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パニック障害の人に言ってはいけない言葉
パニック障害を深く理解せずに、よかれと思った言葉が相手を傷つけてしまうことがあります。
とくに以下のような声がけは避けるようにしましょう。
言ってはいけない言葉 |
具体例 |
相手を否定する言葉 |
「気のせいだよ」 「考えすぎ」 |
相手を決めつけるような言葉 |
「また不安になってるの?」 「いつもこうだよね」 |
安易な励ましや共感 |
「大丈夫だよ」 「気楽にいこうよ」 |
プレッシャーを与えるような言葉 |
「早く治して元気になってね」 「しっかりして」 |
相手を責める言葉 |
「周りに迷惑かけてるよ」 「自分でコントロールできないの?」 |
パニック障害は、突然強い不安や恐怖におそわれる「パニック発作」をくり返す精神的な病気で、本人の意志や努力だけでコントロールできるものではありません。[1]
そのため「気のもちよう」「がんばって」などの安易な励ましの言葉は、本人にとっては自分の苦しみを軽視されたように感じることがあります。
否定的な言葉やプレッシャーを与える発言は、不安を悪化させ、信頼関係を損なう原因にもなります。
サポートする側にできることは、パニック障害に対して正しい理解をもち、相手の感じている不安や苦しみに寄り添う姿勢をもつことです。
言葉よりも「そばにいること」「安心できる空気をつくること」が、支えとなる場合も多いのです。
パニック障害の人をサポートするときのポイント
パニック障害の人をサポートするときのポイントは、発作を防ぐためにできる行動を知っておくことです。
そのためにはパニック発作が起こりやすい状況や、不安をやわらげる方法を把握しておかなければなりません。
サポートする側も一人で抱え込まないように意識し、必要に応じて専門家や周囲の協力を得ましょう。[2]
パニック障害の人がやってはいけないことは?
パニック障害を抱える人は、発作のきっかけとなりやすい以下のような行動・環境を避けるとよいでしょう。[3]
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睡眠不足や過労
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カフェインやアルコールのとりすぎ
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換気の悪い部屋や人混み
-
炭酸飲料の飲みすぎ
支える側も発作を起こしやすい要因を知っておくと、発作を防ぐサポートや本人に無理をさせない環境づくりに役立ちます。
「こうすべき」よりも「どうしたら安心できるか」を一緒に考える姿勢を大切にしましょう。
パニック障害の人がかけられて安心できる・嬉しい言葉は?
不安や恐怖でいっぱいになっているパニック障害の人にとって、以下のような冷静で優しい声かけは心の安定につながります。
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「つらくなったらすぐに言ってね」
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「今はこれでいいんだよ」
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「具合が悪くなったら休んでいいんだよ」
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「いつでも連絡してもいいよ」
反対に、「気のもちようだよ」「大丈夫だよ」などの安易な励ましや否定的な言葉は、相手を追いつめることがあります。
本人のつらさを否定せず、気持ちに寄り添う言葉を選ぶようにしてください。
本人が嫌がらなければ、背中を軽くさする、背中にふれるなど、タッチングによる安心感も効果的な場合があります。
サポートする側の寄り添う姿勢そのものが支えになります。焦らず、落ち着いて安心できる空気感を一緒につくっていきましょう。
パニック障害の人が安心できるものは?
パニック発作は、満員電車や人混み、閉鎖された空間など、特定の環境で起こりやすい傾向があります。
そのため外出時には「いざとなったらすぐに動ける」と感じられる出口付近の席や、人の少ない場所を選ぶことで安心感を得やすくなるでしょう。
以下のような対策を事前にとっておくと、さらに不安をやわらげられます。
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公園や広場などのリラックスできそうな場所をあらかじめリサーチしておく
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好きな香り、安心できる香りがついたハンカチを持ち歩く
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発作時に安心できるアイテム(お守り・音楽など)を携帯する
サポートする側は、本人が「どんなときに安心するか」を丁寧に聞き取り、相手を尊重しながら一緒に乗り越えていこうとする姿勢が大切です。
周りの人がパニック発作を起こしたときはどうすればいい?
パニック発作があらわれたら、サポートする側はまず落ち着いて深呼吸をしてください。
深呼吸をしたら、慌てず以下のような対応を意識しましょう。
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ゆっくりと深呼吸をするように促す
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安全な場所へ移動する
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おだやかな態度で接する
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何も話さずそばに付き添う
パニック発作は通常、数分から数十分ほどで自然におさまることが多いとされています。[1]
無理にコントロールしようとせず、安心できる環境を整えることが大切です。
パニック障害を起こす本当の原因は何なのか
パニック障害の正確な原因は、科学的に完全には解明されていません。[1]
ただし、さまざまな研究から脳内にある神経伝達物質のバランスの乱れや、脳の一部の機能異常が関係していると考えられています。[1]
不安や恐怖をコントロールする「扁桃体(へんとうたい)」や「前頭前野」などの領域に、なんらかの異常があると、ちょっとした刺激にも過剰に反応してしまうことがあります。[4]
その結果「何の前ぶれもなく突然強い恐怖におそわれる」というパニック発作が起こると考えられているのです。
家族が原因でなることはありますか?
パニック障害の発症には、遺伝と家庭環境の両方が関係しているとも言われています。
親がパニック障害をもっている場合、子どもの発症リスクは約8倍に高まるという報告もあります。[5]
これは「なりやすい体質や気質」が受け継がれると考えられているため、かならずしも遺伝するわけではありません。
家族との関係性や育った環境による強いストレスが、パニック障害の発症のきっかけになることもあります。
以下は、その一例です。
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過保護・過干渉な親によって自立性が育ちにくかった
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家族との死別や離婚などによる心理的ショックを受けた
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幼少期の家庭環境よる持続的なストレスがある
このように家庭環境はパニック障害の発症にかかわっている可能性がありますが、実際のメカニズムは不明です。
「家族がパニック障害だったから」と家族を責めるのではなく、どう支えるかが大切です。
よくある質問
パニック障害の人を支えるには、発作のきっかけや回復の過程を知ることが大切です。
サポートする方が抱きやすい疑問を知り、病気への理解を深めて安心感を与える接し方や負担を減らすサポートのヒントを得ましょう。
パニック障害になりやすい性格や特徴はありますか?
パニック障害には、以下のような性格や気質が関与していると考えられています。
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強い不安や恐怖心を抱きやすい
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責任感が強く真面目・完璧主義である
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周囲の人の目が気になりがち
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こだわりが強い
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ストレスを感じやすい
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ひどい疲れ・睡眠不足がある
もちろん、性格だけが原因になるわけではありません。
女性は男性の2〜3倍の確率で発症するとされており、これはホルモンバランスや社会的役割などが影響している可能性もあると言われています。[1]
パニック障害のトリガーとなるものはありますか?
パニック障害で起こるパニック発作には、特定の状況やきっかけ(トリガー)が存在することもあります。
以下のような本人にとって不安を感じやすい場面では、再発の恐れから余計に発作を引き起こしやすくなります。
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満員電車やエレベーターなどの閉鎖的な空間
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過去に発作を経験した場所や状況
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「また発作が起きるのでは」という予期不安
本人の話に耳を傾け「どんな場面で不安になるか」を一緒に考えることが予防につながります。
本人が状況を整理しやすいように、ゆっくりと話せる環境を整えましょう。
パニック障害が治ったきっかけはありますか?
パニック障害の回復には個人差があり「これをすればかならず治る」という方法はありません。
ただし多くの人に共通するのは、焦らず症状と向き合う姿勢が大切だという点です。
よくある回復のきっかけには、専門医による治療や生活習慣の見直し、周囲のサポートなどがあげられます。
<パニック障害が回復するきっかけになりうるもの>
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薬物療法や認知行動療法などの専門医による治療を受ける
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睡眠・食事・運動などの生活リズムを見直す
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安心できる人間関係や周囲のサポートを受ける
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ストレス源(仕事・人間関係など)から離れる
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症状が出やすい状況を避ける
たとえば「食生活を改善したら発作が減った」「満員電車を避けたら少し気持ちが楽になった」といった体験も報告されています。
いずれの場合も、専門医のサポートを受けながら無理のないペースで進めることが大切です。
サポートする側は結果を急がず、本人のペースを尊重して寄り添うことを意識しましょう。
まとめ|パニック障害の人に言ってはいけない言葉を理解し、適切なサポートをしよう
パニック障害の人に対して「気のせいだよ」「がんばって」などの言葉は、思いやりのつもりでも心を追いつめてしまうことがあります。
まずは病気への理解を深め、相手の不安や苦しみに静かに寄り添う姿勢が大切です。
そばにいてくれるだけでも本人にとっては大きな支えになります。
無理に言葉をかけようとせず、安心できる存在になることを心がけてください。
支える側も一人で抱え込まず、周囲の人や専門家の力を借りながら無理のないかかわり方を見つけましょう。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。※診断書の内容は医師の判断によります。
参考文献
[1]パニック障害(パニック症)の 認知行動療法マニュアル (治療者用)|厚生労働省
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。
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