デエビゴ(レンボレキサント)で金縛りはよく起こる?発現確率や対処法について解説
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デエビゴ(レンボレキサント)で金縛りになることはあるのか
デエビゴ服用中に金縛りの症状があらわれるケースはあります。
不眠症患者を対象としたデエビゴの有効性を調べる調査では、全体の0.2%の割合で金縛りになると報告されています。[1]
金縛りの原因は医学的にいう「睡眠麻痺」と呼ばれる現象です。
「意識はあるのに体が動かない」状態で、眠りにつくときや夜中に目が覚めたときに起こりやすいです。
一般的に、人はレム睡眠中に夢を見ているといわれています。レム睡眠中は筋肉が緩んでいて、体を動かせません。
レム睡眠中に脳が起きてしまうと、体は動かせないのに意識があるという体と脳の不一致によって、金縛りが起こります。
金縛りが起きやすい背景には以下のような複数の要因が関係していることもあります。
-
仰向けで寝ている[2]
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寝る時間が不規則で睡眠時間もバラバラである
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強いストレスがある
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睡眠不足
金縛りが起きても、デエビゴなどの睡眠薬が原因とは限りません。
金縛りを防ぐには、日々の生活リズムを整え、心身の緊張をやわらげる工夫も重要です。
デエビゴの特徴について
デエビゴはほかの睡眠薬と異なる作用機序をもち、体に負担をかけずに眠りやすい状態へ導くのが特徴です。
脳を目覚めさせる神経伝達物質「オレキシン」の作用をブロックして睡眠を促すことで自然な眠気を引き出す効果があります。[3]
実際の臨床試験では入眠までの時間が短くなったり、夜中に目が覚めにくくなったりする効果が確認されています。
なかなか寝付けない、途中で目が覚める、朝方に目が覚めてしまう症状に悩んでいる人にとって効果的で、新たな選択肢の一つとなりました。[4]
依存性が少なく、転倒やふらつきといった副作用のリスクが比較的低いとされており、高齢者も使用しやすい薬とされています。
ほかの睡眠薬との違い
デエビゴはほかの睡眠薬と比べて根本的な作用の仕組みが異なり、自然に近い眠りを引き出します。
オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ) |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬 |
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬 | |
作用機序 |
脳を目覚めさせる神経伝達物質(オレキシン)のはたらきを抑えて眠気を引き起こす |
脳内の興奮を抑える神経伝達物質(GABA)のはたらきを強めて脳の活動を鎮め眠気を引き起こす | |
眠りにつくまでの感覚 |
自然にうとうとしてから眠りにつく |
意識が落ちるように急に眠りにつく | |
薬の依存性 |
依存性は低い |
依存性あり(1か月以上の服用で50%が依存)[5] |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較すると依存性は低い |
特徴的な注意すべき副作用 |
金縛りや幻覚 |
筋肉の緊張が緩み力を入れづらくする(ふらつきや転倒)[5] |
薬を飲んでからの記憶がなくなる(一過性前向性健忘) |
従来よく使われてきた睡眠薬は「ベンゾジアゼピン系」や「非ベンゾジアゼピン系」といった種類です。
これらは脳内のGABAという興奮を抑える神経伝達物質のはたらきを強めて、眠りを促します。
脳の活動を抑えるため、短時間でストンと意識が落ちるように眠りにつける一方で、依存性や翌日のふらつきなどがデメリットとされていました。
一方デエビゴは「オレキシン受容体拮抗薬」と呼ばれ、脳を目覚めさせる神経伝達物質のはたらきを抑えて穏やかな自然に近い眠りを引き出します。
正しい服用方法であればほかの睡眠薬と比較し依存性が低いとされ、さらに副作用としてのふらつきや転倒のリスクも低いです。[6]
そのため高齢者や長期使用を必要とする方にとって安全性が大きなメリットです。
デエビゴを服用しても効かないと感じる人がいる理由
デエビゴの効果を感じない原因は、服用方法の誤りや薬の特性に対する理解不足によるものです。
以下に該当している、または心当たりがある場合は正しい服用方法に変更し改善していきましょう。
※主治医や薬剤師に相談のうえ、実施してください。
デエビゴの効果を感じない原因 |
対処方法 |
食後に服用している |
食べ物が消化されるのにかかる時間、就寝の少なくとも2時間前までには食事を済ませる。 |
用量が適切でない |
自己判断で薬の量を増やしたり減らしたりしない。医師に相談して量を調整する。 |
不眠の根本的な原因がほかにある |
うつ病やストレス、生活リズムの乱れが不眠の原因となっている場合がある。 生活習慣の見直しや医療機関の受診、持病の治療を進める。 |
デエビゴは空腹時に服用することで最も効果を発揮します。食後に飲むと薬の効果があらわれるのが遅れたり、効果が弱まったりすることがあります。[7]
正しい時間帯で服用するように心がけましょう。
また用量が適切でない場合も効果が実感しにくくなる原因です。不眠の程度や体質によってデエビゴの適正量は異なります。
デエビゴの適切な量は医師が慎重に判断する必要があるため、自己判断での増減は避け、必ず医師と相談のうえで調整するようにしてください。
デエビゴは睡眠を手助けする薬のため、うつ病やストレス、生活リズムの乱れが原因で眠りが妨げられている場合、不眠の根本的な原因を取り除くことが大切です。
デエビゴで一時的に眠れるようになったとしても、根本の原因が解決されない限り十分な睡眠の改善にはつながりません。
単なる薬の調整だけでなく、生活習慣の見直しやそのほかの持病の治療を進めることが重要です。
関連記事:「デエビゴ(レンボレキサント)が効かない理由は何?眠れないときに試したい対処法を解説」
デエビゴの金縛り以外で起こる副作用
デエビゴは金縛り以外におもに頭痛や傾眠などの神経障害を始めとした複数の副作用を起こすことがあります。[3][4]
神経障害 |
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精神障害 |
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循環器障害 |
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消化器障害 |
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その他 |
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もっともよくみられる副作用の一つが「眠くなりやすい(傾眠)」です。
日中に強い眠気を感じる状態で、デエビゴを服用して就寝した翌日にも眠気が残ってしまうケースがあります。
とくに高用量での使用や、高齢者の場合に起こりやすいとされています。
「頭痛」「めまい」「体のだるさ」「悪夢」などの症状はいずれも報告頻度は1~2%程度と比較的少ないです。
ただし日常生活に支障が出る場合には、早めに医師に相談することが推奨されます。
「入眠時幻覚」という副作用も特徴的です。
眠りに入るタイミングで実際には存在しない音や映像を知覚して、現実と夢との境目があいまいになるような感覚になります。
入眠時幻覚も金縛りと同様、オレキシン受容体拮抗薬特有の作用によるものと考えられています。
デエビゴを服用するときには医師の指示に従い、もし副作用や気になる症状があらわれた場合は随時相談することが大切です。
関連記事:「デエビゴ(レンボレキサント)とアルコールの併用は危険?安全性とリスクを解説」
デエビゴを服用して金縛りが起きてしまったときの対処方法
もし金縛りの症状があらわれた場合、まずは慌てずに深呼吸をしましょう。
金縛りは一般的に数分以内で自然におさまることが多いとされています。
金縛り中は不安が強まりパニックに陥りやすくなるため、無理に体を動かそうと焦ってはいけません。
深呼吸を意識し「これは金縛りで一時的なものだ」と認識し落ち着きましょう。
気分が落ち着いたら目を動かす、指先に意識を集中する、小さな声を出してみるなど身体のどこか一部をゆっくり動かすことで、金縛りを解消するきっかけになることもあります。
金縛りが何度も繰り返される、恐怖や不安が強くなってきた場合には、無理に我慢せず医師に相談することが大切です。
薬の用量や服用タイミングの見直し、別の睡眠薬への変更など症状に応じた調整をおこなうと金縛りの症状が改善するケースがあります。
※自己判断せず医師に相談してください。
よくある質問
デエビゴの副作用について以下のよくある質問に回答します。
服用中もしくは服用を考えている人で気になる項目がある人は参考にしてください。
デエビゴの副作用で金縛りになる人はいますか?
デエビゴを服用した人のうち全体の0.2%に金縛り(睡眠麻痺)が見られたという報告があります。[1]
「オレキシン受容体拮抗薬」という薬の性質上、ごく一部の人に金縛りのような症状があらわれるケースがあります。
睡眠と覚醒の切り替えが一時的に乱れてしまうことが原因といわれています。
睡眠中に金縛りが起きる原因は何ですか?
金縛りの原因はおもにレム睡眠中の筋肉が緩んでいて動かせない状態のときに、脳が覚醒してしまうことです。
脳は覚醒しているのに体はまだ眠っている状態で、意識があるのに動けないという不快な体験を引き起こします。
デエビゴ(オレキシン受容体拮抗薬)など一部の睡眠薬の影響や睡眠不足、強いストレス、不規則な生活リズムなどは金縛りを引き起こす要因とされています。
デエビゴは夢遊病になることがありますか?
デエビゴの副作用として夢遊病(睡眠時随伴症)に関する報告はまれですがゼロではありません。
頻度は不明とされていますが、まれに意識がないまま歩き回るという症状が報告されています。[3]
もし寝ている間に記憶のない行動をとっている、家族から異常な行動を指摘された場合は、医師に相談し、用量の見直しや薬の変更を検討することが重要です。
デエビゴを服用して怖い夢を見るのはなぜですか?
デエビゴが夢を見る睡眠段階であるレム睡眠に影響を与え、夢の内容が鮮明になり感情的に強く感じやすくなるためと考えられています。
「悪夢」や「異常な夢」といった副作用の頻度は1~3%未満です。副作用としてあらわれていなければ、過度に心配しなくてもよいでしょう。[3]
ただし悪夢が頻繁に続く、強い不安を感じる場合は医師に相談してください。用量の調整や他の治療法を検討してもらえるかもしれません。
まとめ|デエビゴの金縛りで飲むのが怖いなら早めに医師へ 相談を
デエビゴは、ほかの睡眠薬とは異なる仕組みで自然な眠りをサポートする薬です。
依存性が少なく高齢者にも使いやすいという特徴がありますが、まれに金縛りのような副作用が報告されることもあります。
金縛りが起こると「意識はあるのに体が動かない」という状態になります。
金縛りが起きると不安に感じるかもしれませんが、不安や焦りが強まるとパニックに陥りやすくなります。無理に体を動かそうと焦ってはいけません。
金縛りは数分程度でおさまるため、深呼吸して落ち着きましょう。
デエビゴの副作用は人によって異なります。
金縛りが数日間続き、薬を飲むのが怖いと感じるときは一人で抱え込まず、医師に相談することが安心と回復への第一歩です。
自己判断での中止は避け、医師に相談しながら心地よい睡眠を取り戻していきましょう。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。※診断書の内容は医師の判断によります。
参考文献
[1]不眠症患者におけるレンボレキサントの安全性および有効性の検討 - デエビゴ錠一般使用成績調査結果報告 -
[3]不眠症治療薬 レンボレキサント製剤 DayvigoⓇ Tablets
[5]ベンゾジアゼピン受容体作動薬とその他の睡眠障害治療薬の薬理作用および問題点
[6]新規オレキシン受容体拮抗薬レンボレキサント(デエビゴ錠®2.5 mg,5 mg,10 mg)の薬理効果と不眠症患者における臨床的有用性
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
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