不眠症は何科でみてもらう?診療科ごとの特徴や受診の目安についても解説

公開日: 2025/06/25 更新日: 2025/06/25
「不眠症っぽいけど何科を受診したらいいんだろう」 「内科に行ってもいいのかな?」 不眠症で医療機関を受診するとき、どの診療科を受診したらよいか迷ってしまいますよね。 実は不眠症にはいくつかの原因があり、それによって受診すべき診療科も変わってきます。 この記事では、不眠症で受診できる診療科をわかりやすくまとめました。 受診の目安についてもお伝えしますので、いつ・どの診療科を受診すればよいか確認してみましょう。
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目次

不眠症は何科を受診すればいい?

 

眠れないときは内科や心療内科、精神科を受診するのが一般的です。

ただし症状の特徴や原因ごとに受診に適した診療科が変わるため、以下の表で自分に当てはまるのは何科かチェックしてみましょう。

精神的ストレスが原因で「寝つきにくい」「夜中に起きてしまう」「早朝に目覚める」などの症状がある

心療内科・精神科

不眠の原因がわからない

内科

鼻詰まりやいびき、日中の強い眠気がある

耳鼻咽喉科・睡眠外来

更年期障害など、女性ホルモンの変動による不眠を疑っている

婦人科

加齢にともない眠りが浅くなっている

内科

診療科を選ぶときは、眠れない原因を自分なりに推測してから決めるのがポイントです。

必要に応じて精神科や心療内科など、より専門的な治療が受けられる診療科を紹介してくれることもあります。

受診先が合っているか心配な場合は「不眠症で受診してもよいか?」をあらかじめ医療機関に確認しておくと安心でしょう。

不眠症で受診する場合の心療内科・精神科・睡眠外来・内科の違いとは?

ストレスによる不眠には心療内科や精神科、睡眠障害による不眠には睡眠外来、身体的な病気による不眠には内科が向いています。

よく似た印象をもたれがちな診療科ですが、それぞれ専門としている病気や治療方法に違いがあります。

自分の症状に合った診療科を選べるように、以下の表をみながら「どのような病気をどう治療するのか」比較してみましょう。

心療内科[1]

  • 心に負担がかかることで起こる身体の病気をみる診療科です。

  • たとえば仕事のストレスにより、不眠症だけでなく頭痛も起きる場合は心療内科で治療が可能です。ストレスのケアに加えて不眠や頭痛の治療もおこなわれます。

精神科[2]

  • 精神的な病気を専門的にみる診療科です。

  • ストレスが原因で起こる不眠症の場合は精神科が適しています。睡眠導入剤や抗うつ薬による「薬物療法」や、考え方のパターンを変える「認知行動療法」などの治療がおこなわれます。

睡眠外来

  • 睡眠障害の治療に特化した診療科です。

  • 「睡眠時無呼吸症候群」など睡眠に影響をあたえる病気が原因で不眠が起きている場合は、睡眠外来で治療が可能です。眠りの状況を詳しく調べる検査をおこない、原因を特定できることもあります。

内科

  • 身体の不調を幅広くみてもらえる診療科です。

  • 心不全など身体の病気で眠れない場合には、原因となっている病気に加えて不眠症の治療もおこなわれます。[3]

「いきなり精神科や心療内科を受診するのはハードルが高い」と感じる人もいるかもしれません。

しかし受診を悩んでいるうちに症状が悪化し、ある日突然うつ病を発症して動けなくなるケースもあります。

また心療内科や精神科は予約がとりにくいこともあるため、自分が受診したいときにすぐ受診できるとは限りません。

困ったときは、ひとまず内科でみてもらうのもひとつの手です。

いざというとき「どこに行けばいいんだろう」と困らないように、不眠の症状がある場合は早めに医療機関を探しておきましょう。

内科では睡眠薬を処方してもらえる?

睡眠薬を内科で処方してもらうことは可能です。

ただし症状の重さや必要な治療により、内科で対応できるかどうかが変わってきます。

自分が「処方されやすいケース」と「処方されにくいケース」のどちらに当てはまるのかチェックしてみましょう。

内科で処方される可能性があるケース

  • 不眠の症状が軽度で、精神的な問題が見当たらない場合

  • 息苦しさなど、身体の不調で一時的に眠れない場合

内科で処方されにくいケース[4]

  • 精神的ストレスやうつ症状が強い場合

  • 睡眠薬が長期間必要とされる場合

不眠症には生活習慣やストレスが深く関わっています。

薬を服用すれば一時的に眠れるようになるかもしれませんが、それだけでは根本的に解決できないことも多いです。

内科で「とりあえず薬が欲しい」という気持ちがあるかもしれません。しかし不眠症の場合は一時的に薬を処方をしてもらえたとしても、症状が続く場合精神科や心療内科などへの転科を勧められる可能性があることを覚えておきましょう。

仕事のストレスで眠れない場合は何科を選ぶとよい?

眠れない原因が仕事のストレスによる場合は、心療内科や精神科を受診するのがおすすめです。

この2つの診療科は似ていますが、専門的に診る症状には以下のような違いがみられます。

自分の症状がどちらに近いか比較してみましょう。

心療内科

  • ストレスによる身体の症状を中心に治療する診療科。

  • 例)仕事によるストレスが原因で、不眠症に加えて胃痛や頭痛など身体症状も出ている場合。

精神科

  • 精神疾患を専門的に治療する診療科。

  • 例)仕事によるストレスで不眠症になり「気分が落ち込む」「仕事に行けない」など、おもに精神的な症状により日常生活に影響が出ている場合。

不眠に加えて身体症状も出ているのか、精神の不調が強いのかで選ぶのがポイントです。

ただし治療内容に大きな違いがみられないことも珍しくありません。

どちらを選んでも不眠症の治療は受けられるため、迷ったときは通院しやすいように自宅から近い医療機関を選びましょう。

小学生や中学生の子どもが不眠症で受診する場合は何科へ行けばいい?

症状や原因に応じて診療科を選ぶのは大人と同じですが、子ども向けの診療科を選ぶとより子どもに合った治療が受けられます。

お子さんの状態に近いのはどれか、以下の表で確認しましょう。

寝つきが悪い、生活リズムの乱れが気になるとき

小児科

ストレスや心の問題が不眠の原因かもしれないとき

児童精神科

呼吸が止まったり、いびきがひどかったりして夜中に目覚める場合など、専門的な検査で詳しく調べたいとき

睡眠外来

寝るときにぐずったり、1人で寝られなかったりなど「寝つきが悪い」のが子どもの不眠症に特徴的な症状です。[5]

原因から診療科を選ぶのが基本ですが、子どもの不眠症は親でも原因を探るのが難しいため迷ってしまうこともあるかもしれません。

そのような場合は、成人するまでの年齢であれば小児科を受診しましょう。[6]

小児科では眠れない原因を聞き取りながら、睡眠の質を改善するためのアドバイスをもらえます。

大人と違い、子どもの不眠症は心や身体の成長に影響を及ぼす可能性があるため早めに治療をおこなうことが大切です。[7]

発達障害・てんかん・頭痛などなんらかの病気が隠れている可能性もあります。[7]

治療を始めるのが遅れないように、眠れない日が続いているときは医療機関で相談しましょう。

不眠症で受診するタイミングは?

眠れないだけでなく、日常生活に影響が出るようになったら受診をしましょう。

具体的には、以下のような症状がある場合です。

  • 不眠に加えて「疲れがとれない」「集中できない」などの症状があるとき

  • 生活習慣を改善しても不眠の症状が改善しないとき

不眠に加えてこのような症状がみられる場合は、治療が必要なケースかもしれません。

不眠や日中に支障をきたすことが週に3回以上みられ、3か月以上続く場合は「慢性不眠症」、3か月未満の場合は「短期不眠症」に当たります。

一時的な不眠症であれば自然に治ることもありますが、症状が続いているときは医療機関を受診しましょう。

不眠症で医療機関を受診したほうがよい理由

眠れない日が続くと日常生活に支障をきたしたり、病気を発症したりする原因になることがあります。

たとえば以下のような影響が生じる可能性があります。

  • 日中の集中力や判断力が落ちて、仕事や学業に支障が出る

  • イライラしやすくなり、人間関係が悪化する

  • うつ病など、精神的な病気につながることがある[8]

  • 高血圧や糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高まる[9][10]

不眠症の治療をせずに放置していると、次第に日中にも不調を感じたり別の病気を発症したりしやすいです。

「ただ眠れないだけだから」と侮らず、早めに医療機関を受診しましょう。

不眠症の診察や検査内容と治療法

まずは問診で眠れない原因を探り、症状に応じて治療方針を選んでいくのが基本的な流れです。

診察・検査・治療の内容をまとめると以下のようになります。

安心して受診できるように、医療機関で何をするのか確認しましょう。

診察[11]

  • 問診が中心で、医師が不眠の症状や睡眠習慣について聞き取りをおこないます。

  • 「いつから眠れないのか」「どのような症状があるのか」などを確認します。

検査

  • 不眠症の原因を特定するために検査がおこなわれることがあります。

  • 睡眠の状況を詳しくおこなう「終夜睡眠ポリグラフ検査」のほか、血液検査・MRI・心電図などの検査を実施することもあります。

治療[12]

  • 症状に応じて非薬物療法と薬物療法を組み合わせながら治療がおこなわれます。

  • 「非薬物療法」は眠りにくくする習慣を減らすなど、薬を使用せずに不眠症を改善する方法です。

「薬物療法」は睡眠導入剤などの薬を服用して眠りやすくする方法です。

診察では、医師が話を聞きながら治療方針を考えていきます。

「こんなこと話してもいいのかな?」と遠慮せずに、眠れない悩みや普段の生活の様子をありのまま伝えるようにしましょう。

また検査や治療方法は人それぞれで、医師の説明をすぐに理解できないこともあるかもしれません。

不安をなるべく減らせるように、わからないことがあれば確認するようにしましょう。

不眠症の診療費用と保険適用について

不眠症の治療には健康保険が使えるため、かかった金額の3割を医療機関で支払うのが一般的です。

治療内容によって個人差がありますが、初診では2,500円程度、再診では1,500円程度かかります。

医療費がどのくらいかかるのかイメージできるように、以下の表で項目ごとの目安を確認してみましょう。[13]

 

1回あたりの費用の目安(3割負担の場合)

初診料・再診料

初診:約800円〜

再診:約200円〜

検査

約2,000円〜

カウンセリング

約7,000円〜(基本的に自費)

薬代(薬局でもらう場合)

約1,000円〜

※個人差が大きいため、上記の金額はあくまで目安です。

カウンセリング費用は医療機関によって異なり、基本的に健康保険が使えません。

一方で医師が診察中にカウンセリングをおこなう場合など、保険が適応されるケースもあります。

また大学病院や特定機能病院のような大病院に、紹介状なしで受診すると「選定療養費」として5,000~7,000円程度かかることがあります。[14]

費用は診察を受けるタイミングによっても異なり、休日や夜間の診察では加算がついて高くなるのが基本です。[13]

このように医療費は治療内容や受診した時間、医療機関による差が大きいです。

「どのくらいかかるのか不安」という人は事前に医療機関に問い合わせておくと安心でしょう。

よくある質問

よくある質問にお答えします。

不眠がどのくらい続くと病院に行くべきですか?

1か月以上、よく眠れていないときは受診を検討しましょう。

不眠の症状はおもに4つに分けられ、それぞれ具体的な症状は以下のとおりです。

  • 眠ろうとしてもなかなか寝付けない

  • 夜中に何度も目が覚める

  • 朝早く目が覚めてしまい、続けて寝られない

  • 眠れなかった翌日、だるさ・集中力の低下・気分の落ち込みがある

このような症状が1週間で3日以上みられ、日中に眠気を感じたり集中力が低下したりなどの不調を感じる場合は「不眠症」の恐れがあります。

不眠が続くとうつ病になるリスクが上がることが研究でわかっており、早めに治療をはじめないと悪化する可能性もあります。[15]

不眠の症状が続いているときは1か月を目安に医療機関を受診しましょう。

眠れない日が続いて不眠症を疑っているが何科に行くべきですか?

原因がはっきりしない場合は、まず内科に相談してみましょう。

内科では、不眠の原因に「心不全」などの病気が関係していないかを調べてもらえます。

不眠が長期間続いているときは、睡眠外来や精神科などの専門医に紹介されることもあります。

精神的なストレスにより眠れないと感じている場合は、はじめから心療内科や精神科を受診するのもおすすめです。

医療機関によっては予約が必要な場合もあるため、受診する前に電話などで確認しておきましょう。

内科で睡眠薬を出してくれますか?出してくれないのはどんなときですか?

不眠の症状が軽い場合は、内科で睡眠薬を処方してもらえることがあります。

たとえば身体の疲れや生活リズムの乱れによる不眠など、一時的に眠れないケースでは内科で対応してもらえることが多いです。

ただし以下のような場合は睡眠薬を処方してもらえない可能性があります。[4]

  • 眠れない理由が精神的なストレスなど、心の問題だと判断されたとき

  • うつ病による不眠など、精神疾患の治療も必要な場合

  • 長期的に薬を使用する必要があるとき

このようなケースでは、より専門的な治療ができる心療内科や精神科を紹介されることがあります。

「できれば内科で済ませたい」と思う人もいるかもしれませんが、内科に通い続けると十分な治療が受けられず回復に時間がかかるかもしれません。

内科で睡眠薬がもらえなくても落ち込まずに、紹介された医療機関で治療を受けましょう。

まとめ|不眠の症状に応じて適切な診療科を選びましょう

不眠症では、原因や症状ごとに受診すべき診療科が変わってきます。

眠れない理由にストレスが関係している場合は、心療内科や精神科の受診を検討しましょう。

「自分では原因がわからない」など、どの診療科を受診すべきか迷ったときは内科を受診するのがおすすめです。

眠れない日が続くと、心や身体に少しずつ負担をかけてしまいます。

受診するか迷っている人は、症状を悪化させないよう早めに医療機関を受診しましょう。

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参考文献

[1]心療内科|厚生労働省

[2]精神科医|厚生労働省

[3]志賀浪貴文,中村菜々子,小林清香,五十嵐友里,倉持泉,吉益晴夫,心不全患者の不眠に対する対処方法の実態調査.一般病院精神医学.2022;34(1):44–54.

[4]太田大介.睡眠薬が効かない不眠に悩む男性.日本内科学会雑誌.2015;104(8):1680–1684.

[5]亀井雄一,岩垂喜貴.子どもの睡眠.保健医療科学.2012;61(1):11–17.

[6]小児科医は子どもたちが成人するまで見守ります|日本小児科学会

[7]堀内史枝,河邉憲太郎,岡靖哲,小児の睡眠障害.児童青年精神医学とその近接領域.2017;58(5):663–672.​

[8]Johnson EO,et al. The association of insomnia with anxiety disorders and depression:exploration of the direction of risk.Journal of Psychiatric Research. 2006;40(8):700–708.​

[9]田邉直人,藤田利治,藤井陽介,折井孝男,使用成績調査データベースを利用した高血圧患者における不眠症発症要因に関する検討,薬学雑誌,2011;131(5):669–677.

[10]LeBlanc ES, et al. Insomnia is associated with an increased risk of type 2 diabetes in the clinical setting. BMJ Open Diabetes Res Care. 2018;6(1):e000604.

[11]鈴木正泰.不眠の鑑別診断とその進め方.日大医誌.2020;79(6):337–340.

[12]本多 真.睡眠障害の治療.日本薬理学雑誌.2007;129(6):422–426.

[13]令和6年 医科診療報酬点数表|厚労省

[14]紹介状なしで大病院を受診すると特別の料金がかかります。診療所や病院を適切に使い分けましょう。|政府広報オンライン

[15]熊谷怜子,北島剛司.うつ病・うつ状態の睡眠障害.現代医学.2022;69(2):26–29.

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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