ヒトメタニューモウイルスは大人にもうつる?うつらないための対策についても解説

公開日: 2025/04/19
「子どもがヒトメタニューモウイルスと診断されたけど、大人にもうつるの?」 「大人がヒトメタニューモウイルスにかかっているか知る方法はある?」 「ヒトメタニューモウイルスにうつらないためにできることは?」 家族が感染して自分も体調が悪いと、ヒトメタニューモウイルスがうつったのではないかと心配になりますよね。 ヒトメタニューモウイルスは子どもに多くみられる呼吸器感染症です。大人は免疫を獲得しているため比較的軽症であることが多いです。 発熱や咳、鼻水などの一般的な風邪症状ですむこともあれば、肺炎に至り、重症化するリスクもあります。 ヒトメタニューモウイルスの広がり方やうつらないための予防策を把握しておけば、子どもや周囲の人が感染しても慌てず対処できるでしょう。 本記事ではヒトメタニューモウイルスがどうやって大人にうつるのか、感染予防の対策方法について解説します。

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目次

ヒトメタニューモウイルスは大人にもうつる?

ヒトメタニューモウイルスは乳幼児から大人まで誰にでもうつる呼吸器感染症で、咳や鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱などの症状がみられます。

一度の感染では免疫を獲得できないため繰り返し感染します。感染を繰り返すたびに症状は軽くなるため、大人がかかっても軽い風邪症状ですむことがほとんどです。

ただし、子どもや高齢者、呼吸器に疾患を持つ人、免疫不全者では症状が重くなり肺炎などの重症化リスクがあります。

喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)やはげしい咳が続く、熱がなかなか下がらないなどの場合は早めに受診することが大切です。[1]

ヒトメタニューモウイルスに大人はどうしてうつる?

ヒトメタニューモウイルスは飛沫感染と接触感染によって大人にうつります。

感染した人の咳やくしゃみを吸い込んだり、ウイルスが付着した物をさわった手で鼻などの粘膜にふれることで大人にも感染していきます。

そのためヒトメタニューモウイルスに感染した子どもの面倒を見るときは、しっかり感染対策をしないとうつってしまうのです。

また大人は軽症ですむことから感染対策が不十分になり、周囲に感染を広げる原因となります。[2][3]

ヒトメタニューモウイルスに感染しないためには感染経路を把握しておき、周囲の人の感染が分かったらすぐに感染予防の対策をおこなえるようにしておきましょう。

感染経路

特徴

飛沫感染

感染者の咳やくしゃみなどを吸い込み、感染する

接触感染

ウイルスを含む咳やくしゃみを直接さわった手やウイルスが付着した物をさわった手で口、鼻、目などの粘膜をさわり感染する

ヒトメタニューモウイルスを広げないために、患者側もマスクをつける、こまめな手洗いやアルコール消毒などの基本的な感染対策をおこなうことが大切です。

ヒトメタニューモウイルスに大人がうつったかどうしたらわかる?

ヒトメタニューモウイルスの感染を確認するには3つの検査方法があります。

  • PCR検査

  • 抗原検出検査

  • 血清学的検査

検査方法

内容

手順

PCR検査

採取したウイルスを増やして、ウイルス固有の遺伝子(DNAやRNA)があるか調べる。精度が高い。

痰や唾液、鼻咽頭拭い液を採取して検査をおこなう。

抗原検出検査

抗原抗体反応を利用する検査。検査キットの抗体に抗原を滴下して反応するか調べる。約10分で結果が分かる。

唾液または綿棒で鼻の粘膜を拭って採取した抗原を抗体キットに滴下して判定する。

血清学的検査

血液検査の一種で血清中の抗原や抗体の有無を調べる。主に研究用。

採血した血液を遠心分離し、血清を取り出し、試薬を使って分析する。

PCR検査または抗原検出検査がおこなわれます。PCR検査は精度が高い一方で結果がでるまでに時間がかかるため、主に行われるのは10分程度で結果がわかる抗原検出検査です。

ですが保険適用で検査ができるのは6歳未満で、大人が検査を受けるときは自費(10割負担)になります。そのため普段健康な大人が検査されることはほとんどありません。

ヒトメタニューモウイルスに感染していても一般的な風邪と診断されることが多いです。6歳未満でも、肺炎が強く疑われるとき以外は基本的に検査はおこなわれません。

これはヒトメタニューモウイルスには特効薬がなく、検査をしても治療方法は変わらないためです。

周囲にヒトメタニューモウイルスに感染している人がいる場合は検査をせず、みなし陽性とすることもあります。[4][5]

ヒトメタニューモウイルスが大人にうつったときの症状は?

健康な大人が感染した場合は以下のような症状がみられます。

  • 発熱

  • 1週間以上続く咳

  • 鼻水・鼻づまり

  • 喉の痛み

  • 嗄れ声 など

潜伏期間は4日~6日で、大人が感染すると比較的軽症で済むことがほとんどです。軽症の場合は発熱や喉の痛み、鼻水で発症し、熱が下がった後も咳は続く傾向があります。

発熱は平均2日~3日で、咳症状のピークは5日~7日目です。

ただし高齢者や肺に持病がある人、喘息の人、免疫を抑える薬を使っている人は細気管支炎や肺炎など重症化に至るケースがあります。

以下のような症状があるときは医療機関を受診して、医師の指示を受けてください。

  • 38度以上の高熱が続く

  • 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)

  • 呼吸困難(呼吸が浅い、速い、苦しいと感じる)

大人でも症状がつらいケースはある?

大人でも以下のような強い症状がでて、つらいケースがあります。

  • 1週間以上続く発熱

  • 痰が絡む激しい咳

  • 息苦しさ・胸痛

  • 食事や水分がとれない など

つらい症状が続くときは肺炎など重症化している可能性があります。すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

重症化のリスクは誰にでもあります。普段健康だからと言って油断せず、重症化のリスクと症状を理解しておきましょう。

とくに以下に当てはまる人は、ヒトメタニューモウイルスによって症状が悪化する場合があります。

  • 高齢者

  • 免疫力が低下している人

  • 糖尿病や心疾患などの基礎疾患をもつ人

  • 喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患をもつ人

ウイルス感染による咳の悪化がきっかけで肺炎になったり、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が重症化したりする可能性があるため注意が必要です。

長引く咳、呼吸困難や息苦しさを伴うケースは、早急に医療機関へ受診して医師に相談しましょう。

ヒトメタニューモウイルスに大人がかかった場合の治療方法は?

ヒトメタニューモウイルスに特効薬はなく、治療方法は今でている症状を抑える対症療法がメインです。治療方法は基本的に子どもと変わりません。対症療法に使われる薬には以下のようなものがあります。

  • 解熱鎮痛剤:熱や頭痛、喉の痛みがつらいとき

  • 去痰剤:痰が絡むとき

  • 咳止め:咳がでるとき

  • 気管支拡張剤:ゼーゼーする咳が止まらないとき など

ヒトメタニューモウイルス感染症では薬を使う以外にも十分な休息や水分補給、栄養をとり、免疫力を高めることも早期回復につながります。

薬を飲んでもなかなかよくならない、呼吸困難などの症状がみられる場合は入院が必要なこともあります。咳や熱などのつらい症状が続く場合は医師に相談しましょう。

ヒトメタニューモウイルスに大人がうつらないための予防策は?

ヒトメタニューモウイルスにうつらないための予防策はマスクの着用、こまめな手洗いです。手洗いができないときはアルコール消毒でも効果があります。

ヒトメタニューモウイルスには有効なワクチンがないため、接触感染、飛沫感染対策を徹底しましょう。

予防策

内容

マスクの着用

顔とマスクの間に隙間ができないようにしっかりフィットさせる。不織布>布>ウレタンの順で感染予防効果は小さくなる。

手洗いをする

ハンドソープや石鹸はしっかり泡立て15秒以上、手をこすり合わせる。指の間や爪先の内側もしっかり洗う。

アルコール消毒

手洗いができない場合はアルコール消毒液で手指を消毒する。消毒液をつけた手は15秒以上こすりあわせ、アルコールを乾燥させる。

換気をする

30分につき1回以上、窓を全開にして空気を入れ替える。2方向以上の窓を開けるか、窓が1つの場合はドアを開けて空気の流れを作る。

免疫力を高める生活をする

十分な休息や栄養をとり、体を温める。熱がなければ短時間の入浴で体温を上げるのも効果的。

ヒトメタニューモウイルスに感染した場合のウイルス排出期間は1~2週間とされています。感染した場合は少なくとも1週間程度上記の感染予防を徹底することが大切です。

よくある質問

ヒトメタニューモウイルスについてよくある質問にお答えします。

子どもがヒトメタニューモウイルスと診断されて自分も風邪症状が出た場合、検査をしてもらえますか?

大人に検査が実施されることはほとんどありません。

ヒトメタニューモウイルスには特効薬がなく、症状を和らげる対症療法がメインのため、検査をしても治療方法が変わることはないからです。

もし検査を受ける場合、大人は保険適応外で全額自己負担(自費)になります。

ヒトメタニューモウイルスに大人がうつってしまった場合会社は休まなくてはいけませんか?

発熱や咳などの症状がなくなり、全身状態が落ち着けば出勤して問題ありません。

ただしウイルスの排出は感染後1~2週間続くため、マスクの着用や手洗いを徹底して周囲に感染を広げないようにすることが大切です。

ヒトメタニューモウイルスになったら何科を受診すればいいですか?

大人は内科、子どもは小児科を受診します。

咳がひどい、息苦しいなど呼吸器症状が強くでている場合は呼吸器内科を受診して、専門的な診察を受けた方がよいでしょう。

ヒトメタニューモウイルスのピークは何日目ですか?

風邪症状のピークは2日~5日程度、咳などの呼吸器症状は5日~7日目とされています。

ウイルス増殖のピークが4日~7日のため、状態によっては7日目以降も症状が続く可能性はあります。

医療機関を受診した後も38度以上の高熱が続く、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューとい呼吸音)がひどくなる、呼吸が苦しい、水分がとれない、顔色が悪いなどの症状がみられたら再度受診をしてください。

まとめ

ヒトメタニューモウイルスは大人でもうつることがある呼吸器感染症です。

症状は発熱や咳、鼻水などで、大人は免疫を獲得しているため比較的軽症ですむことがほとんどです。

ただし高齢者や呼吸器に疾患のある人、免疫を抑える薬を使用している人は重症化のリスクがあります。

発熱が続く場合は肺炎を引き起こしている可能性が否定できないため、早めに医療機関を受診してください。

大人のヒトメタニューモウイルスの検査は保険適応外(全額自己負担)で、検査されることはほとんどありません。

そのため気付かないうちに感染し、周囲にうつしてしまう可能性があります。

身近にヒトメタニューモウイルス感染症と診断された人がいれば、手洗いやマスクを着用するなど感染予防対策を徹底し、うつらないようにしましょう。

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参考文献

[1]成人におけるヒトメタニューモウイルス - PubMed

[2]ヒト・メタニューモウイルス

[3]新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について

[4]唾液を使ったPCR検査について | 北海道大学病院

[5]臨床検査の保険適用について(平成26年1月収載予定)

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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