胃腸炎、うつらない人の特徴とは?ノロウイルスにかからない人もいる?

公開日: 2024/02/26 更新日: 2024/11/14
「胃腸炎がうつらない人の特徴は?」 「同じように過ごしているのに胃腸炎にかからない人がいるのはなぜ?」 このように疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。 感染性胃腸炎、とくにノロウイルスは感染力が非常に高いことで知られています。 しかしなかには、どんなに同じように過ごしていても、うつらない人も存在するのです。 この記事では胃腸炎がうつらない人のある特徴について解説します。 予防策やかかってしまった場合の対処法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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胃腸炎にかかる人とかからない人の違い

胃腸炎にかからない人は3つの特徴があります。

  • 免疫力が高く健康な状態
  • 衛生管理と規則正しい生活習慣
  • 血液型がB型

免疫力が高く、つねに健康な状態である人や規則正しい生活習慣を送っている人がうつりにくいというのは納得できるでしょう。

血液型でも差が出るというのは信じられないかもしれませんが、実際に研究されて出ている結果なのです。

胃腸炎を予防するために、かからない人の特徴を知っておきましょう。

免疫力が高く健康な状態

健康状態が良好で免疫力が高い人は、胃腸炎にかかりにくいです。

つねに健康な人は、胃酸や腸内にいる善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)により胃腸炎の原因となる病原体が殺菌されます。[1]

善玉菌が多い人は普段から偏った食事をさけ、ヨーグルトやチーズ、納豆、キムチなどを食べていることなどが考えられます。

免疫力が高い人は体内に病原菌が侵入しても免疫システムが正常に働くため、軽い風邪のような症状で済み胃腸炎に感染しても発病しないのです。

一方で、乳幼児や高齢者、病気などで免疫力が低い状態にある人は細菌やウイルスへの抵抗力が弱く、胃腸炎にかかりやすい傾向にあります。

衛生管理と規則正しい生活習慣

胃腸炎にかからない人の衛生管理法・生活習慣は、手洗いを徹底していることや健康的な生活習慣を意識していることが共通しています。

胃腸炎は多くの場合、細菌やウイルスが原因で発症します。感染経路は病原体が付着した手で口に触れることによる接触感染と汚染された食品を食べることによる経口感染です。[2]

接触感染・経口感染の最も基本的な予防方法は流水と石けんによる手洗いです。手洗いは手指に付着した細菌・ウイルスを大幅に減らすことができます。

帰宅後や食事前、トイレのあとなどに手洗いをする習慣のある人は、感染の機会を減らすことができるでしょう。

健康的で規則正しい生活習慣のある人は胃腸炎にもかかりにくいです。

食生活の乱れや睡眠不足、仕事や学業によるストレスは自律神経やホルモンバランスが乱れる原因となり、免疫の低下につながります。

日頃から栄養バランスのとれた食事や適度な運動、十分な休養を心がけ、免疫力を高めることが大切です。

手洗いや十分な睡眠、適度な運動などは「基本的すぎる」と思う方もいるかもしれませんが、感染症にかからない身体作りには重要であると理解しておきましょう。

血液型(B型)

すべてのケースでまったく感染しないというわけではありませんが、B型の人はノロウイルスに感染しづらく、症状も軽く済むという報告があります。[3]

赤血球の表面にある血液型の物質は抗原とよばれています。血液型抗原がノロウイルスの受容体として働いていることや、ウイルス感染の際に違いを生み出していることがわかりました。

ノロウイルスが体内に入ってきた際、A型やO型の血液型抗原にはウイルスが付着して反応するのに対して、B型はウイルスに対して反応しないのです

そのためB型は、ノロウイルスにかかりづらいといわれています。

しかしウイルス株によってはB型の人もノロウイルスに感染するケースは十分にあることや、まだ解明しきれていない部分も多いです。B型であっても感染対策をおこなうことは必要だといえます。

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胃腸炎の基本情報

胃腸炎は細菌やウイルスなどの病原菌、薬剤、アレルギー、ストレスなどが原因で胃腸の粘膜に炎症が生じる病気です。

胃腸炎のおもな症状は以下の5つです。

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 下痢

  • 腹痛

  • 発熱

細菌性胃腸炎は食中毒として起こることが多く、腹痛、下痢がおもな症状です。嘔吐は原因菌により異なりますが、ウイルス性胃腸炎よりは軽度なことが多いです。

発熱もしばしばみられ、血便をよく伴います。[4]

ウイルス性胃腸炎の場合、おもな症状は嘔吐と下痢です。嘔吐または下痢のみの場合や、嘔吐のあとに下痢がみられる場合など症状の現れ方はさまざまです。

症状の程度にも個人差があり、37~38℃の発熱や、激しい嘔吐や下痢で水分と電解質が失われ、脱水症状が現れることもあります。[5]

ノロウイルスによる胃腸炎では、小児では嘔吐、成人では下痢が多くみられます。

ロタウイルスでは、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もありますが、乳児はけいれんを起こすこともあるため注意が必要です。[6] 

ウイルス性胃腸炎でも数日で回復することがほとんどですが、乳幼児や高齢者など一部の人では重症化したり、嘔吐物を誤って気道に詰まらせたりすることもあります。[7]

症状が重い場合は早めに医療機関を受診して、医師の診察を受けましょう。

関連記事:下痢と発熱が同時に起こる原因は?対処法や予防法について解説

関連記事:胃腸炎で発熱することはある?症状についてや何日くらいで治るのかを解説

胃腸炎の感染経路

胃腸炎の感染経路は、病原体が付着した手で口に触れることによる接触感染、汚染された食品を食べることによる経口感染です。[6][7]

原因となる病原体にはノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスのほか、カンピロバクターやサルモネラなどの細菌、寄生虫があります。

手指や食品などを介して感染し、人の腸管で増殖します。ウイルス性胃腸炎では感染した人の便や嘔吐物に大量のウイルスが排出されます。

感染を広げないためにはそれらを適切に処理し、感染経路を断つことが非常に重要です。

胃腸炎にかからないための方法

感染性胃腸炎のなかでも、とくに感染力が強いノロウイルスにはワクチンがありません。特別な治療法もないため、かからない・うつさないことが非常に重要です。

胃腸炎にかかるリスクを低減するために、家で出来る予防策を徹底しましょう。

感染性胃腸炎を予防するために家でできる予防策は以下の通りです。[7]

  • 手洗いを徹底する

  • こまめに換気をする

  • 食品はしっかりと加熱する

  • よく触るものを消毒する

  • タオルや食器などの共有を避ける

  • 便や吐ぶつを適切に処理する

それぞれくわしく解説します。

手洗いを徹底する

石けんと流水による手洗いにより、手指に付着した細菌やウイルスは大幅に減少します。以下のタイミングでは必ず手洗いをおこないましょう。[8]

  • 外出後

  • 調理を行う前

  • 食事の前

  • トイレに行ったあと

  • 胃腸炎に感染した人の汚物処理やオムツ交換などを行ったあと

石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して洗うと効果的です。石けんにはウイルスを弱める効果はありませんが、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果が期待できます。

指先や指の間、爪の間など、汚れの残りやすいところを丁寧に洗いましょう。 親指の周りや手首、手の甲も忘れずに洗ってください。

温水による流水で十分にすすぎ、清潔なタオルやペーパータオルで拭きましょう。

胃腸炎に感染しても発病せずにウイルスを排出し続け、気付かないうちに家族に感染させてしまう可能性もあるため、日頃から手洗いを習慣化しておくとよいでしょう。

こまめに換気をする

ウイルスは乾燥すると空中に漂い、その飛沫を口から吸い込んで感染することもあります。[7]締め切った室内では感染リスクが高まるため、こまめに換気をして空気を入れ替えることが大切です。

窓開けによる換気の場合、対角線上にあるドアや窓を2か所開放すると効果的です。

窓が1つしかない場合は部屋のドアを開け、扇風機などを窓の外に向けて設置するとよいでしょう。

食品はしっかりと加熱する

食品に付着したウイルスは、しっかりと加熱することで殺菌できます。二枚貝などのウイルス汚染のおそれがある食品を調理する際は、85~90℃で90秒間以上加熱してください。[8]

ウイルスに汚染された食品を調理した手や包丁・まな板などから、生食用の食材に汚染が広がる可能性もあります。

手洗いを徹底し、調理する際に使用したものは熱湯で消毒するか、0.02%次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。

ウイルスはごくわずかな汚染でも食中毒を起こすため、しっかり加熱し、手指や調理器具の清潔を保つことが大切です。

よく触るものを消毒する

便や嘔吐物により汚染されたものには、時間が経過しても感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。[7]

家族に胃腸炎を疑う症状がみられたら、ドアノブやトイレの水洗バー、手すりなど、よく触るものをこまめに消毒しましょう。

家庭用の塩素系漂白剤を250倍に薄め、ペーパータオルなどに浸して拭くと効果的です。

塩素系漂白剤は金属腐食性があるため、金属製のものを拭き取った場合は10分程度おいてから水拭きをおこなってください。

消毒する際に塩素ガスが発生することがあるため、消毒する際は必ず換気しましょう。

タオルや食器などの共有を避ける

タオルや食器には感染性胃腸炎の原因菌やウイルスが付着している可能性があるため、共有は避けましょう。[8]

感染性胃腸炎にかかっている人が使用したタオルや食器を介して家族にうつしてしまう可能性があります。家庭内感染を防ぐために、個人ごとに専用として使用しましょう。

便・嘔吐物の適切な処理

家族がウイルス性胃腸炎に感染したときは、便や嘔吐物を適切に処理することが大切です。

ノロウイルスの場合、感染した人の便や嘔吐物には大量のノロウイルスが含まれています。ごくわずかな量のウイルスでも感染してしまうため、家庭内でも感染を防ぐための対策が必要です。

便や嘔吐物を処理する際のポイントは以下の通りです。[8]

  • 床などに飛び散った患者の嘔吐物や便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)とマスク、手袋を着用汚する
  • ウイルスが飛び散らないように便や嘔吐物をペーパータオルなどで静かに拭き取る(市販の凝固剤を使用することも可能)
  • 拭き取ったあとは、0.1%次亜塩素酸ナトリウム染み込ませたペーパータオルで覆うか、浸すように床を拭き取る
  • おむつ等は、速やかに閉じて便を包み込む
  • おむつや拭き取りに使用したおしり拭きやペーパータオルは、ビニール袋に密閉して廃棄する(ビニール袋に廃棄物が浸る量の0.1%次亜塩素酸ナトリウムを入れることが望ましい)
  • 汚物が衣類についた場合はビニール袋に入れ85度以上の熱湯で1分間消毒するか、0.02%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
  • 処理後は手袋を外して手洗いをする

ウイルスは乾燥すると空中に漂い、その飛沫を口から吸い込んで感染することもあります。感染を防ぐためには、乾燥しないうちに速やかに処理することが大切です。

次亜塩素酸ナトリウムは、製品50mlを3リットルの水で希釈すると0.1%(1000ppm)の濃度に、製品10mlを3リットルの水で希釈すると0.02%(200ppm)の濃度になります。(原液濃度6%の場合)[6]

次亜塩素酸ナトリウムは製品によって濃度が異なるため、表示を確認して使用しましょう。

胃腸炎にかかってしまった場合は?

胃腸炎が疑われたら、早めに医療機関を受診しましょう。とくに、乳幼児や高齢者は重症化するおそれがあるため注意が必要です。

ここでは、胃腸にかかったときの初期対応と医療機関に相談するタイミングについて解説します。

胃腸炎の初期対応

嘔吐や下痢などの症状は1~2日で自然に治まることがほとんどですが、脱水症状を防ぐためにこまめな水分補給と安静が必要です。

乳幼児や高齢者は重症になることもあるため、水分と栄養を十分補給し、脱水症状や体力の消耗を防ぎましょう。

止しゃ薬(下痢止め薬)は病原体の体外への排出を妨げて回復を遅らせる可能性があるため、医師に相談してから使用してください。[7]

いつ医療機関に相談すべき?

ひどい腹痛や下痢、嘔吐、脱水症状(尿量の減少や唇・口の中の乾きなど)がみられる場合や、症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。

胃腸炎には特別な治療法がないため、治療は点滴や整腸剤など、症状をやわらげるための対症療法となります。[9]

乳幼児や高齢者はひどい嘔吐・下痢により脱水症状を起こし、入院が必要になることもあります。重症化リスクの高い人は早めに医療機関を受診して医師の診察を受けましょう。

まとめ

胃腸炎は細菌やウイルスなどの病原体や薬剤、アレルギー、食中毒などが原因で発症する胃腸粘膜の炎症です。

感染性胃腸炎は人や食べ物を介して感染しますが、手洗いの習慣がある人や、健康で免疫力が高い人は感染しにくいです。

胃腸炎には特別な治療法がないため、予防が非常に重要になります。日頃から手洗いを徹底し、栄養バランスの取れた食事や適度な運動、十分な休息を心がけ、免疫力を高めましょう。

胃腸炎にかかったときは安静にして水分をこまめに補給し、脱水症状や体力の消耗を防ぐことが大切です。

胃腸炎の症状はほとんどの場合数日で治まりますが、重症化しやすい乳幼児や高齢者は注意が必要です。

ひどい腹痛や下痢、嘔吐、脱水症状などの重い症状がみられるときは、早めに医療機関を受診しましょう。

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参考文献

[1]東京都保健医療局|同じものを食べても、食中毒になる人とならない人がいるのは、なぜですか?【食品安全FAQ】

[2]福岡県|感染性胃腸炎とは ノロウイルスを中心に

[3]ノロウイルス感染症:最近の研究の展開

[4]一般社団法人|加古川医師会|細菌性胃腸炎

[5]厚生労働省|感染性胃腸炎

[6]東京都感染症情報センター|感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に)

[7]厚生労働省|ノロウイルスに関するQ&A

[8]東京都保健医療局|防ごう!ノロウイルス感染

[9]大阪府|感染性胃腸炎にご注意!

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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