パニック障害の症状は?なりやすい人の特徴やサポートの方法についても解説

公開日: 2025/06/28 更新日: 2025/06/28
「突然動悸が激しくなり、息が苦しい」 「強い不安や恐怖に突然襲われる」 つらい症状に不安を感じながらも「もしかしてパニック障害かも」と少しでも手がかりを調べている方もいるのではないでしょうか。 身近な人がパニック障害のような症状に悩んでおり、どのように接したらよいのか迷う方もいるかもしれません。 パニック障害は特別な人だけが発症する病気ではなく、誰にでもおこりうる病気です。 強いストレスや環境の変化などによって、体と心の反応によって引き起こされています。 本記事では、パニック障害の症状や原因、診断や治療方法についても解説します。 パニック障害に悩む人に寄り添うためのポイントも紹介しますので、参考にしてください。
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パニック障害の症状は?

パニック障害は、突然強い不安や恐怖に襲われ、動悸や呼吸困難などの身体的な症状があらわれる病気です。[1]

20代〜40代で発症することが多く、男女比は約1:2とされています。

パニック障害は以下3つの症状に分けられます。[2]

  • パニック発作

  • 予期不安

  • 広場恐怖

パニック発作は10分ほどでピークとなり、通常数十分でおさまることが多いです。

ただし、本人にとっては「おかしくなってしまうかもしれない」「死んでしまうかもしれない」と思うほど強烈な体験です。

発作は仕事中や電車の中など、日常生活のなかでいつ起きてもおかしくありません。

発作そのものは一時的ですが、放っておくと発作が何度もおき、うつ状態になる恐れもあります。

パニック障害の症状を知り、正しく理解しておきましょう。

パニック発作

パニック発作は突然激しい不安感とともに、以下のような身体の異変があらわれます。

  • 動悸、心拍数の急激な増加(ドキドキする)

  • 息ができない、呼吸が苦しいと感じる

  • 胸の痛みや圧迫感

  • めまい、ふらつき、気が遠くなる感覚

  • 手足のしびれやふるえ

  • 異常な発汗、冷や汗

  • 吐き気や腹部の違和感

  • 「自分が自分でない」ような感覚

  • 強い恐怖感

パニック発作の症状は、糖尿病や心疾患などと似たような症状があらわれるため、パニック障害だと気づかないこともあります。

発作が起こってから「また今みたいな症状があらわれたらどうしよう」などと不安に思う頻度が増えているのであれば、パニック発作を疑ったほうがよいでしょう。

パニック発作の症状は明確な原因がないまま突然あらわれ、10分ほどでピークを迎えます。

「このまま死んでしまうかも」と感じるほどの恐怖を感じるケースもあります。

予期不安

予期不安は「またあの発作がおきたらどうしよう」という不安が、発作がおきていないときにも続いてしまう状態です。

パニック発作を経験した人の多くは、発作がおきていないときでも発作を恐れて不安を感じるものです。

  • 発作がまたおきたらどうしよう

  • 外で倒れても誰にも助けてもらえないかもしれない

  • 電車のなかで発作がおきたら対処できないかも

苦手な状況に陥ると、再度パニック発作を起こしてしまうのではないかと不安を抱き、その不安が原因で症状を繰り返すという悪循環が起こります。

不安が繰り返されると、次第に発作がおこりそうな場所を避けるようになります。一人での外出が不安になり、最終的には家に閉じこもってしまうケースもあるのです。

仕事や学校に行けなくなり、孤立感が強まってしまいます。

広場恐怖

「逃げられない」「助けを求めにくい」状況や場所に対して、極度の不安を感じる状態が広場恐怖です。

具体的には、駅・電車・映画館・人混みなど、すぐにその場を離れられない場所が苦手になることがあります。

とくにひとりでいるときに広場恐怖を感じやすいため、同伴者がいると恐怖を和らげられます。

広場恐怖は正式には「不安障害」の一種に分類されますが、パニック障害と同時にあらわれるケースが多いです。

そのため、実際の診断や治療ではパニック障害の症状として扱われることもあります。

パニック障害の原因は?

パニック障害の原因は、脳の働きや体の反応が関わっていると考えられています。

脳のなかで不安や恐怖に関係する場所(扁桃体や前頭前野など)のバランスが乱れ、体が必要以上に危険を感じとってしまうことが、発作を引き起こすきっかけとされています。

決して気のもちようや心の弱さが原因ではありません。[3]

たとえば、カフェインをとったときや緊張している場面で心臓がドキドキした経験がある方も多いのではないでしょうか。[4]

通常であれば動悸などの体の反応を「カフェインをとりすぎたかも」や「緊張しているからだな」と受け流せるものです。

パニック障害の方は、動悸などの体の反応を「命の危険かも」と強く感じてしまい、体が一気に過剰反応してしまいます。

狭い部屋に長時間いたり、マスクをしたまま早歩きしたりすると、呼吸が浅くなって体内の二酸化炭素が少し増えることがあります。

こうしたわずかな変化でもパニック障害の方は「息苦しい」や「倒れそう」と過敏に反応することもあります。[5][6]

そのほかにも

  • 長く続いたストレス

  • 真面目で不安になりやすい性格

  • 体質や遺伝的要素

など、いくつかの理由が重なって発症するケースもあるのです。

パニック障害の原因はひとつではなく、脳や体、心が一緒に影響しあっておこります。ただし、すべての原因が解明されたわけではありません。

何が原因となっているかは人それぞれ違うため、医師に相談をしましょう。

パニック障害になりやすい人の特徴は?

パニック障害は、性格傾向や生活習慣が影響することがわかっています。

具体的には以下のような特徴をもっている人がなりやすいと言われています。

  • 不安や恐怖心が強い

  • ストレスに敏感で緊張しやすい

  • 責任感が強く、完璧を目指しやすい

  • こだわりが強い

  • 感受性が豊かで、物事に強く反応しやすい

  • 周りの目が気になる

また、うつ病などほかの精神疾患の経験がある方や家族に同じような症状をもつ方がいる場合もリスクが高いです。

パニック障害は女性に多く、男性の2〜3倍の割合で発症しやすいと報告されています。年齢層でいうと、20〜40代で発症することが多いです。

上記のような特徴があるからといって、必ずしもパニック障害になるわけではありません。

該当する項目が多い場合は、自分のストレスや不安のサインに気づき、無理をしないことが大切です。

「もしかして…」と感じることがあれば、ひとりで抱え込まず医師に相談しましょう。

パニック障害の診断

パニック障害は、パニック発作が1か月以上続く場合に診断されます。 [7]

診断にはアメリカの精神医学会が定めた「DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル 第5版)」という国際的な基準を使用し、以下5つの条件をすべて満たすとパニック障害と診断されます。 [8]

  • 繰り返しの予期しないパニック発作がある

  • 少なくとも1回の発作のあと、1か月以上症状が続く(予期不安・広場恐怖など)

  • 広場恐怖が存在する

  • 薬物やほかの病気によるパニック発作ではない

  • 強迫性障害や外傷後ストレス障害など、ほかの精神疾患ではうまく説明されない

症状に心当たりがある方は、パニック障害の可能性が高いため心療内科や精神科などの医療機関に相談してみましょう。

パニック障害の治療

パニック障害の治療は薬物療法と精神療法の2つを組み合わせて進めるのが一般的です。薬で不安や発作を抑えながら、考え方や行動パターンを見直し改善につなげます。[9]

治療法

内容

薬物療法

おもに抗うつ薬や抗不安薬を使用して、脳の働きを安定させます。不安や発作を和らげるのに役立ちます。

認知行動療法

認知行動療法をおこないます。発作がおきたときのとらえ方を変えたり、不安を感じる場面に少しずつ慣れたりして、不安そのものを小さくします。

薬物療法では、脳内の神経伝達物質のバランスを整え、不安や発作をおこりにくくします。

抗うつ薬の場合、効果がでるまでには2〜4週間ほどかかり、即効性はありません。

抗不安薬は強い不安や緊張を和らげる効果が期待できます。依存のリスクもあるため、医師に相談しながら治療を進めることが大切です。

認知行動療法では「また発作がおきたらどうしよう」という考え方を見直します。

パニック発作は一時的な症状であり、命に関わるものではないという認識に変える練習をおこなうのです。

また、治療において医師やカウンセラーによる日常生活へのアドバイスや心のサポート(支持療法)も重要です。

支持療法では、医師やカウンセラーが症状の対処法を一緒に考えたり、体調の変化を共有したりします。

不安や症状を否定せず受け止めることで「症状を理解してくれる人がいる」と感じ、安心感や治療意欲につながるでしょう。

パニック障害の治療は心や脳、人との関わりなど様々な角度からアプローチする治療です。

つらいパニック発作も正しい治療を続ければ、少しずつ緩和していくでしょう。

治療は即効性があるものではないものの、ゆっくりでも前に進めば大丈夫です。焦らず、自分のペースで続けましょう。

周囲の人がパニック障害になったときどうサポートすればよい?

周りの人がパニック障害になったときは、優しく寄り添うことが大切です。[10]

まず「あなたのことをわかろうとしている」という気持ちを伝えましょう。

パニック障害の人は、自分でもなぜ不安になっているかわからず、大変つらいことが予測されます。

「気にしすぎ」や「頑張れば大丈夫」など相手を否定したり理解しない発言は、さらに追い詰めてしまいます。

たとえば「つらいときは頼ってね」「いつでも味方だよ」と声をかけるだけでも、安心できるでしょう。

また、パニック発作がおきたときは、そばにいて背中をさすってあげるだけでも心強く感じるものです。

パニック障害の方には「安心していいよ」という気持ちを、優しい言葉や態度で伝え理解を示すとよいでしょう。

ただし、サポートする際もひとりで抱え込まないことも重要です。

広場恐怖がある場合は一人での外出を避ける傾向があるため、どんどん外出の頻度が減っていきます。

「どこに行くにも一緒」であることを伝え、外出の頻度を減らさないようにするのも、悪化を防ぐのに重要です。

困った場合は医療機関や医師にサポート方法についても相談するとよいでしょう。

通院の際も一緒に行き、ひとりで外出できるようになるまでは寄り添ってあげてください。

よくある質問

パニック障害の症状についてよくある質問をまとめました。

発作を引き起こすきっかけや発作がおきたときの対処も確認してみましょう。

パニック障害は放置したままでよくなりますか?

パニック障害は放置していてもよくなりません。

放っておくと発作が何度もおきたり、うつ病などを引き起こしたりして悪化する恐れがあるのです。

パニック障害かもしれないと思ったら、早めに精神科や心療内科などの医療機関を受診し適切な治療をうけましょう。

パニック障害になるきっかけはありますか?

閉鎖的な空間や発作の恐怖がパニック障害のきっかけとなることがあります。

電車のような閉鎖的な場所やリラックスしているとき、前に発作を起こした場所にいったときなどです。

「またつらい思いをしたらどうしよう」という不安が、発作を引き起こしてしまいます。

きっかけとなりそうな場面を知っておくとよいでしょう。

パニック障害の人が安心する言葉はなんですか?

パニック障害の方にはゆっくりとわかりやすい言葉で話すと安心してもらえるでしょう。

  • 大丈夫だよ

  • つらくなったらすぐにいってね

  • 今はこれでいいんだよ

  • 具合が悪くなったらすぐにいってね

  • いつでも連絡してもいいよ

など、優しい声掛けが大切です。否定的な言葉や決めつけ、安易な励ましなどは反対に追い詰めてしまうことがあります。

本人が嫌がらなければ、そっと背中をさすりながら声変えをすると気持ちが落ち着くケースもあります。優しく安心できる言葉を選んで伝えましょう。

パニック障害の発作がおきたときはどうすればいいですか?

パニック障害の発作がおきたら自分を落ち着かせましょう。[2]

  • ゆっくりと深呼吸をする

  • 自分に大丈夫だと言い聞かせる

  • 意識を別のところにむける

なども効果的です。体と心が少しずつ落ち着いてくるでしょう。自分を落ち着かせる方法を知っておくと安心です。

まとめ|パニック障害の症状を理解して適切な治療をうけよう

パニック障害は、突然強い不安や恐怖に襲われ、動悸や呼吸困難などの身体的な症状があらわれる病気です。

症状は以下の3つに分類されます。

  • パニック発作:突然の強い不安や身体症状が続く発作

  • 予期不安 :また発作がおこるのではと日常的に不安を感じる状態

  • 広場恐怖:発作がおきた際に逃げられない・助けが得られない場所を避けるようになる状態

いつどこで起こるかわからないため、日常生活に支障をきたすこともあります。

特定の性格傾向や生活習慣が影響することもありますが、誰にでもおこりうる病気です。

原因はまだはっきりとは解明されていないものの、脳の働きや体の反応が関係していると考えられています。

治療は薬物療法と認知行動療法の組み合わせておこなうのが一般的です。

もし思い当たる症状があれば、精神科や心療内科などの医療機関を早めに受診しましょう。

また、周りの人がパニック障害に悩んでいるときは、そっと寄り添う姿勢が大切です。理解しようとする姿勢が、安心につながるでしょう。

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参考文献

[1]不安障害|こころの病気について知る

[2]パニック障害(パニック症)

[3]パニック障害における脳構造の変化

[4]カフェインの過剰摂取について:農林水産省

[5]塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く

[6] パニック症の神経解剖学的モデルについて

[7]表2 パニック発作の診断基準|メンタルヘルス|厚生労働省

[8]不安障害の診断と治療 パニック障害,社会不安障害,強迫性障害

[9]パニック障害の治療ガイドライン

[10]家族や友人がパニック障害になったとき

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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  • 自傷他害のおそれがある場合
    • 自分を傷つけたいと思う
    • 具体的に死ぬ方法について考えている
  • 身体疾患が強く疑われる場合
    • 高熱がある
    • 呼びかけてももうろうとしている
    • 意識がない
  • 緊急性が認められる場合
    • ここ数日の間で急激に状態が悪化している
    • 食事や水分をとることができない
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