熱はないけどマイコプラズマ肺炎の可能性は?
熱がない場合でもマイコプラズマ肺炎の可能性はあります。
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニエという細菌によって引き起こされる感染症で、特に子どもや若い成人に多く見られます。
多くの呼吸器感染症は高熱を伴うことが一般的ですが、マイコプラズマ肺炎の場合、熱が出ない、または軽い発熱で済むことがあるのです。
子どもでマイコプラズマ肺炎を発症している場合でも、熱がないことも少なくないため受診せず日常生活をおくり、感染させてしまうケースもみられます。
マイコプラズマ肺炎の症状
マイコプラズマ肺炎の一般的な症状は以下の通りです。[1]
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発熱
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全身のだるさ
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頭痛
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痰を伴わない咳
必ずしも上記の症状が全て現れるわけではありません。
肺炎にしては比較的全身状態が良く、重症感がないことも特徴の一つです。
多くの人は、風邪のように軽い気管支炎ですみますが、重症化して肺炎になるリスクもあります。小児よりも成人の方が重症化しやすいとされています。
ある決まった時間になると熱が上がり、また下がるという状態を繰り返す場合もあります。
熱がなくても、症状の経過によっては熱が上がる可能性もあるため、注意が必要です。
特にしつこい咳が辛い症状の一つです。発症直後は乾いた咳が現れますが、経過すると共に咳が強くなり、解熱後も3〜4週間続くケースが多いとされています。
関連記事:「マイコプラズマ肺炎の症状は?かぜとの違いを解説」
熱以外の主な症状
マイコプラズマには熱以外にも現れる症状がいくつかあります。
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頭痛
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倦怠感
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乾いた咳
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湿性の咳
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鼻炎症状
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咽頭痛
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胸痛
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皮疹
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消化器症状(下痢)
など、熱以外にも様々な症状が現れます。
咳は初発症状が現れてから3日程度経過し、遅れて出現します。
経過と共に咳が強くなり、他の症状が落ち着いても咳が長く残るのが特徴です。
発症時は乾いた咳であっても、後期になるにつれて湿性の咳になることがあります。
特に、年長児や成人では、咳が変化する傾向がみられます。[2]
喘息様の気管支炎となるケースもあり、ヒューヒューやゼイゼイといった喘鳴がみられるため、子どもの場合は保護者の観察が重要です。
2024年8月現在も、マイコプラズマ肺炎に感染している少なくありません。
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マイコプラズマ肺炎の治療
熱がない場合でも、マイコプラズマ肺炎と診断されれば適切な治療が必要です。
マイコプラズマ肺炎を引き起こすマイコプラズマ・ニューモニエと呼ばれる細菌は、細胞壁を持たないため、一般的な細菌による感染症とは治療方法が異なります。[3]
自己判断で市販薬や手持ちの抗菌薬を服用することは避けてください。
まずは、医療機関で適切な治療を受けることが重要です。
医療機関での治療法
マイコプラズマ肺炎と診断されると、抗菌薬による治療を行います。
通常、細菌感染治療にはペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が用いられますが、マイコプラズマ肺炎には効果が期待できないとされています。[2]
そのため、マイコプラズマ肺炎と診断されたら以下の抗菌薬で治療をします。
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マクロライド系
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ニューキノロン系
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デトラサイクリン系
一般的にはマクロライド系の抗菌薬が第一選択されますが、抗菌薬の効かない「耐性菌」が増えてきていると報告されています。
耐性菌に感染した場合は、他の抗菌薬に切り替えて治療するケースもあるのです。
抗菌薬での治療を実施すると軽症で済む人が多いですが、中には重症化する人もみられます。
症状が改善しない場合や咳が長引いている場合は、医療機関を再度受診してください。
関連記事:「マイコプラズマ肺炎の治療薬について解説 子どもにも使える市販薬はあるの?」
自宅でのケア
マイコプラズマ肺炎の治療中は自宅でのケアも大切です。
自宅で療養する際は、十分な睡眠と休息をとるようにしましょう。
また、室内の湿度を保つことで咳を和らげます。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、室内の湿度を保ちましょう。
また、感染者が子どもの場合は、保護者が全身の症状を観察するようにしましょう。
熱がない場合も他に症状がないか正確に観察してください。[4]
予防法と感染対策
マイコプラズマ肺炎は接触感染と飛沫感染による感染症で、感染した人の咳やくしゃみ等からうつります。
特に、感染した人と長時間一緒に過ごし濃厚接触をした際に感染率が高くなります。
そのため、家族間や友人間で感染するケースが多くみられます。
しかし、一般的な風邪と同じように感染対策を行うことが予防に繋がるのです。
正しい予防・感染対策方法を解説します。
マイコプラズマ肺炎の予防方法
マイコプラズマ肺炎は、飛沫や接触による感染で広がります。
一般的な風邪と呼ばれる呼吸器感染症の予防と同じように、日頃から以下の予防法を徹底しましょう。
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手洗いをする
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帰宅時はうがいをする
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人混みを避ける
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マスクをする
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屋外と屋内で服を着替える
基本的なことを徹底することで、予防効果が期待できます。
むやみに感染を怖がることなく、まずはできることから予防してみましょう。
家庭内での感染対策
家庭内にマイコプラズマに感染した人がいる場合、濃厚接触する可能性も高く感染リスクが懸念されます。
そのため、手洗いやうがいはもちろん、家庭内でもマスクを着用して感染拡大しないような対策を心がけましょう。
特に、子どもが感染した場合はマスクを着用できないケースも多く、周りの人が徹底して感染対策する必要があります。
また、感染している人の唾液や鼻水などがついた部分に触れることで、接触感染する可能性もあります。
感染した人が触れる部分は、頻繁に消毒しておくと良いでしょう。[3]
関連記事:「マイコプラズマ肺炎は人にうつるの?症状や治療法についても解説」
熱がない場合のマイコプラズマ肺炎への対応
マイコプラズマ肺炎にかかった際には、様々な症状が出現しますが特にしつこい咳が症状の一つです。
熱がない場合でもマイコプラズマ肺炎の可能性があると理解しておきましょう。
まずは、医療機関を受診して適切な抗菌薬を服用することが治療の第一歩です。
しかし、咳の症状があっても熱がない人は、どのタイミングで医療機関を受診するべきか判断に迷ってしまうでしょう。
熱がない場合のマイコプラズマ肺炎への対応を解説します。
医療機関を受診すべきタイミング
熱がない場合でも乾いた咳が続いている場合は、すぐに医療機関を受診してください。
子どもで咳が続いて眠れない、食事が取れないといった症状がある場合も、早めに医療機関を受診しましょう。
特に、周りでマイコプラズマ肺炎感染者がいる人は医療機関を受診した際に、主治医に伝えると診察がスムーズです。
マイコプラズマ肺炎を発症しても、一般的な症状が全て当てはまるとは限りません。
自己判断するのではなく、マイコプラズマ肺炎が疑われる場合は早めに医療機関を受診しましょう。[5]
見逃されがちな症状と正しい対処
マイコプラズマ肺炎の初期症状は、一般的な風邪と似ているため判断が難しい病気です。
一般的な細菌感染症に用いられる抗菌薬が効きにくいため、見逃してしまうと治療が遅れ肺炎を引き起こしてしまうのです。
マイコプラズマ肺炎の主な症状は、長く続く咳です。
「咳だけだから・・」と放置するのではなく、いつもの風邪よりも咳が強く長引く場合は早めに受診しましょう。
受診の際は、「いつから」「どのような咳(乾いた咳・痰が絡んだ咳)」など症状を正確に伝えられるようにしておきましょう。
まとめ
マイコプラズマ肺炎は熱が出ると思われがちですが、発熱しないケースも存在します。
特に子どもでは熱が出ずに咳の症状がひどくあらわれてしまうこともあるため、咳の症状がひどければ早めに医療機関を受診するようにしましょう。
感染経路は接触感染や飛沫感染であるため、普段から手洗いうがいやマスクをするなど、ご自身で出来ることをしっかりと行いましょう。
また、マイコプラズマ肺炎は風邪と似た症状があらわれるため判断が難しいです。
受診の際は症状をしっかり伝えるようにしてください。
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参考文献
本記事に掲載されている情報は、一般的な医療知識の提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。
具体的な病状や治療法については、必ず医師などの専門家にご相談ください。