パニック障害になりやすい人に特徴はある?セルフケアの方法についても解説

公開日: 2025/08/26 更新日: 2025/08/26
突然の激しい動悸や息苦しさ、めまいなどに襲われるパニック発作は、日常生活に大きな影響を与え「また発作が起きたらどうしよう」という強い不安を抱えさせることもあります。 「自分はパニック障害になりやすいタイプなのかな?」 「もしそうなら、どうすればいいの?」 といった疑問を抱えている方もいるかもしれません。 この記事では、パニック障害になりやすい人の特徴から、発症しやすい年代、今日から始められるセルフケアの方法まで、幅広く解説します。 パニック障害への理解を深め、もしものときに適切に対応できるよう、ぜひ最後までお読みください。
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目次

パニック障害になりやすい人の特徴は?

パニック障害を発症しやすい人は、不安や恐怖心が強い、ストレスを感じやすいなどの特徴があります。

  • 不安や恐怖心が強い

  • 責任感が強く真面目・完璧主義なところがある

  • 周囲の人の目が気になりがち

  • こだわりが強い

  • ストレスを感じやすい

  • ひどい疲れ・睡眠不足がある

もちろん、これらの特徴を持つからといってかならずパニック障害になるわけではありません。

傾向として知っておくと状態を把握するうえで役立つ可能性もあるため、知識として身につけておきましょう。

不安や恐怖心が強い

もともと不安を感じやすい、強い恐怖心を抱きやすい傾向のある方は、パニック発作のリスクが高まる可能性があります。

日常生活でちょっとしたことが必要以上に気になったり、まだ起こっていない将来の出来事について悪い想像を膨らませたりすることが多いかもしれません。

これは脳内の神経伝達物質のバランスや、過去の経験などが影響していると考えられています。

責任感が強く、真面目・完璧主義なところがある

責任感が強く、何事にも真面目に取り組む方は、その分過度なプレッシャーを感じやすくストレスがたまりやすい傾向があります。

  • 仕事でまかされたタスクはどんなに時間がかかっても完璧にこなそうとする

  • 些細なミスも許せずに何度もやり直してしまう

上記のような「〜すべき」「〜でなければならない」といった完璧主義的な考え方も、自分自身を追い詰めてしまう一因となり得ます。

周囲の人の目が気になりがち

他者の評価が常に気になったり、人前での言動に強い不安を感じたりする方も、パニック障害を発症しやすいと考えられています。

「どう思われているだろうか」と考え続けると精神的な緊張状態が続きやすく、心身のバランスを崩しやすくなるためです。

こだわりが強い

何かに強いこだわりを持つことは、物事を深く考えたり掘り下げたりするのは得意な反面、うまくいかないことがあると、困ったりストレスを感じやすかったりします。

「こうじゃなきゃダメだ」という気持ちが強いと、状況が変わったときにどうすればいいかわからなくなり、不安が大きくなってしまうことがあるかもしれません。

こうした状況が、パニック発作を引き起こすきっかけになることがあります。

ストレスを感じやすい

仕事や人間関係、環境の変化など、ストレスを感じやすい状況に置かれている方は、とくに注意が必要です。

日常生活におけるさまざまなストレスは、パニック障害を引き起こす要因の一つと考えられています。

ストレスが慢性的に続くと自律神経のバランスが乱れやすくなり、パニック発作を引き起こしやすくなります。

疲れや睡眠不足がある

肉体的、精神的にひどい疲れがたまっていたり、慢性的な睡眠不足が続いたりすると、心とからだがダメージを受けバランスを崩してしまいます。

このような状態では、普段なら何とも思わないような些細なことにも過剰に反応してしまい、イライラしたり、不安を感じやすくなったりします。

パニック障害になりやすい性別や好発年齢はある?

パニック障害は女性で発症しやすいと国内外の研究で報告されており、具体的には男性の2倍多いといわれています。[1][2]

発症しやすい年齢は男女ともに20代〜30代とされ、まれに子どもでも発症する場合があります。[3]

ただし、パニック障害の発症年齢はばらつきが多い傾向があるため「発症しやすい年齢にあてはまるから」といった理由でパニック障害であるともいい切れません。

発作が起きやすい状況や症状、ほかの病気との区別など総合的に判断しなければならないため、疑わしい症状があったらまずは医療機関を受診しましょう。

パニック障害になりやすいその他の要因は?

パニック障害になりやすい要因として、うつ病の既往や遺伝が考えられています。[4]

  • ストレス

  • 親子関係

  • 遺伝

  • カフェインやニコチンなどの物質

  • うつ病の既往

こうした生活状況に置かれている方や、うつ病の既往がある方はパニック障害を発症しやすいという意見もありますが、メカニズムは明らかになっていません。

「ストレスが強いし症状も似ているからパニック障害だ」と決めつけず、「その傾向がある」と参考程度に捉えておきましょう。

関連記事:パニック障害の本当の原因とは?発症の前触れについても解説

パニック障害の原因・症状

パニック障害の原因はまだ完全にわかっていませんが、脳の中で不安を感じたり抑えたりする機能がうまく働かないことが関係していると考えられています。[5]

おもな症状は、突然強い不安におそわれたり、心臓がバクバクしたりする(動悸)パニック発作です。[6]

<パニック発作の症状>

  • 動悸がする

  • 汗が出る

  • からだが震える

  • 息切れがする・息苦しい

  • 息がしづらくなる・窒息しそうな感じがする

  • 胸苦しさ・胸の痛みがある

  • 吐き気・おなかの違和感がある

  • めまい、ふらつき、気の遠くなる感じがする

  • 現実でない感じ、自分でない感じがする

  • 自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖を感じる

  • 「死ぬのではないか」と強い不安を感じる

  • 感覚が鈍い感じやうずく感覚がある

  • 冷たい感覚、あるいは熱い感覚がある

ただし、これらのパニック発作の症状だけでパニック障害と診断されるわけではありません。

診断には「また発作が起きたらどうしよう」という「予期不安(よきふあん)」や、不整脈や甲状腺の病気などの内科的な病気の有無、ほかの精神的な病気との区別が必要です。

こうした症状がある場合、放っておくと症状が悪化するおそれもあります。

内科的な病気の中には命に関わる病気もあります。かならず医療機関で相談しましょう。

関連記事:パニック障害の症状は?なりやすい人の特徴やサポートの方法についても解説

パニック障害の診断方法は?

パニック障害はアメリカ精神医学会のDSM-5にもとづいて、パニック発作の症状の程度や状況などで診断されます。 [7]

<パニック障害の診断基準>

  • パニック発作の症状のうち4つ以上が突然起こり、10分以内にピークに達する

  • これらの発作が何度もくり返し起こる

  • 予期不安がある

  • 「発作が起きないか常に心配」「発作によって死んでしまうのではないかという認識」「発作を抑えるために何かする」のうち、1つ以上行動している

医師はこれらの症状やこれまでどのような経過をたどってきたかを、くわしく問診します。

そのうえで、心臓病や甲状腺疾患など、パニック発作に似た症状を引き起こすほかの身体的な病気の可能性を排除し、パニック障害であるかを総合的に判断します。

パニック障害にならないためのセルフケア方法は?

パニック障害を予防するためには、適切な治療にくわえ日々のセルフケアも大切です。[8]

セルフケア

説明

十分な睡眠をとる

毎日決まった時間に寝起きし、睡眠時間を確保する

カフェインのとりすぎに注意する

カフェインの覚醒作用が不安を増強させるおそれがあるため、控えめにする

適度な運動を取り入れる

ストレスの軽減やリラックス効果があり、心身のバランスが整いやすい

リラックスタイムを作る

趣味の時間や入浴など、心地のよいリラックスできる時間を設ける

ストレスをため込まない工夫をする

友人や家族、医師に相談する

日々の小さな積み重ねが、心とからだの健康を守る大きな力になります。

できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

関連記事:パニック障害の方が安心できるものとは?具体例を紹介

よくある質問

パニック障害に関する疑問や、周囲の人が知っておきたい情報について、よくある質問をまとめました。

病気への理解を深め、適切な対応をとるためのヒントが得られるでしょう。

パニック障害の人が安心する言葉やかけてはいけない言葉はなんですか?

パニック発作を起こしている人は、非常に強い不安や恐怖を感じています。

そのため「先生は大丈夫といっていたよ」といった相手を追い詰めたり否定したりするような発言は避けましょう。[9]

安心感を与えるためには「つらいときは頼ってね」「いつでも味方だよ」といった寄り添う言葉が大切です。

本人が嫌がらなければ身体に触れるとストレスが緩和されるため、声をかけると同時に背中をさするとさらに症状が落ち着くこともあります。

パニック障害に似た病気はありますか?

動悸やめまいといった症状は、ほかの病気によっても起こることがあります。

<パニック障害に似た病気>

  • 不整脈

  • 心筋梗塞

  • 甲状腺の病気

そのため初めて動悸やめまいを感じた場合は、まずからだの不調を否定するために内科を受診することが望ましいです。

パニック障害とうつ病は併発しやすいですか?

パニック障害とうつ病は関係が深く、パニック障害の患者のうち約60%がうつ病を併発するともいわれています。

パニック発作を経験すると、あまりにも強烈な不快感から「このまま死んでしまうのではないか」というほどの恐怖を感じます。

そのため、発作が治まっても「また同じことが起きたらどうしよう」という予期不安が常に頭をよぎるようになるのです。

予期不安が強くなると、発作が起こるきっかけになりそうな場所や状況を避けるようになり、電車に乗れなくなったり人混みが怖くなったりと、日常生活に支障が出始めます。

常に不安を抱え、それにともなって生活範囲が狭まっていくと、心に負担がかかり続けて気分の落ち込みや意欲の低下といったうつ病の症状があらわれやすくなるのです。

もしパニック障害と同時に気分の落ち込みを感じるようであれば、早めに医師へ相談することが大切です。

まとめ|パニック障害になりやすい人もそうでない人も心身の不調を感じたら早めに医療機関へ受診しよう

パニック障害は、不安や恐怖心が強い、責任感が強い、ストレスを感じやすいといった性格的な傾向や、疲労・睡眠不足などの身体的な状態が発症にかかわることがあります。

原因はまだ完全に解明されていませんが、脳内の機能異常や、うつ病の既往、遺伝的要因なども関係していると考えられています。

もし、この記事で紹介したようなパニック発作の症状や強い予期不安を感じたり、それが原因で日常生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まずに早めに医療機関を受診することが大切です。

早期に専門家へ相談し適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ心穏やかな日常を取り戻せるでしょう。

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参考文献

[1]パニック障害の治療の進め方|熊野宏昭

[2]パニック障害(パニック症)の 認知行動療法マニュアル|厚生労働省

[3]第2章 神経症・緘黙症・精神病・脳の器質的障害について|国立特別支援教育総合研究所

[4]罹患率|厚生労働省

[5]パニック障害(パニック症)の 認知行動療法(患者さんのための資料)|厚生労働省

[6]パニック障害 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

[7]不安障害の診断と治療ーパニック障害、社会不安障害、強迫性障害ー|傳田健三

[8]不安症|こころの情報サイト

[9]家族、友人として|パニック障害・不安障害|厚生労働省

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

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    • 意識がない
  • 緊急性が認められる場合
    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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