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パニック障害は開き直りにより改善することはあるのか
パニック障害の症状を開き直りによって改善していると実感する人も実際にいます。
自己効力感(セルフエフィカシー:self-efficacy)という、自分がある行動をうまく遂行できるという自信が高まると、症状に対して過剰に反応しにくくなるためです。[1]
自分にはこの不安を乗り越えられるという自信を持ち、実際に行動して目標を達成したと実感できたことにより、発作への過剰な恐れを手放せるようになります。
治療をおこなうなかで「また発作が起きるかもしれない」と考えるよりも何とかなる、誰かが何とかして助けてくれるだろうと受け入れる心構えを持つことが重要です。
不安の悪循環から少しずつ抜け出せるようになります。
開き直るというのはパニック障害という症状を軽視するという意味ではありません。恐怖を完全に消そうとするのではなく、パニック障害と共存するというスタンスを持つことが大切です。
共存する選択をとることで恐怖感が少しずつなくなっていき、結果として症状の緩和につながるという考え方です。
すぐに共存する思考になることはできないかもしれませんが、自分のペースで心の持ち方を変えていくだけでも、症状の改善が期待できるでしょう。
パニック障害の症状や原因
パニック障害の症状はひとつだけではありません。[2]
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動悸がする、心拍数があがる
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汗が出る
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体が震える
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息切れや息苦しさを感じる
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窒息する感じがする
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胸が痛い、胸苦しさがある
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吐き気、おなかの圧迫感
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めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
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現実でない感じ、自分が自分でない感じ
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自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖
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死ぬことへの恐怖
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感覚まひ、うずき
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冷感あるいは熱感(ほてり)
パニック障害は甘えや気のせいと勘違いされがちな疾患です。
ですが実際には、脳の神経伝達物質のバランス異常が関係していると考えられています。
大きなストレスを感じると、脳内で扁桃体という恐怖を感じる部位が暴走し、前頭前皮質という恐怖を抑える機能がうまく働かなくなります。[2]
どんどん恐怖が強くなり、不安感や怖いといった感情がコントロールできなくなることによりパニック障害が起こるのです。
脳の神経異常が原因であることから、パニック障害は放置して自然に治るものではなく、適切な治療と理解が必要な疾患です。
パニック障害の症状は突然あらわれ、発作が繰り返されることで「また起こるのでは」と予期不安を抱き、日常生活に支障をきたすようになります。
強いストレスや性格傾向、遺伝的要因も関与していると考えられています。
初期に見られる症状はあるのか
パニック障害の初期は冷感や熱感、吐き気など、体の不調を感じる場合があります。
症状が進行するとあらわれる症状が、突然理由もなく激しい動悸や息切れ、冷や汗、めまい、胸の痛み、不安感などです。
初期の症状は、パニック障害でなくてもみられるため、違う病気を疑う人もいます。しかし精神症状が出てくると、生命の危険を感じて大きな不安感を抱く人もいます。
パニック障害を初めて経験する人は死んでしまうかもしれない、と強く恐れることが多いです。
その後も「また発作が起こるのでは」という予期不安が続き、発作の引き金になりそうな場所や状況を避けるようになります。[2]
発作に対する不安や行動の制限が生活の質に影響を与え、引きこもりがちになる人もいます。
初期のうちに体調の変化に気づき、医療機関での相談や診断を受ければパニック障害の初期段階で治療が可能です。
もしパニック障害でなくとも、原因疾患が判明すれば治療に向けて早い段階で取り組めるでしょう。
パニック障害の治療方法
パニック障害の治療では、認知行動療法と薬物療法の2つを併用しておこなうことがあります。
どちらかのみをおこなうより、併用した方がより高い効果が期待できるためです。[3]
治療法 |
詳細 |
認知行動療法 |
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薬物療法 |
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薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使用されます。それぞれの治療法を併用することで、その人のペースで無理なくゆっくり治療を進めていくこととなるでしょう。
もちろん治療方針は人によって異なるため、かかりつけの医師と相談しながら自分に合った方法をみつけることが大切です。
パニック障害が突然治ることはあるの?
パニック障害がある日突然治るというケースは、ほとんどありません。ただし治療を継続していくなかで、徐々に症状が軽くなっていたことに本人があとから気づくというケースはあります。
心理教育や認知行動療法の積み重ね、生活習慣の見直しなどが複合的に作用して、不安を感じる頻度が減っていきます。
治療を進めていけば「気づいたら、いつの間にか電車に乗れるようになっていた」といった変化がみられるようになるのです。
ほかにもパニック障害の方は、自分ひとりで医療機関の受診ができないくらい外出に恐怖心を抱いている人もいます。
認知行動療法や薬物療法をおこなっていくと、付き添いがなければ受診できなかった人が、付き添いなしでも受診のために外出ができるようになります。
発作が起きるたびに「もうダメかもしれない」と思っていた方でも、少しずつ成功体験を積み重ねていくことで、回復を実感できるようになるでしょう。
治ったきっかけは?
パニック障害からの回復のきっかけは、自己肯定ができたときや小さな成功体験が多いです。
もちろん、日々の治療の積み重ねや医療機関からの支援によっても回復していきます。
自分に起こるパニック障害の症状を治さなければ、と無理に押さえつける必要はありません。
症状があらわれても仕方がない、発作が出ても、命にはかかわらないと開き直った瞬間に気持ちが軽くなり、症状が落ち着いたという人もいます。
症状をなくそうとする姿勢や義務感が、かえって不安を強めていた可能性も高いです。
その状態から、症状があっても自分らしく生活できるという自己受容のフェーズに移行した結果といえるでしょう。
認知行動療法や薬物療法で専門家のサポートを受け、日常生活で自分が恐怖心を抱かないよう小さな成功体験を積み重ねていくことで回復への鍵となります。
パニック障害には塩がよいって本当?
インターネット上では「パニック障害には塩がよい」といった説がみられることもあります。
しかし、塩分摂取がパニック障害に有効であるという科学的根拠は確認されていません。
塩分を過剰に摂取すると交感神経が刺激され、かえって神経の過活動を引き起こすリスクが高いです。
脳の興奮状態が強まると、不安感や発作の引き金になることもあります。
極端な健康法に頼らず、医師の指導のもとで治療を受けたり、バランスのよい食生活や生活習慣を心がけることが大切です。
不確かな情報に左右されず、医師の指導のもと適切な対処をおこないましょう。
パニック障害が再発するきっかけは?
パニック障害が再発するきっかけはおもに3つです。
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過去の恐怖がよみがえる
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ストレスなどにより生活習慣が悪化する
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うつ病の悪化
パニック障害は一度落ち着いても、再発のリスクが比較的高い病気とされています。とくに再発率は50%以上ともいわれています。[1]
再発に関連性のある予後不安では、発作の記憶や体の反応を呼び起こしてしまいます。
「もう大丈夫」と思っていても、パニック発作が起きた状況が再現されたり、記憶がよみがえることで予期不安が再燃してしまうのです。
再発を防ぐには、生活習慣の安定やストレス対処法の継続、早めの受診が鍵になります。
うつ病を併発している場合はうつの悪化を予防することも大切です。
日々の生活のなかで、少しでもパニック発作を起こしていたときのような違和感を感じたら、医療機関へ相談しましょう。
過去の恐怖がよみがえる
過去の恐怖に対しては条件づけられた恐怖として脳内に記憶されています。
大きなきっかけとして、過去の発作を経験した場面に再び出くわしたときに再発するといわれているのです。
恐怖を感じる状況に遭遇すると、脳が危険だと判断して体に警戒信号を出すことでパニック発作が起こります。
その結果、動悸や息苦しさといった身体症状があらわれ、再発へとつながるのです。
電車のなかや混雑した場所、渋滞中の車内などの密室で、過去に強い恐怖を感じた場所が再び不安を呼び起こすことも少なくありません。
過去の記憶と向き合うのは勇気がいりますが、認知行動療法などを通じて徐々に恐怖を上書きしていくことが、再発予防に役立ちます。
ストレスなどにより生活習慣が悪化する
睡眠不足や食事の乱れ、過労などによって心身が疲れきっていると、パニック障害を再発するリスクが高まります。[7]
生活習慣の乱れは自律神経の働きを乱し、不安感や過呼吸を引き起こしやすい状態をつくるためです。
前提として、パニック障害の人は平日の就寝時間が遅かったり睡眠時間が短い傾向があります。
とくに寝る時間が6時間未満の人は、メンタルの状態がかなり悪化していることが多いと報告がありました。
さらに寝る前にテレビをみたりパソコンやスマホを使っている人は、精神的に調子が悪くなることが判明しました。
パニック障害の人の約4割が就寝前にテレビやパソコンを使っていることから、メンタルの不調につながっている可能性があると推測できます。
「最近疲れやすい」「よく眠れない」などの兆候があるときは、意識的に生活リズムを整えることが重要です。無理をせず、体を休める時間を確保しましょう。
日々の積み重ねが心と体の安定につながり、結果として再発を防ぐ土台になります。
うつ病と併発
パニック障害と併発しやすい疾患のひとつにうつ病があります。[8]
うつ病とパニック障害を併発している人の多くは、通常のうつ病とは異なる非定型うつである傾向があります。
非定型うつは常に気分の落ち込みがあるわけではなく、一時的に回復することもあれば、過食や過眠になることもあるうつ病のことです。
併発している方は広場恐怖もあるため、うつの悪化により一定の場所に行くことを恐れ、パニック障害が再発すると考えられているのです。
自分では体調が悪化している状態に気づきにくいため、周囲からの指摘や医師との面談を通じて早期に気づけるようにすることが大切です。
再発を防止するためにも、うつ症状のケアとパニック障害の治療を同時に進めていく必要があります。
パニック障害の人にやってはいけないことはある?
パニック障害の症状を悪化させないためには、以下の行動や習慣を避けるべきです。
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カフェインやアルコールの摂取
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睡眠不足
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自己判断による薬の中断
再発するだけでなく、発作が起こりやすい状態をつくってしまうため、注意が必要です。
カフェインには中枢神経を刺激する作用があり、不安感や動悸を強めることがあります。[9]
睡眠時間が6時間以下になるとメンタルの調子が悪くなるため、注意しましょう。[7]
アルコールは一時的に不安を和らげるように感じることもありますが、習慣化すると逆に感情の浮き沈みを強め、回復を妨げる原因になりかねません。
自己判断で薬の服用をやめたり量を変えたりすることも、症状の再発につながります。
治療の進行状況や体調の変化は、かならず医師と相談しながら慎重に対応することが大切です。
よくある質問
パニック障害に開き直りが多少効果的であるのは、個人差も影響しています。
症状を少しでも緩和したい人、再発を避けたい人から寄せられるよくある質問をまとめました。
パニック障害が再発するきっかけは?
パニック障害が再発するきっかけは、再びストレスや不安が強くなったときであることが多いです。
症状がある程度落ち着いていたとしても、再びストレスや不安が強くなったときに発作をぶり返すことがあります。
再発率は男女ともに50%以上ともいわれており、油断せずに再発リスクを意識した生活を心がけることが大切です。
- 過去の発作の記憶がよみがえる
- 強いストレスにさらされる
- 生活習慣の乱れが起こる
- うつ病の悪化
上記4つのような要因を重ねないよう、寛解状態を維持しましょう。
パニック障害が治ったかどうかの目安は?
パニック障害が改善したかどうかを判断する目安のひとつは、予期不安が日常生活を妨げなくなってきたかどうかです。
日常生活を送っているなかで、いくら発作が起こらないといっても予期不安があると、発作におびえながら生活しなければなりません。
しかし予期不安の頻度が減少し、日常生活も問題なく過ごせるようになれば治ったと判断できます。
以前は避けていた場所へ行けるようになったり、発作の回数や強さが減ってきたりすることが改善のサインといえます。
「また発作が起きてもなんとかなる」と思えるようになったときも、回復への大きな一歩です。
ただし完治の感覚には個人差があるため、自分の感覚を大切にしながら医師と相談して判断していくのがよいでしょう。
パニック障害は寛解状態になるの?
パニック障害は治療を通じて症状が一定期間落ち着き、日常生活に支障がない状態である寛解状態に至ることがあります。
完全に治ったといい切るのではなく、症状が再発しにくい安定した状態と考えるとよいでしょう。
寛解に至ったあとも、強いストレスを受けたり、生活の変化があったりすることで再発の可能性は残ります。
油断せずにストレスケアや十分な休養、規則正しい生活を続けていくことが重要です。
パニック発作の再発率は?
パニック発作の再発率は比較的高く、50%以上ともいわれています。
症状が落ち着いたあともなんらかのきっかけで不安感が再燃し、再び発作が起こる可能性があるためです。
さらに男女間にも差があり、女性の方が男性に比べてパニック発作の発症率も高いことが分かっています。
再発のリスクを下げるためには、日々の生活習慣の見直しや、ストレスへの対処法を習慣化することが重要です。
再発を恐れるあまり行動範囲を狭めすぎると、かえって予期不安が強くなる場合もあります。
予防のためには「再発してもまた立て直せる、大丈夫」という前向きな心構えを持ち続けることが大切です。
まとめ|パニック障害を受け入れて開き直ることで改善する人もいる
パニック障害は、正しい治療と日々の生活習慣の見直しを通じて、少しずつ改善が見込まれる病気です。
なかには開き直ることで不安との距離をうまく取れるようになり、症状の軽減につながったという人もいます。
回復の道のりは人それぞれであり「治さなければ」と自分を追い込むより「発作があっても自分らしく生きていける」と受け入れることが、結果的に回復の近道になる場合もあります。
大切なのは、無理をせず、自分に合った治療法や心の持ち方をみつけることです。
焦らず、ひとつずつ成功体験を積み重ねながら、少しずつ日常を取り戻していきましょう。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。
参考文献
[1]パニック発作の再発により予期不安と広場恐怖が持続する20代女性へ 症状に対するセルフエフ
[3]パニック障害(パニック症)の 認知行動療法マニュアル (治療者用)
[5]オメガ3系脂肪酸の摂取による 不安症状の軽減をメタアナリシスで確認|国立がん研究センター
[6]脳の栄養~ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として
[7]パニック障害における睡眠習慣と精神的健康度の関連について
[8]パニック性不安うつ病
[9]パニック障害患者における不安とパニック発作に対するカフェインの効果:系統的レビューとメタ分析【JST・京大機械翻訳】 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
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