アデノウイルスは大人でも感染する?症状や受診目安についても解説

公開日: 2024/02/24 更新日: 2024/09/29
「子どもがアデノウイルスに感染したので、自分も感染したかもしれない」 「アデノウイルスに感染した場合、仕事を休んだ方がいいのか知りたい」 と悩んでいませんか? アデノウイルスは子どもに多く見られる感染症ですが、大人も感染します。 また、アデノウイルスによるほとんどの病気が軽症で済むことが多いですが、感染力が強いため対策を怠ると急速に広がります。 症状は結膜炎だけでなく、胃腸炎や呼吸器感染症、膀胱炎と多岐にわたるため、注意が必要です。 本記事では、大人のアデノウイルス感染症の症状や、とくに感染に注意したい時期などを解説します。 予防策についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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アデノウイルスは大人でも感染する可能性あり

アデノウイルスは、子供だけでなく大人も感染します。夏に流行する咽頭結膜熱(プール熱)や流行性角結膜炎(はやり目)の原因ウイルスとして有名です。

また、アデノウイルスは「かぜ症候群」を引き起こす主要なウイルスの1つであり、夏だけでなく冬でも感染します。

感染力が非常に強いため、子どもが感染すると、同居している大人も感染する可能性が高いです。

アデノウイルスの血清型は、50種類以上が存在すると考えられています。

  • 血清型とは“細菌の細胞にある抗原の構造の違いに基づいて、菌種をさらに細分する場合に、その抗血清に対応した細菌の型を血清型という。”[7]

呼吸器疾患を起こす主要なウイルス血清型(おもに1〜7型)に対する抗体は、多くの大人が持っていると考えられています。そのため、一度アデノウイルスに感染しても、別の型に感染する可能性があり、注意が必要です。[1][3]

アデノウイルスの症状

大人と子どものアデノウイルス感染症の症状に、大きな違いはありません。

ただし、症状が出る部位によって、以下のように呼び方が変わります。

  • 咽頭結膜熱(プール熱)

  • 流行性角結膜炎(はやり目)

  • 胃腸炎

  • 呼吸器感染症

  • 出血性膀胱炎

それぞれ詳しく解説します。[3]

咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は、おもに子どもに多いウイルス性感染症です。夏場のプールを介して感染が流行した背景があり、プール熱と呼ばれています。

咽頭結膜炎は、1日の間に39度前後の高熱と、微熱の間を上がったり下がったりを繰り返します。

自然治癒するといわれますが、吐き気や頭痛、咳でつらい場合は、早めに医療機関を受診しましょう。[1][3]

 咽頭結膜熱(プール熱)の症状と特徴

症状

特徴

  • 1日に39度前後の高熱と微熱を繰り返す

  • 高熱が5日ほど続く

  • のどの痛み

  • 結膜炎

  • リンパ節の腫れ

  • 腹痛、下痢

  • 以前はプールでの感染が流行したため「プール熱」と呼ばれていた

  • 潜伏期間は5~7日

  • 自然治癒する

流行性角結膜炎(はやり目)

流行性角結膜炎は、アデノウイルスによって引き起こされる結膜の炎症です。咽頭結膜熱のような高熱や、強いのどの炎症は見られません。

おもな症状は、目の充血や目やに、まぶたの腫れなどです。

ウイルスにより汚染されたティッシュペーパーやタオル、洗面器などに触れると感染する可能性があります。家族が感染した際は、タオルや洗面器など共有は避けましょう。[5]

流行性角結膜炎(流行り目)の症状と特徴

症状

特徴

  • まぶたの腫れ

  • 目の充血

  • 目やに

  • 軽度のかゆみ

  • 涙目

  • 高い熱はない

  • 喉の赤みも強くはない

  • 俗称「はやり目」

  • 潜伏期は8~14日

  • 手を介した接触により感染

胃腸炎

アデノウイルスによる胃腸炎は、6歳以下の子どもに多く見られる感染症です。他のウイルス性胃腸炎と比べて下痢が長期間続くため、患者と接触した後の手洗いやマスク着用が重要です。また、アルコール消毒は効果が薄く、次亜塩素ナトリウムによる消毒が有効と言われています。[6]

胃腸炎の症状と特徴

症状

特徴

  • 発熱は軽度

  • 腹痛

  • 嘔吐、下痢など消化器症状

  • 下痢の期間が長い

  • 次亜塩素ナトリウムによる消毒が有効

  • 6歳以下の子どもの割合が多い

  • 食品を介する事例が少ない

  • ウイルスの排出期間が長い

  • 潜伏期間は3~10日

呼吸器感染症

呼吸器感染症の多くは、アデノウイルス7型によるものと考えられています。

とくに、乳児は重症肺炎を引き起こす可能性が高いため、注意が必要です。[3][4]

 呼吸器感染症の症状と特徴

症状

特徴

  • 咳、喘鳴,呼吸困難

  • だらだらと長引く発熱

  • 髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもある

  • 乳児などが重症化しやすい

  • 飛沫感染

  • 潜伏期間は3~5日

出血性膀胱炎

排尿時に痛みがあり、肉眼で確認できるような血尿が出た場合、出血性膀胱炎の可能性があります。アデノウイルスは、腎臓に居座り、無症状のまま長期にわたってウイルスを排出し続けることもあります。

症状が落ち着いたあとも注意が必要です。[3]

 出血性膀胱炎の症状と特徴

症状

特徴

  • 排尿時痛

  • 血尿

  • 頻尿,尿意切迫

  • 膀胱炎症状は2〜3日で改善

  • 多くの場合自然に軽快

  • 潜血も10日程度で改善

受診の目安と感染に注意したい時期

アデノウイルスは、自然治癒することが多いですが、症状が長引く場合は他の疾患との鑑別も必要です。発熱が続く場合や、眼の症状が強い場合は受診を検討しましょう。

アデノウイルスに感染した場合の大人の受診目安と、感染に注意する時期について解説します。

大人の受診目安

熱のため水分がとれておらず、しんどい場合や症状が重い場合は、医療機関を受診しましょう。眼症状が強い場合は、眼科を受診するとスムーズです。

大人にも子どもと同様の症状があれば、アデノウイルスに感染している可能性があります。ただし、アデノウイルスは、自然治癒する場合が多い感染症です。

特異的な治療法もないため、受診しても対処療法のみで終わる可能性があります。

むやみに受診するのはおすすめできませんが、症状がつらい場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

感染に注意したい時期

アデノウイルスには、とくに感染力が強い時期があります。家族内で感染が広がってしまうと、家事や育児が大変になり、日常生活に支障をきたす可能性があるでしょう。

とくに、症状が出現してから数日間は感染力が強いです。

家庭内や勤務先で感染拡大させないためにも、感染力が強い時期は、マスクや手洗いなどの予防を徹底しましょう。感染しやすい時期は以下の通りです。[3]

感染しやすい期間

咽頭結膜熱(プール熱)

流行性角結膜炎(はやり目)

胃腸炎

発熱、充血等の症状が出現した数日間

充血、目やに等の症状が出現した数日間

症状のある間と症状消失後

1週間

アデノウイルスに感染したら出勤できるのか

アデノウイルスに感染した場合、外出自粛などの社会的な決まりはありません。

出勤するかどうかは、会社の規則に従いましょう。

ただし、咽頭結膜熱(プール熱)と流行性角結膜炎(はやり目)は、学校保健安全法上、出席停止の扱いになっている感染症の1つです。

基本的に、症状がなくなってあと2日経過するまでか、感染の恐れがなくなるまで登校ができません。

アデノウイルスは、感染力が非常に高い感染症です。むやみに出勤すると、感染を拡大させる恐れもあります。出勤する時期について迷う場合は、医療機関に相談しましょう。[2]

アデノウイルスの感染経路と予防

アデノウイルスの感染経路は、飛沫、接触、経口の3つです。感染拡大予防のためにも、正しい知識を身につけ、予防対策を行いましょう。

アデノウイルスの感染経路と予防対策について解説します。[1]

感染経路

アデノウイルスの感染経路は、くしゃみなどで感染する飛沫感染、手指を介した接触感染、汚染されたものに触れた手で物を食べて感染する経口感染です。

プールを介した感染の場合は、汚染した水から直接結膜へウイルスが侵入したと考えられています。

 アデノウイルスの感染経路

感染

経路

飛沫感染

アデノウイルスが含まれた、くしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する

接触感染

ウイルスが存在する場所に触った手で、食事をすることで感染する。プールの水を介して結膜にアデノウイルスが侵入する

経口感染

感染者からの分泌物への接触または、汚染された物体への接触を介して感染する

アデノウイルス感染症の予防法と対策

アデノウイルスは乾燥に強く、体内から排出された状態でも1週間以上感染力を保持し続けます。予防を怠るとすぐに感染が広がるため、正しい予防法を身につけて対策を行うことが必要です。

 アデノウイルス感染症の予防法と対策を表にまとめたので、参考にしてください。[1][3]

アデノウイルスの予防法と対策

予防法

対策

  • 感染者との密を避け換気を行う

  • 食器やタオルは共用しない

  • マスク着用、手洗いうがい

  • 感染者に触れた手で、目や口等触らない

  • ドアノブなどを定期的に消毒する

  • トイレ後、蓋をして排泄物を流す

  • 0.1%次亜塩素酸の消毒が有効

  • 70~80%のアルコール消毒は、効果が弱いため、最低2回拭きする

  • 感染者のお風呂は最後にする

まとめ

アデノウイルスは、子どもに多く見られる感染症です。乳幼児から成人まで感染するウイルスですが、大人のアデノウイルス感染症の症状は、子どもと同じです。

アデノウイルスは、発熱や結膜炎、胃腸炎など様々な症状を引き起こし、感染力が非常に強いウイルスです。重症化のリスクもありますが、特異的な治療法はありません。

身近な人が感染した場合は、手洗い、うがい、タオルの共有を避けるなどして予防することが重要です。

また、アデノウイルスは、乾燥に強く、体外に排出された後もしばらく生き残っていると言われています。症状が治まったあとも予防対策と注意が必要です。 

万が一感染した場合、出勤するかどうかについて法的な決まりはありません。

しかし、熱が続き体調が辛い場合や、感染のリスクが高い場合、仕事を数日休む必要があるかもしれません。出勤するかどうかは、会社の規定に従いましょう。

アデノウイルス感染症は、脳炎などの重症化リスクもあります。症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献

[1]咽頭結膜熱とは

[2]保育所における感染症対策ガイドライン

[3]アデノウイルス感染症

[4]アデノウイルス解説ページ-アデノウイルスの種類と病気

[5]国立感染症研究所・流行性角結膜炎とは

[6]アデノウイルスによる感染性胃腸炎

[7]血清型とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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