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パニック障害は明るい人が多い?
パニック障害は、明るい人に多いというわけではありません。
また外向的か内向的かによって、発症の有無が決まるわけではないといわれています。
実際の研究でも、外向性とパニック障害との間に有意な関連は認められていません。[1]
社交的に見える人でも発症する可能性があれば、静かに見える人でも発症する可能性もあるということです。
パニック障害は「性格の明るさ」とは無関係に、さまざまな要因が重なって発症するものです。
本人の内面で抱えている緊張やストレス、思考のクセなどが影響し、見た目や印象からは想像しにくいところに不調が隠れていることもあります。
「あの人は明るいから大丈夫だろう」「自分は明るいからパニック障害になることはない」と思い込まず、一人ひとりの傾向をきちんと理解しておくことが大切です。
パニック障害になりやすい人の傾向を紹介
パニック障害になりやすいのは、以下の傾向がある人です。[2][3]
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男性は20代、女性は20~30代
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男性よりも女性の方が2~3倍多い
発症している人の多くは比較的若い人が多いです。パニック障害は100人に1人がかかるといわれています。
パニック障害は、比較的不安感が強い人や、真面目で完璧主義な人といった神経質な部分を有している人に起こりやすいです。
常に神経を研ぎ澄ませていると、心身にかかる負担が大きくなってしまいます。
周囲の目を気にする傾向がある人は、自分の不調を隠そうと無理をしてしまい、結果として症状を悪化させることも少なくありません。
こだわりが強い人や、ストレスを受けやすい体質の人、慢性的な疲れや睡眠不足を抱えている人も、発症リスクが高まる傾向にあります。
とはいえ、紹介したような特徴を持っているからといって、必ずパニック障害になるわけではありません。
当てはまる点が多い人ほど、心身のバランスに注意を払う必要があります。
パニック障害になるとその人の考え方や行動が変わるのは本当か?
パニック障害になることで、根本的な考え方や行動に変化がみられる人は少なくありません。
考え方や行動が変わるというよりも、発作に対する不安から行動範囲が狭まったり、思考がより慎重になったりする傾向があるのは珍しくありません。
パニック障害になると予期不安や広場恐怖といった特定の場所や特定の状況だけでなく「もし今、パニック障害になったらどうしようといった不安」に襲われることがあります。
すると人混みや電車を避けるようになったり、発作を恐れて予定を先送りにすることが増えたりします。
行動が消極的になるのは怠けているのではなく、発作による強い不安感や過去の体験が影響しているためです。
パニック障害によって起こったその人の変化を考え方や行動が変わったと捉えるのではなく、症状が行動や思考に影響を与えていると理解することが大切です。
パニック障害になってしまう本当の原因
パニック障害の根本的な原因は、はっきりとわかっていませんが、脳神経の働きの異常が大きく関与していると考えられています。
とくに不安や恐怖にかかわる扁桃体や、自律神経を調整する前頭前野の働きにバランスの乱れが生じることで、身体が過剰に反応し、パニック発作が起こるといわれています。[4]
大きなストレスと心理的負荷がかかることで発症するといわれているのです。
現在も完全には解明されていませんが「考えすぎ」や「気の持ちよう」といった精神論ではなく、生理的な反応としてパニック発作が起きていることを理解することが大切です。
パニック障害は意志の力だけでコントロールできるものではなく、医学的な治療が必要な「心と脳の病気」であるという認識をするのが重要となります。
パニック障害の友達を支えるには
パニック障害を発症している人を支えるには、相手の気持ちを想像したり、安心できる環境を整えたりと、思いやりや気遣いが求められる場面が多くなります。[5]
まずはパニック障害がどのような疾患なのか理解する必要があります。発作が起きたときは「甘えや気が弱いから起こる」のではなく、脳神経の働きが影響していると考えましょう。
発作が起きてしまっても「大丈夫だよ」と声かけをしたり、背中をさすってあげたりすると安心できるはずです。どんなことでも手を差し伸べてあげてください。
パニック障害の人は責任感が強く、自分ひとりで頑張ろうとする傾向もあります。
発作を恐れているのに頑張ってひとりで出かけようとしているときは、一緒に行くなどしてひとりで抱え込まないようにしてあげることも大切です。
ただそれが長期間続くと、支える側にも精神的な負担が蓄積し、知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまいかねません。
お互いに「無理をしないこと」と「ひとりで抱え込まないこと」が大切です。
そばにいることが難しいときは自分一人でどうにかしようとするのではなく、他の家族や医師、カウンセラーに相談することも有効です。
「しばらくはひとりにしないで」といわれても、無理のない範囲でかかわることが長期的な支援につながるため、自分の気力や体調を優先しましょう。
「なんだか疲れてしまうな」と感じたときは、ごく自然なことであるため無理をしないようにしてください。
パニック障害は開き直りが意外にも効果的
パニック障害の治療や症状のコントロールには、「もうどうにでもなれ」といった開き直りの気持ちが意外な力を発揮することがあります。
単なるあきらめではなく「パニック発作が起きても死ぬわけじゃない」「過去にも乗り越えられた」という考え方です。
前向きな受け入れの姿勢が、自己効力感(セルフエフィカシー)を高めることにつながります。[6]
自己効力感とは、自分が状況に対処できるという感覚のことです。
自己効力感が高まると、発作への過剰な恐怖がやわらぎ、回復のきっかけになるといわれています。
実際に「怖いけれどやってみよう」と少しずつ行動範囲を広げたことで自信を取り戻し、症状が軽減していった人も少なくありません。
治療のなかではもちろん医師の指導が重要ですが、自分自身の思考や向き合い方を変えることも、症状の改善には大切な一歩となるのです。
パニック障害の治療中は、開き直ることも大切ですが、その間は周りの人が避けるべき言葉もあることに注意しましょう。
治療に前向きになっているところに心無い言葉をかけると、治療の妨げにもなります。
開き直ったからどんな言葉を投げかけてもよいのではなく、治療者も周囲の人もお互いに気を配りながら治療を進めていきましょう。
治療中にいってはいけない言葉に注意
パニック障害の治療中は、後ろ向きになるような、相手を責めた言葉を投げかけるのは避けましょう。
治療中は、周囲の言葉が本人に大きな影響を与えることがあります。
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「気の持ちようだよ」
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「甘えているだけ」
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「頑張れば治る」
上記のような言葉は、善意でかけたとしても、本人にとってはプレッシャーや否定的なメッセージとして受け取られることがあります。
とくに「頑張れ」という言葉は、すでに頑張っている人にとっては自分を責めるきっかけにもなりかねません。
パニック障害は、脳神経の働きの不調によって起こる病気です。
努力だけではどうにもならない部分があることを理解する必要があります。
本人が安心して話せる環境を整え「つらかったね」「よく話してくれたね」と共感する言葉をかけることが、回復への支えになります。
発言する前に「この言葉で相手がどう感じるか」を想像することが、適切なコミュニケーションの第一歩です。
よくある質問
パニック障害が明るい人と関係するのかどうかについて、よくある質問にお答えします。
パニック障害の完治率は?
パニック障害は適切な治療を受ければ、多くの人が症状の軽減や寛解に至ります。
完治率は個人差が大きく一概にはいうことはできません。
認知行動療法と薬物療法を組み合わせることで効果が高まり、再発を防ぐ手立てにもなります。
ただし再発率も高く、一定程度あるため、完治というより「うまく付き合える状態を維持する」ことを目指す考え方が一般的です。
回復までの時間も人によって異なりますが「焦らず、少しずつ」治療を継続する姿勢が大切です。
症状が落ち着いたあとも無理をせず、心身のケアを続けていくことが再発予防にもつながります。
自分に合ったペースで向き合い続けることが、長期的な安定につながるでしょう。
軽度のパニック障害の症状は?
軽度のパニック障害の症状は、強い発作ではなく息苦しさや胸の締めつけ感、軽いめまいなどです。[7]
症状は10分ほどの短時間でおさまることもありますが「また起きたらどうしよう」といった予期不安が続くことで生活に支障をきたすケースもみられます。
症状が頻繁に起こるようになったり、あらわれる症状がひどくなってきたりすると、発作のきっかけとなる電車やエレベーターといった特定の場所を避けるようになります。
また人との約束に消極的になったりするなど、行動や考え方に影響が出ることも珍しくありません。
パニック障害の症状は、軽度であっても早めに対処することが大切です。
発作が起こっているにもかかわらず自分で気づきにくいこともあるため、違和感を覚えたときには医療機関への相談を検討してみてください。
最初は風邪やただの体調不良だと思うかもしれませんが、心に負荷がかかっている人は気をつけましょう。
パニック障害は遺伝性ですか?
パニック障害には遺伝的な要素も関与していると考えられています。[8]
家族に同様の症状がある場合、発症リスクが高まるという研究もありますが、とはいえ遺伝だけで決まるわけではありません。
考え方や行動の傾向、ストレス環境、過去の体験などさまざまな要因が複雑に絡み合って発症するとされています。
たとえ家族に同じような症状の人がいても、必ずしも自分もそうなるとは限りません。
もちろん家族歴がなくても発症することもあります。
多くのストレスを抱え込むと発症する恐れがあるため、遺伝はあくまで「ひとつの要因」にすぎないのです。
パニック障害になってしまったからといって過剰に不安になる必要はありません。
予防や治療には、環境の整備や適切なストレス対処が有効です。
自分にできるケアを心がけ、必要に応じて専門家の支援を受けることが大切です。
まとめ|パニック障害は明るい人だけがなるというわけではない
パニック障害は明るい人に限ったものではなく、誰にでも起こりうる疾患です。
外見やその人の考え方だけで判断することはできず、一見元気そうに見える人ほど、心のなかで苦しさを抱えていることもあります。
明るくふるまうことが習慣化している人ほど、周囲に弱音を吐きにくく、自分の不調に気づくのが遅れてしまうことも否定できません。
パニック障害は明るい人がなる、発症したら考え方が変わるということではなく、発作の影響でそのような状況になってしまうというのが正しいといってよいでしょう。
大切なのは「考え方や行動に関係なく、誰でも発症する可能性がある」と理解することです。
「あの人はいつも笑っているから大丈夫」と決めつけず、相手のサインに耳を傾けるようにしましょう。
パニック障害は適切な治療と支援で、完治は難しくとも回復できる病気です。
自分自身や周囲の人の心の変化に気づき、早めに行動することが、回復への第一歩になります。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。※診断書の内容は医師の判断によります。
参考文献
[1]パニック障害における発症年齢と人格特性の関連性についての検討
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。
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