COVID-19罹患後の患者は、症状の軽重を問わず約30%に強い倦怠感やうつ症状などが持続する後遺症が生じており、QOLや社会復帰の問題が指摘されています。現在さまざまな研究が行われていますが、COVID-19後遺症の発生機序はいまだ不明な点が多く、治療法も確立していません。
軽症患者でもCOVID-19後遺症が生じていること、ワクチン普及後も感染者数自体は増加していることからCOVID-19後遺症に苦しむ患者が増えており、早期の治療法の確立が望まれます。一方で発生機序の解明や治療薬の開発については、COVID-19患者は発症後7~10日で療養期間終了となることや、療養期間中の来院が困難なことから、継続した診療や経過観察の方法が課題となっていました。
DCT(分散型治験:decentralized clinical trial)について
DCTは在宅治験、オンライン治験などとも呼ばれ、デジタル技術を活用することで患者は医療機関へ通院することなく、自宅などで治験を実施する方法です。
DCTのメリットとしては、従来の臨床試験に関する行為を分散化させ、前述のように患者が定期的に医療機関へ来院せずに臨床試験に参加できること、リクルートメント効率を含めた治験コストの削減などが挙げられます。
DCTの課題に対するファストドクターの運用支援
一方で、DCTの運用には複数の課題を残しています。DCTに対する認知・経験不足、規制内容の未整理のほか、分散型という特性から、治験参加希望者の初期スクリーニング、迅速な処方薬の宅配といった遠隔でのオペレーションを行う必要がありました。また、COVID-19後遺症治療薬開発のための臨床試験データの取得には、定期的な血液検査・バイタルの測定が不可欠です。
そこで今回、在宅医療、オンライン診療(D to P with N含む)の経験が豊富なファストドクターは、COVID-19の後遺症治療薬を研究・開発する治験実施医療機関にパートナーとして選定され、DCTの運用支援を行うことといたしました。
今回のDCTの運用支援の概要は、以下の通りです。
・治験参加希望者の初期スクリーニング
・訪問看護師に医師の遠隔医療支援(D to P with N)
−患者への治験説明、同意取得サポート
−血液検査
−バイタル測定
・処方薬の宅配
・全体のオペレーション設計と采配
DCTは患者の負担が少なく、居住地にこだわらない治験を可能にすることから、本邦での治験事業推進が期待できます。ファストドクターは医療アクセスへの課題解決を理念として活動しており、全国で年間約45万件の患者に対する診療支援実績と機動力の高いオペレーション能力を有し、治験患者のマッチングからオペレーションまでを一貫して行うことで、今後も本邦におけるDCTを支援していきます。
参考文献
1.広島県ホームページ:新型コロナ後遺症(罹患後症状)の 実態調査結果と相談・診療体制について. 2022.
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/471349.pdf
2.日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会タスクフォース3:医療機関への来院に依存しない臨床試験手法の活用に向けた検討-日本での導入の手引き-. 2021. p1-4.
3.黑川友哉:分散型臨床試験(治験)における訪問看護の可能性. NsPace. 2022.
https://www.ns-pace.com/article/a8100/
ファストドクターについて
全国に対応する日本最大級のプライマリ・ケア医療プラットフォーム「ファストドクター」を運営するヘルステック企業。3,500名以上の医師が参加するこのプラットフォームは患者のほか、医療・介護施設、自治体、公的研究機関、製薬や保険業界など、医療業界の多岐にわたるステークホルダーの皆さまにご利用いただくことで、地域医療を強化する新たな医療インフラの構築を実現します。
所在地:〒150-6032 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-3
設立:2016年8月
代表者:菊池 亮(医師)・水野 敬志
WEBサイト:https://www.fastdoctor.co.jp/corporate
本件に対するお問い合わせ
ファストドクター株式会社
広報 田島 めぐみ
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