知っておこう!新型コロナウイルス感染症3つのポイント
変異株により症状はさまざま
新型コロナウイルスに感染すると、基本的に感染からおおよそ2〜7日後に38℃以上の発熱、強い咽頭痛、咳、痰などの呼吸器症状が強く表れます。
しかし、新型コロナウイルスが流行して以降、変異株が生まれ続けています。株によって症状も少しずつ異なり、無症状、微熱、通常の風邪やインフルエンザによく似た症状での発症事例もあります。コロナであると気づかない場合もあるようです。以前よく聞かれた味覚障害や嗅覚障害は必ずしもあらわれる症状ではありません。
重症化することがある
「重症化する」とは、集中治療室や人工呼吸器を必要とする治療を行わなければならない状況のことです。
新型コロナウイルスが肺に感染すると、炎症が起きて肺炎になります。通常、ウイルス性肺炎は片方の肺のみに生じますが、新型コロナウイルスによる肺炎は左右両方の肺に生じることが多いです。さらに、急速に症状が悪化しやすく重症化のリスクが高いといわれています。
特に呼吸器系の持病がある方や高齢者は感染予防や体調の変化を感じた際の早期受診が大切です。
抗ウイルス薬による治療が可能
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の治療方法も変化しています。2025年4月時点では、重症化リスクがない方に対しても抗ウイルス薬の処方が可能で、飲み薬(ゾコーバ)による治療が主流となっています。
症状が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を飲むことで、症状が続く期間を1日短縮することができます。
※飲み薬(ゾコーバ)は12歳未満の子どもや妊婦、授乳中の方は服用できません。
オンライン診療でも新型コロナウイルス感染症に対応
オンライン診療でも抗ウイルス薬の処方が可能です。
診察の前に、薬局等で販売している「新型コロナウイルス・インフルエンザ同時抗原検査キット*」をご利用いただくとスムーズです。
※処方は医師の判断によります。ご家庭内に感染者がいらっしゃらない場合は、事前の検査実施をおすすめします。
新型コロナウイルス感染症はどんな病気?
原因
新型コロナウイルス(COVID-19)が鼻や喉の粘膜に付着することで引き起こされる感染症です。
感染経路
飛沫感染や接触感染のほか、エアロゾル感染があります。
知っておきたい豆知識
エアロゾル感染とは?
エアロゾル感染は、飛沫感染や空気感染と並ぶウイルスの感染経路の一つです。
特徴
感染からおおよそ2〜7日後に症状が現れ、7〜10日ほど症状が続きます。冬(11月~2月)に流行しやすい病気です。
新型コロナウイルス感染症の症状
- 喉の痛み
- 咳
- 痰
- 発熱(37〜39℃)
- 鼻水
- 頭痛
- 関節の痛み
- 息苦しさ
- 倦怠感
- だるさ
特徴として、呼吸器症状が強く現れます。特に呼吸器系の持病がある人や高齢者は重症化のリスクが高いです。
2020年の流行期には味覚障害や臭覚障害が代表的な症状として注目されましたが、2025年現在では減少傾向にあり、ウイルスの変異により症状も変化しています。
新型コロナウイルス感染症が関連する病気
症状が似ている病気
- インフルエンザ
- マイコプラズマ感染症
- RSウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の対処方法は?
流行期には感染対策を。集団感染(クラスター)に注意
流行期には周りの感染状況に関わらず、以下の感染対策を行うとよいでしょう。
- マスクの着用
- こまめなうがいや手洗い
- アルコール消毒
- 換気
エアロゾル感染による集団感染(クラスター)は特に締め切られた場所や部屋で起きやすいです。重症化リスクがある方(高齢者・基礎疾患がある方)はもちろん、家族の方は特に注意が必要です。
合併症に注意。こまめに水分補給を
変異株によって症状はさまざまですが、高熱が出る場合や喉の痛みが強く表れることが多いです。こまめに水分補給を行い、脱水症状に注意しましょう。
脱水症状の予防に効果的なのは経口補水液ですが、味が苦手な場合は麦茶やスポーツドリンクでも良いでしょう。子どもの場合はジュースでも良いです。ただし、オレンジジュースは避けましょう。酸味が刺激となり、口の中や喉に痛みが強くなったり嘔吐を引き起こしやすくなります。
子どもや妊婦の感染について
子どもと大人で感染のしやすさに差はありません。大人に比べて子どもの方が重症化しにくいですが、喘息など特に呼吸器の持病がある場合は注意が必要です。
妊婦でも基礎疾患がなければ感染しやすさや重症化しやすさに差はありませんが、妊娠後期の感染で早産になりやすい傾向があります。
ワクチンについて知っておく
新型コロナウイルス感染症には、重症化を防ぐためのワクチンがあります。製薬会社により差はありますが、複数回の接種が必要になります。ワクチン接種後、効果は6ヶ月ほど続きます。
注意しなければならないのが、発症を予防するものではないということです。また、接種は義務ではないためメリット・デメリットをよく考えた上で検討するとよいでしょう。
感染してしまったら
職場や学校へ感染を報告し指示を仰ぐ
新型コロナウイルス感染症は5類感染症に分類されています。発症日を0日目として発症後5日間は感染リスクが高いため外出を控え、症状が軽くなってからも24時間は外出を控えることが国から薦められています。
学校や職場へは感染が分かった時点で連絡しましょう。独自のルールが設けられている場合もあるため、登校や出社が可能になるタイミングを確認しておきましょう。
同居者がいる場合には家庭内感染対策を行う
- 感染者と寝室を分ける
- 感染者と食事を共にしない
- タオルなどは分けて使用する
- 家の中でもマスクの着用
- こまめな手洗い・うがい・手指消毒
- 室内の加湿(50〜60%)と定期的な換気
発病1日前〜発病7日までは感染力が高いため、症状が良くなっても1週間程度行えるといいでしょう。
※家庭内隔離を行なっている場合は隔離されている人と連絡が取れるようにし、緊急の際に対応できるようにしましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
こども
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 5分以上持続するけいれん
- 初めてけいれんした
- 激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
- 泣き止まない
- 辻褄の合わない会話
- 興奮状態
大人
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- 呼吸が苦しい
- 持続するけいれん
- 激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
至急受診を
以下の症状がある場合は至急医療機関を受診しましょう。
子ども
- 生後3ヶ月未満で38℃の高熱
- 水分が摂れない
- 尿の量や回数が極端に少ない
- 尿が濃い
- ぼーっとしていて元気がない
- 泣いているのに涙が出ない
- 話すのが苦しい
- 呼吸が早い
- 顔色が白い(悪い)
大人
- 水分が摂れない
- 尿の量や回数が極端に少ない
- 尿が濃い
- 話すのが苦しい
- 呼吸が早い
- 顔色が白い(悪い)
受診が必要
以下の症状がある場合は病院を受診しましょう。
こども
- 1歳未満で38℃以上の熱が出た
- ミルクや母乳の飲みが悪い
- 不機嫌が続いている
- 泣き止まない
- 保護者から見て、子どもの様子がいつもと様子が違う・気になる
- 熱は低いが周囲でコロナ感染症が流行している中、コロナに似た症状がある
大人
- コロナ流行期に38.5℃以上の熱が出た
- 熱は低いが周囲でコロナ感染症が流行している中、コロナに似た症状がある
- 家族や生活を共にする人に重症化しやすい人がいる中、コロナに似た症状がある
乳幼児がけいれんしたら
1.患者の顔と体を左側を下にして横向きにする
・呼吸しやすい体勢にし、吐いたものが喉につまったり、肺や気管に入ることを防ぎます
・呼びかけたり、揺さぶることは避けましょう。刺激になってしまいます
2.けいれん開始時刻を正確に記録する
・スマホで時刻をスクショして記録するとよいです
・余裕があればタイマー起動して間隔を把握しましょう
3.余裕があれば動画を撮影する
・医師に動画を見せることで、診察がスムーズに進むでしょう
※近年固定電話のない家庭が多い中、スマートフォンでの動画撮影を優先してしまうことで対処が遅れてしまう場合もあります。まず患者の安全確保をおこないましょう。
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱が)症状があるか
- どんな時に(常に・朝が特に高い・夜特に高い)症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。