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ヒトメタニューモウイルスは熱が上がったり下がったりするのか
ヒトメタニューモウイルスは熱が上下する弛張熱(しちょうねつ)を引き起こしやすい呼吸器感染症です。弛張熱とは1日のうちに1℃以上の体温差があり、平熱までは下がらない熱型のひとつです。
また生理現象の影響も加わり、夜間だけ発熱するケースもあります。
乳幼児がヒトメタニューモウイルスに感染すると、多くは38℃以上の高熱がみられますが、大人ではあまり高くならないのが特徴です。
しかし場合によっては大人も子どもと同じように熱が上下したり、高熱が出たりすることもあります。
夜だけ熱が上がることはある?
ヒトメタニューモウイルスに感染したとき、夜だけ発熱が続くこともあります。
熱が夜だけ高くなるのは生理現象が関係しています。人間の体温は、夜の体温は朝より0.6℃~1.0℃高くなるのが一般的です。
これに感染症の症状が加わると夜間の発熱は高熱になり、症状が重くなると朝でも熱が上がるようになり、1日中発熱しているという現象が起こります。
夜間だけ発熱しても、日中は機嫌がよく、食事も水分もとれている場合はあまり心配ありません。
夜間の発熱で眠れなかったり、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)が聞こえ始めたりしたときは受診をしたほうがよいでしょう。
大人も同様に熱が上がったり下がったりするのか
大人では高熱はあまりみられず、軽い風邪症状で済むことがほとんどです。
ただし肺や心臓の病気を持つ人、免疫不全の人、さらに高齢者の場合は重症化のリスクがあるため、注意が必要です。
高齢者は免疫力が弱まっているため、肺炎となり重症化してしまう可能性が否定できません。
発熱が続くときは子どもと同じように気管支炎や肺炎、他の細菌感染の可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。[1]
ヒトメタニューモウイルスの症状について
ヒトメタニューモウイルスの主な症状は発熱、咳、鼻水です。
乳幼児では38度以上の高熱になることが多く、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)も多くみられます。
先に熱だけが出て、熱が下がると同時に咳などの呼吸器症状が出始めることもあります。
発熱症状は数日間続くこともあり、その間は水分がとれなかったり食欲もなくなってしまうのです。
また合併症として報告されているのは、熱性けいれんや急性中耳炎、急性胃腸炎などです。
ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスとよく似た症状を示しますが、症状だけで区別するのは難しいとされています。
しかしヒトメタニューモウイルスのほうが高熱で、発熱している期間は長いことが特徴です。[2]
高熱は何日続く?
通常、発熱は平均で2日~3日、長いと5日~7日程度続きます。乳幼児では38℃以上の高熱になることがほとんどです。
発熱している間は、熱が上がったり下がったりするほか、解熱剤が効いている時間以外は高熱になることが一般的です。また、夜間だけ高熱になることもあります。[3]
ヒトメタニューモウイルスは1度の感染では完全な免疫を獲得できないため再感染しますが、感染を繰り返すたびに症状は軽くなる傾向があります。[2]
ヒトメタニューモウイルスの咳症状は何日続く?
咳は1週間程度続き、夜間にひどくなるのが特徴です。
夜間は副交感神経が優位になり気管支が狭くなるほか、気温が下がると冷たい空気が気管支を刺激するため、咳がひどくなりやすいのです。
また、子どもの場合は激しい咳込みが原因で嘔吐することもあります。
熱が下がったあとに咳が出始めるケースもあり、悪化すると強い喘鳴(ぜんめい)をともなう喘息様気管支炎や肺炎を引き起こすことがあるため注意が必要です。[3]
ヒトメタニューモウイルスの症状のピークはいつなのか
発熱は5~7日間続き、咳などの呼吸器症状は発熱して3日以降にピークを迎えます。
発熱のピークというと高熱だけが続くと考えがちですが、ヒトメタニューモウイルス感染ではピークの間も熱が上がったり下がったりするのが特徴です。また、夜間だけ高熱になるケースもみられます。
ウイルス増殖のピークは感染後4~7日とされていて、全ての症状が落ち着くまで1週間以上かかることもあります。[2]
ヒトメタニューモウイルスの熱が上がったり下がったりする症状が続く場合
上がったり下がったりする熱はヒトメタニューモウイルスの特徴的な症状で、数日続く程度であれば様子をみてもかまいません。高熱が続くと、なぜ下がらないのか心配になりますよね。
受診したのちも発熱が1週間以上続く場合は合併症や二次感染が考えられ、適切な対処ができないと重症化に至る可能性があります。
再受診や入院の目安を把握して、合併症や二次感染の兆候を見逃さないようにしましょう。
再度医療機関へ行くべき目安
発熱が1週間を超えたら、再度医療機関を受診してください。ヒトメタニューモウイルスは重症化すると喘息様気管支炎や肺炎などの合併症を引き起こす可能性があります。
とくに乳幼児では急性中耳炎や急性胃腸炎、高熱による熱性けいれんなどの合併症から重症化に至ることも考えられます。
機嫌が悪くなる、耳を頻繁に触る、下痢や嘔吐をともなうなど症状の悪化や変化があれば早めに再受診することが大切です。二次感染として細菌感染を起こすと抗生物質での治療が必要になることもあります。
入院となる目安
入院の目安は次のような症状がみられる場合です。7つのポイントを確認しましょう。
ポイント |
詳細 |
呼吸困難 |
血液中の酸素濃度が下がると脳が酸欠になり、低酸素脳症のリスクが高まります。入院治療で酸素投与と呼吸管理が必要な状態です。 |
強い喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音) |
強い喘鳴は呼吸困難にともなって起こります。 |
水分がとれない |
脱水症状を引き起こすため、点滴などの処置が必要です。 |
尿が出ない・少ない |
すでに脱水症状を起こしている可能性があります。 |
顔色が悪い |
血液中の酸素が足りていない可能性があり、すぐに受診が必要です。 |
ぐったりしている |
脱水症状や低血糖症状を起こしている可能性があり、点滴などの処置が必要です。すぐに受診が必要です。 |
発熱や咳などで寝付けない |
寝付けないほどの発熱や咳は、重症化の可能性があります。 |
ほかに医療機関で検査をおこない、血中酸素濃度の低下や炎症反応が高値だった場合も入院することがあります。[4]
乳幼児は肺炎を合併すると、免疫力の低さから重症化しやすいです。特に呼吸困難や酸素飽和度の低下が見られる場合、酸素投与や集中治療が必要になることがあります。
また薬が飲めない場合や脱水症状が懸念されるため、点滴や内服の適切な管理も検討されます。そのため入院治療になる可能性が大人より高くなります。
受診や対処に迷ったときは、#7119(救急相談センター)や#8000(小児救急相談)に電話で相談するようにしましょう。
ヒトメタニューモウイルスで熱が上がったり下がったりしたときにできるホームケア
発熱しているときは次のようなケアを自宅でおこないましょう。
対応策 |
詳細 |
水分補給をこまめにする |
水分補給は経口補水液やイオン飲料、カフェインを含まない麦茶が適しています。 乳児はミルクや母乳で問題ありません。 |
首・脇の下・足の付け根を冷やす(高熱時) |
太い動脈が通る部分を冷やすと効率よく熱を下げることができます。 子どもが嫌がるときは無理におこなわないようにしましょう。 |
体温調節をする |
熱が上がっているときは薄着にして体温を逃がします。 逆に手足が冷たい、寒気がするときは毛布をかけるなどして温かくします。 汗をかいたときはタオルで拭いて、着替えもこまめにおこないましょう。 |
睡眠を十分にとり安静に過ごす |
発熱は体力を消耗し、免疫力を下げます。 十分な休養をとり、安静に過ごすようにしましょう。 |
解熱剤を使用する |
処方された解熱剤があれば、指示通りに使用します。 市販薬を使う場合は説明書をよく読み、正しく使用してください。 |
室温・湿度を管理する |
冬は20℃~23℃、夏は26℃~28℃、湿度50%~60%が目安です。 室内に濡れたタオルを干すと加湿することができます。 |
よくある質問
ヒトメタニューモウイルス感染症についてよくある質問にお答えします。
ヒトメタで高熱5日目ですが、どうしたらいいですか?
症状の悪化や二次感染も考えられるため、医療機関を受診して適切な指示を受けましょう。
症状が悪化すると気管支炎や肺炎などの合併症を引き起こし、重症化のリスクが高まるため、適切な対処が必要です。
熱だけが上がったり下がったりするのはなぜですか?
明確な理由は不明ですが、熱の上下はヒトメタニューモウイルスで特徴的な熱型です。この熱型は弛張熱(しちょうねつ)と呼ばれ、高熱と微熱を繰り返します。
ほかに夜だけ熱が上がり、日中は平熱になるケースもあります。
これは夕方から夜にかけて体温が高くなる生理現象に、感染症の症状が加わったためと考えられ、日中は元気であれば心配ないことがほとんどです。
ヒトメタニューモウイルスで熱がぶり返す場合はどうしたらいいですか?
早めの再受診をおすすめします。発症から5日を超えて熱がぶり返すときは、別の感染症にかかっている可能性も考えられます。
すぐに医療機関を受診できないときは、必要に応じて処方された解熱剤を使ってもよいでしょう。
市販の解熱剤を使うときは説明書をしっかり読み、疑問点は薬剤師に相談してみてください。
ヒトメタニューモウイルスで熱が1週間以上続くことはありますか?
発熱のピークは5日~7日のため、1週間以上続くこともあります。ただし、熱が1週間以上続く場合は合併症や二次感染の可能性があります。
とくに肺炎や細菌感染が起きている場合は薬での治療が必要になることがあるため、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けてください。
まとめ|ヒトメタニューモウイルスで熱が上がったり下がったりしているときは無理をせず休もう
ヒトメタニューモウイルスは呼吸器感染症のひとつです。
症状は一般的な風邪症状である発熱、咳、鼻水です。乳幼児ではしばしば高熱が上下する弛張熱(しちょうねつ)がみられ、咳や喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)をともないます。
症状が進むと気管支炎や肺炎などを引き起こすため、適切なタイミングで受診をすることが大切です。また熱が出ている間は脱水に注意して、自宅で適切なケアをおこなう必要があります。
出席停止期間が定められた感染症ではありませんが、発熱している間は無理をせず、十分な休養をとるようにしましょう。
症状がつらくなったときに病院が休みだったらどこを頼ればよいのか困ってしまいますよね。
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参考文献
[1]Human Metapneumovirus in Adults - PMC
[2] 菊田英明.3. ヒト・メタニューモウイルス.ウイルス 第56巻 第2号,2006.
[3] ヒトメタニューモウイルス感染症| 福岡地区小児科医会
[4] 迅速診断キットにより診断したヒトメタニューモ ウイルス感染症入院例の重症化リスク因子の検討
[5]18 ② 発熱時の対応
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。