コロナによる発熱やのどの痛みに対してロキソニンは禁忌なの?
コロナに感染したとき、発熱やのどの痛みに対してロキソニンは使用できます。
「ロキソニン」「ロキソプロフェン」と呼ばれているものは同じものであることをまず覚えておきましょう。以降は「ロキソニン」と統一して説明します。
一部では「ロキソニンよりカロナールを使用した方がよい」と言われていた時もありましたが、コロナにロキソニンが禁忌ということはありません。
そのため、安心して服用してよいでしょう。
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コロナの症状にロキソニンは使える
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ロキソニンの適切な服用方法
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ロキソニンの効果と副作用について
以上3点について、ガイドラインや添付文書をもとに分かりやすく解説します。
コロナの症状にロキソニンは使える
コロナ感染時の熱やのどの痛み、頭痛にロキソニンを使っても問題ありません。
日本感染症学会が出している「新型コロナウイルス感染用診療の手引き 第10版」によると
解熱鎮痛薬や鎮咳薬などの対症療法を必要に応じて行う(非ステロイド性抗炎症薬がCOVID-19の予後を悪化させるというエビデンスはない)
(新型コロナウイルス感染症 診療の手引き・第10版,p24 外来診療[1])
このように記載されています。
(非ステロイド性抗炎症薬=ロキソニンなどの解熱鎮痛薬の分類)
つまりコロナ感染時の発熱やのどの痛み、頭痛をおさえるためにロキソニンを使っても問題ありません。
ただし、ロキソニンはあくまでも熱やのどの痛みを抑える対症療法です。
コロナ感染症は、ウイルスによる感染症であり、ロキソニンにウイルスを殺す作用がないことは知っておきましょう。
関連記事:「新型コロナになった!つらい高熱や強いのどの痛み、関節痛などコロナに効く解熱剤は?」
関連記事:「コロナの喉の痛みに使える薬や対処法を解説 熱や咳に対しての薬も紹介」
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ロキソニンの適切な服用方法
ロキソニンは、熱やのどの痛みなどの症状がある時に1回1錠飲みます。
1回飲んでから、次に飲むまでのタイミングは5~6時間あけることが一般的です。
原則、飲む回数は1日2回まで。
最大でも3回を超えないようにしましょう。
また、副作用として胃腸障害を起こす可能性があるため、空腹時に飲むことは避けましょう。[2]
ロキソニンの効果、副作用はあるのか
ロキソニンはコロナ感染時の熱やのどの痛み、頭痛に対して、多くの人に対して効果が期待できます。
ロキソニンの適応である「急性上気道炎の解熱・鎮痛」に対しロキソニンを使ったときの一般臨床試験では、「やや有効以上」と判定された人は全体の95.9%です。[5]
急性上気道炎とは、いわゆる「かぜ症候群」のことであり、扁桃炎、咽頭炎、鼻炎、喉頭炎(こうとうえん)のことを指します。
咳、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、頭痛、微熱、くしゃみ、悪寒、倦怠感などの症状があります。[15]
ロキソニンは体の中で起こった炎症症状をおさえてくれるでしょう。
一方、副作用はどうでしょうか?
ロキソニンを使用するときに特に重要な副作用は消化性潰瘍と腎機能障害の2つです。[6]
消化性潰瘍とは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の総称をいいます。胃もたれ、胸やけ、ムカムカした感じが続く場合は注意が必要です。
また、ロキソニンを長期で飲む場合や、高齢者では腎機能障害を起こす可能性があります。定期的に血液検査を受け、腎機能低下の兆しを見逃さないようにしましょう。
ワクチン接種後の副反応とロキソニン
コロナワクチン接種後の発熱や頭痛などの副反応にもロキソニンを使用できます。[7]
コロナワクチン接種後、体内でウイルスに対する免疫(抗体)ができる過程で起こるさまざまな症状を副反応といい、主な症状は注射した部分の痛み、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢などです。
このような症状は、接種翌日をピークに徐々に消失していきますが、発熱や頭痛などはつらいですよね。[8]
ワクチン接種後の症状にもロキソニンは使用できるため、薬を飲んでつらい症状を和らげましょう。
ロキソニンを安全に使用するために
ロキソニンはコロナ発症時やコロナワクチン接種後の副反応にも使えるお薬ですが、以下の人は注意が必要です。
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍がある人
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腎機能が低下している人
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高齢者
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妊婦
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アスピリン喘息の持病がある人
ロキソニンは解熱・鎮痛効果を持っているため、どんな人の症状にも効くと思うかもしれません。
しかし、実は「ロキソニンを飲まない方がいい」人もいるため、服用する際には注意が必要です。安全にロキソニンを服用するために、それぞれ注意すべき人を順を追って説明します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍がある人
ロキソニンは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍がある人は飲めません。
ロキソニンには痛みや炎症をおさえる作用がありますが、同時に胃粘膜を保護する物質を減らしてしまうため、消化性潰瘍がある人には使用できません。
腎機能が低下している人
病院で腎機能が良くないと指摘された人も、ロキソニンの服用に注意が必要です。
ロキソニンを飲むと、腎臓へ入る血液の量が減ってしまい、腎機能を余計に悪化させる可能性があります。
高齢者
一般的に高齢者は、若年者に比べて胃腸障害を起こしやすく、腎機能が低下している人が多いです。
そのため、ロキソニンを長期に使用することは避けましょう。
妊婦
特に、妊娠後期の女性はロキソニンを服用できません。
動物実験において、分娩遅延及び胎児の動脈管収縮が報告されているためです。
妊娠後期以外の時期の妊婦さんにおいても、ロキソニンの影響で羊水減少などが起こる可能性があるため、自己判断で薬を飲まずに、かかりつけの産婦人科で相談するようにしましょう。[2]
アスピリン喘息の持病がある人
これまでに、アスピリン喘息の診断を受けたことがある人もロキソニンを飲めません。
アスピリン喘息とは、アスピリンに代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や解熱鎮痛薬により引き起こされる喘息のことです。
ロキソニンはNSAIDsに分類されるため、アスピリン喘息の人は飲むことができません。
インフルエンザかコロナか不明な場合のロキソニン使用は?
インフルエンザもコロナも、高熱や倦怠感、筋肉痛など似た症状が出るため、自己判断でどちらの病気か区別することは難しいでしょう。
そんなときに、熱を下げたいので家にあるロキソニンを飲みたい……。
しかし、そんなときは注意してください。
ロキソニンと同じNSAIDsであるジクロフェナクナトリウムが、因果関係は不明ながら、インフルエンザ脳症の死亡率をあげるという報告があります。[9]
インフルエンザ脳症とは、インフルエンザ感染後に脳神経に障害が起こり、けいれん、意識障害、異常行動などが現れる病気のことです。
例年、小児での発症報告が多いですが、20歳以上の成人例も報告があるため、注意が必要です。[10]
日本小児科学会は「インフルエンザ治療に際しては非ステロイド系消炎剤(NSAIDs)の使用は慎重にすべきである。」との見解を示しています。[11]
また、「インフルエンザ脳症の治療戦略」[12]では、インフルエンザ脳症患者の体温管理に関して解熱剤はアセトアミノフェンを推奨しており、ロキソニンと同じNSAIDsの一部の薬は禁忌となっています。
そのため、「コロナかインフルかまだ検査はしていないけれど、とにかく熱を下げたい」という場合は、アセトアミノフェンを使用するのが安全といえるでしょう。
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よくある質問とその回答
コロナにはロキソニンとカロナールどっちがいい?
もともと持病がなく、健康な人であればどちらを飲んでも熱を下げたり、頭痛をやわらげたりする効果が期待できます。
ただし、前述したように胃潰瘍・十二指腸潰瘍がある人、腎機能が低下している人、高齢者、妊婦さん、アスピリン喘息の既往がある人などは安全性を考慮してカロナールの方が良いでしょう。
(※アスピリン喘息の人はカロナールの投与量が1回300㎎までと決められているため、手持ちのカロナールが何㎎製剤か確認しましょう[13])
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ロキソニンⓇSはコロナ感染に注意ですか?
ロキソニンⓇSはコロナ感染時の熱や痛みに対して使用できます。[14]
使用上の注意をよく読み、決められた用法用量を守ってお使いください。
コロナワクチン ロキソニン なぜダメ?
コロナワクチン接種後の副反応の症状をやわらげるためにロキソニンを飲んではダメだと思っていませんか?
ワクチンの副反応にロキソニンを飲むことは、厚生労働省も認めている使い方ですので、安心して使用してください。[7]
ただし、「ワクチン接種したら熱が出るから、あらかじめロキソニンを飲んでおこう」といったように、予防的にロキソニンを飲むことは推奨されていません。
コロナに解熱剤はダメですか?
コロナ感染時の熱やのどの痛みなどのつらい症状をやわらげるためにロキソニンやカロナールなどの解熱剤を飲むことは問題ありません。
一般に、発熱は身体が病原体と戦うために起こる生体防御反応だと考えられているため、むやみに熱を下げる必要はありません。
ただし、高熱が長く続くと体力を消耗したり、食事がとれなかったりするため、そのような場合に解熱剤を使用するようにしましょう。
関連記事:新型コロナになった!つらい高熱や強いのどの痛み、関節痛などコロナに効く解熱剤は?
関連記事:「コロナの喉の痛みに使える薬や対処法を解説 熱や咳に対しての薬も紹介」
専門家による補足説明
ロキソニンは、熱や炎症の原因となる物資を阻害して、熱を下げたりのどの痛みをやわらげたりする薬です。
臨床現場でもよく使用される薬で、コロナ感染時にも安全に使用できます。
ただし、長く使うと副作用が現れる可能性が高まるため、症状があるときに飲む「とんぷく薬」として飲むようにしましょう。
副作用を防ぐため、これまでに消化性潰瘍になったことのある人には胃薬を合わせて処方することもあります。
副作用が現れやすい腎機能が低下している方、高齢者、妊婦さんや、アスピリン喘息の既往のある人、子どもなどには副作用の少ない解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンを処方します。
心配な方は一度医師や薬剤師にご相談ください。
安全な使用のために
ロキソニンは、コロナ感染時や、コロナワクチンの副反応による熱・のどの痛みに使うことができます。
使う場合は、次の使用方法を守るようにしましょう。
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1回1錠
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使う間隔は5~6時間あけて
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1日3回まで
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空腹時に飲むことは避ける
また、次のような人は薬を自己判断で飲まずに、医師や薬剤師へ相談するようにしてください。
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍のある人(今までになったことのある人)
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腎機能が低下している人
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高齢者
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妊婦
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アスピリン喘息の持病がある人
ロキソニンは上手に使えば、とても頼もしい薬です。
正しい知識を持って、安心して使いましょう。
つらい症状が早くやわらぐといいですね。
ロキソニン以外にも解熱鎮痛剤はあります。
年齢や体重で飲まない方が良い薬もあるため、薬について相談したいことがあれば24時間365日いつでもアプリから診察予約・受診ができるファストドクターを頼ってください。
アプリを起動すればリアルタイムの待ち時間が表示されるため、自宅にいながらゆっくり診察を待つことができるでしょう。
すぐにアプリをダウンロードして、ぜひご活用ください。
参考文献
[1] 診療の手引き
[3] https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/2019-ncov/covid-voice.html
[5] ロキソニン錠 インタビューフォーム
[6] 余宮きのみ.第3版 がん疼痛緩和の薬がわかる本.医学書院,2019,p31-33.
[7] ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。
[8] ワクチンを受けた後に熱が出たら、どうすればよいですか。
[9] インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について(医薬品等安全対策部会における合意事項)
[10] インフルエンザ脳症について
[12] インフルエンザ脳症の診療戦略
[13] アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の 「使用上の注意」の改訂について
[14] 新型コロナウイルス感染症に伴う各種情報
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。