喉の違和感を改善する方法は?原因や市販薬の使用についても解説

公開日: 2024/11/16 更新日: 2024/11/16
「喉(のど)に違和感が続く。どうしたらなくなる?」 「痛くないけど、喉に引っかかる感じがある…何かの病気?」 喉が詰まる感じや息苦しい感じ…さまざまな喉の不調に悩んでいませんか? 「喉に何か張り付いてる感じ」のような原因がはっきりしない症状は、対処法もわからず不安ですよね。どうにかして改善したいと思う方も多いでしょう。 喉の違和感は、風邪やアレルギーだけでなく、ストレスや逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)など多くの原因が考えられます。 長引いている場合は、原因を突き止めきちんと治療することが大切です。 本記事では、喉の違和感の原因や特徴、関連する疾患について詳しく解説します。 違和感の特徴をご自身の状態と照らしあわせると、受診の必要性も判断しやすくなるでしょう。 自宅でできる対処法や市販薬の選び方もご紹介しますので、セルフケアのためにも参考にしてください。
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喉の違和感を改善する方法は?

喉の違和感を改善するには、乾燥や刺激から喉を守り生活習慣を整えることが大切です。

​​喉の粘膜は、乾燥すると防御力が低下し刺激に敏感となるためです。疲労やストレスは免疫力を低下させ、炎症を引き起こしやすい状態を作ります。

喉の違和感を改善するために重要なポイントは以下の3つです。

  • 環境調整

  • 生活習慣

  • 喉のケア

《喉の違和感を改善する具体的な方法》

 

対策

具体的な行動

環境調整

加湿する

(湿度の目安:40~60%) [1]

  • 加湿器を使用する

  • 部屋にぬれタオルを干す

喉のうるおいを保つ

  • こまめな水分補給

  • うがいをする

  • 保湿マスクやぬれマスクを使用する

生活習慣

喉への刺激を避ける

  • 飲酒・喫煙やカフェインを控える

  • からいものや熱いものを避ける

  • なるべく大声を出さない

ストレスを管理する

免疫力を高める

  • 十分な睡眠・休息をとる

  • バランスのいい食事をとる

  • リラックスを心がける

喉のケア

喉の炎症をやわらげる

  • 殺菌・抗炎症成分を含むトローチ・喉スプレーを利用する

  • うがい薬でうがいをする

乾燥から喉を守るために、加湿を心がけましょう。快適な部屋の湿度は40〜60%とされています。[1]ただし湿度が60%を超えると、カビやダニが発生し、アレルギー反応により喉の症状を悪化させる場合があるので注意してください。

こまめな水分補給も喉のうるおいを保つために大切です。冷たい飲み物は刺激になるため、温かい飲み物が望ましいでしょう。

バランスのよい食事も大切です。からい食べ物やアルコールは、喉の炎症を悪化させるためできるだけ控えてください。

ストレス管理も重要です。ストレスは喉の違和感を悪化させる要因の一つです。十分な睡眠と休息は、免疫力を高め、感染症の予防にも役立ちます。

また就寝時にぬれマスクを使用すると、加湿効果により症状がやわらぎ、質の高い睡眠が期待できます。

違和感が気になるときは、炎症をおさえる効果のあるトローチや、殺菌作用のあるうがい薬を適度に使用するのも有効です。

日々の生活で乾燥対策や生活習慣を意識すると、喉の違和感は少しずつ楽になるでしょう。

喉に違和感があるときに使える市販薬は?

喉に違和感があるときに使う市販薬は、症状に応じて選びましょう。

​​喉の違和感といっても「喉の痛み」「痰が出る」「咳がひどい」など、ともなう症状はさまざまです。症状に応じた薬を使用しなければ、十分な効果は得られません。それぞれの症状に適した薬を選ぶことで、喉の不快感を緩和できます。

市販薬を選ぶ際は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。飲み合わせによる副作用のリスクを避けるために、普段服用している薬があれば必ず伝えてください。

《喉に違和感があるときに使える市販薬》

  

効果・効能

注意点

喉の痛みをともなう

トラネキサム酸[2]

喉の炎症をおさえる

  • 5~6日以内の服用にとどめ、長期連用はしない

  • 総合感冒薬にも配合されている成分のため、重複に注意

桔梗湯(ききょうとう)[3]

喉の痛みや腫れをやわらげる

  • 高血圧や心臓病の人は専門家に相談する

甘草湯(かんぞうとう)

喉の痛みや声がれ、咳をやわらげる

  • 高血圧や心臓病の人は専門家に相談する

  • 2日間以内の服用にとどめ、長期服用しない

麦門冬湯(ばくもんどうとう)[5]

喉を潤し、喉の異物感や咳、痰をやわらげる

  • 咳や息切れの悪化に注意

  • 吐き気や下痢に注意

  • 高血圧や心臓病の人は専門家に相談する

銀翹散(ぎんぎょうさん)

喉の痛みや乾き、咳をおさえる

  • 高血圧や心臓病の人は専門家に相談する

痰が絡む

カルボシステイン

痰の粘り気をおさえ、痰の量を減らす

  • 総合感冒薬にも配合されている成分のため、重複に注意

アンブロキソール

(総合感冒薬に配合)

粘膜の滑りをよくする

  • 総合感冒薬に配合されている成分のため、重複に注意

ブロムヘキシン

痰の粘り気を分解し、粘りをおさえる

  • 総合感冒薬にも配合されている成分のため、重複に注意

咳をともなう

ジヒドロコデインリン酸塩

咳をおさえる

  • 便秘や眠気の副作用を起こすことがある

     

  • 12歳未満は禁忌[4]

     

デキストロメトルファン

咳をおさえる

  • 副作用は少ない反面、作用は緩やか

     

上記を参考に症状に合った市販薬を服用すると、喉の違和感を緩和できるでしょう。

ただし市販薬は、あくまでも症状を緩和するための対症療法であり、根本的な治療にはなりません。風邪のように感染症が原因の場合、体の免疫力を高めることが最も大切です。しっかり休息をとりましょう。

症状が続いたり悪化したりする場合は、根本的な原因を突き止めてきちんと治療する必要があります。早めに医療機関を受診しましょう。

喉に違和感があるときの治療法は?

喉の違和感は、風邪やアレルギー、逆流性食道炎など、さまざまな疾患が引き金となるため、疾患によって治療法も異なります。適切な治療を受けるためには、原因を突き止める必要があるのです。

単に風邪が原因であれば、休養し体の回復を待つことが基本です。

ただし細菌感染症、とくに重症の場合では、抗生物質が必要になるケースもあります。アレルギーが原因の場合、ステロイド薬などで治療するケースも出てきます。

逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)は、胃酸が逆流することで食道や喉に炎症を起こす病気です。逆流性食道炎が原因である場合は、胃酸をおさえる薬による治療や生活習慣の見直しが求められます。[5]

喉の違和感の原因が逆流性食道炎などの疾患である場合、大元の疾患を治療しなければ症状は改善されません。

自覚症状だけで原因疾患を特定することは難しいため、喉の違和感が続くときには医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてください。

喉に違和感があるときに受診すべき診療科は?

喉の違和感があるときには、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の受診を検討するとよいでしょう。

耳鼻咽喉科は喉の専門科であり、内視鏡検査などを通じて喉の状態を詳しく観察できます。内科でも診察してもらえますが、喉の痛みや違和感のような喉中心の症状であれば、十分な検査を受けられる耳鼻咽喉科がおすすめです。

喉が詰まる感じや声がかすれるといった症状も、耳鼻咽喉科で相談するとよいでしょう。

発熱や咳もあり感染症が疑われる場合や、どこに受診すべきかわからない場合は、まず内科やかかりつけ医を受診してください。胃もたれや胸やけなど胃の症状がある場合は、消化器内科を受診するとスムーズです。

受診先の医療機関でほかの診療科への受診を勧められた場合は、医師の指示に従い対応しましょう。

喉の違和感の種類と原因

喉の違和感の原因はおもに3つに分類されます。

  • 喉の炎症

  • 喉のできものや腫れ

  • 精神的ストレスなど

「イガイガする」「張り付いた感じ」「引っかかる感じ」など、違和感の種類は多くあります。感じ方は人によって異なり、表現の仕方もさまざまです。

ご自身が感じる違和感と照らしあわせてみてください。

《喉の違和感の原因と特徴》

原因

喉の違和感の特徴

喉の炎症

  • イガイガ感、ヒリヒリ感、ムズムズ感

  • 飲み込むときに痛い

  • 痛がゆい

  • 痰が喉にこびりつく など

喉のできもの・腫れ

  • 声がれ

  • 異物感、飲み込みづらさ

  • 声を出しにくい

  • 張り付いた感じ など

精神的ストレスなど

  • 喉が詰まる感じ

  • 喉が押さえつけられる感じ

  • 引っかかる感じ など

すべてがこのとおりに当てはまるわけではありませんが「炎症があるのかも」「ストレスが原因かも」といった予測が立つと、セルフケアに役立ちます。また違和感の特徴を整理すると、受診時医師に説明しやすく診察がスムーズでしょう。

喉の違和感の原因となる疾患

喉の違和感を引き起こす疾患は症状だけで特定できませんが、受診の必要性は判断しやすくなります。

喉の違和感が続くと「何かの病気が関係しているのでは…」と心配になりますよね。

喉の違和感の原因となりうる疾患と、おもな喉の症状について知ることで受診の必要性も検討できるでしょう。

《喉の違和感の原因となる疾患と症状》[11]

 

疾患

喉の症状

細菌やウイルスによる呼吸器感染症

(炎症)

  • 咽頭炎(いんとうえん)

  • 扁桃炎(へんとうえん)

  • 風邪

  • インフルエンザ、コロナ

  • マイコプラズマ感染症

  • 溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)

  • 気管支炎 など

  • 痛み

  • 腫れ

  • 唾(つば)を飲み込むと喉に違和感がある

アレルギー性疾患

(炎症)[7][8]

気管支喘息

  • イガイガ感

  • 圧迫感

食物アレルギー

  • かゆみ、腫れ

  • 異物感

花粉症、ハウスダスト

  • 痛み

  • イガイガ感

アトピー性咳嗽(あとぴーせいがいそう)[6]

  • 痰が絡む感じ

  • かゆい

  • イガイガ感

  • チクチクとした痛み

消化器の病気

(炎症)

逆流性食道炎[12](ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)

  • 食後の不快感

  • 声がかすれる

  • 咳が出る

  • 喉がつかえる

  • 喉に食べ物が引っかかった感じがする

  • 酸っぱい感じがする

甲状腺の病気[9][10]

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

  • 甲状腺機能低下症(橋本病)

  • 腫れ

  • 圧迫感

  • 声がかすれる

声帯の病気

(腫れ・できもの)

  • 声帯ポリープ

  • 声帯結節(せいたいけっせつ)

  • 声がかれる

  • 声が出しにくい

  • 声の調子がおかしい

がん

(腫れ・できもの)

  • 喉頭がん(こうとうがん)[13]

  • 咽頭がん(いんとうがん)[15]

  • 食道がん

  • 声がかすれる

  • 痰に血がまじる

  • 激しい喉の痛み

  • 異物感

  • むせる

  • 腫れて飲み込めない

ストレス

  • 咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)

    (別名:ヒステリー球) [14]

  • 飲み込みにくい

  • 喉がつかえる感じ

  • 引っかかる感じ

  • 圧迫感や苦しさ

  • 唾を飲み込むと喉に違和感がある

性感染症(STD)

(炎症)

咽頭クラミジア

  • 風邪と似た喉の痛み

(無症状の場合も多い)

咽頭淋病(いんとうりんびょう)

(別名:淋菌感染症)

  • 痛み

  • 腫れ

(無症状の場合も多い)

梅毒(ばいどく)

  • 喉にしこりやただれ

  • 痛みはない場合が多い

咽頭ヘルペス

  • 激しい痛み

  • 水疱ができる

マイコプラズマ

  • 軽い痛み

(多くの場合無症状)

HIV

  • インフルエンザのような喉の痛み

  • リンパの腫れ

その他

  • 貧血

  • 自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)

  • 更年期障害

  • 糖尿病

  • 精神疾患 など

全身の不調にともない、喉の違和感をもつことがある

風邪などの感染症が原因の場合、喉の違和感は通常1〜2週間程度で改善します。[16]

しかし逆流性食道炎や甲状腺の病気が隠れている可能性もあります。症状が長引く場合は早めに医療機関を受診し、検査を受けましょう。

検査で異常はなかったのに喉の違和感が続くケースは、ストレスが引き金となって生じる「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう、別名:ヒステリー球)」の可能性があります。十分に休養しながら、ストレスとうまく付き合うことが必要です。心療内科や精神科の医師のもと、必要に応じて薬を使用しながら心と体のバランスを整えていきます。

これらの症状はあくまでも目安であり、正確な原因を知るには医師の診察が欠かせません。医師に詳しく状況を伝えるために、自覚症状や経過を記録しておくとよいでしょう。

よくある質問

喉の違和感について、多くの方が悩みや不安を抱えているでしょう。

とくに多い質問について、理由とともにお答えします。

喉に何か引っかかっているような違和感の原因は?

喉の引っかかりを感じる原因には、喉の炎症、腫れやできもの、ストレスなどが考えられます。

たとえば感染症や逆流性食道炎は、喉の炎症を引き起こす代表的な疾患です。感染症の場合、喉の痛みや発熱、咳、痰をともなうことが多く、判断がつきやすいでしょう。

逆流性食道炎では、胃酸が逆流して喉に不快感をもたらします。酸っぱい感じや胸やけ症状もあれば、逆流性食道炎が考えられるため、早めに受診し治療を受けましょう。

ほかの症状はなく、喉に引っかかり感や詰まり感が続く場合は、ストレスや不安などの精神的要因が考えられます。耳鼻咽喉科で検査を受けても炎症や腫れがみられない方は、心因性かもしれません。

甲状腺の病気やポリープなども原因として考えられるため、症状だけで原因を特定するのは困難です。長引く場合は医師に相談し、適切な治療を受けましょう。

喉の違和感を治すには?

喉の違和感を治すためには、部屋の加湿を心がけ、乾燥から喉を守りましょう。

喉に刺激を与えないことも大切です。からい食べ物や飲酒は避け、バランスのよい食事を心がけてください。なるべく大声を出さないように気をつけましょう。

生活リズムを整え、休息と睡眠を十分にとりながらストレスと付き合うことも大切です。

ただし症状が続く場合は、なんらかの病気が隠れている可能性もあるため、医療機関で診察を受けましょう。原因を特定し、しっかり治療を受けてください。

喉に何かある感じ…ストレスのせい?

喉に何かある感じがするときは、ストレスが原因であることも考えられます。

ストレスや緊張によって喉の筋肉が収縮し、圧迫感や異物感をもつことがあるからです。「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」と呼ばれ、心理的な要因が関与している可能性があります。

耳鼻咽喉科で検査を受けても異常がない場合は、このケースに該当することが多くあります。原因がわからないまま喉の違和感が続くと、不安な気持ちがさらに症状を強めることも。ぜひ心療内科や精神科で相談してみることをおすすめします。

日々の生活では、リラックスする時間をとったり、深呼吸を意識したりして、ストレスと付き合っていく工夫を取り入れてみましょう。無理せず過ごし十分な睡眠を心がけてくださいね。

喉が詰まる感じは「がん」ですか?

喉の詰まる感じがあっても、必ずしもがんであるとは限りません。

逆流性食道炎やストレスなど、さまざまな原因が考えられるためです。

違和感だけでがんと判断することは難しいため、長引く場合や心配な場合は、念のため耳鼻咽喉科で検査を受けると安心です。

すでに激しい痛みがあったり、飲み込めないほど腫れている状態であれば、早急に受診することをおすすめします。咽頭がんや食道がんは、早期発見できれば治療の選択肢が広がるため、早めの対応が重要です。

まとめ:喉の違和感が続くときは受診しましょう

喉の違和感は、炎症、腫れやできもの、ストレスなどが原因で生じます。日常生活では加湿や水分補給を心がけ、十分な睡眠で体調を整えましょう。

喉の違和感が長引く場合や日常生活に支障をきたす場合は、なんらかの病気が隠れている可能性もあります。早めに耳鼻咽喉科など医療機関に相談してください。

症状の特徴や経過をメモしておくと、受診の際に役立つでしょう。医師の診断のもと、適切な治療を受けることが大切です。

空気が乾燥する季節は、喉の違和感をおぼえやすくなります。本記事を参考に日々のケアを心がけ、長引いたり悪化したりするときは、早めに受診を検討してくださいね。

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参考文献

[1]健康・快適居住環境の指針

[2]https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/package_insert/pdf/pelack_t_tab_1.pdf

[3]ツムラ漢方桔梗湯エキス顆粒

[4]資料3-1 コデインリン酸塩等の 12 歳未満の小児における使用の禁忌移行について

[5]https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/06.html

[6]アトピー咳嗽/喉頭アレルギー

[7]アレルギー疾患

[8]アレルギー疾患 - 福岡県庁ホームページ

[9]甲状腺の病気 | 女性特有の健康課題

[10]橋本病(慢性甲状腺炎)|一般の皆様へ

[11]口・喉の症状

[12]https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/06.html

[13]喉頭がんについて:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

[14]論説咽喉頭異常感への対応 大越俊夫

[15]咽頭(いんとう)がん | 国立がん研究センター 東病院

[16]【治療】 【症状】 【経過】これからどうなりますか? 

本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。

具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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