知っておこう!手足口病3つのポイント
子どもの三大夏風邪の一つ
手足口病は主に手のひらや足の裏、口の中、口の周りなどに発疹や水疱ができる感染性の病気です。
感染者の8割以上が4歳までの子どもで、特に2歳以下を中心に7〜8月に流行します。
保育園や幼稚園で集団感染することもあります。
発疹・水疱は手足口以外にもできる
手足口病を発症する原因となるウイルスは10種類ほどあります。
ウイルスの種類によっては、小さな発疹や水疱が手のひらや足の裏、口の中や周りだけではなく、腕、おなか、お尻や下半身などに広がる場合もあります。
手足にできる発疹は痛みや痒みを伴わないことがほとんどですが、口の中にできる水疱は痛みを伴います。
また、爪の根元に入り込み、水疱をつくるウイルスがいます。これにより発症の数週間後から数ヶ月後に爪が剥がれることもあります。
大人の方が重症化しやすい
子どもよりも大人のほうが症状が強く現れたり、長い期間続くなど、重症になる場合が多いと言われています。
手足口病の原因となるウイルスは一度かかると免疫ができますが、複数のウイルスが原因となるため、何度もかかることがあります。
再感染したり1シーズンに複数回感染したりする可能性があります。
大人であっても同様なので、子どもの時にかかったから大丈夫だと思わず、感染対策を行いましょう。
知っておきたい豆知識
水疱の中身や便に感染力あり!便中のウイルスは1ヶ月も
水疱ができたら潰さないようにしましょう。
中の体液にはウイルスが含まれるため、潰れることで感染が全身へ広がったり、触れた人へ感染する場合があります。
オンライン診療でも手足口病に対応できる
手足口病には特効薬はなく、症状に対して処方が行われます。
医師からの処方を受けることで痛みや症状を和らげることが可能なので、我慢せず早めに受診しましょう。
手足口病はどんな病気?
原因
コクサッキーウイルス、エンテロウイルス
流行期
7〜8月。4歳までの子ども、特に2歳以下を中心に流行します。
感染経路
感染者のくしゃみや咳により排出されたウイルスが付着したものに触れ、それが体の中へ入ることや、水疱やかさぶたから出た体液を介して感染します。
主な症状
手足口病の症状感染から3〜5日後に症状が現れ、その後一週間ほど続きます。
- 37〜38℃の発熱
- 発疹、水疱(手足や口の中、口の周り、腕、下半身など)
発熱は感染者の約3分の1にみられ、口の中にできる水疱には痛みを伴います。
治療
特別な検査キットなどはないため、症状や周囲の流行状況から診断します。
また、特効薬はないため症状に対して処方が行われます。
手足口病が関連する病気
症状が似ている病気
- ヘルパンギーナ
原因ウイルスがほぼ同じで、症状がよく似ています。ヘルパンギーナは5歳以下の子ども、特に1歳代を中心に発症します。また、39〜40℃の高熱が続くため熱性けいれんを起こすこともあります。発疹や水疱は口の中にだけ症状が現れます。
- 水ぼうそう
- 麻しん(はしか)
- 突発性発疹
まれに起こる合併症
- 髄膜炎
- 心筋炎
手足口病の対処方法は?
子どもが泣き止まない原因は水泡の痛みかも
口の中にできた水疱、または水疱が悪化して潰瘍になることで強い痛みが現れます。
そのため、赤ちゃんや小さな子どもの場合は泣き止まない、不機嫌といった状態が続く場合もあります。
医師からの処方を受けることで痛みを和らげることが可能なので、我慢せず早めに受診しましょう。
脱水症状に要注意
口の中にできた水疱や潰瘍の痛みで食事や水分が摂れなくなり、脱水症状を起こすこともあります。
医師から薬を処方してもらうことで痛みを和らげることが可能なので、症状が辛い場合は受診しましょう。
おしっこが極端に少ない、色が濃い場合は脱水症状のサインです。
飲み物が飲める場合は経口補水液がおすすめですが、苦手な場合は麦茶などでもよいでしょう。
オレンジジュースなど酸味が強い飲み物は、水疱に染みて痛みを感じることがあります。
アルコール消毒が効きにくい
原因であるエンテロウイルスやコクサッキーウイルスは、アルコール消毒が効きにくいという特徴があります。
そのため基本的な感染予防対策は石鹸での手洗いです。
アルコール消毒が効きにくいため、外出先などでアルコールシートだけで手を拭くのは効果的ではありません。
特に子どもの遊び場でのおもちゃや、おむつ替えスペースなど共有物には注意が必要です。こまめな手洗いで対策しましょう。
水疱が破れてしまったときの対処法
破れた部分には触らない
水疱内の液体にはウイルスが入っており感染の危険性があります。破れた部分には触らず、皮を剥がさないようにしましょう。
ガーゼを被せて保護し、医療用テープで固定する
水疱内の液体に触れてしまったり、ガーゼの交換を行う前後には流水と石鹸でよく手を洗いましょう。
湯船は避け、シャワーで済ませる
シャワーの間はガーゼを外し、終わったらまたガーゼで保護しましょう。
シャワーのお湯がかかっても問題はありません。
水疱に変化が見られたら受診を
水疱が破れるということは、本来皮膚が持っているバリア機能がなくなるということです。
病気とは別に菌が入る可能性があるため、清潔なガーゼで覆って保護する必要があります。
水疱の周りが腫れたり、赤い、熱いといった変化が見られた場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
爪が剥がれた場合の対処法
手足口病の原因ウイルスの中には、爪の根元に入り込み水疱をつくるウイルスが存在します。
ウイルスの影響で正常に爪を作れなくなり、その部分が少しずつ伸びることで爪が剥がれてしまうことがあります。
手足口病に感染してから数週間後~数ヶ月後に爪が剥がれはじめ、剥がれる爪は1枚のこともあれば数枚のこともあり個人差があります。
自然に剥がれるのを待つ
手足口病が原因で爪が剥がれる時には、痛みはほとんどありません。
爪が浮いてきても、無理に剥がさず自然に剥がれるのを待ちましょう。
気になるようなら絆創膏などを貼ると良いでしょう。
爪が完全になくなってしまったら保護する
新しい爪が伸びる前に古い爪が剥がれてしまった場合、絆創膏で保護しましょう。
本来爪があるはずの指先に怪我などをすると治りにくかったり、菌が入りやすくなることがあります。
浮いた爪には保湿
浮いた状態の爪は割れやすくなります。ハンドクリームや爪用のオイルで乾燥を防ぎ保湿しましょう。
浮いた状態で爪を引っ掛けてしまうと、爪が剥がれてしまう場合もあるので、保湿後に絆創膏を貼っておくとよいでしょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷う時の相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番を呼ぶ
以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに119へ連絡しましょう。
- 意識がはっきりしない
- 呼吸が苦しそう
- 激しい痛みをともなう
- 明らかに様子がおかしく自力での受診が難しい
至急受診を
以下の症状がある場合はすぐに病院を受診しましょう。夜間の場合は夜間救急を利用してください。
- 水分が取れずぐったりしている→子ども:ミルクや母乳が飲めない
- 尿の量や回数が極端に少ない
- 尿が濃い
- ぼーっとしていて元気がない
- 泣いているのに涙が出ない
受診が必要
以下の場合は早めに病院(オンライン診療も含む)を受診しましょう。
- 周囲で手足口病が流行している中、微熱と発疹が出た
- 熱はないが発疹や水疱が現われた
- 子どもが手足口病に感染した後、同居する家族にも症状が現われた
子どもの体調不良、どう判断する?
特に5歳以下の子どもは自分の体に起こっている症状を正確に伝えることが難しいです。
また、何度も同じ質問をされると質問に対する答えが変化する場合もあるため、本人の言葉だけで状態を判断することは避けましょう。
体調不良や、喉が痛い・頭が痛い・鼻が詰まるなどの不快な症状を不機嫌で表現している場合が多いです。朝に「今日は機嫌が悪いな」と思っていたら夕方になって熱が出たというケースはよくあります。
そのため、親からみて「何か変だな?」「いつもと違う?」という様子が続く場合は医師へ相談してみましょう。
「こんなことで受診していいのかな?」「家庭の事情でなかなか受診できない」というときには、オンライン診療もおすすめです。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい(〇℃の高熱や発疹)症状があるか
- どんな時に症状があるか
- 水分や食事は摂れているか
- 他に症状はあるか
- 持病はあるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 周囲で感染症などが流行しているか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染した時を想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。