子どものヒトメタニューモウイルスの症状は?子どもが発症した際の受診目安やよくある質問も解説

公開日: 2025/03/13
「子どもがヒトメタニューモウイルスに感染した。大人もうつるもの?」 「ヒトメタニューモウイルスって見た目だけで判断できるような症状の特徴はある?」 ヒトメタニューモウイルスは、乳幼児や子どもがかかりやすいウイルスの一つで、発熱や咳(せき)などの症状を引き起こします。 とくに1歳未満の子どもでは肺炎や細気管支炎を引き起こすこともあるため、症状の変化に注意が必要です。 この記事では、子どものヒトメタニューモウイルスの症状や受診目安について詳しく解説します。 保護者の方が気になる家庭でできるケアにもふれていますので、子どもの健康を守るためにぜひ最後までご覧ください。

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目次

子どものヒトメタニューモウイルスの症状は?

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、呼吸器感染症を引き起こすウイルスの一つです。

子どもに多く発症し、5歳までにほとんどの子どもが発症すると言われています。[1]

感染初期の症状はRSウイルス感染症と似ているため、見た目だけでヒトメタニューモウイルスに感染したかは判断できません。[2]

<ヒトメタニューモウイルスのおもな症状>

症状の経過

詳しい症状

初期症状

風邪やRSウイルス感染症に似た症状が出現する

  • 発熱

  • 息切れ

  • 鼻づまり

症状悪化時

気管支炎や肺炎が引き起こされる

  • 咳症状の悪化

  • 喘息発作の悪化

  • 「ヒューヒュー、ゼーゼー」した呼吸(喘鳴:ぜんめい)

重症化

以下の病気に移行し入院が必要になる場合もある

  • 急性細気管支炎

  • 肺炎

症状の特徴を知り、悪化する前に対応できるよう準備しておきましょう。

子どものヒトメタニューモウイルスの初期症状は?

子どもがヒトメタニューモウイルスに感染した場合、風邪やRSウイルス感染症によく似た症状があらわれます。

  • 発熱

  • 息切れ

  • 鼻づまり

通常1週間程度で症状は改善しますが、放置してしまうと咳の症状が強くなったり、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」とした喘鳴(ぜんめい)があらわれたりするリスクがあります。[3]

子どものヒトメタニューモウイルスのピークの症状は?

ヒトメタニューモウイルス感染症が進行すると、長期間咳が止まらなかったり、喘鳴があらわれたりする場合があります。[4]

咳や喘鳴のピークは5〜7日と言われているため、症状悪化時は長い期間咳や息切れなどのつらい症状に悩まされるかもしれません。

なかには咳の症状が強すぎて吐いてしまったり、食欲がまったくなかったりする子どももいます。

また1歳未満の子どもでは気管支の先にある「細気管支(さいきかんし)」や肺に炎症が起きやすく、酸素や点滴の投与が必要になる可能性もゼロではありませんケースもあります。[4]

初期症状の時点で正しい治療を受けたりセルフケアをおこなったりすることが、重症化予防につながります。

子どもがどんな症状のときに受診したほうがいい?

子どもは免疫力(ウイルスと戦う力)が大人ほど強くないため、症状が悪化しやすい傾向です。

症状が変化したり、あらたに出現したりした場合は早急な受診が必要です。

症状

症状の詳細

熱が下がらない

4~5日以上続く発熱:肺炎や中耳炎発症の可能性

呼吸が苦しそう

「ゼーゼー・ヒューヒュー」という呼吸、鼻の穴が広がるような呼吸(鼻翼呼吸)、や喉のどやお腹がベコベコしている呼吸(陥没呼吸)など:肺炎や細気管支炎合併の可能性

耳を気にする様子がある

中耳炎を併発している可能性

水分・食事が取れない

脱水症状につながる可能性

とくに1歳未満の子どもでは重症化リスクが高いと言われています。[5]

「なんとなくおかしい」と少しでも感じたら医師に相談しましょう。

ヒトメタニューモウイルスは子どもに多い病気

ヒトメタニューモウイルス感染症は、5歳までにほとんどの子どもが発症します。

子どもの呼吸器感染症の5~10%がヒトメタニューモウイルスによるもので、もっとも検出率の高い年齢は1~2歳と言われています。[6]

ヒトメタニューモウイルスのおもな感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」であることから、子ども同士の距離が近くなりやすい保育園・幼稚園などで感染しやすい傾向です。

感染期間が1〜2週間と長いことも感染の広がりやすさに拍車をかけています。

またヒトメタニューモウイルスに1回感染したところで、再感染を防ぐためにの十分な終生免疫(しゅうせいめんえき)は獲得できないため、子どものうちに何度もかかることが特徴です。[3]

子どもがヒトメタニューモウイルスになったときの合併症は?

子どもがヒトメタニューモウイルス感染症を悪化させた場合、呼吸器系をはじめとした合併症を引き起こすおそれがあります。

合併症

症状

肺炎

  • 高熱(39℃以上)

  • 持続する咳

  • 呼吸困難

  • 息切れ

細気管支炎

  • 喘鳴(息を吐くときにヒューヒューする音)

  • 呼吸困難

  • 酸素飽和度の低下

気管支喘息の悪化

  • 喘息発作の頻発

  • 呼吸音の異常(ゼーゼー、ヒューヒュー)

  • 吸入薬の効果が薄れる場合も

中耳炎

  • 発熱の再発

  • 耳の痛み

  • 機嫌の悪化

合併症が起きたときは、はじめにもらった対症療法の薬だけでは改善しない可能性があります。

重症化を防ぐためにも、あてはまる症状があらわれたら早急に受診しましょう。

ヒトメタニューモウイルスは大人もかかる

ヒトメタニューモウイルスは大人でも感染しますが、多くの場合で軽症もしくは無症状(不顕性感染:ふけんせいかんせん)であるため、ヒトメタニューモウイルスとは気づきにくい傾向です。[7]

ただし高齢者や免疫力の低い方は、重症化しやすいと言われています。[7]

<ヒトメタニューモウイルスに感染しやすい大人の特徴>

  • 高齢者

  • 基礎疾患のある方

  • 免疫が低下している方

ヒトメタニューモウイルス感染症で入院した患者の多くが、肺に基礎疾患を認めたとする報告もあります。[7]

「大人は子どもより軽症」と油断せず、感染予防に努めましょう。

子どものヒトメタニューモウイルスの治療方法・ホームケアは?

子どもがヒトメタニューモウイルスに感染した場合、適切な対症療法とホームケアで重症化をおさえられる可能性があります。

ヒトメタニューモウイルスに感染したばかりの方も、これからに備えておきたい方も正しい対処法を知っておきましょう。

治療方法

ヒトメタニューモウイルスに効果のある薬が存在しないため、ヒトメタニューモウイルス感染症の治療はつらい症状をやわらげる「対症療法(たいしょうりょうほう)」が基本です。

<ヒトメタニューモウイルスの対症療法の例>

  • 発熱でつらいとき:解熱鎮痛薬

  • 咳症状が強いとき:鎮咳薬(ちんがいやく:咳止めのこと)

  • 鼻水や痰がつらいとき:去痰薬

処方された薬で対症療法をおこなえば、通常1週間ほどで回復します。

自宅でできるホームケア

対症療法と安静や水分補給などのホームケアを同時におこなうことで、早い回復が期待できます。

<回復を早めるために自宅でできるケア>

  • 安静・休息

  • こまめな水分補給

  • 可能な範囲での栄養補給

ヒトメタニューモウイルスにかかったからといって特別なケアはありません。

全て免疫力を助けるために必要なケアです。できることから少しずつおこなってみましょう。

よくある質問

ヒトメタニューモウイルスに関するよくある質問にお答えします。

より深い知識を身につけ、子どもや自身が感染したときに備えておきましょう。

大人にうつるとどんな症状が出るの?

大人がヒトメタニューモウイルスにかかった場合も子どもと同じ症状があらわれます。

<大人のヒトメタニューモウイルス感染症による症状>

  • 発熱

  • 息切れ

  • 鼻づまり

比較的軽い症状で済みますが、高齢者や免疫力が低下している方などでは重症化しやすいため、あてはまる方が家庭にいる場合は隔離することをおすすめします。

ヒトメタニューモウイルスは下痢になる?

ヒトメタニューモウイルスに感染すると下痢症状があらわれる場合もあります。

ある報告によると、感染者の7~8%に消化器症状があらわれるとされています。[1]

下痢が続く場合は、脱水になりやすく症状が悪化するおそれもあるため、こまめな水分補給を心がけましょう。

ヒトメタニューモウイルスと診断された場合入院になりますか?

細気管支炎や肺炎を合併したり、喘息が悪化したりして、酸素吸入や点滴投与が必要になった場合は入院の適応となります。

1歳未満の子どもや高齢者などではとくに重症化リスクが高いため、早めの対応が重要です。

ヒトメタニューモウイルスの感染力はいつまで続く?

ヒトメタニューモウイルス感染症の感染期間は、通常1〜2週間と言われています。[4]

症状改善後もまわりにうつる可能性があることから、発症後2週間ごろまでは飛沫・接触感染予防をおこないましょう。

ヒトメタニューモウイルスと診断されたら学校や保育園・幼稚園は休まなくてはいけない?

ヒトメタニューモウイルス感染症は、出席停止期間が定められていません。

咳や熱が安定し、全身状態がよい場合は登校・登園可能です。[4]

手洗いを忘れずにおこないましょう。

まとめ

ヒトメタニューモウイルスは乳幼児がかかりやすく、発熱や咳などの症状を引き起こします。

とくに1歳未満の子どもでは重症化するリスクが高い傾向です。

熱が下がらない、呼吸が苦しそうなどの場合は、細気管支炎や肺炎などの合併が考えられるため、症状の変化を見逃さないことが大切です。

早期の対応が重症化を防ぐ鍵となります。適切なホームケアと医師の診察を活用しながら、子どもの健康を守りましょう。

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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