染を繰り返すたびに症状が軽くなる傾向があるため、大人は軽症で済みやすいです。[1]
しかし次の特徴に当てはまる人は、重症化する可能性があるため油断はできません。[3]
-
高齢者
-
免疫を抑える薬を使用している人
-
慢性閉塞性肺疾患(COPD)をもつ人
-
喘息をもつ人
症状が悪化していたり、息苦しさが続いたりする場合は重症化している可能性があります。
気管支炎や肺炎、喘息が悪化していることもあるため早めに医療機関を受診しましょう。 [1]
ヒトメタニューモウイルスにかかった大人の症状は?
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、基本的に大人も子どもも同じような症状があらわれます。
大人によくみられる症状として以下が挙げられます。[14]
-
発熱
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咳
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鼻水
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咽頭痛
-
頭痛
-
声がれ
大人が感染した場合は症状が軽いケースが多く、なかには無症状の人もいるほどです。
家族や身近な人がヒトメタニューモウイルスに感染した場合は、症状がなくても自分にうつっている可能性があります。
念のためマスクを着用し、知らないうちに感染を広げてしまわないよう配慮しましょう。
一方で十分に眠れなかったり仕事に支障をきたしたりすると、しんどいと感じる人もいるかもしれません。
「ただの風邪だから」と侮らず、症状がつらいときは身体を休めるようにしましょう。
ヒトメタニューモウイルスにかかった大人の咳が止まらないときの対処法
ヒトメタニューモウイルスを根本的に治す薬がないため、咳がひどい場合も対症療法をするのが一般的です。[3]
咳が止まらずつらいときは、以下の方法を試して咳を和らげましょう。
対処法 |
具体的な内容 |
咳止めの薬を使用する[3] |
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温かい飲み物を飲む |
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部屋を加湿する |
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枕を高くして寝る |
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咳を和らげる方法を試しても効果が感じられない場合は、気管支炎や肺炎を起こして重症化している可能性があります。[3]
咳が長引くときは無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。
関連記事:咳を即効で止める方法は?治すためのツボや飲み物も紹介
よくある質問
ヒトメタニューモウイルスに関する質問にお答えします。
ヒトメタニューモウイルスはどうやってうつるのですか?
ヒトメタニューモウイルスは、飛沫感染と接触感染によりうつります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
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飛沫感染
感染者の咳やくしゃみを介して感染する。
咳やくしゃみによる飛沫は1〜2m飛ぶことがあるため、人が集まる場所で感染が広がる可能性がある。
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接触感染
ドアノブや手すりなど、感染者がふれた部位を介して感染する。
感染者の手にはウイルスが付着している可能性があり、家族など近しい人が感染したときは家庭内感染が起こる場合がある。
ヒトメタニューモウイルスに感染した場合は、周囲の人へうつさないように対策をしましょう。
急な咳やくしゃみに備えて、マスクをつけておくと安心です。
ヒトメタニューモウイルスは空気感染しますか?
ヒトメタニューモウイルスは空気感染しません。
おもな感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
感染経路に心当たりがないと「どこで感染したんだろう」と不安に感じるかもしれませんが、無意識のうちに感染するケースも多いです。
たとえば職場や学校で、ドアノブやエレベーターのボタンに付着したウイルスをさわり、その手で顔をふれると感染する可能性があります。
感染を防ぐため、流行シーズンである3〜6月はとくに感染対策を徹底しましょう。
人が集まる場所へ出かける際は、こまめに手を洗ったりアルコール消毒をしたりすると感染予防に効果的です。
ヒトメタニューモウイルスに感染したら保育園や幼稚園は何日休めばいい?
ヒトメタニューモウイルス感染症では、法律で定められた出席停止期間がありません。[16]
5歳未満の子どもが密集する環境で感染が広がりやすいため、咳などの症状が落ち着くまでは自宅で休養するのがおすすめです。[5]
保育園や幼稚園によって登園基準が異なるため、施設ごとのルールを確認しましょう。
「いつまで休めばいいのかな?」と登園のタイミングに迷った場合は、かかりつけ医や担任の先生に相談すると安心です。
また、登園できるようになったあとも、こまめなうがい・手洗いをおこないましょう。
感染後7〜14日ほどウイルスが排出されるため、症状が治ったあとも周囲への配慮が必要です。
ヒトメタニューモウイルスはアルコールで消毒できますか?
ヒトメタニューモウイルスにはアルコール消毒が有効です。[17]
家庭内感染を広げないために、手でよくふれる部位をこまめに消毒しておきましょう。[18]
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ドアノブや手すり
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照明などのスイッチ類
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おもちゃや絵本
ヒトメタニューモウイルスは子どもが感染しやすいウイルスです。
子どもが2人以上いる家庭では、きょうだい間での感染を防ぐため子どもがよくふれる場所を定期的に消毒しましょう。
まとめ:ヒトメタニューモウイルスの感染経路を知って予防しましょう
ヒトメタニューモウイルスは飛沫感染と接触感染により感染が広がります。
風邪予防と同じように、こまめに手洗いをしたりマスクを着用したりして感染を防ぎましょう。
ヒトメタニューモウイルスに感染しても比較的軽症で済むことが多いですが、子どもや高齢者、免疫が低下している人が感染すると重症化するリスクがあります。
「風邪だからすぐ治るはず」と油断せず、症状が長引いていたり息苦しさを感じたりする場合は医療機関を受診しましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[1]菊田英明."3. ヒト・メタニューモウイルス".ウイルス,2006,第56巻第2号,p.173-182
[4]RSウイルス感染症・ヒトメタニューモウイルス感染症|京都府医師会
[5]学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説|日本小児科学会
[6]「手洗い」や「マスクの着用を含む咳エチケット」|厚生労働省
[11]Carr, A.C, et al.Vitamin C and Immune Function.2017 Nov 3;9(11):1211.
[13]ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症|加古川医師会
[14]精神科病院におけるヒトメタニューモウイルスによる成人の集団感染事例―茨城県|国立感染症研究所
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。