知っておこう!咳3つのポイント
咳は体の防御反応
咳は、病気の原因となる細菌やウイルス、ほこりなどの異物が体に入ってこないようにするための防御反応です。
以下の場合に咳が出ます。
- 口から肺までの空気の通り道(気道)に病原体や異物が入ってきたとき
- 気道に炎症が起きたとき
- 気道に溜まった鼻汁や痰などの分泌物を出そうとするとき
ストレスや緊張などが気道への刺激となり、咳の症状が出ると考えられています。
また、心の防御反応として起こる場合もあります(心因性咳嗽)。
特に自分の気持ちをうまく伝えられない子どもに多く起こります。
咳の完治は2週間が目安
咳と一緒に熱が出ていれば、多くの場合は風邪だと考えられます。
風邪の場合は適切に対処すれば1週間ほどで症状が軽くなり、2週間もすれば完治することがほとんどです。
2週間以上咳や熱が続いたり、症状が改善しない、悪化する場合は受診しましょう。
他の病気が隠れている可能性や合併症を引き起こしている可能性があります。
ただし、すぐに受診が必要な咳もあります。
症状が当てはまる場合は速やかに医療機関を受診してください。
咳の種類で対処が変わる
咳が続く期間や、咳の仕方(音)、痰を伴うかなど、咳の種類で対処が変わります。
咳がなぜ起きているのか、症状の観察を行うことが大切です。
咳はどんな症状?
咳の原因
- 細菌やウイルス
- 病気
- アレルギー(花粉・アトピーなど)
- ストレス
咳の分類
咳が続く期間の長さや音によって、原因や緊急度が異なります。
こんなときは
息苦しさがあればすぐに受診を
咳の期間や種類にかかわらず、苦しそうに咳をする、咳で顔が赤くなる場合はすぐに受診しましょう。咳以外で痰に血が混ざる、高熱が続く場合も速やかに受診が必要です。
咳の持続時間
急性咳嗽(きゅうせいがいそう):~3週間
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染である場合がほとんどです。
咳以外で痰に血が混ざる、高熱が続く場合は速やかに受診が必要です。
遷延性(せんえんせいがいそう):3週間~8週間
長引くにつれて咳の原因は感染以外の可能性が高くなります。
慢性(まんせいがいそう):8週間以上
慢性の場合、原因は多岐にわたりますが感染症が原因であることはほとんどありません。
咳の仕方や音
名称 | 特徴 | 咳の仕方 |
---|---|---|
湿性咳嗽(しっせいがいそう) | 痰を伴う咳 | ゴホゴホ |
乾性咳嗽(かんせいがいそう | 痰を伴わない咳 | コンコン |
クループ | 犬の吠え声、オットセイの声に似た咳 | ケンケン |
喘鳴(ぜんめい) |
気道が狭くなることで息をすったり吐いたりするときに聞こえる音 | ヒューヒュー・ゼイゼイ |
咳が関連する病気
細菌・ウイルス感染症
- インフルエンザ
- コロナウイルス
- マイコプラズマ
- クラミジア肺炎
- 百日咳
アレルギー
- 花粉症
- アトピー咳嗽(がいそう)
熱がないのに咳が出る病気
- 咳喘息
- 逆流性食道炎
- 慢性閉塞性疾患(COPD)
- 慢性気管支炎
- 肺がん
子どもに多くみられる病気
- RSウイルス
- 副鼻腔炎
その他
- 心因性咳嗽(ストレス)
咳の対処方法は?
体勢を変える
咳がひどくて呼吸が苦しい、眠れない時は、体勢を変えると改善する場合があります。
横向きになったり、上半身を起こすことで呼吸が楽になり、咳の症状が和らぎます。
体を支えるためにクッションを使うとより快適です。
赤ちゃんや子どもは上半身を起こした姿勢で抱っこするのもよいでしょう。
喉や胸を温め気道を広げる
体の冷えは気道粘膜の刺激となり咳を誘発します。喉や胸を温めることで気道を広げ、咳の症状を和らげることができます。
喉を冷やさず首元を温かく保ちましょう。
効果的な対策
- 寝る時は首元まで布団をかける
- 外出の際はストールやネックウォーマーを巻く
- 温かい飲み物を飲む
- 室内を20〜24℃に暖かく保つ
※上記の対策は赤ちゃんや小さい子どもには行わないでください。口元の近くに布があると、寝返りの際に窒息するリスクがあります。部屋を温めるだけでも効果があります。
加湿をする
咳は乾燥により気道粘膜が刺激されることでも起こります。
一般的な最適湿度は50〜60%です。部屋を加湿し、湿度を一定に保つことで咳の症状の緩和を図りましょう。
入浴する
入浴は加温と加湿が一度に行えるため、咳に効果的です。
熱やだるさがなければ湯舟に浸かり、入浴するとよいでしょう。
ただし、咳で体力を消耗している時は、さらに疲労が増す可能性があります。
長風呂や無理な入浴は控えましょう。
水分を摂る
咳や咳に伴う喉の痛みを和らげるために水分を摂ることは効果的です。
水分を摂ることで、喉が潤い乾燥が抑えられるからです。
また、痰が出ている場合、水分を摂ることで痰が出しやすくなります。
子どもが痰のからむ咳をするとき、つらそうなら迷わず受診を
子どもは痰をうまく出すことができず、咳こみ嘔吐で誤嚥(ごえん)してしまうことがあります。
重症化や合併症に至る可能性があるため、以下のような場合は迷わず受診しましょう。
- 痰が喉に絡み気持ち悪い
- 痰の絡む咳で嘔吐した
- 痰が絡んでつらそうである
- 痰が絡むせいで、食事や水分を摂りたがらない
こんなときは
咳止め薬は使ってもいい?
咳は体の防御反応であるため、止めればよいというものではありません。
自己判断で市販薬の咳止めを使用すると状態を悪化させる場合もあります。【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
大人も子どもも、以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119(救急車)へ連絡しましょう。
- 意識がはっきりしない
- 呼吸が苦しい
- 顔色や唇の色が青い
- 激しい痛みをともなう
- 明らかに様子がおかしく自力での受診が難しい
至急受診を
大人も子どもも、以下の場合は昼夜を問わず救急外来へ行きましょう。
- 安静にしているのに呼吸が速い
- 走った後のように肩で息をしている
- 呼吸をするとき鼻の穴がヒクヒクする
- 息を吸う時に胸がくぼむ
- 苦しくて横になれない
- 犬やオットセイが鳴いているような咳をしている
受診が必要
以下の症状があるときは医療機関が開いている時間帯に早めに受診をしましょう。
- 息苦しい感じがある
- 2週間以上咳が続いている
- 2週間以上咳と微熱が続いている
- 呼吸をするとゼーゼー、ヒューヒュー音がする
- 朝と夜に咳がひどくなる
- 血の混じった咳が出る
- 咳によって食事や睡眠が十分に取れていない
- 咳のしすぎで胸が痛い
判断に迷う場合はオンラインで医師の診察を受けることが可能です。
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どれくらい続いているか
- 痰(分泌物)が絡む咳か
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。