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パニック障害の本当の原因はなに?
パニック障害が起こる原因は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが深く関与していると言われています。
とはいえ、原因が明らかになっていないというのも事実です。
気持ちの問題やストレスのせいにされがちですが、まず大きなストレスがかかることで扁桃体という脳のなかで恐怖を感じる部位が暴走します。
その後、前頭前皮質という恐怖を抑えるための部位が働かなくなり、パニック障害が起きてしまうと言われているのです。[1]
性格の弱さや考え方のくせだけで起こるわけではなく、生物学的な要因が背景にある「脳の病気」として考えるべきものです。
「自分のせい」「甘えているだけ」と思い込まないようにし、パニック障害への正しい理解を得ることが回復への第一歩になります。
このことから、パニック障害は生活環境の変化やストレス、体質的な傾向といった要素とも複雑に関係しているといえます。
心と体の連携がうまくいかなくなった結果として脳の神経機能に異常をきたし、症状があらわれるため、早めに医療機関を受診することが大切です。
パニック障害の発症のきっかけや前触れは?
パニック障害の発症のきっかけや前触れは人それぞれです。一例として、主に以下が考えられます。
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なんの前触れもなく突然発症する
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「また発作が起きるのでは」と不安になる予期不安が起こる(パニック発作を経験したことがある人のみ)
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「逃げられない場所」に強い恐怖を感じる広場恐怖
多くは予期不安や広場恐怖により大きなストレスを感じて起こると言われています。[2]
たとえば満員電車やエレベーター、渋滞中の車内など、閉鎖された空間に身を置いたとき「このまま発作が起きたらどうしよう」と考えてしまい、不安感が高まっていくのです。
不安感を繰り返すうちに、徐々に日常生活に制限がかかるようになり、発作を避けようとする行動が増えていきます。
発作への回避行動が多くなり、症状が進行すると自分の部屋から出られなくなるというケースもあるのです。
他にも以下2つの要因が関係しているのではないかと考えられています。
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家庭環境や家族
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過度なストレス
家庭環境が悪かったり家族が原因でパニック障害を起こす可能性も高いです。
とくに母親の存在が大きく、母親の自分に対する態度が原因で発症する方もいます。
過度なストレスに関しては、予期不安や広場恐怖を感じるときも脳に負荷がかかるため発症しやすいです。
また発症前には「なんとなく調子が悪い」「いつもよりイライラする」「不安が取れない」といった漠然とした心身の不調を感じることもあります。
ただの不調として見逃されやすい前兆ですが、自分の変化に敏感になることで、早めに対応することが可能になります。
自分のなかで起こっている小さなサインを見逃さず、気になることがあれば医師に相談してみることが、悪化を防ぐための重要なステップです。
家庭環境や家族
幼少期から思春期にかけて、親からの過干渉・無関心・否定的なかかわりが繰り返された場合、自己肯定感が育ちにくく、不安を感じやすい体質となることがあります。
とくに幼少期は母親とのかかわりが多い時期です。母親から自分への態度にストレスを感じるとパニック障害が起こる可能性が高まります。
家族のなかに精神的な不調を抱え、治療をおこなっている人がいたり家庭内で安心できる居場所がなかったりすると、常に警戒心を持って生活せざるを得ない状況になります。
常に神経が緊張した環境が続くと、脳のストレス反応が過敏になり、結果としてパニック発作が引き起こされることがあるのです。
過去の体験が現在の不安の根源となっていることは少なくありません。
自分の育ってきた環境や親との関係を見直すことは、パニック障害の理解と回復に向けた大きな手がかりとなる可能性があります。
過度なストレス
仕事のプレッシャーや人間関係のトラブルなど、現代社会におけるさまざまなストレスが要因としてパニック障害が起こることがあります。
慢性的なストレスは、脳内の偏桃体や前頭前皮質の働きを乱し、自律神経のバランスを崩してしまう原因となります。
パニック障害の発症は、小さなストレスであっても長期間にわたって蓄積されると発症するケースも珍しくありません。
例として挙げられるのが、常に緊張を強いられる仕事環境や、家庭での孤独感・抑圧された感情などです。
「自分がストレスに対して耐えればいい」「我慢すれば乗り越えられるもの」と思われがちですが、我慢したままではいずれ心身ともに限界を迎えてしまいます。
その結果、突然パニック発作としてあらわれることもあるため、心と体のサインに気づくことが重要です。
パニック障害に似た病気はある?
パニック障害と似た症状を示す病気にはいくつか挙げられます。
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PTSD、うつ病、不安障害
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心筋梗塞、狭心症、不整脈
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甲状腺機能亢進症
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過換気症候群
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機能性低血糖
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更年期障害
動悸や発汗、不安感、息苦しさ、胸の圧迫感はパニック障害の発作が起きたとき以外にもみられる症状です。
パニック障害と似たような症状をともなう疾患は、自己判断が難しいのが特徴です。
見た目の症状が似ていても治療法がまったく異なる場合がほとんどであるため、誤った自己診断は避けなければなりません。
体と心の不調が続く場合には、心療内科や精神科などの専門医に相談し、正確な診断を受ければ、本当の原因を突き止めることができるでしょう。
パニック障害のおもな症状
パニック障害のおもな症状は、以下のように身体症状から精神症状まで幅広く挙げられます。[2]
【パニック障害の症状について】
症状の分類 |
主な症状 |
身体症状 |
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精神症状 |
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激しい動悸、息切れ、胸の痛み、ふるえなど、さまざまな症状が4つ以上重なって起こる発作がパニック発作です。
徐々に症状としてあらわれるのではなく、急激にあらわれるのが特徴です。
発作は通常10分ほどでピークに達します。[3]
発作の頻度や重症度には個人差があるため、人によっては1時間以上続くことも珍しくありません。
「発作がまた起こるのでは」という予期不安により、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
何度も発作を経験することで「またあのつらい症状が出たらどうしよう」と強く恐れるようになり、特定の場所を避ける「広場恐怖」と呼ばれる症状がみられるようになります。
特定の場所を避ける回避行動が強まるほど、生活範囲が狭まり、ひとりではどこにも行けなくなってしまうのです。
パニック障害の治し方
パニック障害の治療は「認知行動療法」と「薬物療法」の2本柱です。[4][5]
認知行動療法では、発作を引き起こす考え方や行動のくせに気づき、それを柔軟に変えることを目指します。
心理教育、症状観察、不安対策技術、認知再構成、暴露療法といった5つの取り組みを通じて、不安との向き合い方を学んでいきます。
薬物療法で使用するのは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬です。薬によって脳内の神経伝達物質のバランスを整えると、不安や発作を緩和できます。
薬の効果が出るまでには数週間かかる場合もありますが、症状が進行する前に服用開始すれば悪化を防ぐことも可能です。
どちらの治療も即効性はありませんが、継続することで少しずつ改善が見込めます。大切なのは、焦らず自分のペースで取り組むことです。
医師と連携を取りながら、自分に合った治療法を見つけていきましょう。
パニック障害が治ったきっかけは?
パニック障害が治ったきっかけは、自分自身の症状を認めたり開き直ったときが一例として挙げられますが、人それぞれで異なります。
たとえば「もうだめだ」と思っていた発作が、実際には命に関わるものではないと気づいたときや、思ったより軽い気持ちで部屋の外に出られたといった成功体験があったときです。
小さな経験の積み重ねで不安の強さがやわらぐケースがみられます。
また開き直ることも重要で、発作が起きても「自分はなんとかなるだろう」と感じられたことで、次第に予期不安が減っていくのです。
認知行動療法や薬物療法を続けながら、信頼できる医師やカウンセラーとの対話のなかで少しずつ安心感を得られるようになったことも、回復のきっかけになります。
治療中に「自分はひとりではない、孤独ではない」と実感することで、追い詰められた気持ちが薄れていきます。
専門家や信頼できる人に頼ることで、回復への道筋が見えてくるのです。
パニック障害を引き起こしやすい人の特徴
パニック障害は誰にでも起こり得るものですが、発症しやすい傾向には以下のような特徴があると言われています。
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几帳面で責任感が強い
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他人の評価を気にする人
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完璧主義で失敗を許せない人
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他者に頼ることが苦手な人
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親や兄弟など家族に精神疾患を抱える人がいる人
何事も自分自身で解決しようとする人は、心身にかかる負荷を自覚しにくく、ストレスをため込みやすい傾向があります。
また弱音を吐けないまま限界を迎える状態に陥りやすい人は、自律神経のバランスが崩れることでパニック発作を招きやすいです。
幼少期の家庭環境で安心感が得られなかった経験や、トラウマ体験が影響する場合もあります。
さらに親や兄弟など家族に精神疾患を抱える人がいる場合、遺伝的な要因や学習された不安傾向が影響しているケースも少なくありません。
自分自身の性格や考え方の傾向を自覚することは、自分の心のクセや反応を客観視する第一歩です。
過度な自己否定に陥らず「自分は少し敏感なだけ」と受け止めることが大切です。
また男性より女性の方がパニック障害の発症率が高いのも特徴といえます。[6]
パニック障害では性格だけでなく、男女差でも有病率や再発率が違うことがわかっており、ともに女性の方が多いため、ストレスを抱え込まないようにしましょう。
パニック障害の人に言うのを避けるべき言葉
パニック障害の方に対して、プレッシャーを与えるような言葉は避けましょう。
善意からかけたつもりの言葉が、逆に傷つけてしまうことがあるためです。
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「気の持ちようだよ」
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「考えすぎじゃない?」
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「大丈夫、大丈夫」
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「頑張れば治る」
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「考え方を変えなよ」
自分にとっては励ましのつもりでも、パニック障害を発症している側からすれば、相手に「理解されていない」「甘えているように思われている」と受け取られがちです。
パニック障害におけるパニック発作は、本人の意思や気合いでどうにかできるものではなく、脳神経の異常により起こる病気です。
無力感や自己否定感を強めてしまう可能性がある言葉選びは避けましょう。
大切なのは、病気の存在を認め、寄り添い、安心できる環境を整えてあげることです。
「つらかったね」「一緒にできることある?」など、自分に気持ちに寄り添ってくれていると実感できると信頼関係が深まります。
まとめ|パニック障害の本当の原因は確実にはわからない
パニック障害は、脳内の神経伝達物質の働きの乱れを背景とする病気であり、性格や気の持ちようだけで起こるものではありません。
ただし本当の原因はひとつではなく、家庭環境、ストレス、性格傾向、体質など、さまざまな要因が重なり合って発症すると考えられています。
自分の感じている不安や症状に正面から向き合い、適切な治療や支援を受けながら過ごしていくのが、回復への近道です。
また過去の家庭環境や現在のストレス要因など、自分自身の背景に気づいていくことで、症状がなぜ起きたのか納得できるようになり、気持ちが軽くなることもあります。
原因を深く掘り下げることも大切ですが、今できるケアや対処法に目を向けながら、焦らず一歩ずつ進んでいく姿勢が、パニック障害と付き合っていくうえで大切な視点といえるでしょう。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。
参考文献
[3]不安障害の診断と治療 パニック障害,社会不安障害,強迫性障害
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。