インフルエンザの出席停止期間の早見表|幼児と大人の違いについて
熱やのどの痛み、ときには全身のだるさや関節痛などを伴うインフルエンザ。通常の風邪とは異なり、インフルエンザには「発症から5日間かつ解熱してから2日間」の出席停止期間が設けられています。
では具体的にいつまで休むのか、どのような手順で復帰できるのかご存じでしょうか?
発症から5日間と言っても、何をもって発症とするのか、具体的な復帰のタイミングなど気になるところです。
この記事では発症してからの日数の数え方や、復帰する際の段取り、インフルエンザにかかってしまった際に、なぜ休養期間が設けられているのか理由を含めて解説します。

名倉 義人 医師
○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院
○資格
救急科専門医
○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会
インフルエンザの症状とは
インフルエンザは、単なる「風邪」よりも症状が重くなりやすく、重症化する可能性も高いのが特徴です。
そのため、風邪とは区別して対応するように決められています。
インフルエンザ | 風邪 | |
原因ウイルス | インフルエンザウイルス | アデノウイルス、ライノウイルスなど |
症状 | 発熱(38度以上になることが多い) 咳、鼻水、喉の痛み、全身のだるさ、関節痛など | 発熱、咳、鼻水、喉の痛みなど |
風邪は「のど・はな・胸」の症状だけで済むことが多いですが、インフルエンザは全身にだるさや関節痛などの症状が出てしまうのが特徴です。インフルエンザは感染力が強いので、定められた出席期間をしっかり守って、周囲へ感染を広げないようにする必要があります。
インフルエンザでは症状がいつ出たかというのが、発症してからの日数を決める際のポイントとなります。
インフルエンザの出席停止期間の早見表
たとえどんなに早く解熱したとしても、最短で発症6日目になるまで登園・登校できません。
インフルエンザの治療薬を使用すると症状の改善が少し早まりますが、出席停止の期間が短縮されることはありませんので注意してください。
また、一旦解熱したと思っても、再度発熱することもあります。
その場合は再度解熱してからの日数を数えるのがルールです。
解熱したからと安心せず、出席停止期間はお子さんの体調変化がないか注意しましょう。
乳幼児(就学前の子ども)の場合
発症 0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 | 9日目 | 10日目 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 解熱 4日目 | 登園 OK | ||||
発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 登園 OK | ||||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 登園 OK | |||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 登園 OK | ||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 登園 OK | |
発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 登園 OK |
小学生以上の場合
発症 0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 | 9日目 | 10日目 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 解熱 4日目 | 登校 OK | ||||
発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 解熱 3日目 | 登校 OK | ||||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 登校 OK | ||||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 登校 OK | |||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 登校 OK | ||
発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 発熱 | 解熱 0日目 | 解熱 1日目 | 解熱 2日目 | 登校 OK |
法律上のインフルエンザの出席停止期間と数え方
インフルエンザは、保育所や学校へ行ってはいけない「出席停止期間」が法律で定められています。
出席停止期間の数え方
インフルエンザの出席停止期間は、数え方が特徴的です。
間違いのないよう、ルールを確認しましょう。
①出席停止期間の終了は「発症5日目まで」と「解熱2日目(幼児は3日目)まで」の両方を満たしたら
どちらか片方の条件を満たしただけではいけません。
②発症した日を0日目として数える
発熱や咳、鼻水、喉の痛みなどを生じた日を0日目とします。
例えば月曜日の夕方に発熱、火曜日に受診して診断を受けたとした場合、月曜日を0日目と数えましょう。
③症状がなくなった日を0日目として数える
熱が下がった日が解熱0日目です。
木曜日に熱が下がってそれ以降発熱しなかったのであれば、木曜日を解熱0日目とします。
④幼児は解熱後の出席停止期間が3日間で、1日長い
基本的には、解熱2日目まで出席停止です。
ただし幼児(1歳から就学前まで)の場合は解熱3日目まで出席停止となりますので、間違いのないようにしましょう。
インフルエンザはなぜ休まなくてはならないか
インフルエンザに感染したら、保育所や学校に行ってはいけません。これは「学校保健安全法施行規則」という法律で定められた決まりです。
子どもがインフルエンザに罹ったときには、保育所や学校を休ませる義務があります。
なぜ休まなくてはいけないの?
感染拡大の防止が主な理由です。
インフルエンザは、通常の風邪と比べて感染力が強く、1人の感染者から1〜3人に感染を広げることがわかっています。インフルエンザは咳やくしゃみ、それらを触った手などを介して感染する「飛沫感染」のタイプです。保育所や学校のように集団生活をする場では、感染者がいると簡単に感染が拡大してしまいます。感染を広げないために、出席停止の期間が定められているのです。
幼児は再発熱しやすいので出席停止が1日長い
また、幼児の場合はウイルスを排出する期間が長く、一度解熱してもまた発熱することも少なくありません。
そのため、感染した子どもの健康状態をしっかり観察するために、出席停止期間が1日長く設定されています。
インフルエンザに関するQ&A
①家族の1人がインフルエンザになったら、他の兄弟も出席停止になるの?
原則的に、体調に問題がなければ登校してかまいません。
ただし、熱がなくとも咳や鼻水といった風邪症状があれば、インフルエンザの可能性もあります。保育所や学校で発熱するかもしれませんので、念のため休ませた方がよいでしょう。
②学級閉鎖のとき、外出してもいいの?
子どものクラスが学級閉鎖になっていたとしても、本人に症状がなければ基本的には外出は控えなくてもよいとされています。
ただし、習い事などでは独自に「学級閉鎖中はきてはならない」というようなルールが定められている場合があり、確認が必要です。
インフルエンザの潜伏期間は1〜3日程度なので、最後に登校してから3日経っても体調に問題がなければ、感染している可能性は低いといえます。インフルエンザに感染したお友達と長く一緒に過ごしていたようであれば、外出を自粛することも考えましょう。
③大人は休む義務があるの?
大人に関しては、法律で休みの期間は決められていません。
そのため、インフルエンザで仕事を休むと有給休暇が消費されてしまう場合もあれば、特別休暇のような形になることもあります。
有給休暇が消費されてしまうのであれば出勤したくなるところではありますが、大人であってもインフルエンザの感染力に違いはありません。周囲へ感染を広げないためにも、出勤を自粛されるのが望ましいでしょう。大人の場合でも、なるべく解熱後2日目まで出勤・外出を控えてください。
④家庭内で感染しないために何ができますか?
インフルエンザは感染力が強いので、ご家庭内で全員にうつるのも珍しいことではありません。「おばあちゃんは免疫が弱いから心配」「お兄ちゃんは受験だから感染させたくない」など、いろいろな事情があると思います。
新型コロナウイルス感染症の対策でいわれた「三密回避」などが、インフルエンザの感染対策にも有効です。
感染者と同じ部屋に滞在しない(食事の時間もずらす)こと、換気やアルコール消毒などを行うことを意識しましょう。
少しでも発症の可能性を低くしたい場合、インフルエンザ治療薬の「予防投与」についてご相談ください。発症を100%抑えられるというわけではありませんが、比較的高い確率で予防ができます。予防投与をした場合でも、先ほどご説明した「三密回避」などの対策は続けましょう。
診断書・治癒証明書は必要?
インフルエンザの診断書や治癒証明書は、法的には不要です。
令和4年11月には、厚生労働省からも「インフルエンザの診断書や治癒証明書の提出を求めないように」との通知も出されています。
インフルエンザの迅速検査は、「治癒しているかどうか」を確認するための検査ではありません。治癒証明をもらえると安心できるかもしれませんが、治癒証明のために再診することで外来が混雑して診察までの時間が長くなったり、感染者と同じ空間に滞在して再度感染するリスクにさらされたりと、問題もあります。
「発症から5日間」かつ「解熱から2日間(幼児は3日間)」を満たしていれば、治癒証明書がなくとも保育所や学校へ行ってかまいません。
ただし、学校や保育所によっては証明書を求められる場合も、まだまだ多いのが現状です。一度方針を確認してみてください。
まとめ
今回は、インフルエンザにかかったときの出席停止期間に、出席停止にまつわる疑問について解説しました。
インフルエンザの出席停止期間は、「学校保健安全法」という法律で定められた決まりです。インフルエンザは感染力の強い感染症なので、周りに感染を拡大させないため、症状に応じてしっかり休むようにしましょう。