咳を即効で止める方法は?治すためのツボや飲み物も紹介

公開日: 2024/12/20
「夜に咳が止まらず眠れない」「咳を1日で確実に治したい」と悩んでいませんか? 咳の症状が続いていると、全身が痛み夜の睡眠が妨げられたり、人によっては肋骨の骨折につながったりしてしまいます。 本記事ではつらい咳を和らげる方法や夜に咳が悪化する原因、おすすめのツボや漢方、飲み物などを紹介します。
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咳を即効で止める方法ってあるの?

結論から言うと、咳を即効で止めるのは難しいです。即効ではないですが、咳を和らげる方法はあります。

咳や痰(たん)には、気道内の異物を吐き出す働きがあり、人体の自然な防御反応のため、即効で止める必要はありません。

辛い咳や痰(たん)を和らげるには、のどの乾燥を抑え、潤すことが大切です。咳をラクにする方法は、以下の3つです。

  • のどを温める

  • 温かい飲み物を飲む

  • 部屋を加湿する

それぞれ詳しく解説します。外出先で咳がでたときや子どもにも試せる方法も紹介するため、参考にしてみてくださいね。

のどを温める

のどが冷えていると気道粘膜が刺激に敏感になり、痰(たん)が出やすい状態になります。

のどを温めるには、下記3つの方法を試しましょう。

  • ネックウォーマーやタオル、カイロなどで首を温める

  • マスクをつける

  • 温かい飲み物を飲む

マスクをつけて寝ると、のどを温められます。マスクでのどを保湿でき、冷たい刺激からのどを守れます。

温かい飲み物でのどを温めるのも効果的です。

温かい飲み物を飲む

空気が乾燥しているとのどが刺激を受け、咳が悪化しやすくなります。

冷たいものは刺激になりやすいため、温かいものを飲むのがポイントです。

具体的には、はちみつをお湯に溶いたものを飲むとよいです。はちみつに含まれている成分には、殺菌作用や、荒れた粘膜を保護して炎症を抑える作用があります。

スプーン1杯のはちみつをお湯に溶いたものを飲んで、のどを潤しましょう。

1歳未満の子どもは、はちみつを食べると乳児ボツリヌス症にかかることがあるため、絶対に与えないようにご注意ください。[1]

温かい飲み物にはちみつを加えてのどを潤すと、咳を止めることにつながります。

部屋を加湿する

部屋の乾燥は菌やウイルスを増やしやすくなり、咳を止めるのが難しい環境となります。

加湿器の利用や部屋に濡れたタオル・洗濯物を干す方法も効果的です。

実践する際は加湿器はこまめに手入れをしてカビを防ぎ、タオルは清潔なものを使用しましょう。部屋の湿度は40〜70%に保つとよいです。[2]

部屋を加湿するのが難しい方は、自分で濡れマスクを作るのもひとつの手です。

マスクを水で濡らして軽く絞り、マスクの上3分の1を外側に折り返してつけるだけで簡単に加湿できます。

乳児に濡れマスクを使用すると窒息のリスクがあるため、使用の際は保護者が目を離さないようにしましょう。幼児には就寝用の濡れマスクが販売されているため、パッケージ記載の注意事項をお守りください。

自分に合った加湿方法でのどの乾燥を防ぎ、咳対策をしましょう。

横向きに寝る・上半身を高くして寝る

横を向いて寝ると気道が確保しやすく、咳予防につながります。

「横向きになると咳がでてつらい」という方は、上半身を高くして寝るとよいでしょう。上半身を高くすることで気道が開き、呼吸がラクになります。

首回りに脂肪のある方は、布団やベッドに寝ると気道の一部が圧迫されやすくなり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こす場合も少なくありません。

夜の咳を和らげるために、横向きや上半身を起こして寝るように心がけましょう。

咳が出る原因

大人の急な咳の一般的な原因は、ウイルスや細菌による風邪です。

そのほか急性副鼻腔炎・百日咳・アレルギー性鼻炎・肺炎・うっ血性心不全などがあります。[3]

咳は気道に異物や刺激が入った際に、体が防御する反応です。

異物が入り込むと、まず咽頭や気管、気管支などの気道の粘膜表面にあるセンサーが感じとります。

その刺激が脳にある咳中枢に伝わると、横隔膜や肋間膜などの呼吸をする筋肉に指令が送られ、咳が起こります。

咳が止まらない際に考えられる病気の可能性は?

咳が止まらない理由は、以下のような感染症やアレルギーが原因である可能性があります。

  • インフルエンザ

  • 喘息(ぜんそく)

  • コロナ

  • マイコプラズマ肺炎

  • 逆流性食道炎

咳症状と聞くと、どうしても感染症が原因であることを疑ってしまいがちです。

しかし喘息(ぜんそく)や逆流性食道炎など、感染しておこる病気でないものも原因として考えられます。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる伝染性の呼吸器疾患です。

おもな症状は、以下6つが挙げられます。

  • 発熱、悪寒(おかん)

  • のどの痛み

  • 鼻水または鼻づまり

  • 筋肉や体の痛み

  • 頭痛

インフルエンザの基本的な治療方法は抗インフルエンザ薬の投与です。内服薬だけでなく吸入薬など、さまざまな種類があります。

診察時に医師と相談しながら自分が服用しやすいタイプの薬を服用しましょう。

解熱してからも咳がひどく止まらない場合は、医師の診察や処方を受けたうえで吸入ステロイド薬を服用します。

インフルエンザが治ったと思っても2〜3週間咳が続く場合は「咳喘息(せきぜんそく)」の可能性があります。

咳喘息(せきぜんそく)は気管や気管支の粘膜が炎症により刺激に敏感になり、咳を止めるのが困難になる病気です。

誰かと話している最中や、冷たい空気を吸い込んだ際に咳こみ出し10秒〜15秒止まらない際は、咳喘息(ぜんそく)を疑いましょう。

咳喘息(せきぜんそく)を放置すると、その患者の3割がゼーゼーと呼吸が苦しくなる気管支喘息まで悪化することがあります。そのため早めの治療を受けることが大切です。

喘息

喘息(ぜんそく)は気管支が敏感になり狭くなる発作で、6つの症状が多くみられます。

  • 呼吸をするときにのどから「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする

  • 呼吸困難

  • 発作性の激しい咳

  • 急に動けなくなる

  • 胸の痛み

  • 動悸、息切れ

子どもの喘息(ぜんそく)のおもな原因はアレルギーです。大人は子どもの喘息(ぜんそく)に比べ、原因が明確に特定できず、急に発症する場合もあります。

【喘息(ぜんそく)のおもなアレルゲン】

  • ダニ

  • ハウスダスト

  • ペット(動物の毛やフケ)

  • 花粉

  • 真菌(カビ)

【喘息(ぜんそく)以外の誘引】

  • タバコ

  • 薬(解熱剤や鎮痛剤)

  • 風邪、感染症

  • 過労、ストレス

  • 天気や気圧の変化

  • 汚れた空気(排気ガス、光化学スモッグ)

  • 運動

喘息(ぜんそく)の治療方法は「吸入ステロイド薬」で気道の炎症を抑えるのが基本です。

近年では気道を広げ、呼吸を楽にする長時間作用性β刺激薬が一緒に吸入できる配合剤も使用されることがあります。

吸入ステロイド剤や配合剤などによる治療をすると同時に、喘息(ぜんそく)症状の引き金となる刺激やアレルゲンを避けることが重要です。

また「1日3杯コーヒーを飲む人は、全く飲まない人よりもぜんそく発症のリスクが28%低い」というイタリアの研究もあります。

コーヒーに含まれる「スルフォラファン」という成分に気管支拡張作用があるためです。

咳が2〜3週間続く際は咳喘息(せきぜんそく)の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。

関連記事:ファストドクター|喘息の時にやってはいけないことはある?効果のある食べ物飲み物や気になるコーヒーとの関係について解説

コロナ

SARS-CoV-2というウイルスが咳や飛沫(ひまつ)を介して口や鼻、目などの粘膜に付着することでコロナ感染が起こり、咳症状も引き起こします。

新型コロナウイルスのおもな症状は以下の7つです。

  • のどの痛み

  • 鼻水

  • 鼻づまり

  • 体のだるさ

  • 発熱

  • 筋肉痛

新型コロナウイルス発症後の慢性(8ヶ月以上続く)の咳は、文献に記載されている研究機関で異なり、2.1〜73%の範囲です。

コロナの診断から3週間以上咳が続く場合は特に注意が必要で、以下のようなリスクがあります。[4]

  • 咳が強くなる

  • 肺後遺症

  • 元々の肺疾患の悪化

新型コロナウイルスの治療は、おもに咳止め薬による対症療法です。気道の炎症を防ぐために吸入ステロイドを使用する方法もあります。

新型コロナウイルスの治療方針は、症状の重さにより変わります。[5]

  • 軽症:自宅で安静・解熱剤や咳止めなどの対症療法・中和拮抗体薬(ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ)

  • 中等症1:抗ウイルス薬(体内に侵入したウイルスの増殖を抑える)・中和拮抗体薬

  • 中等症2:酸素投与・抗ウイルス薬や抗炎症薬の投与

  • 重症:人工呼吸器の使用

中等症1は呼吸困難や肺炎がある人で、酸素投与をおこなう程度までには至らない人などを指します。

中等症2は肺炎でも酸素投与が必要な人です。

重症はいわゆる人工呼吸器や集中治療室に入るような人を指します。

コロナの咳を止めるには、上記で紹介した咳止め方法を試してみましょう。

日常生活に支障をきたす咳の場合は早めの受診をおすすめします。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマニューモニエと呼ばれる菌が飛沫(ひまつ)や接触感染によって感染し、咳を引き起こします。咳を含めて、4つの症状があらわれます。

  • だるさ

  • 頭痛

初期症状が現れて3日〜5日経過したころから、乾いた咳が徐々に強くなるのが特徴です。

熱が下がってからも咳が3〜4週間と長く続くため、とにかく咳がつらいとされています。

ほとんどの場合マイコプラズマ菌に感染しても1週間程度で改善傾向になります。

しかし感染が進むとマイコプラズマ肺炎を引き起こしてしまい重症化してしまうこともあるのです。

乾いた咳が3〜4週間続き、止めるのが困難な場合はマイコプラズマ肺炎を疑い、早めの受診をおすすめします。

関連記事:マイコプラズマについて知ろう

逆流性食道炎

逆流性食道炎になると胃液の逆流したものが気管支や喉を刺激することで、咳や喘息(ぜんそく)を発症することがあります。

逆流性食道炎とは、食道に炎症を起こす病気です。

胃と食道のつなぎ目には下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という筋肉があります。

食べ物が通過するとき以外は胃の入口を締めて胃にあるものが逆流しないように働いているのです。

下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)がゆるむと、胃の内容物や胃液が逆流します。

すると潰瘍やただれが食道の粘膜に起こります。加齢や早食い、食べたのちすぐ横になるなどが原因です。

逆流性食道炎のおもな症状は以下の5点です。

  • 不快な呑酸(酸っぱい液体が口まで上がりゲップがでる)

  • 胸焼け

  • 嘔吐

  • 喘息(ぜんそく)や咳

  • のどの痛みや違和感

症状が悪化すると、かすれた声になったり、食べ物を飲み込みにくくなることもあるのです。

咳が続くだけでなく、胃酸が逆流するような感覚や胸やけなどの気になる症状が8週間以上続く場合は、逆流性食道炎の可能性があるため、医療機関の受診を検討しましょう。

咳を止める薬を紹介

咳を和らげたいときに使用する薬を5つ、比較しやすいように表で紹介します。

  • レスプレン

  • メジコン

  • アスベリン

  • 麦門冬湯(ばくもんどうとう)

  • 五虎湯(ごことう)

商品により用法・用量は異なります。パッケージをご覧ください。

薬の種類

成分

商品

子どもが飲めるかどうか

メジコン

デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

メジコン咳止め錠Pro

飲めない(15歳以上)

アスベリン

チペピジンヒベンズ酸塩

ヒストミンV

フジコールカプセル

ルルアタックFa

ラクロンゴールド微粒

7〜15歳以上

※商品により異なります。パッケージに記載された用法・用量をお守りください。

麦門冬湯

バクモンドウ

ハンゲ

コウベイ

タイソウ

カンゾウ

ニンジン

など(商品により変わります)

「クラシエ」漢方麦門冬湯エキス顆粒SII

ツムラ漢方麦門冬湯エキス顆粒

2歳以上

※商品により異なります。パッケージに記載された用法・用量をお守りください。

五虎湯

セッコウ

キョウニン

マオウ

カンゾウ

ソウハクヒ

「クラシエ」五虎湯

2歳以上

服用の際はパッケージに記載された用法・用量をお守りください。

基礎疾患によっては飲めないものや、妊婦さんは避けた方がよい薬もあります。市販薬には、上記の成分以外にもさまざまな有効成分が入っているため、全く同じ効果が得られるわけではありません。購入の際は登録販売者もしくは薬剤師に相談するとよいでしょう。

咳を止めるツボも試そう

薬を飲んでも咳を止めるのが難しい際のために、おすすめのツボを2つ紹介します。

ツボ

場所と押し方

尺沢(しゃくたく)

  • 肺の気の流れにあるツボ

  • 咳に効果が期待できる

【場所】

肘を曲げるとできる内側のシワの上で、シワの中央から指2本分親指側にいった、かたい腱の外側【押し方】

ほどよい刺激を感じる程度の強さで、ゆっくりおしてゆっくり離す

中府(ちゅうふ)

  • 肺の気の流の上にあるツボ

  • 呼吸機能を高めるとして咳の治療に使われる

【場所】

鎖骨から指1本分下、肩関節との間に空いている大きなくぼみにあり、左右に1つずつあるツボ

【押し方】

ツボの反対側の中指で、肌に向かって垂直に押す

「中指にアルミホイルを巻くと咳に効く」と話題になってはいますが、現段階では特に科学的根拠がないため、まずは手軽なツボをお試しするのをおすすめします。

咳の治りかけで気をつけること

咳が治りかけても、体に負担をかけないように気をつけましょう。

症状のぶり返しが起こったり、別のウイルスや菌に感染する可能性があるためです。

体に負担をかけないための方法

  • 適度な湿度を保つ

  • 外出をなるべく控える

  • 水分補給をする

  • 消化のよい食事で栄養をとる

  • 睡眠時間の確保

風邪の治りかけであっても免疫力は低下しているため、安静にすることが大切です。

まとめ|咳を止める方法を知って少しでも体の負担を減らそう

つらい咳を止める方法や対処法、夜に咳が悪化する原因などをご紹介しました。

咳は異物から体を守る生体防御システムのため、無理に止める必要はありません。

しかし咳が続くと睡眠が妨げられ、体力を消耗して新たな感染症にかかりやすい状態になります。

この記事でご紹介した漢方やはちみつの入った温かい飲み物を飲んだり、ツボを押したりするなどの対処法を試し、体を労わってくださいね。

風邪による咳は一般的には徐々に軽快していきます。

しかし2週間以上咳が続く場合や、いつもと違う咳がみられた場合は、喘息(ぜんそく)や肺炎、逆流性食道炎などの違う病気にかかっている可能性もあるため、医師の診察を受けるのがよいでしょう。

症状がこれ以上悪化しないか不安ではないですか?

症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。

夜間や休日でもすぐに医師に相談ができるように、ファストドクターのアプリをダウンロードしておきませんか?

参考文献

[1]厚生労働省|ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。

[2]Indirect health effects of relative humidity in indoor environments.|National Library of Medicine

[3]National Library of Medicine|咳

[4]National Library of Medicine|COVID -19後の持続性咳嗽へのアプローチ

[5]参考文献 厚生労働省|新型コロナウイルス最前線

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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