オンライン診療で対応可能です
インフルエンザはどのくらいの確率でうつる?
インフルエンザがうつる確率は、接触の状況(マスクの有無、距離、時間、環境など)や個人の免疫力によって大きく異なりますが、日本では毎年約1千万人、約10人に1人が感染しています。[1]
感染のしやすさは「どこで・どのくらいの時間・どのような状況で接触したか」によって大きく変わります。
日本ではインフルエンザが流行し始めた場合、短い期間のうちに多くの方へと感染が広がっていくのが特徴です。
対して大流行しているにもかかわらず、インフルエンザにかからない人がいるのも事実です。
インフルエンザの感染力が強い理由
インフルエンザの感染力が強い理由は、ウイルスの増殖スピードがとても速いためです。
インフルエンザウイルスは人の鼻やのどの粘膜に付着し、体内へと侵入していきます。粘膜から細胞内に侵入するまでの時間はわずか10分程度です。
その後、細胞内へと侵入したインフルエンザウイルスは8時間で100倍、16時間後には1万倍のスピードで増殖していきます。
24時間経過した段階では、ウイルスの数は100万倍に達します。[2]
体内に侵入するだけで一気に増えるスピードを持っていることが、インフルエンザの特徴です。
インフルエンザにかからない人がいるのはなぜ?
インフルエンザにかからない人がいる理由として考えられるのは「個人の免疫力の違いがあるため」です。
体内でインフルエンザウイルスが増殖しても、無症状の方や軽症で済む方は、実際にいます。
インフルエンザを発症しない方は、ウイルスに打ち勝つ強い免疫力があると言われているのです。
体内にインフルエンザウイルスが侵入しても免疫システムがすぐ作用し、増殖する前に不活化できれば症状が出ることはありません。
唾液や鼻水などの粘膜防御機能も、個人差が大きいです。
またインフルエンザの予防接種をおこなった方は、おこなってない方に比べて発症の可能性が低いです。
ワクチンを接種すればまったく感染しないというわけではありませんが、発症した際の重症化防止にも効果が期待できます。
インフルエンザとはどんな病気?
インフルエンザは普通の風邪と異なり、全身症状があらわれるウイルス疾患です。
主に以下の症状があらわれます。
-
発熱・発熱感
-
咳
-
悪寒(おかん:病気にかかったときに感じる寒気のこと)
-
のどの痛み
-
鼻水や鼻づまり
-
筋肉や体の痛み
-
頭痛
-
倦怠感(けんたいかん:だるさのこと)
-
嘔吐や下痢
人によっては起き上がるのもつらくなります。
普通の風邪と共通している部分も多いため、自己判断ができません。
-
感染経路
-
普通の風邪との近い
2点についてきちんと理解し、うつる確率を少しでも下げることが大切です。
関連記事:インフルエンザの症状や経過を確認しよう
感染経路
インフルエンザの感染経路は主に2つあります。ひとつは飛沫感染、そしてもうひとつは接触感染です。
|
飛沫感染 |
咳やくしゃみなどで口から飛び出した直径5㎛以上の大きな水分(飛沫)を、周囲の人が口や鼻の粘膜に浴びて感染すること |
|
接触感染 |
ウイルスが付着した部分に直接ふれることによって感染すること |
インフルエンザに感染した家族を近くで看病しているときに、咳やくしゃみなどの飛沫を直接浴びると感染のリスクが上がります。
手すりやドアノブ・押しボタンなど不特定多数の方がふれるものにも、インフルエンザウイルスが付着していることが多いです。
そのような場所にふれた手で自分の口や鼻にふれることで、体内にウイルスを侵入させてしまいます。
また、インフルエンザに感染した方が鼻をかんだ後のティッシュ・口をつけたペットボトル・食べかけの食品などからの感染も考えられます。
インフルエンザが流行している時期は、家族間であってもこのような接触には気を付けることが望ましいでしょう。
風邪との違い
インフルエンザと普通の風邪の違いは以下のとおりです。
|
風邪 |
インフルエンザ |
|
|
風邪は季節問わずかかることがあるのに対して、インフルエンザは流行する時期が決まっているのが大きな違いといえるでしょう。
インフルエンザは毎年11月~3月頃に流行し、1月~2月頃にピークを迎えるのが特徴です。[3]
風邪の場合には鼻水やのどの痛みから徐々に始まることが一般的ですが、インフルエンザの場合には突然強い悪寒や高熱があらわれます。[4]
この「急激な発症」がインフルエンザを疑うサインです。
インフルエンザでは強い関節痛・筋肉痛・倦怠感などもみられます。
全身症状のあとに鼻水・のどの痛み・咳などの症状があらわれるのも風邪との違いです。
なお、インフルエンザは普通の風邪に比べて重篤化しやすいため注意が必要です。
免疫力の低い高齢者・乳幼児・妊娠中の女性などは重篤化のリスクが高い傾向にあります。
喘息の方・慢性呼吸器疾患(COPD)・慢性心疾患・糖尿病などの持病がある方なども重症化に注意が必要です。
関連記事:インフルエンザの症状は?感染期間中の症状の経過もチェック
インフルエンザに感染しないためにできること
インフルエンザに感染しないためにできることは大きく分けて5つです。
-
手洗い・手指消毒
-
適度な湿度を保つ
-
睡眠と栄養をとる
-
人混みを避ける
-
ワクチン接種をおこなう
同居する家族などがいる場合には、自分だけではなく家族全員が心がけることで感染予防に役立つでしょう。
関連記事:家族間でインフルエンザに感染する確率を下げるためには?
手洗い・手指消毒
こまめな手洗いや手指消毒により手に着いたウイルスを取り除くことは、インフルエンザの予防に必要不可欠です。
インフルエンザが流行する季節は、どこにインフルエンザウイルスが潜んでいるかわかりません。
とくに学校や職場をはじめ、電車やバスの中・商業施設など、不特定多数の方が活動する場での感染リスクは高くなります。
知らず知らずのうちにインフルエンザウイルスが手に付着し、その手で鼻や口をさわってしまえば接触感染を引き起こしてしまいます。
こまめに洗うことに加え、洗い残しがないように正しく洗うことも大切です。
石鹸による手洗いやアルコール消毒はインフルエンザウイルスの除去・不活化に有効であるといわれています。
指の間・指の先・爪の間・手首など、洗い残しやすい部分まで、丁寧に洗うことを心がけましょう。
外出先から帰宅した際には外からウイルスを持ち帰ってしまっていることが多いです。
帰宅時はもちろん、調理の前後・食事前などには手洗いやアルコール消毒をすると予防に役立ちます。
適度な湿度を保つ
適度な湿度を保つこともまた、インフルエンザの予防方法のひとつです。
インフルエンザが冬に大流行するのには「空気が乾燥しやすい」という理由があります。
空気が乾燥した状態では、ウイルスが空気中に浮遊しやすくなるのです。
一方、湿度の高い環境下ではインフルエンザウイルスが舞い上がりにくく活性しにくくなります。
活性が低下したウイルスは増殖しにくく、感染力が低下するといわれています。
冬は外気が乾燥することに加え、暖房器具の使用により室内の湿度が低くなりがちです。
インフルエンザを予防するためにも、積極的に加湿をおこなうようにしましょう。湿度の目安は50~60%が理想です。
また湿度の高い状態を保つことは、のどの防御機能にも良い役割を果たすといわれています。
のどや鼻の粘膜にウイルスが付着した場合には、粘液によって体外に排出されます。
のどや鼻の粘膜が乾燥してしまうとウイルスの排出困難になってしまうのです。
ウイルスから身体を守るためにも、のどや鼻の粘膜を潤った状態に保つことが重要です。
睡眠と栄養をとる
免疫力を上げることでインフルエンザへの感染を未然に防ぐこともできます。とくに十分な睡眠と栄養をとることが大切です。
夜更かしや不規則な生活により睡眠のリズムが崩れてしまった場合、十分な休息が得られず免疫力の低下に繋がります。
朝起きたら朝日を浴びる・適度な運動をする・寝る前のスマートフォンの使用は避けるなど、スムーズに眠りにつけるように心がけましょう。
身体の健康を維持するためには栄養も欠かせません。食事を抜いたりかたよった食事をしたりしている方は免疫力が低下しやすくなります。
できるだけバランスの良い食事をとるようにしましょう。腸内環境を整えることは免疫力アップに繋がるといわれています。
具体的には、水溶性の食物繊維を豊富に含む食品・発酵食品・オリゴ糖を豊富に含む食品などが腸の善玉菌を増やし、腸内環境の改善に効果的です。
水溶性の食物繊維は、もずく・ひじき・わかめ・昆布などの海藻類やいちご・バナナ・りんごなどの果物に多く含まれています。
ごぼう・春菊・オクラなどの野菜類や納豆・もち麦も積極的にとりましょう。
発酵食品は、ヨーグルト・味噌・チーズ・キムチなどです。
最後に、オリゴ糖を豊富に含む食品にはバナナ・キャベツ・はちみつなどが挙げられます。朝食にはバナナ・ヨーグルト・はちみつをプラスしましょう。
忘れてはいけないのが「ストレスへの対処」です。ストレスは免疫力を下げる原因のひとつとされています。
ストレスが溜まると「眠れない、食べれない」という状況にもなりがちです。
ストレスや疲れを溜め込まないように上手に発散することも心がけましょう。
関連記事:インフルエンザを早く治すために食べた方が良いものは?
人混みを避ける
インフルエンザが流行する時期の人混みでは、不特定多数の人がインフルエンザウイルスを保持している可能性が高いです。
満員電車・イベント会場・ショッピングモールなどの商業施設・テーマパークなどが例として挙げられます。
人が密集しやすいような場所は人と人との距離が近いため、くしゃみや咳などの飛沫を吸い込みやすい状況になります。
電車やバスのつり革・手すり・ドアノブなど、不特定多数の人がふれた場所に接触する機会も多くなるでしょう。
人混みがウイルスに曝露しやすくなることは言うまでもありません。
どうしても外出する必要がある場合には、人混みを避けるように心がけるのも対策方法のひとつです。
人が少ない時間帯の公共交通機関を利用したり空いている時間帯を選んで買い物をしたりするとよいでしょう。
ワクチン接種をおこなう
インフルエンザワクチンを接種することも発症率や発症した際の重症化率を下げるために有効です。
ワクチンの効果は接種してから約5~6か月持続するといわれていますが、接種してから抗体が産生されるまでには2週間かかります。
十分な数に達するまでには1か月ほどかかるため、流行前に接種をすることが望ましいでしょう。
例年、11月頃からインフルエンザが流行し始めるため、10月からワクチン接種開始となることが一般的です。
インフルエンザの流行がピークとなる1~2月に効果を発揮させるために、遅くとも12月中には接種を終えておくと安心です。
生後6か月~13歳未満のこどもは、インフルエンザワクチンを2回に分けて接種する必要があります。
1回目を接種してから2回目を接種するまでに2~4週間あける必要がありますので、余裕のあるスケジュールで接種を済ませておくと良いでしょう。
同居の家族の中に高齢者・こども・基礎疾患のある方など、重症化リスクの高い方がいる場合には、可能な限り予防接種を受けておくことをおすすめします。
関連記事:インフルエンザ予防接種は受けるべき? ワクチンの効果や注意点について詳しく解説
関連記事:2023-2024年インフルエンザワクチンの接種時期や供給状況について解説
このような症状が出たら早めの受診を
インフルエンザは急激に発症し、重症化しやすい感染症です。脳炎や脳症・肺炎・心筋炎などの合併症を引き起こすこともあります。
免疫力の低い高齢者・乳幼児・妊婦・基礎疾患のある方などの場合、命にかかわることも考えられます。
以下のような症状が急激にあらわれた場合にはインフルエンザである可能性があるため、早めに受診するようにしましょう。
-
強い悪寒
-
38度以上の発熱症状
-
強い倦怠感
-
強い関節痛や筋肉痛
-
頭痛
インフルエンザの検査は発症後12~48時間以内におこなうことが望ましいといわれています。
発症してから間もない時間では検出されるウイルスの量が少なすぎて「陰性」となってしまうことがあるためです。
48時間を過ぎてしまうと「陽性」の反応は出るものの、抗インフルエンザ薬が効きにくくなってしまうため注意が必要です。
インフルエンザにかかっている方が身近にいる場合や思い当たる症状がある場合には、放置せずに医療機関で検査を受けましょう。
発症から12時間経過していなくても意識がもうろうとしたり水分がとれなかったりするような症状があれば、速やかに医療機関へ受診するようにしてください。
インフルエンザのうつる確率についてのよくある質問
インフルエンザがどれくらいの確率でうつるのか、どの程度の距離間で感染するのか疑問をお持ちの方もいるでしょう。
ここでは、インフルエンザのうつる確率についてのよくある質問についてお答えします。
インフルエンザは同じ空間にいるとうつりますか?
同じ空間にいるだけで必ずインフルエンザが感染するわけではありません。しかし環境によっては、うつる可能性があります。
インフルエンザは主に飛沫感染と接触感染によって広がります。
感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスを含む飛沫が最大2メートルほど飛び散り、近くにいる人が吸い込むことで感染します。[5]
学校や職場、満員電車など人が密集する場所では感染リスクが高いです。
換気の悪い空間では、飛沫が乾燥して空気中を漂う飛沫核感染(空気感染)が起こる可能性もあります。
流行期には室内の換気を十分におこなうことが、感染を防ぐうえでとても重要です。
インフルエンザは会話で感染しますか?
インフルエンザは、会話によっても感染する可能性があります。
主な感染経路である飛沫感染は、咳やくしゃみだけでなく、会話中に飛び散る飛沫(しぶき)によっても起こるためです。
咳やくしゃみほど大量の飛沫ではないものの、ウイルスが含まれた微小な飛沫が口や鼻から体内に入ると感染します。
マスクをせずに近距離で会話する状況では、感染のリスクが高くなります。
流行シーズン中は、会話による感染予防としてお互いにマスクを着用することが重要です。
家族にインフルエンザがうつらない方法はありますか?
家庭内でインフルエンザの感染を防ぐには、適切な隔離と衛生対策です。
家族間では空間や物を共有する機会が多く、ウイルスの広がりやすい環境となっています。
感染者は可能であれば個室で過ごし、生活スペースを分けるようにしましょう。
また、ウイルスが付きやすいドアノブやリモコン、トイレなどの共有部分は、消毒用エタノールで拭き取ると効果的です。
タオルや食器の共用は避け、使用後は速やかに洗いましょう。
インフルエンザウイルスは乾燥した環境で広がりやすいため、加湿器で室内湿度を50~60%に保ち、定期的に換気することも重要です。
インフルエンザは熱がなくても感染力がありますか?
インフルエンザは、熱がない状態でも他人に感染させる可能性があります。
ウイルスの体外への排出は、高熱などの症状が出る前から起きているためです。
感染力は、発症前日から発症後3〜7日間程度続くといわれています。とくに、発症から3日ほどは感染力が最も強いです。
症状が軽くても油断せず、感染対策を続けるようにしましょう。
まとめ|感染経路を遮断することが大切
毎年冬になると猛威をふるうインフルエンザですが、感染経路を遮断したり免疫力を高めたりすることでうつる確率を下げることが可能です。
疲れやストレスなどで身体の抵抗力が下がっている場合には、できるだけ休息やリフレッシュを優先することも大切です。
家族間でインフルエンザにかかっている方がいる場合でも、こまめな手指消毒や加湿によりウイルスの活性を低下させる効果が期待できます。
冬を健康に乗り切るためにも、積極的に感染対策をおこなうようにしましょう。
オンライン診療で対応可能です
参考文献
[1]インフルエンザ(季節性)対策 | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。
症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。

