喘息とは?
喘息は気道の炎症により、咳や痰、呼吸困難、喘鳴などが現れる病気です。
喘息患者さんは、自覚症状がないときでも慢性的な気道の炎症が続いています。
そこで、何らかの刺激がきっかけとなり、気道の炎症が悪化、空気の通り道が狭くなることで、咳や呼吸困難などの症状が現れます。
大人の喘息と子供の喘息
喘息は小児から高齢者まで幅広い年齢層で見られる病気ですが、大人の喘息と子供の喘息では異なる特徴があります。
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子供の喘息(小児喘息)
子供の喘息は花粉やダニなどのアレルギーが原因となることが大半です。
乳児期に発症して思春期になると改善することが多いですが、そのまま大人の喘息に移行することも珍しくありません。
また、子供の喘息は一度症状が見られなくなっても、大人になって再発するケースがあります。
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大人の喘息
大人の喘息の誘因は特定のアレルゲンによるアレルギー性の喘息の他、アレルゲンが特定できなかったり、アレルゲンがなかったりする非アレルギー性の喘息があります。
小児期から継続して喘息を患っている場合もありますが、大人になってから初めて喘息を発症することが多く、40代〜60代での発症割合が高いとされています。[1]
大人の喘息の症状や発症のタイミング
喘息は、慢性的に気道の炎症が起きていますが、発作時以外はほとんど自覚症状がありません。
何らかのきっかけで、気道の炎症が悪化すると、喘息発作として自覚症状が現れます。
喘息の主な症状は、激しい咳や痰などですが、特徴的なものは喘鳴です。喘鳴とはゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音のことで息苦しさを伴います。
また、喘息の症状が出やすいのは次のようなタイミングです。
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夜間から早朝にかけて
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季節の変わり目。気温差や温度差があるとき
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疲れているときや、風邪を引いたとき
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タバコなどの煙を吸ったとき
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運動をしたとき
大人の喘息の種類と原因
大人の喘息には発作の原因別に「アトピー型喘息」と「非アトピー型喘息」があります。大きな違いは、発作の誘因がアレルギーかアレルギー以外のものかという点です。
血液中のアレルゲンを攻撃する抗体(IgE抗体)を調べることにより、アトピー型喘息か非アトピー型喘息か判断をします。
アレルギーが原因となるアトピー型喘息ではIgE抗体が高くなりますが、非アトピー型喘息では数値の変動は見られません。
ここではアトピー型喘息と非アトピー型喘息のそれぞれの特徴について説明していきます。
アトピー型喘息
アトピー型喘息では、特定の物質によるアレルギーが原因となり喘息症状を引き起こします。
アレルギーとは、通常は体に悪影響をあたえない物質に対して、免疫が過剰な反応をしてさまざまな症状を起こすことです。
アトピー型喘息は、アレルギー反応のひとつとして気道の炎症が起こるために、息苦しさなどの症状が現れるのです。
子供の喘息は大半がアトピー型喘息ですが、大人でも3割程度はアトピー型喘息と診断されています。
アレルギーの原因としてはダニやカビ、ハウスダスト、花粉、動物などさまざまなものがあります。
非アトピー型喘息
アレルギー以外の原因により発作を引き起こす喘息を非アトピー型喘息といいます。原因としては、気温の変化や風邪、ストレス、運動、アルコールなどがあげられます。
非アトピー型喘息は子どもの喘息と比べて大人の喘息で多いことが特徴です。また、アトピー型の喘息と比べて重症化しやすい傾向があります。[2]、[3]
大人の喘息の診断と検査
喘息でよく見られる咳や息苦しさは、COPDや心疾患など喘息以外の病気でもみられる症状です。適切な治療のためには適切な診断が欠かせません。
それでは、どのようにして喘息とその他の疾患を鑑別し、診断を行っているのでしょうか。ここでは、喘息の診断と検査について説明していきます。
大人の喘息の診断
大人の喘息の診断で重要となるのは問診です。医師は問診によって喘息の特徴に当てはまるかを判断していきます。
喘息の判断基準としては次のようなものがあります。
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喘息の特徴的な症状がでている(発作性の呼吸困難、喘鳴、咳など)
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症状が可逆的である
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気道が過敏になっている
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アトピー素因がある(大人の喘息では参考程度)
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気道の炎症がある
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喘息と似た症状が現れる他の疾患を除外できる(COPDや心不全との鑑別)
医療機関を受診する際は、問診をスムーズに進めるためにも次の内容についてまとめておくと良いでしょう。
【症状について】
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発症した時期
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繰り返し起こっているか
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どのような症状が出ているか
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症状がでる頻度
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どんな時に症状が出やすいか(夜間・早朝、運動時など)
【既往歴】
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小児喘息を持っていたか
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アレルギー性疾患を持っているか
【家族歴】
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アレルギー性疾患をもつ親族がいるか
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喘息をもつ親族がいるか
【生活環境】
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喫煙、受動喫煙の有無
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飲酒について
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ペットの有無
大人の喘息の検査
喘息の診断のために、問診と合わせて血液検査や呼吸機能の検査も行われます。
大人が喘息診断を受けるための検査は複数あります。
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血液検査
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呼吸機能検査
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気道過敏性試験
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呼気NO検査
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その他
それではそれぞれどのような検査なのか解説していきます。
血液検査
アレルギーの有無と原因を調べるための検査です。血液中の好酸球数やIgE抗体を調べることでアレルギーがあるかどうかを確認できます。
また、抗原特異的IgE抗体を調べることでアレルゲンの特定につながります。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
スパイロメトリーは、喘息やCOPDなどの呼吸器系疾患で呼吸機能を確認するための検査です。
機械に繋いだマウスピースを咥えて、速く強く息を吐き出すなどして呼吸機能を調べます。
スパイロメトリーで調べられる項目には以下のものがあります。
- 努力肺活量
息を思いっきり吸って吐ききったときの肺活量 - 1秒量
最初の1秒で吐く息の量 - 1秒率
1秒率/努力肺活量
最初の1秒で吐くことができる息の割合
喘息では気管支が炎症を起こして狭くなっているため、1秒量が通常よりも低くなります。1秒量は喘息の重症度の判定にも使われます。
気道過敏性試験
喘息では、通常と比べて気管支が過敏になることが特徴です。
気道過敏性試験は、この特徴を利用して、喘息が疑われる患者さんの診断や、喘息の重症度の判定などに使われます。
試験では、低濃度の気管支収縮薬を一定時間ごとに吸入します。この吸入薬の濃度を徐々に上げていくことで、気道の抵抗を調べるのです。
検査により一時的に気管支が収縮しますが、試験後に気管支拡張薬を使用することで改善します。
呼気NO検査
喘息患者さんでは吐いた息の中に含まれる一酸化窒素(NO)の量が増えることがわかっています。
これは、炎症により一酸化窒素を作る酵素が増えて、大量の一酸化窒素が生成されているためです。
吐いた息の中の一酸化窒素は、他の疾患では上昇しにくいため、COPDなどとの鑑別にも有効です。
その他
喘息の検査では他にも胸部レントゲンや喀痰検査などを行うことがあります。
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胸部レントゲン検査
肺炎など他の呼吸器疾患との鑑別に用いられます。
喘息はレントゲンでほとんど異常が認められませんが、発作を繰り返している場合には肺が過膨張になることがあります。
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喀痰検査
喀痰検査では痰の中に含まれる好酸球数や気管支の上皮細胞を調べます。
気管支に炎症がおこると好酸球が増加するほか、気管支の上皮細胞がはがれて痰の中に多く混じります。
大人の喘息の治療
大人の喘息は発作が起きた時に対処するだけではなく、発作が起きないように長期的に管理していく必要があります。
喘息の管理には、治療の目的と薬の役割を理解することが欠かせません。
大人の喘息の治療目的
大人の喘息の治療目標は、健常人と同じように日常生活が送れるようにすることです。
喘息による気道の炎症は、悪化すると喘息死を招く危険があります。その他にも、炎症が続くことで組織の線維化が進み、気道が狭くなったまま元に戻らなくなります。
これをリモデリングといい、喘息の難治化につながるのです。
喘息の治療では、喘息死や気道のリモデリングを防ぐことはもちろんですが、普段から気道の炎症を抑えて発作を起きにくくし、生活の質を上げていくことを目的としています。
大人の喘息の治療薬
喘息の治療薬には「長期管理薬」と「発作治療薬」があります。
ここではそれぞれの薬の役割や効果について詳しく説明していきます。
長期管理薬
喘息の長期管理薬には、気道の炎症を抑えたり、気管支を広げたりして喘息発作が現れないようにコントロールしていく役割があります。
基本的に即効性はなく、長期に使用していきます。
喘息の症状がないからといって自己判断で減量・中止することのないようにしましょう。
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ステロイド薬
喘息の長期管理薬として使われるステロイド薬には吸入タイプと経口タイプがあります。
吸入ステロイド薬は喘息治療の第一選択薬であり、気管支の炎症を抑えるために重要な役割をもつ薬剤です。
ステロイド薬を吸入することで直接的に気管支の炎症を抑えることができます。
また、経口のステロイド薬と比べて全身性の副作用が少ないため、使用しやすいことがメリットです。
吸入ステロイド薬には、気管支を広げる作用がある「長時間作用型β刺激薬」との合剤も発売されています。
一方、経口のステロイド薬は効果が強く、吸入ステロイドで効果が不十分な場合などに使用される薬です。
吸入ステロイド薬に比べて全身性の副作用が起こりやすいため、より適切に使用する必要があります。
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ロイコトリエン受容体拮抗薬
炎症を引き起こしたり、気道を収縮させる効果があるロイコトリエンの作用を抑える薬です。
安全性が高く、小児から成人まで広く使用されています。
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テオフィリン薬
気管支を広げる作用と炎症を抑える作用があります。
治療に有効な薬の血中濃度(有効血中濃度)の範囲が狭いため、治療効果や副作用について、より詳細なモニタリングが必要となる薬剤です。
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長時間作用型吸入β2刺激薬
気管支にあるβ2という受容体を刺激することで気管支を拡張する薬です。
β2受容体刺激薬は短時間型と長時間型に分類されます。
短時間型は発作時に使用されますが、長時間型は喘息の長期管理に使用されています。
この薬を単独で使用することはなく、吸入ステロイド薬と併用することが一般的です。
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抗アレルギー薬
炎症を抑えたり、気管支を収縮する物質の作用を抑えます。
作用機序別に、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、トロンボキサンA2合成阻害薬などがあります。
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生物学的製剤
近年、吸入ステロイド薬を始めとする複数の薬剤を使用してもコントロールが難しい喘息に、生物学的製剤が使われるようになりました。
生物学的製剤とは人工的に作り出した抗体を用いて、体の中の特定の物質の働きを抑える薬です。
誰にでも使用できるわけではなく、事前に薬の適応になるかを確認したうえで使用されます。
また、生物学的製剤は非常に高価で、1回あたりの薬剤費は3割負担の方で約9千円から、高いものだと9万円を超えるものまであります。
しかし、今まで難治性とされていたり、重症とされていたりする患者さんにとっては新しい選択肢となる薬剤です。
発作治療薬
発作治療薬は喘息発作が起きたとき、一時的に気管支を広げて症状を軽減する目的で使用されます。
継続的に気管支の炎症を抑える効果は無いため、根本的な治療をせず発作治療薬だけ使用すると喘息が悪化する原因となります。
そのため、吸入ステロイド薬などの長期管理薬を使用した上で適切に使用することが大切です。
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短時間作用型β2刺激薬
発作の治療としてよく使われている薬です。即効性があるだけでなく、気管支を広げる作用が強いことが特徴です。
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テオフィリン薬
長期管理薬としても使われるテオフィリン薬ですが、即効性があるタイプのものは発作治療薬としても使われます。
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ステロイド薬
ステロイドの飲み薬や注射薬は喘息発作時に使われます。
炎症を抑えて発作を改善する効果があります。
普段の生活の注意
喘息の発作を予防して安定した状態を保つためには、医師の指示通りに薬を使用することはもちろんですが、普段の生活でも対策をすることが重要です。
喘息患者さんの生活の注意点としては次のものがあげられます。
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アレルゲンを避ける
アレルギーが原因となる喘息では、アレルゲンとなるものを避けることが重要です。
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風邪などの感染症を予防する
感染症により気管支の炎症が悪化すると喘息発作を引き起こしやすくなります。
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気温の変化に注意する
急激な気温の変化により発作が起きやすくなることがあります。
春や秋の気温差の大きい季節には特に症状が出やすいため注意が必要です。
その他にも、エアコンの冷気で発作が起きやすくなることがあります。
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お酒とタバコについて
タバコの煙は気管支を刺激するだけでなく、炎症を悪化させる作用があります。タバコの副流煙にも有害物質が多く含まれるため受動喫煙にも注意しましょう。
また、アルコールによっても喘息の症状が悪化することがあります。これはアルコールが分解する途中に発生するアセトアルデヒドの作用によるものです。
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ストレスを溜めない
ストレスにより自律神経が乱れたり、炎症物質が出されることがわかっています。
これにより喘息が悪化しやすくなるため、ストレスを貯めないようにしましょう。
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肥満を解消する
肥満が喘息の悪化に関係していることがわかっています。
また、肥満でなくても内臓脂肪が多い方は喘息が悪化しやすいと言われています。
大人の喘息が悪化すると?入院することはある?
喘息は、患者にとって適切でない治療や治療への反応性が悪いと気道が閉塞し喘息死へと繋がってしまいます。
しかし、現在では吸入ステロイド薬の普及により、喘息死の件数は大幅に減少しました。
それでも、外来でのコントロールが難しい場合や重篤な症状が出た場合には、入院にて治療を行うことになります。
喘息の入院には以下の目安があります。
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外来での治療(点滴や吸入など)で改善しない
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心不全やCOPD等、他の疾患を合併している
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高齢者
-
喘息発作で挿管したことがある
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発作が数日以上、続いている
大人の喘息 入院期間は?
喘息の入院期間はそれぞれの状態によって変わるので一概に決まっているわけではありません。通常であれば1週間前後のことが多いです。
退院は、点滴を使用しなくても状態が安定していることが目安となります。
喘息の入院費用は大人だとどれくらいかかる?
喘息で入院した場合の費用は、治療の内容によりますが、3割負担で10〜15万円ほどになることが多いです。
喘息の入院費用は高額療養費制度が使えるほか、医療費控除の対象にもなります。また、自治体によっては独自の医療費助成の制度を設けていることもあります。
大人の喘息は治るの?
喘息は慢性的な疾患であり、現在の医療で完治させることはできません。
状態が安定している場合でも、きっかけがあれば再燃する可能性があります。
しかし、治療により症状がない状態を保つことで健常人と変わらない生活を送ることができます。
そのため、喘息の治療では気道の炎症を抑えて症状が現れない状態を保つことが目標となるのです。
喘息の重症度のチェック
喘息の重症度は症状の頻度や強度により軽症完結型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型の4段階に分けられています。
重症度の正確な判定には、PEFや FEV₁といった呼吸機能の測定値が必要です。
この重症度の分類は治療薬の選択にも重要となります。
重症度 |
|
軽症間欠型 |
軽症持続型 |
中等症持続型 |
重症持続型 |
喘息症状の特徴 |
頻度 |
週1回未満 |
週1回以上だが毎日ではない |
毎日 |
毎日 |
強度 |
症状は 軽度で軽い |
月1回以上 日常生活や 睡眠が妨げられる |
週1回以上 日常生活や 睡眠が妨げられる |
日常生活に制限 | |
|
|
しばしば増悪 |
しばしば増悪 | ||
夜間症状 |
月2回未満 |
月2回以上 |
週1回以上 |
しばしば | |
PEF FEV₁ |
%FEV₁ %PEF |
80%以上 |
80%以上 |
60%以上 80%未満 |
60%未満 |
変動 |
20%未満 |
20〜30% |
30%を超える |
30%を超える |
[6]
PEF(ピークフロー):息を思いっきり吸って吐き出したときの最大速度
%PEF:ピークフローの基準値に対する測定値の割合
FEV₁(1秒率):息を思いっきり吸って吐き出したとき、最初の1秒で吐く息の量
%FEV₁:FEV₁の基準値に対する測定値の割合
喘息でドクターストップが出ることがあるの?
喘息の症状がつらく日常生活に影響が大きい場合や、増悪の危険がある場合にはドクターストップが出ることがあります。
ドクターストップは病状や職場環境を総合的に判断して決められます。
特に、重労働や空気が汚れた場所での仕事、ストレスの多い仕事などは、喘息患者さんには負荷が大きい環境と言えるでしょう。
喘息のなかには、職場での特定の環境や物質に対して反応してしまうことがあります。
これを職業性の喘息といい、小麦やラテックス、動物、薬剤などさまざまなものが原因となります。職場から離れると症状が軽減する場合は職業性の喘息かもしれません。
このような場合もドクターストップが出る可能性があります。
大人の喘息患者さんの寿命は?長生きできないの?
喘息死は、多い時は1万人を超えていましたが、現在では吸入ステロイド薬の普及により年間2千人以下となりました。
喘息死の多くは65歳以上の高齢者で、その中でも85歳以上の死亡者数が突出しています。
これにはいくつか理由が考えられますが、高齢になるほど心疾患や喘息以外の呼吸器疾患の合併症が増えることが考えられます。
また、免疫が低下するため風邪などの感染症にかかりやすく、重症化しやすいことも要因と言えるでしょう。
さらに、身体機能の低下により、喘息のコントロールに欠かせない吸入薬の適切な使用が難しくなるなど、自己管理に問題が出てくることもあげられます。
喘息と診断されても適切な治療を行うことで喘息死を防ぐことができます。
しかし、喘息死のリスクが高くなる高齢者においては、安定した状態を保つためにどのようにケアしていくかが重要となるでしょう。[7]
Q&A
大人になって喘息になる原因は何ですか?
大人になって喘息を発症する原因にはさまざまなものがあります。
花粉やダニなどのアレルギーがきっかけになることもあれば、風邪やストレスなどがきっかけとなることもあります。
小児喘息の大半がアレルギー性であるのに対して、大人の喘息はアレルギー以外の原因が多いことが特徴です。
大人の喘息の症状は?
喘息は気道の粘膜が炎症を起こすことにより、息苦しさや喘鳴、せき、たんなどの症状が現れる疾患です。
喘鳴は呼吸時に「ゼーゼー、ヒューヒュー」とした呼吸音が聞こえる症状のことで、気管が狭くなっている時に現れます。
喘息の他にも気管支炎や咽頭炎、肺がん、心不全などでも見られることがあります。
喘息患者さんでは発作が起こっていないときでも気道の炎症が続いていますが、発作時以外はほとんど自覚症状がありません。
大人の喘息は治りますか?
喘息は慢性的な疾患であり、今のところ完治させる治療法はありません。
しかし、適切な治療を行うことで発作が起きない状態を保ち、日常生活に支障が出ないようにコントロールすることができます。
大人喘息はストレスが原因ですか?
大人の喘息の原因のひとつとして、ストレスがあげられます。
慢性的なストレスは喘息の発症原因になるほか、もともと喘息を持っている方にストレスがかかると発作を起こしやすくなることがわかっています。
これは、ストレスにより自律神経が乱れることで気管が収縮しやすくなるためです。
しかし、大人の喘息にはさまざまな原因があり、ストレス以外にもダニやハウスダストを始めとするアレルギー性のものや、感染症、気温の変化、排気ガスなども原因となります。
まとめ
ここまで、喘息の原因や症状、治療について説明してきました。
喘息は気道の慢性炎症による咳や呼吸困難を主徴とする病気です。子供の頃から喘息を持っている方もいますが、大人になってから発症することも多くあります。
慢性的な疾患のため完治することはありません。一時的に症状がなくなることがあっても、何かのきっかけにより再燃する恐れがあります。
また、喘息の発作はとてもつらい症状で日常生活に大きな影響を与えるだけでなく、時には命の危険もあります。
しかし、近年では吸入ステロイド薬をベースとする効果的な治療法が確立されたことにより喘息死は大きく減少しました。
そして、発作を抑えて健康な人と変わらない生活を送れるようになっています。
さらに、最新の治療法である生物学的製剤は、既存の治療ではコントロールが難しかった難治性の喘息にも効果が認められています。
喘息はしっかりと対処すれば制限のない毎日を送ることも不可能ではありません。
正しい知識を身に着け、適切な治療をすることで充実した毎日を過ごしましょう。
ファストドクターでは無料の医療相談を行なっています。
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もし、ご家族やご自身の体調でご不安な点がありましたら、ファストドクターを頼ってください。
参考文献
[2]成人喘息の疫学、診断、治療と保健指導、患者教育|厚生労働省
[4]気管支喘息|帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー科 山口正雄
[5]岐阜県版 成人気管支喘息急性増悪に対する対応マニュアル
[6]喘息予防・管理ガイドライン2021
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。