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HSCとは?不登校になりやすい?特徴や診断、コミュニケーションのコツについても解説!

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小さな物音に敏感に反応する、洋服がぬれたり汚れたりするとすぐに着替えたがる、細かいことを気にしすぎる・・・「うちの子、敏感すぎる?」と思ったことはありませんか?

思い当たることが多ければ、もしかするとお子さんはHSC(Highly Sensitive Child)かもしれません。

この記事ではHSCの特徴や診断、不登校との関わり、親や教育現場でのコミュニケーションのコツについて解説していきます。

これらを理解することで、HSCの子どもたちが抱える生きづらさを解消し、彼らのもつ素晴らしい長所を伸ばしていくことができます。ぜひ参考にしてみてください。

記事監修

名倉 義人 医師

○経歴
・平成21年
名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
・平成23年
東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得
・平成27年
東戸塚記念病院で整形外科として勤務
・令和元年
新宿ホームクリニック開院

○資格
救急科専門医

○所属
日本救急医学会
日本整形外科学会

HSCとは?HSCの定義とHSPとの違い

HSCとはHighly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の略で、生まれつき敏感すぎる気質をもつ子どものことを指します。

1990年代、アメリカの心理学者であるエレイン・アーロン氏(以下、アーロン)によって提唱されました。

2015年に、スクールカウンセラー・心療内科医である明橋大二医師が「ひといちばい敏感な子」としてアーロンの著書を翻訳し、日本にその概念が紹介されました。

HSP(Highly Sensitive Person)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

アーロンは、感覚情報を脳内で処理する感受性が高く、微細な刺激に敏感・刺激に過剰に反応する、新しい物事にとりかかるときは慎重になる、といった傾向を示す人たちをHSPと定義しました。

最近では、自身がHSPであると公表する芸能人も増え、世の中にその概念が広がりつつあります。

このような高い敏感性をもつひとは、人口の約5人に1人いるといわれており、病気ではなく、正常な特性です。この特性は、人間以外のハエや鳥・犬・猫・馬そして霊長類など、100以上の種に存在することが発見されています。

通常よりも高い敏感性を持つことは、なにか行動を起こす前に注意深くなる、という生物としての「生き残り戦略」であるといえるでしょう。

HSCは、このような高い敏感性をもつHSPの「子ども版」ともいえます。

敏感な子どもは、音や刺激のみならず、衣服や味覚なども敏感であったり、集団になかなかなじめないなど、ほかの子どもとは異なる特性をもちます。

親や教育者は「どうしてみんなと同じようにできないの?」と戸惑い、育てにくさを感じるかもしれません。

HSCはそういった周囲の声や態度に悩み、「自分は誰にも分ってもらえない」と傷つき、ときに生きづらさを感じることがあります。

赤ちゃん時期、幼児期の特徴について

赤ちゃん時期の特徴

HSCは、赤ちゃんの時期からその気質があらわれます。

例えば、異常がない場合でもよく泣き、眠らない、覚醒しやすいなど、他の子どもよりも手がかかる・・・と親は負担を感じやすいでしょう。

成長とともに行動範囲が広がると、新しい環境や変化への適応が難しいと感じることが増え、周囲の大人は子どもの過敏さへの対応に苦慮するかもしれません。

幼児期の特徴

アーロンによるとHSCの特徴は

①細かいことに気づく

②刺激を受けやすい

③強い感情に 揺さぶられる

④他人の気持ちにとても敏感

⑤石橋を叩きすぎる

⑥よくも 悪くも、注目されやすい 

とされています。

具体的には後述するチェックリストを参考にしてみてくださいね。

HSCは新しい物事へ慎重であったり、大きな音や大量の情報に圧倒され、 刺激を回避するように行動することから、周囲から臆病で内向的と見なされることが多いでしょう。

しかし、この「内向的」な気質は HSC と必ずしも一致しません。
HSCの 70% は内向的ですが、30% は外交的であることが調査で明らかになっているからです。
内向的だからといって「この子はHSCだ」と決めつけるようなことのないように注意しましょう。

HSCやHSP4つの特性DOES

HSCやHSPのような高い敏感性のある人がもつ、基本的な4つの特性を紹介します。

  • Depth of processing
  • being easily Overstimulated
  • being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular
  • being aware of Subtle Stimuli


これらは、まとめてDOESと呼ばれています。

それぞれについて詳しくみていきましょう。

Depth of processing:情報を深く処理する

物事を深く考えたり感じたりする傾向が強いことです。

  • 子どもとは思えないような本質的な質問をする
  • 大人びた言葉遣いをする
  • 考え込みすぎて一歩が踏み出せない

ということがよくあります。

being easily Overstimulated:刺激を過度に受けやすい

視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の5感がとても敏感です。

  • 音が大きすぎる場所やまぶしい照明などが苦手
  • どうしても食べられない味がある
  • 素材によっては着られない服がある

という姿が見られるでしょう。

being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular
:感情移入しやすく、共感性がとても高い

人の感情に敏感で、共感力が高く、感情移入しやすい特徴があります。

  • 友達が怒られているのを見て自分が怒られているように感じる
  • 怖い話が苦手
  • モノにも感情移入するため、壊れたおもちゃを捨てようとすると泣き出す
  • 自分の気持ちを抑えて相手に合わせようとする

という行動があらわれます。

外で我慢している反動で、家庭で癇癪を起こすこともあります。

being aware of Subtle Stimuli:わずかな刺激にも気づく

繊細で感覚が鋭いため、いつもと違うことに人よりよく気づきます。

  • 部屋の家具の配置が変わったことに気づく
  • 髪型や服のわずかな違いに気づく
  • 相手の声のトーンやわずかな視線の動きに敏感に反応する

といった具合です。

HSCの診断はどうやって?チェックリストはある?

HSCの診断基準はない

HSCには、病気のように明確な診断基準はありません。

たとえば高血圧だったら血圧の値がこの数値以上、糖尿病だったら血糖値がこの数値以上、というように診断するのに明確な基準がありますよね。

一方、HSCは「生まれつき物事への敏感性が高い」という個人の気質であって、病気ではありません。そのため、診断基準はないのです。

HSCかどうかを判断するために、下記のようなチェックリストが使用されています。

HSCチェックリスト

  • びっくりしやすい
  • 服のタグや縫い目、肌触りなど、身に着けるものの不快さを訴える。
  • サプライズプレゼントなどをしても、おおむね喜ばない。
  • 厳しく叱ったり罰を与えるよりも、穏やかに諭すほうが理解しやすい。
  • 私の心を読んでいるように感じる。
  • 年齢にしては難しく複雑な言葉を用いる。
  • 微妙に異なる匂いに気がつく。
  • 冴えたユーモアのセンスがある。
  • とても直観的に見える。
  • 日中興奮すると、夜なかなか寝付けない。
  • 大きな変化に対応できず、普段できていることもできないことがある。
  • 服が濡れたり汚れたりすると、すぐに着替えたがる。
  • 質問が多い。
  • 完璧主義。
  • 他者の悲しみや苦しみによく気がつく。
  • 静かな遊びを好む。
  • 深く考えさせられるような質問をする。
  • 痛みに対してものすごく敏感。
  • うるさい場所が苦手。
  • 何かを動かしたとか、人の見た目の変化など、ささいなことに気がつく。
  • 高いところに登る前に安全かどうかよく確かめる。
  • 見知らぬ人が傍にいないほうが、うまくパフォーマンスできる。
  • 物事を深く感じる。

(長岡真意子.敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本.秀和システム,2020,p21-23.)

このチェックリストのうち13個以上あてはまるなら、おそらくあなたのお子さんはHSCです。
また、あてはまった項目が1つか2つであっても、ものすごくあてはまると感じるならば、お子さんをHSCと呼んでもよいかもしれません。

HSCになる原因はある?親から子どもへ遺伝する?

HSCになる原因はある?


HSCと非HSCでは脳の性質が異なることがわかっています。
その根拠となる実験結果を紹介しましょう。

人見知りや場所見知りをする幼児では、そうでない幼児に比べ、心拍数が上昇したり、初めて見るものに対する扁桃体の反応が高くなったりする、という報告がされています。
心拍数の上昇は、ノルアドレナリンなどの興奮物質が分泌されることにより引き起こされ、扁桃体は不安や恐怖などの感情を感じた時に活動します。

つづいて、HSPを対象にした研究を紹介しましょう。
HSPではミラーニューロンの活動レベルや、他者の幸せな表情への感情反応の度合いが高くなることがわかっています。
ミラーニューロンとは、自分がある行動をする時と同様に、他者が同じ行動をするのを見る時にも活動する細胞のことで、他者との協調を促す役割があります。

すなわち、HSP/HSCのもつ、新しいものや不慣れなものへのストレスを感じやすい性質や、他者への共感力が高い性質は、ホルモンや脳機能、神経細胞による影響が原因だということです。

親から子どもへ遺伝する?


「自分自身がHSPであれば、子どもにもその気質は遺伝する?」
「子どもがHSCなのは親である自分の影響?」と思う人も多いかもしれません。

HSC/HSPの原因が遺伝子か否かについては、まだ研究途中のようです。


アーロンは自著の中で「ひといちばい敏感であるという性質は『主に』遺伝子で決まる」と言及し、児童精神科医の長沼睦雄先生も「HSCやHSPは遺伝的なもの」と肯定しています。
しかし、「HSPではない親からHSCの子どもが生まれることについて、遺伝ですべてを説明することは難しい」とも主張しており、はっきりとした結論は出ていません。


現在のところ、遺伝子の要因は強いけれど、遺伝子以外の要因もあると考えられています。


HSCが大人になったらどうなる?



HSCが大人になったらどうなるのでしょうか?
敏感な気質は治るのか気になるところですよね。

結論からいうと、敏感さは生まれ持った気質のため、その気質がなくなることはありません。

いくつかの追跡研究により、赤ちゃん時期に敏感な気質をもつ子どもは、その気質が大人まで続くことが明らかにされています。

しかし、その敏感さを抱えて大人になってどのような性格になるかに関しては、環境によって大きく変わると考えられています。

なぜなら、敏感な子どもは環境からのネガティブ・ポジティブな体験両方に対して影響を受けやすいことが分かっているからです。

HSCは非HSCと比べて、ネガティブな育児や教育に対してはより負の影響を受け、質が高く肯定的な経験を経た場合は、よりプラスの影響を受けるといった研究結果があります。

また、幸せな幼少期を過ごしたHSCは、その後抱える問題が大きく減りましたが、不遇な幼少期を過ごしたHSCは抱える問題が大きく増えていたという結果も出ています。

HSCは感性が鋭く、相手の気持ちをくみとることが上手なため、このように周囲の環境の影響を大きく受けて育つことは容易に想像がつきますね。

すなわち、生まれ持った敏感な気質はなくなることはないが、物事をネガティブ/ポジティブに捉える性格は、周囲の環境の働きかけによって作られるといえます。

発達障害とHSCの違いは?


HSC は自閉症スペクトラム障害、ADHD、精神疾患などとの区別がつきにくく、その敏感さゆえに発達障害と混同されることがあります。
しかし、以下に示す点において、HSCと発達障害には明確に違いがあります。

自閉症スペクトラム障害との違い:社会性


HSCには「情報を深く処理する」という特性があります。
あまりにも情報や刺激が多すぎると、圧倒され混乱し、パニックになることで場の空気に合わない行動をとってしまうことがあります。このことが自閉症スペクトラム障害の特徴と似ているため、混同されやすいのです。

HSCは本来、場の空気や相手の気持ちをくみとることに長けており、高い社会性を持っています。情報が多く、パニックになってさえいなければ、その場の空気や相手の意向に合わせようと努力するはずです。

一方、自閉症スペクトラムの子は人への関心が弱く、「その場の空気」や「相手の気持ち」といったあいまいないことを読み取ることが苦手です。

その結果、相手が興味を示していないことが分からず、自分の好きなことをいつまでも話し続けたり、場に適さない行動をとることがあります。

ADHD(注意欠如・多動症)との違い:課題達成能力


HSCはとても敏感で、少しの刺激が気になってしまうため、はたから見ると注意力散漫に見えることがあります。
このような注意力の欠如が、ADHDの特徴と似ているため、混同されることがあります。

HSCの場合、課題を段取り良くこなす能力が高いため、気がそれたとしても、再び注意を戻し、課題に取り組むことができます。

ADHDの子どもでは、気がそれたまま、課題に向き直ることが難しいとされています。

HSCは「ギフト」素晴らしい特性に目をむけよう!

HSCというと、内向的で引っ込み思案、小さいことを気にしすぎる・・・など、ネガティブな側面にばかり目が向きがちです。

しかし、HSCは、物事を深く感じ取り、人の気持ちを読み取ることが得意で、共感力が強いという素晴らしい特性を持っています。
道端の花や小さな虫にも思いを馳せ、わずかな変化にも喜びを見出すといった、感受性の豊かさも魅力的です。

子育てコンサルタント・ライターの肩書をもち、HSC気質をもつ5人の子育てをされてきた長岡真意子さんは、著書の中でこう語っています。


敏感さはギフトです。

敏感っ子の子育てでは、まずはこうした生まれ持った性質を理解し、敏感さのよさを認めることが大切です。さらに、環境を整え、生きづらさの原因に対応できる力を培うような「関わり方」を心がけることです。

長岡真意子.敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本.秀和システム,2019,9p,12p.


ここからは、HSCの子育て・教育に携わる大人の関わり方について紹介していきます。

HSCの子どもとの接し方のポイント!子どもの才能を伸ばす親子関係の築き方


HSCの子どもを育てる保護者の方にお伝えしたいことは、「人とは違う子育てをしても良い」ということです。
HSCの子にとって、非HSCの子と同じようなかかわり方は刺激が強すぎることがあります。
周りから「あんなに甘やかして」「もっと厳しくしつけないと」などと言われるかもしれません。

しかし、その子にあった対応をすることは、敏感な性質や、ネガティブな側面も含め「自分は自分のままで良いんだ」という自己肯定感を育むことにつながります。

ここでは、HSCの自己肯定感を高め、才能を伸ばすために意識したい関わり方を4つ紹介します。

①子どもの味方になり、安全安心な基地・充電場所となる


HSCは自己肯定感が低くなりがちです。
そのため、家庭では1日の中で何度も無条件の愛を伝えるようにしましょう。
朝起きた時、学校へ送り出すとき、夜寝るとき・・・「あなたを大切に思っているよ」と言葉で伝えたり、ハグをしたり、笑顔で心を込めて声かけをしたりしましょう。

また、家事の手をとめて、子どもと1日5分でも一緒に楽しむ時間をとることも意識してみてください。子どもの不安感を軽減するのに効果的です。

子どもたちが1人でゆっくりと好きなことをする時間(ダウンタイム)を設けることは、外での刺激に疲弊して帰ってくるHSCの疲れを癒し、心の充電をするのに役立つでしょう。

②刺激をすべてとり払うのではなく、できると思ったら背中を押す


新しい環境へ飛び込むのに慎重なHSC。
嫌がっているからといって、すべてを避けていては成長につながりませんよね。

たとえば、プールに入るのを怖がっているとします。
「怖がっているからプールへ入らなくていいよ」ではなく、今日は水をかけてみる、明日は足をプールに入れてみる・・・といったように、「プールへ入る」というゴールへの足場を細かく設定していき、少しずつ慣らしていくようにしましょう。

HSCの子はできないのではなく、「まだ」できないだけ。
新しい環境に慣れるのに人よりも少し時間がかかることを頭に入れておくと、焦らずにすみます。

③ネガティブに捉えられる気質の側面にアプローチする力を身に着けられるよう働きかける


HSCはポジティブな出来事よりネガティブな出来事に強く反応し、記憶に強くとどめる傾向があります。
ネガティブな思い出にばかり引っ張られるのは辛いことでしょう。

このようなHSCの気持ちを補正してあげたいと思う保護者も多いのではないでしょうか?

そのためには、親自身が物事をポジティブにとらえて楽しむ姿を見せることが大切です。

また、リフレーミングという方法も効果的です。
リフレーミングとは、対象を別の角度から捉え、言い換えることです。

例えば「私は引っ込み思案で怖がりだ」と子どもが言ったとします。
そのことを「あなたは、よく観察して考え、正確に物事に取り組むことができるんだね」といった具合にポジティブに言い換えてあげましょう。

④子どもの強みに目を向け、それらを伸ばしていくことを心がける


強みとは何でしょう?

それは、子どもが「好き・得意・夢中」になれるものの中にあります。

子どもにとって強みがあることは、その子にとって力の源となるものです。
いろいろなことを少しずつ経験・継続させていく中でその子にとっての強みを見つけていきましょう。

また、失敗やうまくいかなかったときなども、「成長の機会」と捉え、失敗への恐れをなくしていくことも大切です。

HSCは不登校になりやすい?教育現場でのサポート方法は?


HSCの敏感な感覚は他の人には理解されにくいため、学校生活に適応しにくく、困難を抱えていることが分かっています。

学校生活は、音や光などの刺激をはじめ、人との関わり、授業やテストなどの緊張や プレッシャーを感じる場面が多く、HSCにとって不安やストレスを感じやすい環境といえるでしょう。
このようなことからHSCは、社交能力、学習、運動能力が本来の力よりも発揮しづらく、不登校につながりやすいとされています。

HSCが自分らしくいられるために、教育現場ではどのようなサポートができるでしょうか?

教育現場でのサポート方法について3つのポイントを紹介します。

①HSCについての知識を身につけ、どのようなことに困っているか理解する


HSCの特性(深く情報を処理する・刺激に敏感・共感力が強い・ささいな刺激に気づく)を理解し、日常のコミュニケーションや保健室の来室情報などを把握する。
その子の特性や、これまでの関わり方の工夫などを家庭から聞くというような対応をすると良いでしょう。

②HSCの特性に応じた介入方法を習得する


「強い口調」「せかすような口調」をすると、HSCは「怒られないように、嫌われないように」という視点で自分の居場所探しをし、疲弊してしまいます。
このような否定的な強い口調をしていないか、見直してみましょう。

また、納得いくまで取り組みたい性質をもつため、テストなどを除いては、粘り強く取り組む姿勢を評価することも大切です。

HSCが安心できるクラスは、クラス全員にとって居心地がよいクラスです。HSCにとって不快な環境を取り除くことは結果としてクラス全体に良い影響を及ぼします。

③HSCの専門家へのアクセスをもち、包括的に支援する

周囲のHSCへの理解が足りていないと、「気が弱い子だな」「嫌なことを避けてるだけじゃないの?」と思われがちです。

HSCの認知度を高めるために、生徒、教師、保護者への情報発信を行い、学校全体として支援していくことが重要です。

また、適切なタイミングで専門家へ紹介・相談し、HSCが追いつめられたり、不登校になることのないように努めましょう。

まとめ


HSCの特性、チェックリストによるセルフチェックの方法、HSCの子育て・教育に携わる大人の対応方法について解説しました。

HSCの繊細さや慎重さは、ときにネガティブに捉えられがちです。

しかし、本人や周囲の人々が正しく理解し、対応することでそれらの性質は、HSCにしかない素晴らしい強みとして伸ばすことができます。
HSCの子が自信をもって成長し、周りの大人が楽しみながらHSCの子育て・教育をしていけるよう、HSCについての理解を深めていってくださいね。

参考文献

・エイレン・アーロン.The Highly Sensitive Person.http://hspjk.life.coocan.jp/

・山本佳代子.敏感性の高い子どもの育ちへの支援.人間科学論集.2022,第 17巻第2号,p215-226.

・長岡真意子.敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本.秀和システム,2020,194p.

・“5人に1人が「HSC」。繊細で共感性の高い「ひといちばい敏感な子ども」の特徴とは?”.こどもまなびラボ.2020-10,https://kodomo-manabi-labo.net/hsc-kodomo#anc3

・髙橋高人・石川信一・佐藤正二.日本語版子どもの行動抑制尺度の作成.教育心理学研究.2021,69,p382-395.

・大河原萌加・古池雄治.Highly Sensitive Childが学校生活で抱える困難と教員の対応.茨城大学教育学部紀要(教育科学).2023,72 号,p183-199

・渡辺秀貴.“「HSC」とは?【知っておきたい教育用語】”.みんなの教育技術.2022-12,https://kyoiku.sho.jp/204963/

・末吉陽子.“クラスの5人に1人、繊細なHSCにとって居心地よい教室をつくる教員の特徴~大事なのは「謝る誠実な姿」、NGワードにも注意”.東洋経済ONLINE.2023-6,https://toyokeizai.net/articles/-/674104