胃腸炎で発熱することはある?症状についてや何日くらいで治るのかを解説

公開日: 2024/11/06 更新日: 2024/11/07
「胃腸炎で熱が出ているけどこれは普通のことなの?」 「下痢や嘔吐で体力も消耗してつらい…」 そんな不安を抱えている方も多いかもしれません。 胃腸炎にかかった際、発熱やその他の症状がどのくらい続くのか、それぞれに対する適切な対処法も気になりますよね。 本記事では、胃腸炎による発熱の症状や治るまでの日数、発熱時に気を付けたいポイントについて分かりやすく解説していきます。
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胃腸炎で熱が出るの?

ウイルスや細菌が原因の感染性胃腸炎では、多くの場合発熱を伴います。

熱が出る原因は、風邪のときと同様、体の中に入り込んだウイルスや細菌を異物と判断し、免疫機能が働くことで熱が出るためです。

発熱は37-39度程度になることが多く、個人差はありますが通常2-3日ほど続くとされています。

一方で症状が軽い場合や、ストレスが原因の暴飲暴食によって引き起こされた場合は、発熱が起こらないこともあり、比較的早く症状が落ち着きます。

感染性胃腸炎の場合は、発熱とともに下痢や嘔吐が治るまでこまめな水分補給をし、安静に過ごすことが重要です。

感染性胃腸炎とは

感染性胃腸炎は、細菌またはウイルスなどの感染性病原体による嘔吐、下痢を主症状とする感染症のことです。原因はウイルス感染(ロタウイルス、ノロウイルスなど)が多く、毎年秋から冬にかけて流行します。またエンテロウイルス、アデノウイルスによるものや細菌性のものもみられます。[1][2]

原因となる細菌やウイルスはさまざまですが、その種類によって症状や感染経路は異なるため、それぞれの特徴を知っておくことで感染予防の対策も立てやすくなるでしょう。

胃腸炎には、急性胃腸炎と慢性胃腸炎があります。急性のものは、嘔吐や下痢のみならず突然の腹痛や発熱を伴うこともありますが、比較的短期間で回復するのが特徴です。急性胃腸炎には感染性胃腸炎やストレス、飲酒が原因で起こる胃炎などが含まれます。一方、細菌やウイルスの感染による胃腸の炎症が長く続く場合、慢性の感染性胃腸炎として長期的な治療が必要です。

原因菌やウイルス

感染性胃腸炎はウイルスや細菌が主な原因で、ウイルス性のものが大部分を占めます。なかでもノロウイルスやロタウイルスの感染者数が多く、細菌性のものでは大腸菌が代表的なものとして挙げられます。

これらの病原体は食べ物や飲み水、感染者の糞便等に接触したことなどにより体内に入り、感染を引き起こすのが特徴です。

以下が感染性胃腸炎の原因としてあげられるウイルス・細菌の例です。[3]

 

ウイルス・細菌名

原因物質

主な発生時期

潜伏期間

感染対策

ウイルス

ノロウイルス[4]

生牡蠣などの二枚貝、生野菜

12-2月

24-48時間

手洗い、塩素系消毒剤の使用

ロタウイルス[5]

感染者の糞便

1-4月

1-4日

排泄物処理時の手袋等着用、塩素系消毒剤の使用

アデノウイルス[6][7]

感染者の使用したタオル・プールの汚染水

6-8月

5-7日

手洗い、うがい

新型コロナウイルス[8]

感染者の咳・くしゃみ等の飛沫

1年中

1-14日

平均5日

手洗いうがい、マスクの着用

インフルエンザウイルス[9]

感染者の咳・くしゃみ等の飛沫

12-3月

1-3日

手洗いうがい、マスクの着用

細菌

腸管出血性大腸菌[10][11][12]

牛肉、生野菜等

1年中だが夏に多い

3-4日

手洗い、うがい、食品の十分な加熱

カンピロバクター[13]

飲食物、感染者の糞便

1年中

2-7日

排便後や飲食前の手洗い

黄色ブドウ球菌[14]

米、肉、野菜等

7-8月

0.5-6時間

食品の汚染予防

感染経路

感染性胃腸炎のおもな感染経路は経口感染で、汚染された水や食べ物を介して体内に侵入します。また感染者の嘔吐物や便からも感染する可能性があり、手洗いや衛生管理が非常に重要です。経口感染以外にも以下のような感染経路があり、それぞれの経路ごとに対策を立てることで、感染予防が可能です。

 

該当細菌・ウイルス

予防法

経口感染

ノロウイルス

ロタウイルス

カンピロバクター

腸管出血性大腸菌

手洗い、消毒、食品の十分な加熱

飛沫感染

ノロウイルス

新型コロナウイルス

インフルエンザウイルス

黄色ブドウ球菌

手洗い、うがい、消毒、マスクの着用、こまめな換気

空気感染

ノロウイルス

手洗い、うがい、消毒、マスクの着用、こまめな換気

接触感染

ノロウイルス

ロタウイルス

アデノウイルス

黄色ブドウ球菌

手洗い、消毒、感染者の吐いた物・排泄物を処理する際は手袋・ガウン等の着用

胃腸炎の症状

胃腸炎の症状はおもに腹痛や下痢、嘔吐、発熱(37-39度程度)です。とくに感染性の胃腸炎では、これらの症状が急激にあらわれ、体力を大きく消耗することがあります。

症状のあらわれ方は人によって異なりますが、以下のような順番になることが一般的です。

  1. 嘔吐:嘔吐は数回から数十回にわたって続くことがあり、場合によっては数時間から数日間続くこともあります。

  2. 腹痛:お腹の右、左、真ん中など炎症が出ている部分に合わせて痛みが出てきます。

  3. 下痢:その後下痢が始まります。下痢は水のような状態になることが多く、頻繁にトイレに行く必要が出てきます。

  4. 発熱:37-39度程度の発熱が2-3日程度続くことが多いです。

嘔吐・下痢・発熱による脱水症状が進むと、顔色が悪くなったり、ぐったりしたりといった症状があらわれます。口の渇き、尿量の減少、めまいなどもみられるため、十分な水分補給が重要です。

以下に胃腸炎の原因となる主な病原体とその特徴的な症状を示します。

  • ノロウイルス:嘔気、嘔吐、下痢、腹痛。半数程度で発熱もあるが、38℃を超えることはまれ。

  • ロタウイルス:嘔吐、下痢、発熱。

  • 大腸菌:水のような下痢、血便、強い腹痛。発熱もあるが、高熱にはなりにくい。

症状がひどくなった場合や、嘔吐や下痢が続いて脱水症状が見られる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。とくに、以下のような症状がある場合は注意が必要です。

  • 嘔吐が24時間以上続く

  • 下痢が数日間続く

  • 顔色が悪い、ぐったりしている

  • 意識が朦朧としている

  • 尿の量が明らかに減っている

胃腸炎で熱が出てしまったときは

胃腸炎による発熱がみられた場合、脱水症状を防ぐために水分補給が重要です。下痢や嘔吐が同時に起こっている場合も多く、発熱による発汗で脱水症状をさらに起こしやすい状態にあります。水分だけではなく、ミネラルも不足している状態のため、スポーツ飲料や麦茶などの電解質を多く含んだ飲み物や、経口補水液を活用するとよいでしょう。嘔吐が続いている場合は、まず少量の水分から始め、それで吐き気が来なければ少しずつ量を増やしていきましょう。一度に吸収できる水分量は150mL程度であるため、少量の水分をこまめに飲むのが効果的です。

さらに発熱があると体はエネルギーを消費します。消化によい食事を摂ることや、十分な睡眠をとることも大切です。食事はお粥やうどんなどを選ぶとよいでしょう。無理に食べる必要はありませんが、少量でも栄養を摂ることが回復に役立ちます。

発熱時は汗をたくさんかきやすく、そのままにしておくと汗で体が冷えて回復が遅れることがあります。こまめに汗を拭き、十分な睡眠をとることを心がけましょう。家庭内での感染を防ぐためには、家庭内の衛生環境を整え、手洗いうがいや消毒を徹底することが大切です。また上記の表を参考に、原因となっている細菌やウイルスごとに予防法を実践するとよいでしょう。

胃腸炎の熱は何日くらいで下がる?

通常、胃腸炎による発熱は1-3日程度で徐々に治まります。

しかし発熱が長引く場合や高熱が続く場合は、他の感染症の可能性も考えられるため、医療機関での診察を検討することが大切です。

熱が下がったあとでも、顔色が良くない、疲労感が強い、下痢や嘔吐が続くといった場合は、脱水症状が進んでいたり、栄養状態が悪化している場合があるため、早めに受診しましょう。

熱の状態だけではなく、全体的な体調の回復状況をしっかりと観察し、専門家の指示を仰ぐことが重要です。

よくある質問

胃腸炎に関して、よくいただく質問をまとめました。

急性胃腸炎で熱が39度あるが、下痢はないのは大丈夫ですか?

急性胃腸炎では、必ずしも下痢があらわれるとは限りません。原因となった細菌やウイルスの種類によって、症状のあらわれ方や程度も変わることを理解しておきましょう。

下痢以外の嘔吐や腹痛、発熱に関しても、それらの症状のうちひとつやふたつだけが出ることもあります。

ほかにも体から細菌やウイルスを早く追い出すために、初期症状としては嘔吐が先にあらわれ、後から下痢が起こる場合もあります。症状が重い場合や発熱が続く場合には早めに医師に相談しましょう。

子どもの場合、急性胃腸炎で39度の熱が出ることはありますか?

発熱は急性胃腸炎において、よくある症状のひとつです。とくにウイルスや細菌による感染性胃腸炎は、子どもの発症率が高く、発熱も高頻度で起こります。こまめな水分補給を心がけ、発熱も伴う場合は早めに受診するようにしましょう。

胃腸炎の発熱は何度くらいですか?

多くの場合37-38度程度の軽度から中等度の発熱がみられ、症状が重くなると38度以上の高熱になることもあります。感染性胃腸炎の発生頻度が最も多いノロウイルスでは、平均的に熱が下がるまで2-3日程度かかります。大人は高熱が出ることは稀ですが、子どもは39℃程度まで熱が高くなることもあるため注意が必要です。

胃腸炎でカロナールを飲んでも大丈夫ですか?

胃腸炎による発熱は、外から入ってきたウイルスや細菌に対して体が反応し、追い出そうとして起こるため、薬によって抑えることで胃腸炎の回復を遅らせる場合があります。熱の症状がつらいと感じる場合も、自己判断での服用は控え、医師に相談するのがよいでしょう。とくにカロナールを含む解熱剤は胃腸に負担がかかるものが多いです。他の症状も含めた体の状態を医師に確認してもらい、薬を服用するようにしましょう。

まとめ|胃腸炎でも熱が出ることがあるため家庭内感染しないように注意を

胃腸炎では、発熱を含むさまざまな症状がみられることがあります。

とくに感染性胃腸炎では大人も子どもも発熱症状があらわれやすいだけでなく、原因となる菌やウイルスもさまざまです。

3日ほど様子をみて、発熱症状がよくならないもしくは下痢や嘔吐の症状が治まらない際は、できるだけ早めに医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

発熱症状が治まっても家族へ感染する可能性は低くありません。

熱が下がったからといって油断せずに、完治するまでは体をしっかり休めるよう心がけてください。

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もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。

参考文献

[1]感染性胃腸炎|厚生労働省

[2]感染性胃腸炎とは

[3]細菌による食中毒 |厚生労働省

[4]ノロウイルス感染症(Norovirus infection)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応

[5]ロタウイルス感染症(Rotavirus infection)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応

[6]咽頭結膜熱について|厚生労働省

[7]咽頭結膜熱とは

[8] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応

[9]インフルエンザ(季節性)(seasonal influenza)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応

[10]39 腸管出血性大腸菌感染症(enterohemorrhagic Escherichia coli)

[11]腸管出血性大腸菌Q&A|厚生労働省

[12]令和3年 12 月 17 日) 【腸管出血性大腸菌の特徴について】

[13]カンピロバクター腸炎(Campylobacter enteritis)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応

[14]ブドウ球菌食中毒 (Staphylococcal foodborne poisoning)

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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