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不眠症の治し方は?
薬を使うかどうかにより、不眠症の治療法は大きく2つに分類されます。
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非薬物療法
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薬物療法
「不眠症といえば睡眠薬を飲むもの」とイメージする人も多いですが、実際には薬を使わない非薬物療法が基本です。[1]
不安を少しでも和らげられるように、それぞれの治療法について知りましょう。
非薬物療法
不眠になりやすい生活習慣や考え方を見直すことで、薬を使用せずに不眠症を改善する治療法です。
なかでも基本となるのが「睡眠衛生指導」で、睡眠を妨げている生活習慣を改善するために以下のような指導がおこなわれます。[2]
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毎日軽い運動をする
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寝室に光が入らないように工夫する
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寝室にスマートフォンを持ち込まない
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夕方以降はカフェインの入った飲み物を控える
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寝る前にアルコールを飲まない
このほか、研究により効果が確認されている「認知行動療法」がおこなわれることもあります。[3]
認知行動療法は、眠れない原因になっている考え方や行動のパターンを見直す方法です。
たとえば「寝ようとすると不安になる」「布団に入るのが怖い」と感じている人には、眠くなってから布団に入るといった工夫が提案されることがあります。
非薬物療法は効果がすぐに出るわけではありませんが、少しずつ自分のペースで不眠症を治せるよう前向きな気持ちで治療にとり組みましょう。
薬物療法
睡眠薬を服用して眠れるようにする治療法です。
非薬物療法だけでは効果が不十分な場合や、不眠が長期間続いていて、すぐに改善する必要がある場合などに薬物療法が検討されます。[4]
睡眠薬は効果が持続する時間により「超短時間作用型」「短時間作用型」「中時間作用型」「長時間作用型」の4つに分類されます。
不眠症のタイプごとに以下のような使い分けをするのが一般的です。[5]
【不眠症のタイプごとに適した睡眠薬の分類】
不眠症のタイプ |
睡眠薬の分類 |
寝つきが悪い人 |
超短時間作用型、短時間作用型 |
夜中に何度も目が覚めてしまう人 |
中時間作用型 |
早朝に起きて二度寝できない人 |
長時間作用型 |
睡眠薬は基本的には寝る前に服用するため、薬が効き始める時間や効果が続く時間を、不眠の症状がみられる時間帯に合わせて選びます。
寝つきが悪い人には即効性があるタイプ、夜中や早朝に目覚める人には効果が長く続くタイプの睡眠薬が選ばれることが多いです。
「薬に依存してしまうのでは?」と不安になる人もいるかもしれませんが、睡眠薬はあくまで一時的に使用するものです。
不眠症がよくなれば徐々に薬を減らして服用をやめられる可能性もあるため、心配しすぎないようにしましょう。
不眠の原因について
眠れない原因は人によって異なりますが、おもに以下4つの原因が挙げられます。
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心理的ストレスや不安
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生活習慣の乱れ
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身体的・精神的な病気
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加齢による影響
原因が予測できると治療にも役立ちます。不眠症を治すために、まずは自分に当てはまる原因がないかチェックしてみましょう。
関連記事:不眠症の原因とは?女性に多い理由と寝付けないときの対処法を解説
① 心理的ストレスや不安
仕事や人間関係などにストレスを感じていると眠れなくなることがあります。
ストレスにより交感神経が活発になると脳が興奮状態になり、身体を休めようとする働きが弱まるためです。[6]
眠れない日が続くと「今夜も眠れないかもしれない」と不安になり、さらに眠れなくなることもあります。
日頃からストレスや不安を感じている人は、ぐっすりと眠りにくい状態だと認識しておきましょう。
②生活習慣の乱れ
普段の何気ない行動が原因で眠りにくくなることがあります。たとえば次のような生活習慣は不眠につながりやすいといわれています。[2]
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寝る直前までアルコールを飲んでいる
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夕方に昼寝をしている
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寝る直前に入浴や激しい運動をしている
これらの習慣は寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目覚めたりする原因になります。
不眠症がなかなかよくならない場合は、生活習慣の乱れが原因になっていないか、日々の行動を一度チェックしてみましょう。
③ 身体的・精神的な病気
身体や心の病気が原因で眠れなくなることがあります。
不眠につながることがある病気の例をご紹介しますので、自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。
うつ病・不安障害 |
気分が落ち込んだり、不安を感じやすくなったりする病気です。 緊張状態が続き、寝つきが悪くなってしまいます。 実際に うつ病や不安障害の人は、不眠症を併発しやすいことが研究によりわかっています。[7] |
睡眠時無呼吸症候群 |
寝ている間に呼吸が止まってしまう病気です。 のどの奥がふさがれて呼吸が止まるたびに目が覚めてしまい、熟睡するのが難しくなります。 [1] |
身体的な病気 |
持病による慢性痛・かゆみ・咳 などの症状が寝ている間にあらわれると、 安眠が妨害されて不眠症になることがあります。 服用中の薬による副作用が原因で、不眠症になることもあります。[8] |
とくに持病がある人は、病気そのものや、薬による副作用が不眠の原因になっているかもしれません。
「病気が関係しているかも」と感じたら、早めにかかりつけの医療機関に相談してみましょう。
④ 加齢による影響
年齢を重ねるにつれて眠りが浅くなっていく傾向があり、加齢も不眠症を起こす原因になります。これは加齢により深い睡眠の時間が減るためです。[8]
たとえば高齢者では、成人したばかりの頃と比べて、ぐっすり眠れる時間が約1時間短くなるというデータがあります。[9]
加齢による睡眠の変化は自然なことですが、生活に支障をきたしているなら治療が必要です。
「よく眠れず日中も疲れた感じが残ってしまう」など不眠で悩んでいる場合は、まずは内科で相談してみましょう。
不眠症のセルフケア方法
症状が軽い場合は、自分でできる以下のような対策で不眠が改善する可能性があります。
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睡眠環境を整える
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就寝前のルーティンを作る
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軽い運動・入浴などでリラックスする時間を作る
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睡眠日誌をつける
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健康的な生活習慣を身につける
一度に全てを変えることは難しいため、無理のない範囲で日常生活にとり入れてみましょう。
① 睡眠環境を整える
眠りやすい寝室の環境を作ると、不眠症の改善効果が期待できます。具体的には以下の対策が有効です。
寝るのにふさわしい環境を整えるだけで、寝つきやすくなったり、目覚めにくくなったりといった効果を感じられるケースもあります。
眠れない状態が続いて悩んでいる場合は、寝室の環境にも注目してみましょう。
② 就寝前のルーティンを作る
自然に眠りやすい状態にするには、心や身体をリラックスさせる以下のようなルーティンを作るのが大切です。
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入浴時はぬるめのお湯に浸かる[2]
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食事は就寝2時間前までに済ませておく[2]
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バレリアンやレモンバーム配合のハーブティーを飲む[12]
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寝る1時間前には照明を少し落とす[2]
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寝室ではスマホを見たり読書をしたりせず、寝るだけにする[2]
はじめは習慣にするのが難しく感じるかもしれませんが、毎晩同じ流れをくり返すことで身体が「そろそろ寝る時間」と覚えてくれるようになります。
「これならできそう」と思えるものから、無理のない範囲で少しずつとり入れてみましょう。
③ 軽い運動・入浴などでリラックスする時間を作る
軽い運動をしたり、ぬるめのお湯に浸かったりすると、心と身体が落ち着き眠りやすくなります。
具体的には、以下の行動をとり入れましょう。[13]
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日中にウォーキングやヨガなどの軽い運動をおこなう
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38〜40℃のぬるめのお風呂に浸かる
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腹式呼吸や瞑想、ストレッチで緊張をほぐす
とくに日中に身体を動かしておくと、夜にかけて徐々に体温が下がり、夜中に目覚める回数を減らせる可能性があります。[2]
運動をするのが苦手な場合は無理をせず、自分に合った方法でリラックスできる時間を作りましょう。
④ 睡眠日誌をつける
眠れた時間や日中の体調をメモできる「睡眠日誌」をつけるのも不眠症の改善に効果的です。
毎日の睡眠状況をチェックすることで、自分の睡眠パターンや生活習慣のクセに気づきやすくなります。
睡眠日誌はネット上からダウンロード可能で、おもに以下のポイントを記録します。
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横になっていた時間、眠っていた時間
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夜中に目が覚めた回数
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日中に眠気があったかどうか
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昼寝をとったかどうか
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目覚めたときの気分や日中の体調変化
2週間ほど記録すると睡眠パターンがわかり、生活習慣の改善策を立てやすくなります。
医師に症状を伝える際にも役立つため、医療機関で診察を受ける場合は睡眠日誌を持参しましょう。
⑤健康的な生活習慣を身につける
不眠症を改善するには、食事や運動など生活全体を整えて眠りやすい身体を作るのも大切です。
たとえば以下のような生活習慣を心がけましょう。
食生活 | |
運動習慣 | |
嗜好品 |
生活習慣を変えたからといって、すぐに眠れるようになるとは限りません。
しかし眠りをさまたげる要因を少しずつ減らしていくことで、質のよい睡眠につながる可能性があります。
無理に生活習慣を変えようとするとかえってストレスになる可能性があるため、ひとつずつ無理のない範囲ではじめてみましょう。
関連記事:不眠症は一生治らないというのは本当なのか?症状が長引くことによる影響についても解説
受診目安について
生活習慣の改善を続けても改善しない場合は、無理をせずに医療機関に相談するのが大切です。
研究によると、眠れない状態を放置しているとうつ病を起こす確率が約2倍になることがわかっています。[14]
医療機関へ行くのをためらう人もいるかもしれませんが、ほかの病気を発症する前にまずはかかりつけの内科でもよいので相談してみましょう。
受診をおすすめするサイン
眠れないだけでなく、日中にも影響を生じるようになったら受診を検討するタイミングです。
以下の状態に当てはまる場合は医療機関を受診しましょう。[8]
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日中の眠気・集中力低下・気分の落ち込みなど日常生活に影響があるとき
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生活習慣を改善しても不眠が治らないとき
不眠が 週に3回以上 あり、3か月以上続くときは「慢性不眠症」の治療が必要になる場合があります。
放置し ていると治療が長引く可能性もありますので、受診すべきか迷ったときは早めに受診しましょう。
どこに受診すればよいの?
不眠症の場合は内科を受診するのが基本ですが、原因や症状により受診すべき診療科が変わることがあります。
以下の表で自分に当てはまる診療科を確認しましょう。
症状 |
受診すべき診療科 |
ストレスや精神的要因で眠れないとき |
心療内科・精神科 |
不眠に加えて、いびきをかいたり呼吸が止まったりするとき |
睡眠外来 |
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内科・かかりつけ医 |
どこを受診すればよいか迷う場合は、地域の保健センターや電話相談窓口などを活用するのもひとつの手です。
誰かに話すだけでも不安が和らぐ可能性があるため、一人で困っている場合は相談してみましょう。
関連記事:不眠症は何科でみてもらう?診療科ごとの特徴や受診の目安についても解説
Q&A
よくある質問にお答えします。
どのくらい寝れないと不眠症なの?
週に3回以上、3か月以上不眠の症状がある場合は「不眠症」と診断される可能性があります。[8]
ただしこの基準を満たさなくても、寝不足で日中に支障をきたしている場合にはなんらかの治療が必要な状態かもしれません。
不眠症ではなくても「睡眠時無呼吸症候群」や「うつ病」などの病気により不眠を起こしている可能性があるためです。
眠れない状態が続いていて、日常生活に影響が出ていると感じたらまずは内科でもよいので相談してみましょう。
不眠症は自力で治るの?
生活習慣の改善をおこなえば、自力で不眠症を治せる可能性があります。
毎朝決まった時間に起きたり、寝る前に強い光を浴びないようにしたりといった対策により、不眠症の改善効果が期待できます。
一方で不眠の症状が3か月以上続く場合、自然に治るケースは少ないです。
眠れない期間が長引くほど「今日も眠れないかも」といった不安が強くなり、自力で治しにくくなるのです。
「なるべく医療機関へ行かずに治したい」と思う人もいるかもしれませんが、医療機関で治療を受けるとぐっすり寝られるようになるかもしれません。
不眠が3か月以上続いている場合は医療機関を受診しましょう。
不眠症は自然に治るの?
一時的なストレスや悩みなどで眠れなくなった場合は、数日から数週間ほどで不眠症が自然に治ることもあります。[10]
たとえば大きな仕事を終えたあとや、人間関係の悩みが解決したあとに眠れるようになるケースです。
一方で不眠症が長引くとうつ病に移行しやすく、医療機関で専門的な治療が必要になる場合もあります。
「自然に治るだろう」と油断せず、気分が沈むなどうつ病に似た症状がみられたときは精神科や心療内科を受診しましょう。
不眠症に効く食べ物はある?
「トリプトファン」という栄養素を摂取すると、不眠症が改善する可能性があります。
海外での研究では、トリプトファンを多く含んだ食事をとると睡眠の質が改善する可能性があること報告されました。[15]
これはトリプトファンが、脳内で眠気を促すホルモンである「セロトニン」や「メラトニン」の材料になるためだと考えられています。
トリプトファンは身体で作れない栄養素のため、大豆製品・乳製品・穀類・ピーナッツ・バナナなどの食品を食事にとり入れるのがおすすめです。
なかなか不眠症が治らず悩んでいる場合は、眠りを改善できるような食生活を心がけましょう。
不眠症を治すツボは?
「神門(しんもん)」というツボを押すと、不眠の改善効果が期待できます。
手首の内側、小指寄りにあるくぼみのあたりにあるツボで、親指で優しく数十秒ほど押すと効果的です。
このほか、かかとの中心にある「失眠穴(しつみんけつ)」も眠りを改善するといわれています。
強く押しすぎず、心地よく感じる強さで押してみましょう。
まとめ:不眠症改善のために日常生活を見直そう
不眠症がなかなか治らない人のなかには「眠りにくくする習慣」を何気なくしている人がいます。
「寝る直前までスマホを見る」「昼寝を長くしている」といった習慣が不眠の原因になっているかもしれません。
不眠症を治すには、普段の生活のなかで睡眠を妨げるような行動をしていないかチェックするのが大切です。
それでも改善しないときや、3か月以上ずっと眠れない状態が続くときは医療機関を頼ることも必要です。
無理をして心のバランスを崩す前に、精神科や心療内科を受診しましょう。
ファストドクターのオンライン診療(心療内科・精神科)なら、処方薬の配送や診断書のオンライン発行に対応しています。診察は健康保険適用。お支払いはクレジットカードもしくはコンビニ後払いです。※診断書の内容は医師の判断によります。
参考文献
[1]本多 真.睡眠障害の治療.日本薬理学雑誌.2007;129(6):422–426.
[3]岡島 義.CBT‒Iの理論と実践.心身医.2018;58(7):616‒621.
[4]坂元薫.内科医が知っておくべき精神科疾患:うつ病,パニック障害,不眠症.日内会誌.2021;110(12):2540–2552.
[5]斎藤かおり,鈴木正泰.睡眠薬の適正使用─診療報酬改定の動向を踏まえて─.日大医誌.2020;79(6):341‒344.
[6]睡眠とストレスの関係|厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト
[8]鈴木正泰.不眠の鑑別診断とその進め方.日大医誌.2020;79(6):337–340.
[9]内山 真.不眠症と過眠症.日大医誌.2010;69(1):11‒16.
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。
症状に対する診断やお薬の処方、診断書や傷病手当金申請書の記載内容は医師の判断によります。