知っておこう!喘息4つのポイント
喘息は早期発見と継続的な治療が大切
喘息は完治が難しいため早期発見と適切な治療、セルフケアが大切です。
原因により症状が出ては治るを繰り返すので、一時的に改善すると「治った」と思い、受診せずに過ごしてしまう場合も。
しかし、治療を続けないと徐々に症状が悪くなり、発作を起こす事もあるため早めの受診が治療のカギです。
また、「風邪かな?」と思ったら喘息だったり、風邪から喘息を引き起こしてしまったという事もあります。
受診目安を確認し、症状が長引いたり、おかしいなと思ったら早めに対処しましょう。
症状は薬でコントロールする
喘息の症状は適切な治療を受けることで、薬でコントロールすることができます。
喘息の発作を繰り返したり、喘息と気づかないで治療をせずに過ごしていると、治療が難しくなってしまいます。
炎症により気道粘膜が厚くなり、狭くなった気道が戻らなくなってしまうのです。そのため、薬により気道の炎症を抑えることがとても大切です。
また、治療を始めた後に症状がよくなったからといって自己判断で薬をやめてしまうと、炎症が再び悪化して発作が起きてしまいます。
治療は医師の指示に従い、根気強く続けましょう。
子どもの息苦しさを読み取ろう
赤ちゃんや子どもは喘鳴(ぜんめい)がはっきり聞こえないこともあります。
その場合、泣いたり不機嫌になったりぐずったりすることで息苦しさを伝えようとします。
喘鳴(ぜんめい)が聞こえないから喘息でないとは限らないので、喘鳴(ぜんめい)が聞き取れなくても何か伝えようとしていないかを読み取ってあげることが大切です。
喘鳴が分からないときや、様子がおかしいなと感じたらオンライン診察を含む医療機関を受診するようにしましょう。
知っておきたい豆知識
喘鳴(ぜんめい)とは?
気道が狭くなっている事が原因となり、呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューという音がすることを喘鳴(ぜんめい)といいます。
はっきりと音を聞き分けるのは難しいため、喘鳴(ぜんめい)かどうか分からないときは一度受診してみましょう。
咳を観察しよう
喘息の咳は一日中続くものではありません。
喘息発作は昼間よりも、夜間や明け方によく起こります。「昼間は元気そうだったから大丈夫」と思っていたら、夜になって症状が出たということはよくあります。
咳が出る時間帯や状況などを観察してみましょう。喘息に気付く手掛かりになるかもしれません。また、受診のときには医師へ伝えると良いでしょう。
喘息はどんな病気?
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起きている状態のことを言います。
原因物質によって症状を引き起こし、繰り返す病気です。
完治することは難しく、早期発見と薬での治療が大切です。
原因
喘息は原因によってアレルギー性喘息と非アレルギー性喘息に分けられます。
アレルギー性喘息
特定のアレルギーの原因物質に対し反応が過敏になることで起こります。
アレルギーの原因物質の例
- 花粉
- ハウスダスト
- ダニ
- カビ
- ペットの毛
- 大気中の汚染物質
- 食物
- 薬
非アレルギー性喘息
アレルギー以外が原因で起こる喘息です。さまざまな要因があります。
要因の例
- 呼吸器感染症(風邪、インフルエンザ、肺炎など)
- 運動
- ストレス
- 遺伝
喘息の症状
- 無色で粘り気の強い痰
- 朝や就寝後の咳や息苦しさ
- 寝ている時喘息症状で目が覚める
- 運動した後の息苦しさ
- 動いていない時でも咳が出る
- 喘鳴(ぜんめい)
- 呼吸をするとゼーゼーという雑音が出る
喘息が関連する病気
症状が似ている病気
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- マイコプラズマ肺炎
- 百日咳
- 後鼻漏
※COPD(慢性閉塞性肺疾患)でも喘鳴(ぜんめい)が起こります
喘息を引き起こす病気
- 風邪
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
- 気管支炎
- 肺炎
喘息の対処方法と注意点
強い発作を起こすことがある
喘息による発作は命に関わることもあります。
日頃から喘息発作が起きた場合にどのように行動するべきか考えておくことが大切です。
事前にかかりつけ医へ相談しておくとよいでしょう。
【喘息と診断済みの方向け】発作強度と対処法
喘息の発作は程度により小発作、中発作、大発作に分けられています。
それぞれの対処法を知っておきましょう。
大発作
- 苦しくて動けない
- 会話ができない
- 意識がはっきりしない
対処法
- 短時間作用性β2刺激薬を吸入
- 吸入しながら周囲の助けを借り、速やかに救急外来を受診
中発作
- 苦しくて横になれない
- 咳と喘鳴(ぜんめい)がひどい
対処法
- 短時間作用性β2刺激薬を吸入
- 改善しなければ20分おきに2〜3回吸入を続ける。改善した場合は自宅で様子を見る。
- 改善しない場合は救急外来を受診
小発作
- 苦しいが横になれる
- 咳と喘鳴(ぜんめい)がある
対処法
- 短時間作用性β2刺激薬を吸入
- 改善しなければ20分おきに2〜3回吸入を続ける。改善した場合は自宅で様子を見る
- 改善しない場合は救急外来を受診
セルフケアが大切
喘息の症状をうまくコントロールするためには、主治医の指示に従って処方された薬を正しく使うことや、定期的に通院し症状の変化を確認しながら治療を続けることが大切です。
また、自分の喘息の原因を知り、それを避けることで発作の予防につながります。
寒暖差や気圧の変化などの環境要因によっても症状が悪化することがあります。
特に季節の変わり目には注意し、日々の体調管理を心がけましょう。
喘息を悪化させる要因を知ろう
運動
運動をするとき、乾燥した空気を吸い込むことで起こる。特に空気が冷たい冬に起こりやすい。
タバコの煙
タバコに含まれる有害物質が気道への刺激となる。自分がタバコを吸う場合、喫煙によって効果が弱くなってしまう薬があるため注意が必要。
呼吸器感染症
一般的な風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などにより気道に炎症が及ぶことで喘息が悪化したり発作が起きたりする。
ストレス
ストレスを感じることで炎症物質が放出される。気管支が狭くなることで症状が悪化したり発作が起こる。
肥満
内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が炎症を悪化させる物質を出すことで、喘息が悪化したり発作が起こる
気圧の変化
気圧が下がることで気道が狭くなったり、自律神経が乱れることで喘息が悪化したり発作が起こる。
季節の変わり目
季節の変わり目で温度差があることや、自律神経が乱れることで気道が狭くなり、喘息が悪化したり発作が起こる。
大気汚染
有害物質が気道粘膜への刺激となり、喘息が悪化したり発作が起こる。
アルコール
体内でアルコールを分解するときに発生する物質が気管支や気道をむくませ、喘息が悪化したり発作が起こる。
非ステロイド性抗炎症薬
解熱鎮痛剤に含まれるアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬により重症の喘息発作が引き起こされる。
発作時の対処を医師と相談する
万が一発作が起きたときに慌てないよう、事前に医師と相談し対処法を確認しておきましょう。
また、対応手順をメモにまとめておくことで、自分が動けなくなった場合でも周囲の人が適切に対応できるようになります。
家族や身近な人と情報を共有しておくと、さらに安心です。
解熱鎮痛薬や高血圧・緑内障の薬に注意
解熱鎮痛剤にはアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬が含まれます。
この成分によって、重症の喘息発作が引き起こされる可能性があります。
市販薬にも使用されているため、ドラッグストアで購入する場合は成分表示を確認したり、販売員や薬剤師へ確認してから購入しましょう。
他にも、高血圧や緑内障の治療に使用されるβ遮断薬には気管支を収縮させる働きがあるため喘息を悪化させます。
病院を受診するときは医師へ喘息であることを必ず伝えましょう。
【対面で診察?救急車?オンライン診療?迷ったら】今の症状と適した受診先
受診が必要な症状について知っておきましょう。
緊急度チェックでは、症状に応じた受診先をすぐに判定できます。
判断に迷うときの相談先
- 緊急度チェックで症状に応じた受診先を判定
- #7119や♯8000(子ども)へ電話
- オンライン診療(24時間対応)で医師に相談
119番(救急車)
- 意識がはっきりしない
- 呼吸が苦しい、苦しそう(会話ができない)
- 苦しくて動けない(大発作)
- 唇が青っぽい色をしている
至急受診を
以下の場合は救急外来を受診しましょう。
- 苦しくて横になれない
- 座らないと息ができない
- 息を吸うときに小鼻が開く
- 息を吸うときに胸がへこむ
- 話すのが苦しい
- 気管支拡張薬の吸入や飲み薬を使っても苦しい
- 気管支拡張薬が手元にない
受診が必要
医療機関が開いている時間帯に早めに受診をしましょう。
- 3週間以上続く咳
- 風邪を引くたびに咳がずっと続く
- 呼吸時にヒューヒュー・ゼーゼーという音が出る
- 走ったり運動をした後、咳き込んだり息苦しい
- 夜間や早朝に咳や息苦しさの症状が強く出る
咳が出ていると風邪だと考えがちですが、風邪の症状の場合はおおよそ2~3週間程度で症状が落ち着きます。3週間以上咳が続く場合には一度受診しましょう。
8週間以上続く場合は慢性の咳と定義されており、風邪以外の病気が原因である可能性が高いです。
症状が現れているときに受診することが望ましいです。症状が落ち着いているときでは診断ができないこともあります。
受診する際のポイント
受診の際は以下のように時系列で状況を伝えるとよいでしょう。
余裕があればメモなどを作成しておくとよりスムーズです。
- いつから(◯月◯日から)症状があるか
- どのくらい症状があるか
- どんな時に症状が強くなるか
- どの程度症状があるか
- 症状を繰り返しているか
- 他の病気があるか
- 持病などで飲んでいる薬があるか
- 症状に対して薬を服用したか→ある場合は薬品名(商品名)と服用時間
- 喫煙歴、身近に喫煙者がいるか
- ペットがいるか
病院の持ち物リスト(優先順)
緊急時(救急車)も必ず持参
- スマートフォン/携帯電話
- 家族の連絡先がわかるもの
- お財布
- お薬手帳(持病がある場合は必ず)
持参が必要
- 保険証
- 医療証
- 診察券
※保険証・医療証が無いと、費用が一時的に10割負担となることがあります
子どもに必要
子どもは下記も準備しましょう。
- 着替え
- おむつ
- おしりふき
- ビニール袋2−3枚
- 大きめのタオル(フェイスタオル等)
症状が出る前に備えられること
家庭内感染対策の準備
家族が感染したときを想定し、感染した人と他の家族の生活空間を分けられるように備えましょう。
可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。
また、感染対策に必要な備品を事前にストックしておくと便利です。
必要品の例
マスク、消毒用アルコール
近隣の病院を確認しておく
近隣の夜間・休日に対応している病院やかかりつけ医の診療時間を確認しておきましょう。
タクシー会社の連絡先を確認しておく
自分や家族が体調不良のときは運転を避けましょう。
運転に気を取られ子どもの体調変化を見落としてしまったり、普段より慌ててしまい、事故につながるリスクもあります。
こうした事態を防ぐためにも、体調不良時に備えてタクシーの連絡先を確認しておきましょう。
緊急連絡先を確認しておく
勤務先や学校、幼稚園など緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
受診に必要な物の場所を決めておく
保険証や診察券、お薬手帳、医療証、母子手帳などの置き場所を決めておき、すぐに持ち出せるよう備えましょう。