知っておこう!マイコプラズマ感染症3つのポイント
子どもに多い感染症
マイコプラズマ感染症は、感染者の8割が14歳以下の子どもです。
子どもに多く見られる感染症ですが、一度感染しても免疫がつきにくく、繰り返しかかることがあります。
子どもだけでなく大人も感染します。
感染力は風邪ほどは強くありませんが、幼稚園や保育園、学校など、集団生活の場で感染が広がる場合が多いです。
多くは軽症のため風邪と区別がつきません。安静にしていれば自然に良くなることがほとんどです。
合併症に注意!肺炎を起こすことも
マイコプラズマ感染症で注意が必要なのは合併症です。病原菌の感染が肺まで広がるとマイコプラズマ肺炎を引き起こします。
マイコプズマ肺炎は通称「歩く肺炎」と呼ばれています。他の肺炎と比べて症状が軽く病気に気づきにくいことから、無自覚に感染を広げてしまうことがあるためです。
こんなときは
受診の目安
マイコプラズマ感染症は風邪と症状が似ており、自覚しにくい感染症です。
以下の症状がある場合は早めに受診しましょう。- 痰の絡まない咳が続く
- 38℃前後の熱が下がらない
- 症状が長引く、悪化する
- 元気がない
- 食欲がない
潜伏期間と排菌期間が長く流行しやすい
潜伏期間とは細菌やウイルスに感染してから発症するまでの期間を言います。
マイコプラズマ感染症の潜伏期間は2〜3週間です。風邪やインフルエンザの潜伏期間が3日程度であることと比べ、長期間であることが特徴です。
マイコプラズマ感染症の感染力は、発症から約1週間で最も高くなります。
この時期は症状もピークに達します。1週間を過ぎると感染力は弱まりますが、菌の排出は続くため、発症から4〜6週間は他者へ感染する可能性があります。
これらの理由により、一度流行すると長引くことや、流行に地域差があることも特徴です。
マイコプラズマ感染症にかかった後、熱が下がっても咳が出ている間はマスクをして感染予防に努めましょう。
こんなときは
マイコプラズマ感染症の出席停止期間はあるの?
マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法で「第三種学校伝染病」に指定されているため、急性期は出席停止となります。
しかし明確な出席停止期間は定められていません。発熱やはげしい咳などの症状が軽快したら登校可能となりま す。5日間から1週間程度のことが多いですが、主治医の先生に確認することをおすすめします。マイコプラズマ感染症はどんな症状?
原因
マイコプラズマ・ニューモニアという細菌の一種
感染経路
飛沫感染、接触感染
潜伏期間
2〜3週間
流行期
秋〜冬。感染者のうち14歳以下が80%を占め、好発年齢は特に学童期(5歳~14歳くらい)。
症状
- 発熱
- 朝に下がり夜になると38℃前後の高熱が出る
- 全身倦怠感
- 頭痛
- 咽頭痛
- 咳
咳は他の症状より数日遅れて始まることが多く、下熱後も3〜4週間続きます。
発症初期には痰の絡まない咳、徐々に痰が絡んだ咳へと変わり、明け方や夜にひどくなる傾向があります。
小中学生の肺炎の代表的な原因といわれています。
マイコプラズマ感染症が関連する病気
合併症
- マイコプラズマ肺炎
- 気管支炎
- 胸膜炎
比較的まれな合併症
- 中耳炎
- 発疹などの皮膚症状
- 肝炎
- 膵炎
- 溶血性貧血・脳炎
- 髄膜炎
症状が似ている病気
- RSウイルス
- 新型コロナウイルス感染症
- 喘息
- COPD(慢性閉塞性呼吸器疾患)
マイコプラズマ感染症の対処方法は?
耐性マイコプラズマに注意
マイコプラズマ感染症に使用する抗菌薬に耐性のある菌が増えています。
「耐性マイコプラズマ」と呼ばれ、この菌が原因の場合、病院で処方を受けても症状に改善がないこともあります。
薬を飲んでも症状が改善しない場合や、悪化する場合は再受診しましょう。
長引く咳をケアする
マイコプラズマ感染症の咳は、3~4週間ほど続きます。
多くは軽症ですが咳がひどくなると、眠れない、食べられないなど子どもにとってつらい状態になることも。
以下の方法でケアしましょう。
体勢を変える
横向きになったり、上半身を起こすことで呼吸が楽になり、咳の症状が和らぎます。
体を支えるためにクッションを使うとより快適です。
赤ちゃんや子どもは上半身を起こした姿勢で抱っこするのもよいでしょう。
喉や胸を温め気道を広げる
喉や胸を温めることで気道を広げ、咳の症状を和らげることができます。
喉を冷やさず首元を温かく保ちましょう。
加湿をする
部屋を加湿し、湿度を一定に保つことで咳の症状の緩和を図りましょう。
一般的な最適湿度は50〜60%です。
入浴する
入浴は加温と加湿が一度に行えるため、咳に効果的です。
熱やだるさがなければ入浴するとよいでしょう。
ただし、咳で体力を消耗している時は、さらに疲労が増す可能性があります。長風呂や無理な入浴は控えましょう。
水分を摂る
水分を摂ることで、喉が潤い乾燥が抑えられます。咳や咳に伴う喉の痛みを和らげることができます。
感染予防をする
こまめな手洗い・うがい、手指消毒、マスクの着用が有効です。
家庭内での感染対策
家族間の感染対策を行いましょう。
発症してから1日〜7日目までは感染力が高いため、症状が改善しても発症後1週間は対策を続けるとよいです。
- こまめに手洗い、うがい、手指消毒をする
- 家の中でもマスクを着用する
- 室内の加湿(50〜60%)と定期的な換気をする
- 感染者と食事を共にしない
- タオルなどは分けて使用する
- 可能であれば、感染者と寝室を分ける
※内服しているからと安心せず療養中は体調に注意して、異変がないかを確認しましょう
※家庭内で隔離をする場合は隔離されている人と定期的に連絡をとり、急な体調不良など緊急時に対応できるようにしましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
大人も子どもも、以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119(救急車)へ連絡しましょう。
- 意識がはっきりしない
- 呼吸が苦しそう
- 激しい痛みをともなう
- 明らかに様子がおかしく自力での受診が難しい
至急受診を
大人も子どもも、以下の場合は昼夜を問わず救急外来へ行きましょう。
- 咳が止まらず眠れない(横になれない)
- 咳き込んで止まらない
- 鼻の穴がヒクヒクする
- 肩で息をしている
- 息を吸うと胸が凹む
- 胸に痛みや違和感がある
受診が必要
以下の症状があるときは医療機関が開いている時間帯に早めに受診をしましょう。
- 咳が1週間以上続く
- 38℃以上の発熱が3日以上続く
- 食欲がなく元気がない
判断に迷う場合はオンラインで医師の診察を受けることが可能です。
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に(常に・朝が特に高い・夜特に高い)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。