子どもの手や足に発疹が…手足口病とはどんな病気?

公開日: 2024/01/15 更新日: 2024/09/13
保育園や幼稚園で「手足口病が流行っている」と一度は耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 病名を聞いてもどのような病気なのかイメージしにくいため、不安に感じてしまう方は少なくありません。 手足口病とは病名の通り、手のひらや足の裏、口の中などに赤みを帯びた小さなプツプツがあらわれる感染症です。 乳幼児が集団生活をおくる保育園や幼稚園で毎年夏に流行し、とくに4歳頃までの乳幼児にかかりやすいという特徴があります。 今回は乳幼児期にかかる代表的な感染症のひとつである「手足口病」の症状や対処法から予防法まで詳しく解説します。
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手足口病とはどんな病気?

手足口病とは、手・足・口の中にプツプツとした細かい水ぶくれがいくつもあらわれる感染症です。

保育園や幼稚園などの集団で流行することが多いです。

とくに4歳頃までの乳幼児にかかりやすいといわれ、その中でも2歳以下での感染が半数を占めます。

原因ウイルスはエンテロウイルスやコクサッキーウイルスなど、いくつかの種類や型がありますが、毎年流行するウイルスの種類や型が異なります。

感染したことがないウイルスの種類や型が流行すれば、手足口病に繰り返しかかることもあるため注意しましょう。

また手足口病は夏に流行することが多いため、病院を受診したときに「夏風邪」といわれることもあります。

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手足口病の症状

手足口病は3〜5日の潜伏期間のあと、発熱とともにプツプツとした発疹があらわれ、1週間程度で症状がおさまります。

発疹は足・手・口の中を中心に2〜3mm程度の赤みを帯びた細かい水ぶくれである場合が多いですが、全ての部位に必ず発疹が出るとは限りません。

たとえば足や口の中に発疹がみられず、手のひらだけにあらわれることもあります。

また手の発疹の場合には、手のひらや手の甲だけでなくひじや腕の方にまで広がり、足の場合であれば足の裏や足の甲、膝、太もも、おしりまで発疹が広がるケースもあります。

口の発疹は、口の中の粘膜や口の周りにプツプツとした発疹が複数できるのが特徴です。

子どもにとってはつらい症状となりますが、口の中の粘膜や唇に発疹ができると口内炎の状態になるため、つよい痛みを感じる傾向にあります。

また手足口病を発症した方の1/3程度は発疹とともに熱が出ますが、38度以下であることが多く数日で治まることがほとんどです。

なお手足口病は軽い症状で治ることが多いものの、まれに以下のような合併症がみられることもあります。

  • 髄膜炎

  • 心筋炎

その他、原因ウイルスの種類によっては手足口病の症状が治まった数週間後に爪がはがれ落ちる症状がみられることもあります。

爪がはがれる症状があらわれても自然に治癒しますが、何か心配な症状がみられる場合には、医療機関へ相談しましょう。[1][2]

手足口病にかかったときの対処法や治療法

手足口病にかかってしまった場合、家庭ではどのように対処すればよいのでしょうか。

ここでは手足口病にかかったときの対処法や治療法について解説します。

かかったときにできる家での対処法 

手足口病を発症してから数日は発熱することもあります。

熱があるうちは、保育園や幼稚園などをお休みして安静に過ごすようにしましょう。

口の中に発疹(口内炎)ができている場合は、飲み物や食べ物がしみて強い痛みを感じることもあります。

また口内炎が喉の付近にできている場合は、痛みだけでなく飲み込みにくさを感じて食欲が出ないことも多いです。

口の中に発疹ができているうちは、熱いものや酸味の強いものなど刺激のあるものは避け、柔らかく喉ごしがよい食事を与えるように心がけましょう。

たとえば柔らかく煮込んだお粥やうどん、プリンやゼリーなどです。

なお手足口病は夏場に流行することが多いため、食べやすいようであればアイスクリームなどもよいでしょう。

乳幼児の場合は、痛みによって水分摂取さえも嫌がってしまうことがあります。

機嫌が悪く、水分がとれないような場合は、脱水にも注意が必要です。

夏場は汗で水分が奪われやすいため、水分摂取ができない・おしっこの量が少ないなどの症状があれば医療機関へ受診してください。[2][3]

手足口病の治療法 

手足口病のウイルスに対する治療薬はありません。そのため治療は、症状をやわらげるための対症療法のみとなります。

水ぶくれによる痛みが強い場合や熱があるときなどは、解熱鎮痛剤で様子をみます。

一週間程度で発熱や発疹が治まっていくことが一般的です。

しかし手足口病は、人によってはまれに合併症を引き起こすこともありますので注意深く様子をみることが重要です。

発疹のほかに以下のような症状がみられる場合は、速やかに再度医療機関へ受診するようにしてください。[1]

  • 高熱が続く

  • 頭痛

  • 嘔吐

  • おしっこがでない

  • ぐったりとしている

  • 視線が合わない

  • 呼びかけに反応しない

手足口病はうつる?予防について

手足口病はウイルス性の感染症であるため、大人にもうつる可能性はあります。子どもは近距離で遊びや行動を共にするため保育園や幼稚園ではうつりやすいのも特徴です。

手足口病には特効薬が存在しないことから、流行時には予防対策をすることが極めて重要であるといえます。

ここでは以下について順を追って詳しく解説します。

  • 手足口病は大人もうつることがある
  • 子どもは保育園などでうつりやすい
  • 予防について

手足口病の感染経路や予防法について理解を深めましょう。

手足口病は大人もうつることがある

手足口病は保育園や幼稚園で流行することが多い感染症ですが、大人にもうつる可能性があります。

たとえば乳幼児のいる家庭や乳幼児と接する機会のある職場などでは、子どもから大人への感染が考えられます。

しかし成人の場合は、乳幼児期に手足口病の原因となるウイルスに感染していることが多いため、症状があらわれない不顕性(ふけんせい)感染となることがほとんどです。

ただし手足口病にはいくつかの原因ウイルスや型が存在します。

幼少期にかかったことがない種類や型の原因ウイルスに感染すれば、子どもと同様に手足口病の特徴的な症状があらわれるため注意が必要です。

大人が手足口病にかかった場合、微熱やのどの痛みといった風邪症状からはじまり、発疹があらわれます。

大人の方で発疹が出た場合には、子どもよりも水ぶくれの数が多く痛みも強く出やすいのが特徴です。

また40度近い発熱や倦怠感、筋肉痛、悪寒、咽頭痛など、インフルエンザに似た症状からはじまるケースもあります。

手や足、口の中にできた発疹やその痛みにより日常生活に支障がでることも考えられるため、家庭内でも予防が大切です。[4][5]

子どもは保育園などでうつりやすい

子どもが手足口病にかかるのは、保育園や幼稚園などの集団でウイルスに感染することが主な原因です。

主な感染経路には、以下の3つが挙げられます。

  • 飛沫感染

  • 接触感染

  • 糞口感染

飛沫感染とは、咳やくしゃみによって飛び散ったウイルスを含んだしぶき(飛沫)が口や鼻から侵入して感染することです。

保育園や幼稚園などの集団では、マスクを着用したり咳やくしゃみをする際に口をハンカチで押さえたりするなど、咳エチケットの徹底をするのがむずかしいです。

また子ども同士や子どもと職員が至近距離で話をする機会も多いため、飛沫により感染しやすいといえるでしょう。

家庭内においても、感染した子どもの飛沫から大人や兄弟に感染するリスクは高いです。

接触感染は、手すりやドアノブに付着したウイルスを触った手で目をこすったり鼻や口を触ったりすることで感染します。

乳幼児が集団で生活する場では、床やつくえ、いす、おもちゃなどに触れる機会が非常に多いです。

たとえば子どもが咳やくしゃみをする際に口を手で押さえたとしても、その手でさまざまな場所や物に触れてしまえば感染のリスクは高まります。

乳幼児の場合、指しゃぶりやおもちゃを口に入れるなどによる感染も少なくありません。

糞口感染とは、便から排出されたウイルスが口から侵入して感染することです。

たとえばおむつ替えの際に手にウイルスが付着し、手指の消毒が不十分だったために感染してしまうことがあります。[1][5]

手足口病の場合、厚生労働省による出席停止期間の取り決めはありません。

園の方針によりますが、一般的には熱が下がり食事がとれ、元気に過ごしているようであれば発疹が残っていても登園可能となります。

なお手足口病は、2〜4週間の間は排泄物(便)にウイルスが排出されます。

保育園や幼稚園で手足口病が流行っている場合、しばらくの間は感染する可能性があると考えたほうがよいでしょう。

予防について

手足口病に対して有効なワクチンや予防薬はありません。家庭内での感染を防ぐためには、日頃の感染予防が大切です。

感染経路は飛沫感染・接触感染・糞口感染の3つです。

手足口病への接触感染予防のため、手洗いやアルコール消毒をこまめに正しく行うことを心がけましょう。

手足口病に感染した子どもが触れた場所や使用したおもちゃなどは、こまめに消毒するようにしておくと感染予防に繋がります。

また排泄物の適切な処理が大切です。

排泄物を処理する際は、使い捨て手袋を着用したり、使用済みおむつをビニール袋に入れて口を縛って捨てたりすることで糞口感染のリスクを抑えられます。

ビニール袋に入れた使用済みのおむつや使用済み手袋などは、蓋付のごみ箱に捨てるなどすると安心です。

このときゴミ箱の蓋や周辺など、ウイルスが付着している可能性がある場所も消毒するようにしましょう。

家族の中で手足口病に感染している方がいる場合には、タオルや食器などの共用により感染することもあります。

タオルや食器など、直接触れるものの共用は避けるようにしましょう。[1][5]

まとめ

手足口病は夏風邪といわれることもあり、かかってから回復までの経過が良好な場合が多い感染症です。

しかしまれに合併症を引き起こすこともあるため、回復するまでは注意深く様子をみましょう。

治療薬がなく対症療法のみで様子をみるのは不安に感じるかもしれませんが、一週間もすれば自然に治ることが一般的です。

口の中にできた発疹による痛みで水分がほとんどとれないような場合は、医療機関へ相談しましょう。

手足口病は、出席停止期間についての取り決めのない感染症です。

熱が下がり、体調がよくなれば登園は可能ですが、しばらくの間は周囲にうつる可能性があります。

子どもから大人に感染した場合、大人の方が症状が重く出ることもあります。

家庭内でも感染予防を徹底し、手足口病の流行シーズンを乗り切りましょう。

参考文献

[1] 手足口病に関するQ&A|厚生労働省

[2] 手足口病|国立成育医療研究センター

[3] 手足口病(てあしくちびょう)とは|済生会

[4] 成人発症の手足口病

[5] 手足口病は大人にも感染する?主な症状や予防方法を紹介|健栄製薬

 

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